深夜の魔法少女アニメを履修してるタイプのマスコット(超善良)が来た   作:蓋然性生存戦略

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第五話:ヴァルプルギス

『そう言えばなのですが』

「なに?」

 

放課後。

いつも通りの巡回。

今日は紅ヶ咲とは別行動。

そんなおり、アローズから切り出される。

 

『いつもいつも漫然と狩りをしてもつまらないと思いまして』

「今度は何よ」

『イベントを開催したいと思います!!』

「これってゲームだったっけ?」

 

アローズの仕事の負担を軽減するために作られたシステムじゃなかったっけ?

ねえ、目的と手段がごっちゃになってない?

 

『まあ仮の試みというか。期間限定でアクセスできる討伐TA闘技場みたいなの作ろうかなって思って。うまく行くなら年に4回くらい開催する見込みです』

「まーたアローズはそうやって競争心を煽る」

『ま、これでヒエラルキーとかが生まれちゃうようだったら考えるけど。どちらかと言えば交流戦になってくれると嬉しいなあって』

 

希望的観測が過ぎない?

というかやろうかなって言いだしたときには9割がた完成してるでしょ、アナタ。

 

『まあね~~。でまあ、なんでこんなこと話したかって言うと、テストプレイしてほしいんだよね』

「へぇ?」

 

テストプレイねえ。

ホントにゲーム開発感覚でやってない?ねえ?

 

『未だデス0のヤナギちゃんにしか任せられないんだよ~~』

「この前デスったけど?」

『アレはノーカン!ボクの不手際!!』

「はいはい。でも、私だってCランクまでしか討伐したこと無いんだけど?」

『大丈夫!Cランクの単独討伐記録はまだヤナギちゃんだけだから!』

「それはそれでどうなの?」

 

というか、紅ヶ咲はどうなんだ。

 

『彼はねえ……まあ連れてってもいいんだけどさ』

「なに」

『彼、自覚してないけど、全攻撃に防御・耐性・概念貫通が乗ってるから参考にならないんだよね』

「おい」

 

てことはアレか?この前のドラゴンにも攻撃が通ったかもしれないと?

 

『うん……』

 

なんだアイツ。

なんなんだアイツ!!

もうアイツ1人で良いんじゃないかな!!

 

『というわけで先行プレイしてほしいわけなんだよ。どう?』

「まあいいけど。今日やった方がいい?」

『まあASAP(なるはや)かな』

「はいはい。2時間くらいしかできないけどそれでもいい?」

『Sure!』

 

というわけで少女テストプレイ中。

戦闘のログとか記載するの苦手なのよね、実は。

 

「いやぁ、良いデータが取れたよ!!ヤナギちゃんは御使の中でもトップオブトップだからさぁ!!」

 

GからCまでの《魔獣》を一通り討伐。

たぶん私も強くなってるのだと思う、Cランクの討伐も中々早くなってきた。

いや、でもCランクでショゴス出すのは良くないと思うんだよね。

結局火力で焼き斬るしかなかった。

 

「紅ヶ咲は?」

「彼はまだ未完成だから」

「私もなんだが?」

「始●でそれだけ戦えればいったん十分でしょ。というか元ネタの卍●されたらそれこそAランクまでは瞬殺されそうというか」

「困るの?」

「助かり過ぎて困る」

「どっちよ」

 

まあ、助かるというのなら励むが。

 

「まあでも、そろそろBランクの土俵に足突っ込み始めたんじゃない?強化形態(ば●かい)も使わないでCランク倒せるようになってるし」

「そうね」

「ちょっとやってく?」

「やめとくわ。そろそろ時間だもの」

「あー、そっか。残念だ。まあ、データは取れたから十分十分。ありがとね」

「どういたしまして。イベントはいつから?」

「11月中旬くらいかなあ。乞うご期待!」

 

まあ、楽しみにしておこう。

それに、多分この形式(イベント)にも彼女なりの利があるのだろう。

そう思っておく。

 

「まあ、多分イベント開始までは特に何もないと思うので~~」

「ん?」

「キングク●ムゾン!!」

「あ、ちょ、おい!!」

 

時がすっ飛ばされていく!!

 

 

 

――11月。

 

 

 

『いやぁ、寒くなってきたねえ。イベントの時期だねえ!!』

「メタ発言をして時間をすっ飛ばしたアローズ被告、なにか言い訳は?」

『ありません!!』

 

げんこつ。

 

『前が見えねえ』

 

よし。

さて、それはさておき。

授業もつつがなく終わり、体育祭とかいうクソイベントも特に描写せずに済んだのでヨシとしよう。

嫌いなんだよね、体育祭。

くそくらえ、しね。

 

よし、話題変えよう。

 

「で、イベントだけど」

『ヴァルプルギスフェスティバル!予定通り年4回、闘技場で《魔獣》大放出期間!闘技場でのデスに限り、再起時間は不要!バトルで狩って狩って狩りまくって、ご褒美大量獲得!!』

「レートは?」

『まあ、何度でもすぐ狩れる都合上、いつもよりレートは低いよ。その代わり制限なくすぐ連戦できる』

「なるほどね」

『とはいえ、デスった分だけ闘技場を出る最終清算の時にマイナス査定だけどね』

「魔力がどうたらこうたらって奴?」

『そ。地球管理運用コストの都合上ね……こんなことできる予算が下りてるだけまだマシなんだけど』

「世知辛いね」

『ね~』

 

そういえば、告知はもう出てるのだろうか。

 

『告知はもう出したよ。問い合わせが殺到してるねえ!!嬉しい悲鳴だねえ!!』

「闘技場って他の御使もいるのよね?」

『そうだね。流石に個人ロビーチャンネルまで用意する余裕はなかったからね。申し訳ないけど』

「別に構わないわよ。中では変身状態のまま?」

『おう!変身しないとそもそも入れない』

「なるほどね。身バレ対策もバッチリと」

『そゆこと』

 

なら参加するか。

何より、家からアクセスできるというのが良い。

夜中もできるわけだ。

まあ、きちんと寝るんだが。

 

「お、山本」

「紅ヶ咲くん。学校で話しかけて来るなんて珍しいわね」

「イベント告知見たか?」

「見たも何も、テストプレイしたのは私だから」

「マジか。アローズ、なんで俺には声かけなかったんだよ」

『キミはちょっと参考にならない部分が多くてね、ごめんね』

「マジで!?ちょっと気になるんだが」

『まあそこはキミ自身で追々気付いてもらって』

 

彼も告知に気付いたらしい。

話がしたいという雰囲気だ。

 

「バディ組むか?」

「多分1人で連戦したほうが効率良いわよ?」

「つってもCを2人で連戦するのも結構いい線行ってると思うが」

「Cはムラが激しいのよね……最低50の最大100だから」

『そうだね。Bからは最低200万を保証してるけど』

「ランキング見るに、Cランクを安定してあの速度で狩れるのは俺達だけっぽいからな。レートもいつもより低いって言うし、やるならCからだと思うんだが」

「まあ、それはね……Dは最大30万、イベントレートなら10万ってとこね」

『そこは各自の判断に任せるよ』

 

うーん……。

ま、組みましょうか。

 

「やりましょうか」

「よし来た。頼むぜ相棒」

「はいはい、頼むね相棒」

 

そうして、私たちはバディを組むことになった。

 

 

 

の、だが。

 

 

 

「アローズ。御使名が頭上に表記される仕様は聞いてないんだけど」

『交流になって欲しいって言ったじゃん?』

「言ってたけど」

『それに、そのぉ……前々から《焔塵卿》と《シャドウフィスト》の事は問い合わせが殺到してたのでェ……闘技場の様子もちょくちょく中継される仕様にしたのでぇ……』

「分かった、分かったから泣きそうな顔しないで頂戴」

 

注目の的であった。

死●装を纏った私と、紅いマフラーのヒーロースーツに身を包んだ《シャドウフィスト》。

まあ、注目されるのは分かっていた。

さらに注目されているだけで。

 

『さて、開会式が始まる、静かにね』

「というわけで、少年少女諸君!!ヴァルプルギスフェスティバルへようこそ!!こまけえことは言わない!長話もする気はない!!皆、ご褒美が欲しいかーーーー!!」

「「「「ほしーーーい!!」」」」

「ならば狩れ!!狩って狩って狩りつくせ!!本イベントでは通常よりご褒美レートが低い分、連戦が可能だ!!そして、狩猟速度を競うTAランキング、討伐スコアを競うスコアランキングも存在する!!競い合い、高め合い、存分に交流してくれることを祈る!!では、解散!!」

「「「「「のりこめーーーーー!!」」」」」

 

はい。

というわけで迷わずCランクゲートに入場。

サクサク行きますよー。

 

第一戦、ショゴス。

焼いた。

第二戦、ミノタウロス。

ボコボコに殴った。

第三戦、ケンタウロス。

焔の壁で囲ってボコボコに殴った。

第四戦、ゴブリンキング。

臭かったので汚物は消毒した。

第五戦、巨大アリ。

サンダー!!することはなくシバいた。

第六戦、アラクネ。

とりあえず焼けばいいのでは?焼いた。

第七「ストオオオオップ!!」

 

「なに」

「《焔塵卿》と《シャドウフィスト》で、あってますよね?」

「そうだけど」

「なんでCランクをそんなに連戦できるんですか?!魔力量どうなってるんですか!?」

「いや、その前にあんた誰」

 

《シャドウフィスト》と一緒にC連戦していたら、七回目の入場の前に声をかけられた。

如何にも魔法少女なフリフリとした姿である。

 

「あ、すみません。私は《スターアライズ》って言います。普段はチームで《魔獣》討伐をしているんですが」

「へー。私は《焔塵卿》。最近はコイツとバディ。コイツが来るまでソロだったけど」

「俺は《シャドウフィスト》。御使になってからまだ一か月くらいだ」

「へ……?じゃ、じゃあ、バディになる前はずっとおひとりで討伐を……?」

「うん」

「ど、どうりで……異常な魔力量はそういうことだったんですね……」

「?」

 

なんか1人で納得されてる。

何?

 

『疑問を捉えてジャジャジャジャーン!!説明しよう!!御使は《魔獣》を倒せば倒すほど魔力的に成長するぞ!!討伐時の人数が少なければ少ないほど成長率は高いぞ!!』

「へー」

 

そうなんだ。

なんか朱緋町には私と引っ越してきた《シャドウフィスト》しかいないから知らんかったわ。

 

『ちなみに魔力持ちの子の比率は20人に1人くらいだね!!』

 

結構いるな。

クラスに1~2人はいる計算か。

それならまあ、場所によっては4人くらいのチームとか組んだりしてるのかな。

 

『あと《焔塵卿》の地元のポップ率が高いってのもあるね。なーんかなにをどう調整してもあそこだけ湧きが以上に多いんだよねえ……』

「1人で高頻度出現区域を討伐してたらそうなりますね……いえ、ありがとうございました。ランキング1位なのも納得です」

『これで疑問には答えられた形になるのかニャ?というわけで、以降はあんまりお問い合わせフォーラムに個人の事を聞いたりするのは控えて欲しいニャー』

「分かりました。以後気を付けます」

 

ふぅん。

ま、いっか。

次行きましょ。

 

「あ、あの」

「何?」

「あとで戦いのアドバイスとかいただけないでしょうか。近々引っ越すことになっていて、今のチームとは離れ離れになってしまうので、1人でも戦えるようにしないとなんです」

「……私は別に良いけど」

「相棒が良いなら構わないぜ」

『そういうことなら、カフェの個室で観戦できるようにしておくぜ!!ウェイトアモーメン!!』

 

相変わらず仕事が早い。

ではまあ、《スターアライズ》さんの戦いでも見ておきましょうか。




・ヴァルプルギスフェスティバル
アローズが思い付きで「討伐スコアを競うイベントにすれば《魔獣(バグ)》処理速度も上がるのでは?と開催することが決まったもの。
魔力とか補填の関係で一体辺りのご褒美レートが下がっているが、連戦が可能。
デスったらご褒美ポイントが引かれるのをちゃんと記載しているのでちゃんと倒せる所だけを狙わせているので収支はプラマイゼロ。
開催コストが馬鹿にならないので常時とはいかない。
それでも年4回にしたのはアローズの苦労の賜物。
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