恋雪にTS転生したので、猗窩座を救いたい人生だった   作:自分の性癖に素直になろう小説

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第十二話 恋雪式健康術・反転術式

 

 ――最近、体調のいい日が増えた。

 

 体感でわかる。朝起きて、いつもならまず肺の奥に鉛でも詰まっているような重さを確認してから一日を始めるのに、ここ最近はその工程を一つ飛ばせる日がある。地味にでかい進歩だ。

 

(これ、いけるんじゃないか……?)

 

 前世で社畜として摂取したありとあらゆる健康情報が、今こそ役に立つ時だと俺の中で騒ぎ出す。筋トレ系Youtuber、意識高い系の同僚、深夜のテレビショッピング。断片的な知識の寄せ集めだが、贅沢は言っていられない。使える駒は全部使う。

 

 そう決意した朝、俺は庭先で薪割りをしている狛治(はくじ)さんを見つけて、勢い込んで切り出した。

 

「狛治(はくじ)さん、聞いてください。イオンって、体にいいらしいですよ」

 

 狛治(はくじ)さんは薪を割る手を止め、律儀にこちらを振り向いた。至って真面目な顔で。

 

「……なんですか、それ……?」

 

 来た。

 

 想定より早く来た。当然だ、江戸時代に「イオン」で通じるわけがない。わかっていたはずなのに、いざ真顔で聞き返されると、想像以上にダメージがでかい。

 

「えっと……その、汗をかいたときに一緒に出ていく、あれです。塩分とか、そういう……あれ、マイナスイオンだっけ……?」

 

 自分の声が尻すぼみになっていくのが、自分でもわかる。electron。違う、それは電子だ。イオンは電子じゃない。陽イオン陰イオン、Na+、K+……いや待て、それを説明したところでこの時代には周期表がない。周期表どころか「原子」の概念からして怪しい。

 

(まずい。説明できる気がしない)

 

「あの、要するに、体に必要な……成分、というか……空気というか……」

 

 我ながら情けない着地点だった。前世でCMだけは何百回と見た単語のくせに、いざ中身を聞かれると解像度が粗末すぎる。恋雪(こゆき)の顔は困り顔を作っているが、腹の中の俺は「これ完全に知ったかぶりのやつだ」と冷や汗をかいている。

 

 狛治(はくじ)さんは特に疑う様子もなく、むしろ心配そうに眉を寄せた。

 

「恋雪(こゆき)さんがそう言うなら、そうなんでしょう。……それで、そのイオンとやらは、どこで採れるんですか?」

 

 聞かれて、俺は固まった。

 

 どこで摂れるか。それは――スポーツドリンクだ。あるいは経口補水液だ。どちらもこの時代には存在しない。井戸水にはたぶん入っていない。入っていたとしても俺には計測手段がない。

 

「……えっと、それは、追々調べます」

 

 情けない。あまりにも情けない敗走だった。

 

 狛治(はくじ)さんは「そうですか。わかったらいつでも言ってください。俺が採ってきますんで」とさらっと当たり前のように請け負って、また薪割りに戻っていった。信じてくれるのはありがたいが、その信頼を勘違い方向にしか使えていない自分が悔しい。

 

(いや、まだだ。次がある)

 

 俺はまだ諦めていなかった。健康法の引き出しはイオンだけではない。むしろ、もっと確実な手応えのある案が、俺の中にはあったのだ。

 

 そう、呼吸法である。

 

 

 

 

 イオン作戦が撃沈した翌日、俺は布団の上で正座ならぬ――結跏趺坐(けっかふざ)――一言でいうなら、究極のあぐらである。そして、俺はそれっぽく脚を組んで座っていた。

 

(呼吸だ。呼吸こそが全てを解決する)

 

 前世の知識が導き出した結論はシンプルだった。『ジョジョ』の波紋の呼吸法。あれは全身の血流を活性化させ、超常の力すら引き出すという設定だったはずだ。そして『鬼滅(きめつ)の刃』の呼吸も、根底にあるのは同じ「呼吸で肉体を強化する」という理屈。つまり両者は理論的に極めて相性がいい。それに、同じジャンプ作品だし。俺はそう結論づけていた。今にして思えば、どちらも創作の中の話だという最重要の前提を、都合よく忘れていた気がする。

 

 目を閉じ、丹田(だと思っている辺り)に意識を集中させる。吸って、止めて、吐く。吸って――

 

 視線を感じて薄目を開けると、水を汲みに行く途中らしい狛治(はくじ)さんが、廊下でこちらを見て固まっていた。

 

「………」

 

(あ、見られた)

 

 狛治(はくじ)さんは無言のまま、じっとこちらを見ている。一度、目をこすった。二度目、首を傾げながらもう一度見る。三度目、もはや隠す気もなく真正面から凝視してくる。その顔には「これは一体何の儀式なのか」という困惑が、これ以上ないほど正直に浮かんでいた。

 

(そうだよな、傍から見たら意味不明だよな)

 

 昼間、部屋の真ん中で座禅を組む病弱美少女(両手の指は逆さのOKサインような謎の印(チン・ムドラー)付き)。だが恥ずかしがっている場合ではない。ここで止まったら健康改革は頓挫する。俺は狛治(はくじ)さんの視線を振り切るように、あえて目を閉じ直した。

 

「……恋雪(こゆき)さん、大丈夫ですか?」

 

「大丈夫です、これは、その、修行の一種というか……深呼吸、です」

 

 自分で言っておいて説得力のなさに泣きそうになった。狛治(はくじ)さんは半信半疑ながらも「なら、いいんですが」と引き下がってくれる。優しさが逆に突き刺さる。

 

 俺は仕切り直しとばかりに、大きく息を吸い込んだ。腹の底から、肺の隅々まで空気を送り込むイメージで――

 

 その瞬間、喉の奥が引きつった。

 

「――っ、げほっ、げほっ!」

 

 急激な深呼吸は、健康な肺のための呼吸法であって、日頃から発作と隣り合わせの俺の肺には明らかに過負荷だった。当たり前だ。冷静に考えればわかることを、俺は謎の熱意で盛大に見落としていた。

 

「恋雪(こゆき)さん!?」

 

 狛治(はくじ)さんが弾かれたように駆け寄ってきて、背中を優しく、けれど的確にさすってくれる。手のひらの温かさと動きの安定感に、いつもなら安心する余裕すらあるのに、今は咳で目に涙が滲んでそれどころではない。

 

「げほっ……ぉぅ、かく……」

 

「え?」

 

「横隔膜に……刺激が……足りなかったです……」

 

 咳の合間に絞り出した敗北宣言は、きっと意味不明だった。ぱぱうぱうぱう……。

 

 狛治(はくじ)さんは本気で心配した顔のまま、「よく、わかりませんが、無理はしないでください」と背中をさすり続けてくれた。その真剣さが、こちらの奇行との落差でますます居た堪れなくなる。

 

(俺、いま完全に「変な発作を起こした不思議ちゃん」だ……)

 

 

 

 

 呼吸法での敗北から数日、俺はもう少し穏当な方向に舵を切ることにした。

 

 まずは水分補給だ。前世の記憶によれば、こまめな水分摂取は健康の基本中の基本。俺は井戸端で、これでもかというほど水を飲んだ。一杯、二杯、三杯――

 

「……なんか、寒い」

 

 飲みすぎた井戸水が体の芯から冷えを連れてきて、その日の夜は普段より体調を崩し、父さんに「お前、何やってんだ」と呆れられた。水分は大事だが、限度がある。江戸の井戸水は現代の常温の水とは違う。当たり前のことに、俺はまた一つ気づかされた。

 

 

 

 

 

 そしてもう一つ。

 

「ちゃーんちゃんちゃっちゃっちゃ、ちゃ-んちゃ-んちゃちゃ……」

 

 傍か見たら謎の柔軟体操である。前世の記憶にうっすら残っていたラジオ体操を口ずさみながら、病弱なりに腕を回し、体を伸ばす。曲名も歌詞も正確には思い出せないが、なんとなくのリズムと動きだけは体が覚えていた。

 

 部屋で少しやって力尽きていたのを、稽古の合間に通りかかった父さんが足を止めた。

 

「……恋雪(こゆき)、それは何だ」

 

「体操です。体を解すやつです」

 

 説明になっていない説明をしながら、ゆっくりと続けていると、父さんは腕組みをしてしばらく観察していた。やがて、感心したように唸る。

 

「……お前、それ、案外理に適ってるな。肩から回して、腰、それから足か。動きの順番が」

 

「……そ、そうですか?」

 

 自分でも適当にやっていただけに、まさか褒められるとは思わず面食らった。父さんは翌日から、稽古前の準備運動に恋雪(こゆき)発案の「謎体操」の一部を取り入れ始め、狛治(はくじ)さんが「師範、これは一体何の型なんですか」と困惑する羽目になったのだが――それはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 イオン、謎呼吸、謎体操――一連の空回りを経て、俺はようやく一つの結論にたどり着いた。

 

(派手なことじゃなくていいんだ)

 

 前世の俺は、何かを変えようとするとき、いつも大技を狙いたがる癖があった。一気に痩せる、一気に稼ぐ、一気に人生を変える。大抵は続かず、そのたびに自己嫌悪だけが積み上がった。社畜時代の悪い癖が、こんなところにまで顔を出していたらしい。

 

 だから今度は、地味な方でいくことにした。

 

 しんどい時は、我慢せずすぐ横になる。苦しい時は、苦しいと言う。薬は、飲み忘れない。

 

 言葉にすればそれだけのことだ。拍子抜けするくらい、地味だ。

 

「……恋雪(こゆき)、また寝るのか」

 

 昼餉の後、縁側でうとうとし始めた俺に、稽古の合間らしい父さんが声をかけてきた。少し前までの俺なら、「大丈夫です」と強がって、結局夕方に体調を崩していたと思う。今日はそうしなかった。

 

「はい。ちょっと眠いので、寝ます」

 

 素直にそう答えると、父さんは一瞬意外そうな顔をしたが、すぐに「そうか」とだけ言って、稽古に戻っていった。それだけのやり取り。でも、無理をしなかった分、夕方まで持ち直せた気がする。

 

 薬湯も、以前は「うっ、苦い……もう少し我慢すれば平気」と先延ばしにして、結局忘れることがあった。今は時刻が来たら、飲む。ただそれだけを守る。苦いのは変わらないが、飲み終えたあとの「よし、やった」という妙な達成感だけは、地味ながら悪くない。

 

 その積み重ねが、どうやら周りにも伝わり始めているらしいと気づいたのは、食事の場だった。

 

「……恋雪(こゆき)さん、今日はよく食べますね」

 

 狛治(はくじ)さんがふと漏らした一言に、俺は箸を止める。言われてみれば、確かに茶碗の減りがいつもより早い。体調がいいと、食も進む。当たり前のことなのに、狛治(はくじ)さんの声にはどこか安堵の色が滲んでいて、俺はそれに気づかないふりをして「そうですか?」と誤魔化した。

 

 稽古の見学も、以前は少し見ているだけで息が上がって、すぐ横にならなければならなかった。今は縁側に座ったまま、父さんと狛治(はくじ)さんの組手を最後まで見届けられる日が増えた。

 

「――そこ、腰が高い!」

 

 父さんの一喝に、狛治(はくじ)さんが「うっす」と体勢を立て直す。見慣れたやり取り。だが今日は、そのやり取りを笑って見ていられる時間が、前よりも少しだけ長い。

 

「恋雪(こゆき)さんが、今日はずっと笑ってますね」

 

 組手の合間、狛治(はくじ)さんがそう言った。何気ない口調だったが、俺は内心でぎくりとする。

 

(そんなにわかりやすかったか、俺)

 

「そう、ですか? 自分では、よくわからないですけど」

 

 しれっと、かわしたつもりだったが、狛治(はくじ)さんは満足げに頷いただけだった。深追いしてこないところが、狛治(はくじ)さんらしいと言えばらしい。

 

 発作の回数も、前より確実に減っている。以前は三日に一度は必ず来ていた息苦しさが、今は五日、六日と間が空くこともある。数字にすれば些細な変化かもしれないが、俺にとっては十分すぎる前進だった。

 

 派手な魔法みたいな解決策なんて、結局どこにもなかった。

 

 あるのはただ、無理をしない日々を積み重ねること。それだけだった。それでも――笑っていられる時間が、少しずつ長くなっている。

 

 その事実だけは、確かに俺の中に積もっていった。

 

 

 

 

 

 

 夜が更けて、道場の物音も絶えた頃。俺は布団の中で、なかなか寝つけずにいた。

 

 体調がいい。ここ最近、それを実感する夜が増えた。発作の間隔は前よりずっと開いて、こうして布団の中で今日の出来事を反芻するだけの余裕がある夜さえある。

 

(このままいけば……本当に、変えられるのか?)

 

 柄にもなく、そんな希望が胸の奥で疼く。母の死を止められなかった記憶が、まだ古傷のようにじくじくと痛むからこそ、今度こそはという願いは大きい。健康になって、発作で寝込む日が減って、そうすればきっと――狛治(はくじ)さんが鬼にならずに済む未来だって、あり得るんじゃないか。

 

 そこまで考えて、すぐに別の声が胸の奥から這い上がってくる。

 

(でも――本当に、そうか?)

 

 俺の知る"原作"は、そんな甘い希望を何度も裏切ってきた。母は入水した。あの時、俺がどれだけ足掻いても、結局は母さんが川に向かうのを止められなかった。物語は、俺という異物を飲み込んでなお、驚くほど頑なに元の形へと戻ろうとする。

 

 猗窩座(あかざ)。

 

 頭の中で、その名前が輪郭を持つ。技を極めた鬼。記憶を失い、守る者を失って尚、強さを求めた男。上弦(じょうげん)の参。柱を何人も屠り、最後には炭治郎たちと戦い、自らの罪と共に静かに消えていく――その結末を、俺は嫌というほど知っている。

 

(狛治(はくじ)さんが、ああなる)

 

 想像するだけで、腹の底が冷える。優しくて不器用で、わたしの世話を焼くことに全力を注いでいるあの人が、いずれ人を殺すことでしか自分の価値を証明できなくなる。原作という巨大な流れの前では、今この瞬間の穏やかさなんて、あまりに脆く儚いものに思える。

 

(俺が今、こうして呑気に「イオンがー」とか言ってる間にも、時間は進んでる)

 

 自嘲めいた笑いが漏れかけて、しかしすぐに萎む。冗談で誤魔化すには、今夜はどうにも心が重かった。

 

 ――ふと、別の影がよぎる。

 

 玄真(げんま)のことだ。

 

 原作知識通りなら、玄真(げんま)はいずれ井戸に毒を投げ込む。そして、慶蔵(けいぞう)と恋雪(こゆき)を殺す。俺の中の"知識"は、そう告げている。

 

 だが。

 

(あいつ、そこまでやるか……?)

 

 幼い頃から見てきた玄真(げんま)の顔が浮かぶ。乱暴で、自信過剰で、素直になれない不器用な奴。それでも、それほどまでに殺意を溜め込んでいる人間だったろうか。

 

(――もう一年半、会ってない、な)

 

 あの道場戦以来だ。玄武(げんぶ)道場が誓約を守っているのか、それとも単に接点がないだけなのか。噂すら、最近はほとんど耳に入ってこない。

 

 わからない。原作の玄真(げんま)と、俺が知っているこの世界の玄真(げんま)が、本当に同じ結末を迎えるのか。俺が確信を持って言えるのは、ただ「原作ではそうなった」という、色褪せかけた記憶だけだ。

 

(結局、俺は何も知らない)

 

 その事実が、希望よりも重く胸にのしかかる。健康になっても、玄真(げんま)の心が読めても、俺には未来を確かめる術がない。ただ祈るように、今日という日を積み重ねることしかできない。

 

 布団の中で、俺は静かに目を閉じた。

 

 母の声も、猗窩座(あかざ)の未来も、玄真(げんま)のことも――全部、頭の隅で渦を巻いたまま、答えの出ないまま夜だけが更けていく。

 

 その時だった。

 

 ふと、鼻先を微かな香りがかすめた。

 

 

 

 

 香りは、最初はごくかすかなものだった。

 

 花とも薬草とも違う、どこか涼やかで、それでいて甘さの底に仄暗いものを潜ませた匂い。嗅いだことがあるはずなのに、うまく言葉にできない。その香りが強くなるにつれて、俺は妙な違和感に気づいた。

 

 静かすぎる。

 

 いつもなら、この時刻でも庭のどこかで虫が鳴いている。時折、獣の遠い鳴き声が風に乗って届くこともある。それが、今夜はまるごと消えていた。息を潜めるように、世界そのものが音を手放している。

 

(……この感じ)

 

 覚えがある。以前、夜道で倒れた俺を助けてくれた、あの夜と同じだ。

 

 瞼が、急に重くなった。抗う間もなく、自然と目が閉じていく。まるで誰かに「眠れ」と促されているような、逆らいようのない眠気。

 

 そして、次に瞼を開けたとき。

 

 枕元に、人が立っていた。

 

 足音も、衣擦れの音も、何一つ聞こえなかったのに。まるで最初からそこにいたかのような、あまりに自然な佇まいで。

 

 黒髪が、闇の中でもなお艶やかに流れ落ちている。白い肌は月明りの弱い光の下でほとんど発光しているように見えて、それでいて血の気を感じさせない静けさを纏っていた。唇の隙間から覗く、わずかに鋭い牙。そして何より、俺の目を捉えて離さないのは、あの双眸だった。

 

 時を止めたような、美しさ。

 

 老いも、疲れも、この人からは一切感じ取れない。何百年経とうと、きっとこの姿のまま在り続けるのだろうという確信めいた予感が、恐怖よりも先に胸を満たす。人間だった頃の面影を色濃く残しながら、しかしどこまでも人ではない存在。その矛盾が、恐ろしいほど美しい形で一つの姿に結晶していた。

 

(ああ、やっぱり)

 

 俺の中で、驚きよりも先に、そんな言葉が浮かんだ。

 

 あの夜以来だ。再会できるとは思っていたが、まさかこんな不意打ちの形になるとは。心臓が、静寂の中でやけに大きく脈打つのがわかる。

 

「……珠世(たまよ)、さん」

 

 声を絞り出すと、珠世(たまよ)は小さく、それでいてどこか観察するような目でこちらを見下ろした。感情の読めない、それでいて確かに何かを気にかけている――そんな視線。

 

「久しぶりですね。恋雪(こゆき)」

 

 囁くような声が、静寂に溶けて消えた。

 

 

 

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