恋雪にTS転生したので、猗窩座を救いたい人生だった   作:自分の性癖に素直になろう小説

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第十三話 静かな夜に鬼と語り合う

 

 珠世(たまよ)は恋雪(こゆき)の頬に触れ、瞼を軽く押し開いて瞳の奥を覗き込んだ。それから手首を取り、脈を測る仕草。一連の動作に迷いがなく、まるで見えているものを読み上げるように淡々としている。

 

 ふと、その指先が、ほんの一瞬だけ止まった。

 

(……前に診た時とは、まるで違う)

 

 ――以前助けた時の恋雪(こゆき)の呼吸はもっと浅く、頼りなかった。珠世(たまよ)はかつて、同じように頼りない呼吸をする者たちを、何人も看取ってきた。助けを求める間もなく消えていった、その最期の呼吸に。だからこそ、恋雪(こゆき)の変化は珠世(たまよ)にとって意外なほどの驚きだった。

 

 

 

 ***

 

「……珠世(たまよ)さん?」

 

「――いいえ、何でもありません」

 

 珠世(たまよ)はすぐに、いつもの淡々とした所作に戻る。だが今の一瞬、何かを思い出すような、ひどく遠い目をしていた気がした。俺の知らない、俺には踏み込めない何かに触れたような。

 

「……思った以上に、良くなっていますね」

 

 呟くような声に、俺は息を詰めた。

 

「肺の音も、前より随分と楽になっています。顔色もいい。このまま無理をせず、体を労わり続ければ――」

 

 珠世(たまよ)さんは手を離し、俺の顔をまっすぐに見据えた。

 

「あなたは人のまま、生きていけます」

 

 その言葉には、確かな優しさが滲んでいた。俺のために言ってくれているのだと、痛いほどわかる。鬼になるという選択がどれほどの代償を伴うか、それを一番よく知っているのは、この人自身のはずだから。

 

「わざわざ、外れた道を選ぶ必要はありません。人として――生きることを、選んだ方がいい」

 

(……そうだ、それが一番いいに決まってる)

 

 わかっている。頭では、痛いほどわかっている。それでも俺は、首を横に振らずにはいられなかった。

 

「……人のままじゃ、届かない場所があるんです」

 

「届かない?」

 

「もし、この世界が――俺の知っている通りに進むなら」

 

 言葉を選びながら、慎重に口を開く。ここで下手を打てば、ただの妄言としか思われない。原作という言葉は使えない。だから、俺は自分なりの理屈を組み立てた。

 

「弱いままじゃ、大事なものを守れない未来が来るかもしれない。人には、限界があります。どれだけ強い覚悟を持っていても、体一つじゃ届かない力ってものが、確かにあるんです。どうしようもないことは、いくらでもこの世界に転がっている……!」

 

 珠世(たまよ)さんの瞳が、微かに揺れた。図星を突いたのだと、直感でわかる。

 

「あなたは、何を知っているというの」

 

「――俺は、ただの勘です。でも、確信に近い勘です。近い将来、何か大きな災いが来る。それに、今の力じゃ誰も抗えない。俺は、それをどうしても変えたい」

 

「大きな災い、ね」

 

 珠世(たまよ)さんの声に、わずかな険が混じった。

 

「具体的に、何を恐れているんですか」

 

 質問の圧に、俺は言葉に詰まった。曖昧なまま押し通そうとしても、この人には通じない。焦りが、口を軽くする。

 

「……鬼を統べる、頂点の存在です。全ての元凶で、この国の裏で、何百年も――」

 

 言いながら、自分の口が勝手に動いていくのを止められなかった。

 

「――鬼舞辻(きぶつじ)無惨(むざん)、が」

 

 言った瞬間、空気が変わった。

 

 珠世(たまよ)さんの表情から、それまでの穏やかさが消える。静かな双眸の奥に、燃えるような警戒が灯った。

 

「――今、なんと」

 

「あ……」

 

 しまった、と思った時にはもう遅い。喉から零れ出た言葉は、取り消せない。珠世(たまよ)さんが一歩、俺との距離を詰める。声は静かなままだったが、その静けさが逆に恐ろしかった。

 

「なぜ、あなたがその名前を知っている」

 

 答えられない。答えれば、余計に深みに嵌る。俺は口を閉ざしたまま、珠世(たまよ)さんの視線を受け止めることしかできなかった。

 

 沈黙が、痛いほど長く感じられる。

 

 珠世(たまよ)さんは俺の目を、探るように見つめ続けていた。この子は何者なのか、どこまで知っているのか――そう問うような視線に、俺はただ耐えるしかない。

 

(言えない。言えるわけがない)

 

 未来を知っている人間なんて、誰が信じるだろうか。信じたとして、それはそれで恐ろしい。俺は必死に言葉を探した。理屈でも、言い訳でもいい。何か、この空気を変えるものを。

 

「……珠世(たまよ)さん」

 

 震えそうになる声を、無理やり奮い立たせる。

 

「詳しいことは、言えません。でも、これだけは本当です。俺は、何も知らないまま失うのが、もう嫌なんです。母を失った時みたいに、何もできずに終わるのは――もう、御免です」

 

 珠世(たまよ)さんの視線が、微かに揺れた。母、という言葉に何かを感じ取ったのかもしれない。俺はその隙を逃さず、腹の底から声を絞り出した。

 

「未来を変えたい! 自分を変えたいんです!」

 

 静寂の中に、その叫びだけが響いた。夜気が震えるような、大きな声だった。自分でも驚くほどの熱量が、喉の奥から溢れていた。

 

 珠世(たまよ)さんは、しばらく何も言わなかった。

 

 ただ、俺の目を――正確には、俺の瞳の奥にある何かを、じっと見つめていた。

 

 

 

 

 ***

 

 

(この目は――)

 

 珠世(たまよ)の胸の内に、言葉にならない感慨が過ぎる。無惨(むざん)への憎しみ。もう何百年も、自分の内側を焦がし続けているその感情には、確かに強い力がある。恨みは人を動かす。だが、恨みだけを燃料にした瞳は、どこか昏く、澱んでいくものだ。

 

 目の前の少女の瞳には、その澱みがなかった。

 

 恐怖に震えながらも、まっすぐにこちらを見据えてくる、真っ直ぐな光。憎しみからではなく、何かを守りたいという一心から生まれた強さ。それは、珠世(たまよ)自身がとうに失ってしまった――あるいは、最初から持ち得なかった種類の輝きだった。

 

「……あなた」

 

 珠世(たまよ)は静かに呟いた。それ以上の言葉は続かず、ただ、恋雪(こゆき)の瞳の奥を見つめ続ける。

 

 

 

 沈黙が、二人の間に横たわっていた。

 

 珠世(たまよ)はまだ、恋雪(こゆき)の瞳から視線を外せずにいた。憎しみではなく、何か別のものに突き動かされているこの光は、一体どこから来るのか。その答えを探るように記憶を辿るうち、ふと、脳裏に一つの情報が浮かび上がった。

 

 ――数年前、この土地の周辺で、水辺にまつわる不可解な死が続いたという話。人でなくなった自分が持つ感覚と、方々に張り巡らせた細い情報網が、微かにその気配を捉えていた。鬼の仕業と思しき死。時期も、場所も――目の前の少女の母の死と、あまりに近い。

 

(まさか)

 

 確証はない。ただの推測に過ぎない。それでも、一度浮かんだ疑念は、珠世(たまよ)の胸の奥で不穏に疼いた。

 

「……あなたのお母さんは」

 

 無意識に、言葉が口をついて出た。しかし、そこから先が続かない。何を根拠に、何を伝えられるというのか。確たる証拠もないまま、ただの推測で少女の傷口を抉るような真似は、できるはずもなかった。珠世(たまよ)は唇を結び、言いかけた言葉を静かに飲み込んだ。

 

 ――代わりに、少女の方が動いた。

 

 恋雪(こゆき)が、布団を撥ね除けるようにして体を起こす。本来なら、こんな急な動作は体に障る。それでも構わず、恋雪(こゆき)は珠世(たまよ)の手を、両手でしっかりと握りしめた。

 

「お願いします」

 

 震える声だった。それでも、そこに込められた意志だけは、少しも揺らいでいなかった。

 

「お願いします。わたしは……俺は」

 

 言葉が、一人称のまま崩れる。取り繕う余裕も、今の恋雪(こゆき)にはなかった。

 

「大好きな人たちを、守りたいんです!」

 

 その叫びは、静まり返った夜気を震わせ、そのまま珠世(たまよ)の胸の奥深くへと突き刺さった。

 

 珠世(たまよ)は、握られた手のひらの熱を感じながら、少女を――いや、この目の前の存在を、改めて見つめ直した。誰かを守りたいという願い。それは、珠世(たまよ)が数百年前に失った、ごくありふれた、けれどかけがえのない感情だった。

 

「その人のこと」

 

 珠世(たまよ)の声は、どこまでも静かだった。

 

「愛しているのですね」

 

 その一言に、恋雪(こゆき)の頬が、瞬時に熱を持った。

 

 脳裏をよぎったのは、ただ一人の顔だった。不器用に世話を焼いてくれる、その人の横顔。焼き魚の身を黙って取り分けてくれる、大きな手。花を一輪、恋雪(こゆき)のために摘んできてくれた、あの日の照れくさそうな笑み。

 

(いや、違う。そういうのじゃなくて――)

 

 慌てて打ち消そうとする内心とは裏腹に、赤らんだ頬は雄弁だった。珠世(たまよ)の目には、それが何よりも明確な答えに映った。

 

 珠世(たまよ)は、静かに目を閉じた。

 

 

 

 

(あの呼吸が、ここまで確かなものになるなんて)

 

 先ほど診た時に覚えた驚きが、静かに胸の奥で蘇る。生きようとする意志だけで、命はそう容易く繋ぎ止められるものではない。それを、珠世(たまよ)は何度も思い知らされてきた。それでもこの子は、こうして息をしている。しかも、誰かを守るために。

 

 瞼の裏に浮かぶのは、遠い記憶。かつて自分にもあった、同じような温もり。夫の腕、幼い我が子の重み。そして、それら全てを容赦なく奪い去った、あの男の哄笑。

 

 無惨(むざん)への憎しみは、今も消えることなく珠世(たまよ)の中で燃え続けている。それは決して間違った感情ではない。だが、憎しみだけでは、何も守れなかった。守れなかったからこそ、珠世(たまよ)は今もこうして、人であることも鬼であることも中途半端なまま、夜を彷徨っている。

 

 目の前の少女は、違う。

 

 憎しみの先に、守りたいものがある。恐れの先に、愛しいものがある。その順序の違いが、あるいは――何かを変える鍵になるのかもしれない。

 

 珠世(たまよ)は、ゆっくりと瞼を開けた。

 

「……もう少しだけ、待っていて」

 

 その声には、先ほどまでとは違う、静かな決意のようなものが滲んでいた。

 

 珠世(たまよ)は握られたままの手を、そっと優しく握り返した。冷たいはずのその手のひらに、恋雪(こゆき)は不思議と安堵を覚える。

 

「今、作っているものがあります」

 

 静かな声が、夜気に溶けていく。

 

「人の死を、超えるための薬」

 

 恋雪(こゆき)は息を呑んだ。人の死を超える――その言葉が意味するところを、頭の中で必死に処理しようとする。だが珠世(たまよ)の表情に浮かんでいたのは、希望よりも、むしろ重く沈んだ慎重さだった。

 

「言っておくけれど、期待するようなものではありません」

 

 珠世(たまよ)は視線を落とし、まるで自分自身に言い聞かせるように続けた。

 

「成功する見込みは、限りなく低い。本来なら、数十年……いいえ、本当は百年以上の歳月をかけて、少しずつ確かめていくべきものなの。今はまだ、その途中にすぎません。人に使えるような段階には、程遠い」

 

 言葉の一つ一つに、珠世(たまよ)が背負ってきた時間の重みが滲んでいた。何十年、何百年と積み重ねてきた試行錯誤。その果てにようやく見えてきた、細く頼りない一筋の糸。それがどれほど脆いものか、誰よりも珠世(たまよ)自身が理解している。

 

 恋雪(こゆき)は、握られた手に力を込めた。何か言葉を返したかった。けれど、迂闊な言葉が今この均衡を崩してしまう気がして、ただ黙って珠世(たまよ)の目を見つめ返すことしかできなかった。

 

 珠世(たまよ)は、その視線を受け止めたまま、静かに続けた。

 

「だから、使うときは――」

 

 そこから先の言葉は、静寂に沈む夜の中に溶けていった。

 

 珠世(たまよ)の唇が動き、声にならないほど低く紡がれるいくつかの言葉。恋雪(こゆき)は、それを一言一句聞き逃すまいと、握った手に力を込めて耳を傾けていた。

 

 夜は静かに更け、二人の対話は、誰にも知られぬまま闇の底に沈んでいく。

 

 

 

 

 

 翌朝。

 

 差し込む朝日に、恋雪(こゆき)は緩やかに目を覚ました。

 

 布団の中、体は昨夜と変わらず横たわったままだった。枕元には、誰の姿もない。あの香の名残すら、もうどこにも感じられなかった。まるで最初から、そんな夜など存在しなかったかのように。

 

 けれど、恋雪(こゆき)の意識ははっきりとしていた。

 

(忘れない)

 

 昨夜、珠世(たまよ)と交わした言葉の一つ一つを、恋雪(こゆき)は指先でなぞるように反芻する。試作薬のこと、成功率の低さのこと、そして最後に告げられた、あの注意事項。細部まで、決して忘れてはいけない。そう自分に強く言い聞かせる。

 

(珠世(たまよ)さんに言われたこと、絶対に忘れない)

 

 胸の中で、静かにそう誓う。

 

 ふと、体の軽さに気づいた。

 

 昨夜、あれだけ長く起きて話し込んだのだから、本来なら朝には気怠さが残っているはずだ。それなのに、今朝の体は驚くほど軽い。息を吸っても、いつものような引っかかりがない。深夜のあの一時間が、まるで嘘のようだった。

 

(やっぱり、夢なんかじゃない)

 

 その証拠は、他でもなく手元にあった。

 

 枕元に、小さな包みが置かれている。中を確かめるまでもなく、それが何かは分かっていた。珠世(たまよ)から託された、恋雪(こゆき)の為に作られた人としての治療薬。この存在こそが、昨夜のやり取りが幻でも夢でもなかった、何よりも確かな証だった。

 

 恋雪(こゆき)はその包みをそっと握りしめ、しばらくその重みを確かめてから、静かに枕元に戻した。

 

 立ち上がり、障子に手をかける。

 

 そっと開けると、朝日が眩しく差し込んできた。思わず目を細める。眩しさに慣れない目の奥で、昨夜の静寂と、この朝の光とが、どこか不思議な対比を描いていた。

 

 

 

 

 

 しばらく朝日を見ていると、恋雪(こゆき)の耳に、珍しく間延びした足音が近づいてきた。

 

「……おはよう、ございます」

 

 欠伸混じりに現れたのは、狛治(はくじ)だった。いつもなら誰よりも早く起き、井戸端で水を浴びているはずの狛治(はくじ)が、寝癖を残したまま縁側に姿を見せている。

 

「狛治(はくじ)さん、珍しいですね。寝坊なんて」

 

「面目ないです。なんだか、昨日は妙に深く眠ってしまって……」

 

 そう言いながら頭を掻く狛治(はくじ)の顔を、恋雪(こゆき)はまじまじと見つめた。寝坊自体は珍しいが、狛治(はくじ)の寝癖がかわいく跳ねているのが気になって仕方がなかった。

 

「恋雪(こゆき)さん、なにかいいことありましたか?」

 

 不意打ちの問いに、思わず狛治(はくじ)の寝癖の付いた頭に手を伸ばそうとした瞬間、止まった。

 

「――え?」

 

「なんとなく、ですけど。今朝の恋雪(こゆき)さん、顔色がいつもよりずっといいので」

 

 見抜かれている。恋雪(こゆき)は内心で舌を巻きながら、表情だけは平静を装った。

 

「ううん、何も。ただ、ちょっといい夢を見れただけです」

 

 夢。そう口にした瞬間、自分でもその言葉の白々しさに苦笑しそうになる。あれは夢などではなかった。枕元に残された薬の包みが、何よりの証拠だ。それでも今は、そう誤魔化しておくのが一番いい。

 

 狛治(はくじ)は「そうですか」と素直に頷いたあと、ふと何かを思い出したように視線を宙に泳がせた。

 

「そういえば、俺も何か夢を見ていた気がします」

 

「狛治(はくじ)さんも?」

 

「はい。……変な夢だったので、あまりよく覚えてはいないんですが」

 

 狛治(はくじ)は記憶を辿るように、少し眉を寄せた。

 

「摩訶不思議な、大きなお城かお屋敷みたいなところで。恋雪(こゆき)さんと、久しぶりに会った夢でした」

 

「久しぶりって」

 

 恋雪(こゆき)は思わず噴き出しそうになる。

 

「久しぶりって、昨日ぶりですよ。毎日この家で顔を合わせてるじゃないですか」

 

 軽い調子で突っ込みを入れると、狛治(はくじ)は困ったように笑った。

 

「俺も、そう思ったんですけど……夢の中だと、なぜか、そんな感じがしなかったんです。恋雪(こゆき)さんや、師範にも」

 

 そこで、狛治(はくじ)の声が、少しだけ低くなった。

 

「百年以上も、会えなかった。そんな、不思議な気持ちになりました」

 

 ――百年。

 

 その一言が、恋雪(こゆき)の中の何かに触れた。

 

 頭の奥で、一枚の光景が勝手に像を結んでいく。歪んだ城の廊下。幾重にも重なる障子。そこで再会する、二人の姿。原作の、あの場面。無限城。何百年もの時を経て、ようやく巡り会う、猗窩座(あかざ)と――

 

「それって……」

 

 声が、掠れて途切れた。心臓が、嫌な速さで脈打っている。狛治(はくじ)は、何も知らないはずだ。原作のことも、無限城のことも。それなのに、なぜ今、そんな夢を。

 

 狛治(はくじ)は、恋雪(こゆき)の様子に気づかず、ただ首を傾げていた。

 

「恋雪(こゆき)さん?」

 

 呼びかけられて、恋雪(こゆき)は我に返る。喉元まで出かかった言葉を、慌てて飲み込んだ。

 

「……ううん、なんでもないです」

 

 無理に笑みを作り、恋雪(こゆき)は視線を庭へと戻す。

 

(まさか、ね)

 

 心の中で、自分に言い聞かせるように繰り返す。ただの偶然だ。狛治(はくじ)が見た夢に、深い意味なんてあるはずがない。そう思おうとするのに、胸の奥にわずかに残る違和感だけは、どうしても拭いきれなかった。

 

 朝の光が、静かに二人を照らしていた。

 

 

 

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