深夜の魔法少女アニメを履修してるタイプのマスコット(超善良)が来た   作:蓋然性生存戦略

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*死人は出ません


第四話:もう何も怖くない!!

紅ヶ咲とバディを組むことになって早2週間。

十月も下旬に差し掛かろうかという時期。

 

「初めて会った時のドラゴン、やっぱあれ特別なのか?」

 

順調に《魔獣》狩りをこなしていく紅ヶ咲は、ふとそんなことをつぶやいた。

まあ、あれはね。

たまにある大物デーだったし。

 

『呼ばれて飛び出てアローズちゃん!アレはデカ目の《魔獣(バグ)》なんだよねえ。ここ半年で一番大きいかも』

「Aランクは何度か出なかった?」

『あの後対処したけど、Aランクの中でも上澄みだねえ、アレは。もうちょっと強かったらSランクでレイド入りさ』

「あるんだ、レイド……」

『流石にSランクはソロで倒せるようにはなってないよ』

 

マジか。

Sランク一歩手前のバケモンだったのか。

というかSランクはレイドなのか。

 

「つってもさぁ、Aランクもレイド相当じゃね?」

『それはそう!なのでAランク以上が出現したら各地からデバイスを通してレイドエントリーできるように調整中。ご褒美分配も調整中』

 

本当にこのマスコットは生真面目が過ぎる。

言動はアレだが。

 

「アローズ、潰れない?」

『大丈夫大丈夫!理解のある子たちが協力してくれてるだけでもう100万人力!!』

「それ無理してる奴の発言じゃね?」

 

私もそう思う。

 

『ははは!愛しのハニーが待っていると考えればもう何も怖くないさ!!』

「マミらないでね?」

「アレは伝説の回だったな……」

 

アローズはフラグを立てるのが好きだな……。

回収されたことはほとんどないけど。

まあ、マミることはないだろう。

 

『ボクに限ってそんなことあるわkギニャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?』

「ちょ、アローズ!?」

「何が起きた!?」

 

とか思ってたら悲鳴が。

一体何が。

 

『自動応答モードへ移行。管理人は現在、全並列思考存在が保護者により強制休眠を実行されたため、対応できません。繰り返します……』

「……」

「……」

 

まあ、なんだ。

マスコット枠も働きすぎれば強制的に休ませてくれる環境らしい。

いつも話し相手になってくれている身近な神様が倒れてしまうのは嫌だしね。

保護者が来てくれてよかった。

 

『保護者よりメッセージ:名も顔も知らぬ少年少女たちへ。彼女への協力、感謝する』

 

あ、保護者の方も律儀ね。

ただまあ、アローズが休まされちゃったし。

サポートは受けられないと思った方がよさそうだ。

 

「さて、今日も頑張るとしますか。アイツのサポートないけど」

「ま、システムの方からランクとか傾向は教えてくれるからな、なんとかなんだろ」

「そういうこと。システム、認識阻害」

『指示を実行』

 

今日の《魔獣》も強くてDランクだ。

サクサクやって行こう。

紅ヶ咲くんの成長も目覚ましいしね。

 

 

 

――翌日

 

 

 

『恐ろしく早い手刀……受けるまで見落としちゃったね……』

「あ、手刀で落とされたんだ……」

 

登校前、首トンでノックダウンされたと供述するアローズが起床する。

 

『ハニーったら酷いんだよ!酷いんだよぉ……働き過ぎだからって楽しみにしてたパティシエのティラミスを没収したんだァ……!!食べたいなら休めって言うんだァ……!!』

「素直に休みなさいよ」

『ボクがやらなくて誰がやるッ!!こんなバグだらけでたらいまわしにされた地球さんが可哀想だろっ!!』

「神様の話はちょっと分かんない、ごめん」

『……ごめん、愚痴るつもりじゃなかったんだ。昨日は何もなかった?』

「アローズのシステムが優秀だから何とかなったよ」

『フフーン、流石ボク!』

 

家を出ながら、アローズと会話しながら歩く。

 

『フィードバックがあれば全然言ってくれていいからね。できればデバイスにインストールしてあるご意見フォーラムに入力してくれると嬉しいな』

「スマホ型デバイスだからって便利に使い過ぎじゃない?」

『現代社会で持ち歩いてて自然なフォルムの変身アイテムってなるとスマホ型デバイスが適切だったうえに量産性もあったからね、仕方ないね』

「だからってサ●バーパ●ク2077が動く性能にする必要あった?」

『この時代の全プラットフォームのゲームにも対応!コントローラーとモニターを用意すれば大画面でプレイできますぅ!!』

「本当に無駄に高性能!!」

 

このデバイス、ご褒美をため込んで課金に使う機能もあるし……。

無駄に便利で高性能なんだよね……。

 

『ゲームがやりたいのにできないのは悲劇だからね……』

「言うほど悲劇かな……」

『悲劇だ。ボクがそう判断した』

「ダブスタクソマスコット!?」

 

そんな事を話している内に、学校に着く。

着くのだが。

 

なんだか見られているような。

 

(ペロッ……これはクロトくんと一緒に行動しているのがバレている味!!)

 

どんな味よソレ。

というかなんで?

認識阻害はかけてたはずだけど。

 

(ちょっと待ってね、ログ見るわ)

 

いや、別に遅かれ早かれだから良いけど。

 

(あ、最後の討伐の後、認識阻害かけ忘れてるね。路地裏から出てきたところを目撃されたっぽい)

 

私のガバか。

ありがと。

 

クラスに着くと、注目の度合いはさらに強まった。

紅ヶ咲は既に質問攻めか……。

矛先はこちらにも向くのかな……。

 

「で、実のところどうなんだよ」

「ただの友人だって」

「マジィ?」

 

まあ、ただの友人ではある。

少々特殊な共通の趣味……趣味?があるだけで。

 

と、身構えていたのだが。

寄ってこないな。

まあ良いか、寄ってこないなら。

 

(もしかしてだけどさあ、ヤナギちゃん)

 

なに。

 

(キミ、ただただ普通に話しかけにくいヒトって思われてない?)

 

……そんな馬鹿な。

 

(放課後にでもクロトくんに聞いてみたらいいさ)

 

そんなはずは。

 

 

 

――放課後。

 

 

 

「山本さんさあ、気難しい人って思われてたっぽいぞ」

「嘘でしょ?」

 

そんなことあるはずが。

いやでも、どうせ趣味が合わない人と会話するのとかめんどくさいし、かといって男子と絡んでも女子がウザいし……。

 

「あと表情が常に怠そう」

「……悪かったわね」

 

はぁ~~。

そうか、別に疎まれてたわけでは……。

いや、だからと言ってあんまり現状が変わるわけじゃないが。

 

「クラスと会話する気とかないのか?」

「あんま無いわね。めんどくさい」

「そういうとこじゃね?」

「ええ、身をもって実感したわ」

 

これから会話とかしていくべきなのかしらね。

面倒くさいけど。

 

「成績優秀で顔も良いから高嶺の花とか言われてたぞ」

「ハッ……生憎とサブカル大好きな俗物よ」

「俺はそれでも良いと思うけどな」

「女子社会はめんどくさいのよ……」

 

ほんっとーにめんどくさい。

めんどくさいからやっぱり一人で良いわ……。

 

「陰鬱なオーラが凄いな……」

「女になればわかるわよ」

「TSはちょっと……」

「ジャンルの話はしてないっての」

 

ま、ここまでにしときましょう。

今日はちょっと気合を入れないといけないみたいだしね。

 

『本日のメニューはCランクが2件!中々中々中々にヘヴィな注文だね』

「この前初めてCランクを倒したばっかなのだけどね」

「二人ならいけるんじゃねえ?」

「言うほど甘くないわよ、Cランクは。この前倒したときは相性が良くて必ず先手を打てる状況で討伐に1時間かけたんだから」

「マジかよ」

 

そう、Cランクが2件だ。

この前討伐するまでは、出現しても候補に入れなかったCランクだが、紅ヶ咲の合流の事もあり、率先して狩りに行くことにした。

 

「相性悪かったら普通に負けそうだな」

「そうなのよ」

「でもやるんだな」

「経験は積んどかないとでしょう?」

 

高校卒業までの間に、色々と貯めておきたいのだ。

そのためなら頑張れる。

 

『志が高くていいねー。ちなみに今回の相手はヒドラだね。相性は良いけど悪いかな』

「というと?」

『《焔塵卿》の焔は有効だけど、手数の問題で相性が悪い感じかなあ』

「なるほどね」

「山本さんが火力上げればいいんじゃねえの?」

『傷口からじゃないと火はあんま通らないんだよねえ』

「なるほどなあ」

 

ヒドラとなると、気を付けるべきはブレス、噛みつき、毒か。

後は首による薙ぎ払い。

まあ、うん。

そうだね。

 

「前衛よろしく、《シャドウフィスト》」

「だよなー!!頼むぜホント、《焔塵卿》」

 

まずは一体目。

ヒドラ行ってみよう。

 

「《燃え盛れ》!」

「《イグニッション》!」

 

《シャドウフィスト》を前衛に、隙を見て私が首を焼き斬る。

今回のヒドラの首の数は4本。

原典は9本とかだったか。

ちょっとうろ覚えだけど、そんなもんだったはず。

それを考えると、結構な弱体化が入っていると思って良いだろう。

 

「じゃ、よろしく」

「任せろ」

 

《シャドウフィスト》は、もう何度も見せてくれた急加速でヒドラを翻弄し始める。

早さだけで言えばもう私は追い付けない。

 

「オラァ!!」

 

そして、どうにもあのヒドラは動きが鈍重気味らしい。

右へ左へと動き回る《シャドウフィスト》の拳を、すでに何度も喰らっている。

とはいえ、《シャドウフィスト》と比較しての話だ。

私が迂闊に飛び込めば餌食になるだろう。

全ての首が彼に注意を向けた瞬間に……斬る。

 

『Gyyyyyyyyyyyyyyyy!!?』

「まずは一本」

 

切断と同時に傷口を焼き、再生を許さない。

私への追撃は《シャドウフィスト》が阻む。

完璧な流れだ。

だが、ここからが問題だ。

《魔獣》というものは、別に考える力が無いわけではない。

獣の域を超える思考能力は持たないが、逆に言えば獣程度には学習するのだ。

ここからは私も警戒されるだろう。

その警戒を上回る隙を《シャドウフィスト》が作るのが要になって来る。

無論、彼任せにはしないが。

 

「《シャドウフィスト》、斬れるよね?」

「もちろん!」

「なら今度はアナタの番」

「りょーかい!!」

 

どっちを選んでも損をする択。

それをヒドラに突き付ける。

 

あからさまに火を出して注意を引き、今度は私がヘイトを稼ぐ。

とびかかれば届きそうな位置取りを意識して……ヒドラが飛び掛かるために力を籠める。

 

「今」

「《シャドウクロー》!!」

「灯薙!!」

 

彼がその隙を逃さず、横から首を切り裂く。

当然、今度は私が追撃を阻み、傷口を焼く。

 

「あと2本」

「余裕だな」

「油断しないの」

「うっす」

『でもまあ、後は消化試合だねえ……がんばえー』

 

その後、無事にヒドラをシバき倒し、ご褒美をもらった。

なんか多かったな、二人で分けても40万だった。

もしかしてコイツ、相性良かっただけで結構厄介だったな……?

 

「ちなみに紅ヶ咲くんは何にご褒美使ってるの」

「電子書籍と課金」

「ありきたりね」

「山本は?」

「将来のための投資」

「そういうとこだぞ」

 

どういうとこよ。

お金は良いわよ、あればあるほど何も怖くないのだから。

 

「多分俺らの年齢だとそういうコトは考えないと思うんだ」

「そうかしら」

「そうだよ」

 

まあ、そういうコトにしておこう。




・スマホ型変身デバイス
サ●バーパ●ク2077が動くレベルのハイスペックスマホであることが判明したデバイス。
更に全プラットフォーム対応であることも判明したデバイス。
なんならサーバー機としても動かせる。
アローズは生粋のゲーマーなのでスペックにうるさい。
それはそれとして「ソフトは自分で買いな!ご褒美あげてるでしょ!!」と譲らない。

・山本 柳
割と結構なクソボケ。
ツラが良くて成績優秀でスタイルも良い。
ということは自覚してはいるが周囲からの感情に疎い。
ろくすっぽコミュニケーションを取ってこなかった弊害である。
だいたい幼少期のディスコミュニケーションを引きずってる。
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