CLANNAD ~Sequel of After Story~ 作:gachamuk
何も生まれない、何も始まらない、そんな終わってしまった世界。
ここにはかつて、一人の少女がいた。
少女は、この世界になぜか散らばっているガラクタを集め、一体の人形を作り出した。そしてその人形に、一つの魂が宿り、その日から少女は一人ではなくなった。
少女と人形は、いろんなことを語り、ガラクタを集めては他の人形を作ってみたり(結局魂が宿ることはなく、人形は埋葬されたが)、少女と人形が楽しく遊べるように様々な遊具を作ったりした。
人形は楽しかった。毎日少女といろんなことをするのが。だが、そんな楽しい日々も長くは続かなかった。
終わってしまった世界の空を、徐々にどんよりとした灰色の雲が覆い始めた。それにあわせるように、気温は徐々に下がっていき、やがて冬が訪れた。
その冬の訪れは、徐々に少女の身体を蝕んでいった。
人形は考えた。彼女を助けるにはどうしたらいいのか。そして思い付いたのは、彼がかつていた、遠い過去あるいは遠い未来の世界。
そこに少女を連れていけば、少女は助かるのではないだろうか。あの優しく暖かな場所に行けば。そう思った人形は、少女に提案し、一人と一体で空を飛ぶ乗り物を作り始めた。
人形が終わってしまった世界に落ちているガラクタを拾い集めてきて、少女がそれを組み立てていく。そんな日々が続いた。
だけど、少女の身体が蝕まれていくにつれて、少女の活動時間がどんどん短くなり、作業は遅々として進まず、その結果、とうとう彼らがいる場所にまで雪が降り始めた。
このままでは彼女が完全に動けなくなってしまう。そう思った人形は決意した。少女を連れて、歩いてこの世界から脱出することを。そして、少女と人形は旅立った。終わってしまった世界の出口へと向けて。
それからどれくらい歩いたのか、雪はいつの間にかたくさん降り積もり、とうとう少女は雪の中に倒れ込んで動けなくなってしまった。
「ごめんね……」
そう謝る少女を背負って、人形は歩き続けた。ゆっくり、ゆっくり、一歩ずつ。
しかし、あまり進まぬうちに、人形も雪に足を取られて倒れ込んでしまう。
力なく空を見上げながら、人形は思った。
――あとどれくらい歩けば、この世界から出られるのだろう
そんな時、少女が人形に言った。自分はもうすぐ人ではなくなり、世界そのものになる。だから、君はこの世界から出ていかなくてはいけない。ありがとう。
そして、少女は口ずさんだ。少女が好きな歌を。同時に、人形にとってとても大切な人が大好きだった歌を。
――だんご♪ だんご♪ だんご♪
その時、それまで終わった世界を覆っていた雲の隙間から光が差し込み、強烈な突風が人形をバラバラに破壊する。
人形は身体を破壊されながら、少女が最後につぶやいた言葉を聞いた。
――ばいばい。パパ……
そこで人形の意識は途絶え、彼らの長い、長い旅は終わった。否、本来は終わるはずだった。
だが、人形は最後の最後で心残りができてしまった。
人形は少女に伝えたかったのだ。少女と一緒に過ごせて楽しかった。この世界に産まれることができてよかったと。
しかし、その手段はもうない。人形は元の魂だけの状態に戻り、世界から消えつつある。
そればかりか、少女はこの終わってしまった世界そのものになってしまった。
だから、人形は思った。彼女に伝えることのできる人を探そう。探して、お願いしよう。彼女に伝えてほしいと。
こうして、世界から消えた人形の魂は、新たなる世界へと旅立っていった。