深夜の魔法少女アニメを履修してるタイプのマスコット(超善良)が来た 作:蓋然性生存戦略
あとシリアス気味
アルモンド大統領がビシビシと指導した後。
流石に夏休み目一杯日本にいるわけではなく、アメリカからアクセスしながらブートキャンプは行われた。
ぶっちゃけ私とフィストとスター、そしてラプラスには関係のない指導だったので、割とくつろいでいる。
で、今ラプラスと2人でお茶をしている。
なんでこの組み合わせなんだよと思うかもしれないが、誘ったのは向こうからだ。
「で、なに?」
「よくわかったというだけ。今のアンタが、なーんにも覚えてないって事を」
「そりゃようござんした」
「だから伝える義務があるわ、私には」
「なにを」
「『山本 柳』という怪物が、何をしてくれたのかを」
ぶっちゃけ、誘いを受けて後悔しなかったかといえば、嘘になるだろう。
コイツの語るコイツだけの記憶は、それだけの爆弾だった。
遡れば10年前。
私と『山本 柳』の付き合いはそこからよ。
腹の立つ奴だったわ。
何をやらせても私より上。
暇だと宣い、その道の人間を蹂躙しては飽きたと言い、私が求めたメダルを奪ってはひょいと渡す。
そんな人間が『山本 柳』だったわ。
あれも今にして思えば、彼女なりの好意だったんでしょうけど。
素直に凄いと思えたのは最初だけ。
嫉妬に変わるのは簡単だった。
とはいえ、反骨心で挑み続けたのは私だけだったけど。
でもある日、そんな日々は終わったわ。
突然、日本全土が未曾有の大災害に見舞われたのよ。
いえ、規模から考えれば世界中ね。
そんな災害はなかった?
当たり前でしょう。
それをやったのは、『山本 柳』。
世界を救いながら、誰にも知られない英雄。
それが記憶を失う前のアンタよ。
アンタはこれまでのほぼ全てを捨てて、世界を救ったの。
人間関係も、偉業も、記憶も、才能も。
だから腹が立ったのよ。
私が超えたいと思った存在は、頼んでもいない救済のために消えたんだから。
……私が危ないからなんて理由で、自分を捨てたんだからね。
「にわかには信じられないけど」
「アローズに聞けば?少なくとも調べはつくわよ」
「アローズ?」
『……《ラプラス》はおしゃべりだなあ。まさか世界記録改竄前の記憶を保持しているとは思わなかったよ』
「私も少しくらいは特別みたいなんでね。私の御使としての能力も、それを知っていたからでしょうし」
『概ね事実だ。7年前、《Code:1999/7》はすでに目覚めかけていた。その際、真っ先に行動を起こしたのは、災害としての《Code:1999/7》、《TheMagnaClades》だ。『山本 柳』という幼い命は、己の存在と引き換えに、世界を巻き戻し、災厄を引き千切って機能不全にし、その一部を人間として転生させた。その転生体がキミだ、《焔塵卿》』
「えっ」
「えっ」
『えっ』
上から私、ラプラス、アローズだ。
私は衝撃の真実を知って。
ラプラスは『そこまでは知らんが?!』みたいな顔で。
アローズは『え?!やっちゃった?!』みたいな顔で。
…………。
「まあどうでもいいか」
「どうでもいいの?!致命的なまでに深刻な事実だと思うんだけどいいの?!」
「だって私は私であることに変わりないし」
『うっかり暴露しちゃったボクが言うのもあれだけどもうちょっと自分のことに頓着した方がいいよ』
そうは言うけど、じゃあ私の何が変わるのかって話じゃん。
母さんの娘である事実は変わらないし、実の娘じゃないんだとかそう言うムーブはいらないのよ。
愛情が確かにそこにあるんだから不安に思う要素なんて微塵もないんだから、どうこう考えること自体が無駄。
『何この子、あまりにも成熟しすぎじゃない?え?この年頃のボクって何してたっけな……みっともなくあの夏で飽和してたような……』
アローズの飽和した夏の方が気になるんだけど。
そっち聞いちゃダメ?
ダメ?そっか……。
「ああ、それとなんだけど柳」
「何」
「『オウジ サクラコ』と名乗る女には気をつけなさい」
「誰それ」
全くもって覚えのない名前である。
ダレダソイツハ!!
『《ラプラス》、その名はどこで?』
と思ったら、アローズが険しい顔をしている。
え?今までで1番やばい顔してない?
焦燥と憎悪と恐怖と憤怒が混ざった顔してるよ。
「改竄される前の世界で、大災害が起こる前に私たちの前に現れた女よ。知ってるの?」
『知ってるも何も、《Code:1999/7》封印の際に、人柱にされた奴の名前が、皇司 櫻子だ。もし楔としての役目を果たしているのなら、現れるはずなんてないんだ』
もし奴が動いているのなら、あんまり余裕はないかもしれない。
アローズはそう言って、本体に連絡を取っていた。
「そんなにやばいの?その皇司 櫻子ってやつは」
『異なる時空の存在とは言え、かつてボクに敗北を突きつけた怪物だよ』
え?
「アローズより強いってこと!?」
『負けたのは人間だった頃の話さ。今なら10回に8回は勝てる』
「けど!」
『そうだね。2割負けるんだ。油断してたら足元掬われるよ』
私の出自よりそっちの方がよほど大事じゃない?
御使がごっこ遊びしてて大丈夫?
『それに関しては問題ない、あいつは強いけど、特筆すべき能力は圧倒的なフィジカルしかない。小細工は弄するけど、それは人間にできる範疇でしかない。分霊の小細工で対処できる。御使たちに万が一はない』
それならいいんですけど。
え、でもフィジカル強いんですよね……?
『フィジカル以外がゴミなんだよ。幻術にあっさり引っかかるし、概念装甲貫けないし、ルールギミックとか全部受ける』
「搦め手耐性ゼロ?」
『皆無と言っていい。薄い本のネタに事欠かないレベルで皆無』
「薄い本」
つまりえっちな本ってことですね。
いやまあ言いたいことは分からないでもないけど。
一応私未成年なんですがそれは。
『どうせ思春期の少年少女なんてむっつりスケベだよ』
「偏見が過ぎるのでは???」
あとそれとこれとは話が別では?
『まあともかく。警戒レベルは上げておく。ベイルアウト機能も緊急で作る。怪しい人物には気を付けておくれよ』
「はいはい」
正直に言えば、自分のアレコレが気にならないと言えば嘘になる。
ただ、知ったところで何も変わらないから気にしない。
それにたぶん、私は災害としての《Code:1999/7》の一部とは言うものの、十中八九《火災》だろう。
出なければ、こんなに炎に適性があるわけがない。
変身中の私の体温は、1400度にもなる。
本気を出せばもっと上がる。
最早火災という名の炎そのものでは?
ただまあ、きっと私は狙われるのだろう。
そこだけは注意しよう。
「あれ、でも待って。私の家、割れてない?」
『キミが転生体だと判明した時点ですでに手配している。認識上はもう別の場所に引っ越しているし、ご母堂も捕まらないはずだ』
「仕事が早い」
流石アローズだ。
私たちの安全のことになると手が早い。
それなら、私たちはいつも通り討伐を『Boooooooooooom!!』へ?
『緊急事態発生、緊急事態発生。システム管理領域に不正アクセスを検知。繰り返します。システム管理領域に不正アクセスを検知。管理者は直ちに対応をお願いします』
『ファッキュー筋肉ゴリラ!!神域隔壁を殴り壊して入ってくる奴があるか!!これだから脳筋は嫌いなんだ!!』
「アローズ、状況は?」
『噂をすればなんとやら、皇司 櫻子が突入してきた。今持てる全力で対処してるけど、こっちに真直ぐ向かって来てるね。勘の良い奴』
「逃げないと」
『馬鹿言わんといてよ。本体とハニーが間に合うよ』
アローズはそう言って、ゲートを開いた。
中からルーズサイドテール姿のアローズと、いつか見た長身の女性が現れる。
同時に、上空から影が落ちてくる。
――ズガァァァァァァン!!
轟音と衝撃。
相対する三つの影。
震えあがる空気の圧力。
「1号。子供たちを連れて神域中枢へ避難して。第1から第10までの避難所を解放する」
『了解」
「サクラコ=オウジか……苦い思い出だな」
「全くだ。逃げ足も速いからめんどくさいことこの上ない」
「だーれが逃げ蟲だってェ!?」
剣、ペン、拳。
それぞれがそれぞれの得物を手に、向かい合っている。
「一応言っておく。降伏しろ」
「誰が応じるかってハナシじゃんねエ?」
「勝てると思ってんの?頭に脳みそ詰まってる?」
「そっちこそお荷物抱えてパーフェクトは舐め過ぎじゃない?」
「ハッ、ろくに魔力も使えない猿が良く吠えるねぇ?あ、ごめん!猿じゃなくて負け犬かw」
「えー?大言壮語は震えかけてる足を何とかしてから言ったらぁ?」
「……」
「……」
「「殺す!!」」
雷鳴、剣戟、拳打。
1秒の1000を超える応酬が始まり、辺りが凄惨な状況になっていく。
『二人とも、こっちこっち。他の皆のことは気にしなくていいよ、避難は進んでる』
「触らぬ神になんとやらね」
「ここが地球上じゃなくて良かったわ。国どころか地球が滅ぶわ」
救済の魔女くらい酷そう(小並感)。
・柳(現在の姿)
《火災》の
だから炎の適性も馬鹿みたいに高かったんですね。
本来の『山本 柳』は存在そのものが消えている。
彼女を知る術は、最早アカシックレコードにしかない。
・『山本 柳』
産まれる時代を間違えている女の子。
実質沙条○歌。
自分に屈するのではなく挑み続けた弓場 秤が大好き。
色んな大会のトロフィーもあげちゃう(無自覚カス行動)。
彼女を助けるために自分の全部を捧げた。
でも覚えていてほしいので秤の記憶だけ残した。
・《Code:1999/7・TheMagnaClades》
災害としての《Code:1999/7》。
なんと一番強い。
『山本 柳』の存在を懸けた相打ちにより、機能不全に陥っている。
散らばった災害の種が再び終結すると復活する。
流石にこれが復活したらアローズと言えど人類文明を半壊させる覚悟をする。
・
本作のラスボス(断言)。
ウルトラスーパーフィジカル女子。
フィジカル以外の全てがクソ雑魚だが、全てをフィジカルで解決して来る。
道具(災害)を使う頭もある。
人柱にされたこともそうだけど、その前に色々と裏の人間との抗争で恨みつらみが重なっており、人間絶許状態。
フィジカルしか取り柄が無いので災厄としての格は低いが、対超常存在との戦歴はそこそこ良い。
地球滅ぼすンゴ~、と緩く活動中。
・アローズ(本体)
神体そのもの。
『ようけ顔見せてくれたのぅ、ド腐れがァ……』と内心櫻子にブチギレしながら出てきている。
人間だった頃の敗北は苦い思い出として刻まれている。
今回はハニーが一緒なので負けない、逃がしてしまわないかどうかだけが心配。
でも作劇上仕方ないので逃がしちゃいます(メタァ!!
・ハニー
アローズの相方の神。
櫻子に勝率100の剣神。
『いつだったか伴侶が世話になったな……』と内心櫻子にブチギレしながら出てきている。
ガチ目にアローズが大ピンチにされたので主観で長い時が経った今でも恨んでいる。
今回はアローズがベストコンディションなので安心して事にあたっている。
・地球
とりあえず櫻子とアローズと剣神が別の場所で暴れ始めたのでポ〇プスターのように真っ二つになることは免れた。