深夜の魔法少女アニメを履修してるタイプのマスコット(超善良)が来た 作:蓋然性生存戦略
『前から子のこの能力思ってたんだけどさ』
「ええ、奇遇ね」
「俺もたぶん同じこと思ったわ」
《スターアライズ》さんの戦いを見て、私たちは同じことを思った。
「「『スターアライズってそういうことォ!?』」」
ピンクを基調とした衣装に、数々の能力を切り替えて戦う戦法。
極めつけは手にしたアイテムを参照して能力を切り替えるところ。
吸い込みじゃないだけコンプラさんが機能したか。
『これもう星の戦士じゃんね!呆れるくらい平和な星のピンク玉じゃんね!!』
「これ弱い要素なくないか?」
「なんでこんなに弱いか分からないわね……」
なにか代償でもあるのだろうか。
某ピンク玉をモチーフとした能力なら、単独でEまでしか倒せないなんてことはならないはずだが。
デウスエクスマキナとも言うべきギャラクティックなアレを倒せる存在なのに。
『あーん、一個一個の能力のスペックが低いねー。これは勿体無い』
「魔力量の問題?」
『じゃないかなー。ちょっと大器晩成が過ぎるかも。ちょっとテコ入れしなきゃだけど……ん?本体から通信?あ、なに、そゆこと?じゃあいいか』
「なに?」
『個人情報保護の観点から今は話せませーん』
「はいはい。で、どうすればいいのかしらね、あれ」
「いったんハンマーに絞ってやらせてみるか?Dまでだったらそれで行けるだろ」
「ハンマーの元を常に握ることになるけど」
「そこはまあ、なあ……」
能力の基礎スペックが低くて中々思うようにいかないらしい。
多様な能力の代償というべきか。
一個一個が弱いらしいね。
どうしたものか。
このタイプは育成が難しいのよね。
「パワーレベリングしたほうがよくね?」
「というかこれ今まで何人チームでどの頻度でやってたのよ、そこが問題じゃない?」
『一応言っておくと朱緋町がポップ率おかしいだけだからね?』
「とは言っても、ソロでEランクにここまで苦戦するってなるとなあ」
「Eランクとか頑張ればなり立てでもソロ行けるでしょ?」
『細かい統計は取ってないからアレだけど、案外初手Eランクは少ないね。特にソロは』
「そんなもんか」
で、どうするかなんだけど。
普通に火力が足りてないのよね。
ハンマー握っても膂力が足りない。
剣を握っても以下同文。
現象系の能力を使いたいところだけど、火は危なくて持ち歩けないし。
扇風機で風ならと思ったけど、そよ風じゃ意味ないし。
やはり石か?ロックなのか?
現実的に考えてロックが一番良さそう。
「石や岩で何とかならないかしら」
「電池握ってスパークとか無理なのかな」
「試してみる価値はありそう」
『試行錯誤し甲斐のある能力ではあるねえ』
まあ、倒し終わったようだし、フィードバックしに行きましょうか。
「まず基礎能力不足」
「はい……」
「端的過ぎるって!」
「あと扱う能力も考えないといけないわね」
「ハンマーとか扱いにくそうだったしなあ」
「でも、アレくらいしか攻撃の手札が無くて……」
「え?その能力ならいくらでも攻撃力出せると思うけど」
「え?」
「え?」
……もしかしてこの子カ●ビィを知らない!?
「星のカ●ビィって知ってる?」
「知りません」
「嘘でしょ」
「この時代偉大なるサークライによって生み出された星の戦士を知らないことある?」
『悲劇だ!これは悲劇だ!!今すぐゲームをしよう!!』
「え、え?えぇ!?私の能力を知ってるんですか!?」
むしろ元ネタの大先輩だよ!!
いやしかしマジか。
大英雄カ●ビィを知らない子が今時いるなんて。
『これはボクの奢りだ、ぜひプレイしてほしい』
あ、コピー能力があるカ●ビィシリーズインストールした。
おい、それでいいのか。
(今購入してギフトした)
ちゃんと線引きしてる……。
「まあ、動き自体は悪くなかったと思うぜ」
「言うようになったじゃない、相棒」
「そりゃ一か月みっちり鍛えてもらったからな」
「まあでもできることはたくさんあるから。例えば――
――少女説明中
「おk?」
「は、はひ……」
「《焔塵卿》、詰め込み過ぎじゃね?」
「そう?」
「オーバーヒートしてんじゃん、どう見ても」
「ま、メモもあるから渡しておくわ。私もそろそろ時間だし、一旦戻る」
「オッケー。俺もそろそろか。じゃ、またな」
《スターアライズ》さんに気になったことのメモを渡し、その場は解散。
ひとまず初日は良かったと思おう。
さて、家に帰ろう。
時刻は18時。
余裕を持って出て来たのだ、母さんはまだ帰ってきていないはz「コイツか」へ?
『ギニャァ!?」
「アローズ!?」
アローズが実体化して地面に叩き伏せられる。
え、ちょ、どういうこと!?
「柳。一体どこの誰と変な契約を結んだのかしら。お母さん、教えてくれないと怒るわよ」
「へ……?母さん!?なんで?!」
「ご、ご母堂!?ぐぇっ!!」
まだ帰ってこないはずじゃ……!?
「半年くらい前から変なのが憑いてると思ってね。予定の調整に手間取ったけど、まあ不意打ちできたからよしとしましょうか。で、これ何?」
まさか最初から気付かれてた……!?
見逃されてたってコト!?
アローズが岩盤されてるけど……まあ大丈夫か。
アローズだし。
「あービックリした!ヤナギちゃんのお母さんか!よかったぁ、不埒な奴じゃなくて」
「……完全に不意打ちでダメージを与えたと思ったんだけどね」
「一応これでも地球の管理者やってるんで、押し付けられたとはいえ」
ほらね。
いつの間にか別の場所にいる。
「チッ、神格の中でも一等高い位の奴じゃないか……最近日本でだけ増えてる気配もアンタの仕業かしら」
「ありゃ?ボクが把握してないだけで魔力は昔からあったのか……?うーん、でも魔力反応は最近なんだけどなあ……そうなると魔力的なアレコレって既に界隈では認知されてる?そこの前提が異なるとマズいな……あぁ……家に帰る予定がどんどん遠ざかる……」
あ、アローズの背にどんどん雨雲が……。
これは完璧に落ち込んだ時のアローズだ。
こうなるとしばらくは戻ってこない。
「……柳、説明」
「本人……本神曰く、管理を押し付けられた地球のバグとか不具合を直してるらしくって、その量がとんでもないから私とか魔力を持ってる子供に、安全な範囲で仕事を割譲してるんだけど」
「……対価はちゃんともらってるんだろうね」
「ちゃんともらってるよ。将来のための貯金や投資って形で」
「……そう。ひとまずは良いでしょう。で?そこの自称管理者。いつまでも落ち込んでないで説明してほしいんだけど?」
「グスッ……こちら契約内容と福利厚生とこれまでの活動ログです……」
「……ご丁寧にどうも」
母さんが差し出されたそれを読み進めていく。
次第に目つきが険しくなっていくが……。
「アローズって言ったっけ?」
「はい……」
「アンタ馬鹿なの?」
「グスッ……」
「母さん?」
「やろうと思えばいくらでも悪辣な条件整えて尖兵に出来ただろうに、それをしないとかお人よしにもほどがあるよ。そもそもご褒美って奴豪華すぎやしないかい?なんで最低ラインがswi●ch2なのさ。もっと低くていいよ、これだけ安全に気を使ってる上に自主性に任せてるんだから」
「でも子供には笑っていてほしいし報われて欲しいじゃないですか……」
「難易度と安全性を考えればこれの2割でも十分報われてるよ!!……柳。お母さん、この神様のことが心配になって来た」
「分かる」
なんかね、ちょくちょく無理してそうなのがね。
「いいかい神様。そんな気安く対価を与えちゃだめでしょうが。奇跡ってのはタダじゃないんだよ、分かってるんだろうそこは。身を削って人間に施したって、人間はその分を返しちゃくれないよ、分かってんの?」
「グスッ……大丈夫れす……管理コストはちゃんと支給されてるし……ボクが削ってるのは妻との時間くらいです……」
「これだけ安全に気を使って不和が起きないように調整してと働き詰めで何も削ってないことないでしょうが!!」
「でもこれがボクの仕事なので……」
「問答無用!!柳、手伝いなさい!!」
「あ、はい」
その後、温かいご飯をアローズに振舞うことになり、色々とあった。
ボロボロと泣いて愚痴を吐き始めたアローズ。
酒でも飲みな!!と飲み会が始まる我が家。
飲み潰れて眠ってしまったアローズ。
いつの間にか現れた長身の美女がアローズを連れて帰ったり。
残された私と母さんは、片付けもそこそこに晩酌をしていた。
勿論私はソフトドリンク。
「あんた、良い神様と出会ったわね」
「うん」
「あの神様でよかったわ、ホント。あんなに心砕いてくれる神様も今時珍しいわよ」
「そうなんだ」
「そういう神様は、とっくの昔にだいたい滅んじゃったからね」
つまり。
昔からこういう超常的な現象は、あったのだ。
「ま、言うてもうほぼ無いけどね。今じゃ魔力持ちは20人に1人くらいで、それも大したことない。妖怪悪魔の類も出てこない。用済みの存在なのよ、魔力とかって」
とは言え、今ではほぼ無いようだが。
アローズが必要だから稼働しているだけなのだ。
「じゃあ、あんまり心配しなくてもいい?」
「そうね。あの変身もフィールドの内部に入った時限定のモノっぽいし。外国の介入もあまり心配しなくても良さそうかしら」
「じゃあ、安心してバイトができるね」
「貯蓄じゃなくて趣味に使いなさい。せっかくなんだから」
「私はお母さんを楽にしてあげたいのデース」
「気持ちだけで十分よ。出会いは大切に使いなさい。出会いもまた奇跡のひとつ。ただで食い潰すんじゃないよ」
「はぁい」
まあでも。
もう1000万円くらい、投資にぶち込んじゃってるんだけどね。
数年後には宝の山のはず。
めいびー。
「ああ、そうだ。仕事の同僚が子供と一緒にこっちに引っ越してくるのよ。仲良くしてあげて」
「ん。分かった」
また転校生か。
誰が来るのやら。
・山本母
本名、山本 紅葉。
職業:陰陽師(!?)
妖怪とかを拳で潰すストロングスタイル。
Dランクくらいまでなら生身で潰せる。
魔力とかは用済みとか言いながら裏の仕事でしっかり魔力関連のことやってる。
実は最近防諜で忙しくて家に帰れていない。
だいたいアローズのせい。