DS 〈デジタライズ・ストラトス〉リ・デジタイズVer.   作:LAST ALLIANCE

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皆様。大変長らくお待たせいたしました。
お久し振りです。LAST ALLIANCEです。

デジモン×ISのクロスオーバー小説のリブート版がようやく完成しました。
凍結した前作とはかなり作風が変わりました。

よろしければ最後までチェックしてみて下さい。




第1話 引き継がれた遺志とズレた学園

 とある世界。その何処かの家で1つの別れが起ころうとしていた。部屋の中央に布団が敷かれ、そこに1人の青年が寝かされていた。彼の表情は力が無く、今にも眠りそうな程だった。

 その青年を囲うように両親や知り合い、更にはこの世の者ではない、明らかに異形としか言えない生物達がいた。全員悲しそうな顔を浮かべ、中にはこれから訪れる事を予見しているのか、泣き出している者もいた。

 

「ホメオスタシス様。一真殿は、我が主君は……」

 

「もう……手遅れです。貴方の『電脳核(デジコア) 』が脳を侵食し、後少しで八神一真と言う人間の人格が消失しようとしているところまで来ています」

 

「どうしようも……出来ないんですか?」

 

「はい……残念ながら……私の力でも、もう何も出来ません」

 

 枕元に座っている一体の聖騎士。彼は必死な表情を浮かべていた。一真と呼んでいる青年を、主君として仕えている目の前の人物を助ける術はもうないのか、もうどうにも出来ないのかを隣にいる女性に訴える。

 聖騎士の隣にいる女性―ホメオスタシス。聖騎士のもう1人の主君でもある神様は、俯きながら聖騎士の問いに答える事しか出来なかった。

 その答えに聖騎士は項垂れるしかなかった。頭では分かっていた。自分の主君はもう長くはないと。一緒に生きる未来はないと。それでも。それでも何か希望があると信じたかった。それももう潰えた。

 

「なぁ……オメガモン。それに皆……頼むからそんな悲しい顔しないでよ……」

 

「しかし……」

 

「世の中ね、どうにもならない事だってあるんだからさ……」

 

 物悲しい雰囲気に包まれている部屋。その雰囲気に耐えかねたのか、一真は自分の隣にいる聖騎士―オメガモンと、周りにいる面々に呼びかけた。

 その呼びかけを聞いても物悲しい雰囲気は消えない。何故なら後少しで一真と言う人間の命の灯が消えようとしているのだから。一真はもう少しでこの世からいなくなる。その事実を知っているからこそ、誰もが悲しい表情を浮かべている。

 自分を取り囲んでいる面々の表情を見た一真は激しい頭痛を感じながらも、精一杯穏やかな表情を浮かべる。それがせめてもの最後に出来る事だと思って

 

―――なぁ皆笑ってくれよ。でないと心残りをしたまま僕はいなくなってしまう。それだけは絶対に嫌なんだ……

 

 八神一真。彼は普通の人生を送っている何処にでもいる青年だったが、とある日にディアボロモンの襲撃を受けて重傷を負い、そのまま命を落とす運命だった。

 しかし、彼はオメガモンと融合して一体化する事で一命を取り止め、ディアボロモンを倒す事に成功した。

 その翌日。彼は人間界における電脳現象(=デジモンが関係している出来事)を調査し、解決する国家組織、“電脳現象調査保安局”にスカウトされた。その日からデジモン達との闘いの日々に身を投じる事となった。

 一真が最初に挑んだのは “デジクオーツ”事件。突如として人間界とデジタルワールドの狭間に出来たのは、“デジクオーツ”と呼ばれる異世界。

そこに迷い込んだデジモン達の大半は人間の負の感情、例を挙げるなら心の闇や欲望を使って自らの力を増幅させた。人間界で様々な事件が起きては一真とその仲間達はその都度解決していった。

 迎えた最終決戦。全員の力とオメガモンの活躍によって、“デジクオーツ”を造り出した全ての黒幕―クオーツモンを倒して“デジクオーツ”事件は解決された。

 しかし、オメガモンの特殊能力を使った代償として、一真の身体と精神が“デジモン化”してしまった。

 次に挑んだ“世界樹大戦”。デジタルワールドの神、イグドラシル。2つある人格の1つ、マキ・イグドラシルがデジモン達の殺戮を『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』に命じた事が全ての始まりだった。

 彼女は『NEOプロジェクト・アーク』と言う計画の遂行を推し進めていた。デジタルワールドにいるデジモン達を殺戮しつつ、人間界を崩壊させる。その上で人間界とデジタルワールドを統合し、自分が管理する新世界を作る。それが『NEOプロジェクト・アーク』。

 それを阻止する為に、人間界とデジタルワールドを守る為に、オメガモン達はイグドラシルと彼女の配下たる『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』と戦った。

 『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』を激戦で悉く打ち破り、迎えた最終決戦。イグドラシル、もといマキ・イグドラシルは古の時代に “千年邪神”と呼ばれているミレニアモンと一体化している事が明らかになった。

 最終的にミレニアモンとなったイグドラシルと戦って勝利し、彼女を説得した事で戦いは終わった。こうしてデジタルワールドに平和を取り戻すと共に、オメガモン達は再び人間界を救った。

 しかし、その代償は大きかった。度重なるオメガモンの特殊能力の使用により、一真の人格と精神が完全に消え失せる事が確定したからだ。神の力と謳われる程の強大な力が聖騎士にとって大切な物を奪う結果となった。その時間が刻一刻と近付いていた。

 

「オメガモン……大丈夫か?」

 

「一真殿……?」

 

「最後だから、遺言を残すよ。今までありがとう。君がいなければ僕はとうの昔に死んでいたし、色んな人やデジモン達に出会う事もなかった。本当に感謝しているよ……」

 

 最後の時が近付いている事に気付いた一真。彼はオメガモンに感謝を伝える。オメガモンがくれた命が、何時の間にか自分に多くの物をもたらした。

 一真とオメガモンが紡いだ絆は本物であり、彼らが歩んだ道もまた本物だ。共にいた時間は僅かだったが、そこには確かな絆があった。

 

「オメガモン。これから言う事は君にとって呪いになるかもしれない。それでも聞いて欲しい。僕がいなくなったら、この体は君に明け渡すんだからね」

 

「分かった。どんな命令でも私は遂行する」

 

「1つ。君は僕の分まで幸せになれ。僕が死んだから、自分が殺したからと言って幸せになってはいけないと考えるんじゃないよ。僕の両親を悲しませるような事だけは絶対にするな。結婚するかどうかは任せるけど……とにかくこれからは八神一真として生きる事になるから、必ず幸せになるんだよ」

 

 一真からオメガモンに遺言が伝えられる。1つ目は必ず幸せになる事。彼は見抜いていた。聖騎士が自分の命を奪った事への自責から、自分は幸せになってはならないという強迫観念に囚われる事を。

 短い間だったが、オメガモンと共に生きて来たからこそ、彼の性格や行動パターンが予測出来た。

その可能性の1つを潰す為に、自分の分まで幸せになる事を命令として下した。両親を悲しませる事はしないように。自分の体を明け渡し、人間として生きる為の心構えを間接的に伝えた。

 

「1つ。この世界で人間として、デジモンとして生きろ。出来れば僕が叶えられなかった理想を叶えて欲しい。人間とデジモンが共存できる世界の実現を……」

 

「か、一真殿!?」

 

 言葉を言い終わろうとした時、一真の表情が苦しみに悶えた。それを見たオメガモンは彼の顔を覗き込む。ついにその瞬間が訪れた。その事実に誰もが打ちのめされた。

 

「ごめん、オメガモン。時間だ。今までありがとう。また会おうね……さよならは絶対に言わないから」

 

「一真殿……一真殿!」

 

 オメガモンに自分の願いと理想を託しながら今までの感謝を述べると、一真は目を閉じた。それと共に右手がゆっくりと地面に落ちた。安らかな表情を浮かべながら、八神一真は息を引き取った。

 その隣で悲しみに打ち震え、声も無く静かに涙を流すオメガモン。その様子にホメオスタシスも貰い泣きをしてしまう。

 人間界とデジタルワールド。途中でデジモンになったとしても、自分の命を燃やして2つの世界を救った英雄―八神一真。彼らは多くの仲間と両親に看取られ、この世から去っていった。

 

 

 

 

 

 それから10年後の月日が流れた。10年の月日は世界を変えるには十分過ぎる長さだった。その間に何故か女性にしか動かせない多機能型飛行用パワード・スーツーインフィニット・ストラトスことISが出現したからだ。

 世界各国で男女の社会的な立場の見直しが議論されるようになった世の中。IS操縦者育成用の特殊国立高等学校のIS学園。その1年3組の教室で、1人の少年は何処か居心地が悪そうにしながら考え事に耽っていた。

 

(いや~僕も今日からIS学園の生徒か……でもまさか僕が世界で2人目の男性操縦者になるなんて……)

 

 彼の名前は御宅正義(おたくまさよし)。オタク正義とも読めるふざけたような名前を持った彼には秘密がある。それは『転生者』である事。それだけ聞けば二次創作で良く見かける設定に思えるだろう。

 しかし、彼はただの『転生者』ではない。と言うのも原作アニメの知識を持っているだけの一般人だからだ。神様特典やチート能力がなく、ステータスも低めの部類に入る。

 前世の彼の人生を一言で言うなら“悲惨”。これに尽きる。両親はギャンブル依存症でネグレクトは当たり前。まともな愛情も食事も与えられなかった。それでも彼は腐らずにめげなかった。

 

―――親を恨む暇や世間への憎しみがあるなら今を精一杯生きろ。誰も自分を助けないと言うのなら、自分で自分を助けるしかない。

 

 中学生になった彼は寝る間も惜しんで勉強に励んで高校に進学。高校入学後、新聞配達とアルバイトでお金を貯め、自分の力で学費と食費を稼いで高校卒業。そのまま就職する道を選び、実家を出て一人暮らしを始めた。

 しかし、そんな彼に現実と言う雨は冷たく降り注いだ。彼が就職活動を行っていた当時、世間は就職氷河期。不景気の直撃を受ける中、必死で掴み取った内定先は俗に言うブラック企業だった。

 そこで歯を食いしばって辛い毎日を耐え凌ぐも、不景気の煽りを受けて企業は倒産。その後ももう1度就職活動に励み、再び何とか内定先が決まって再就職に成功したものの、そこはブラック企業。

 サービス残業と不当解雇が当たり前でまかり通る理不尽を具現化したような場所だったものの、どれだけ理不尽に叩きのめされても、同僚や後輩の面倒をよく見ながら自分から泥をかぶるような損な役回りを買って出ていた。

 そんな毎日を過ごしていれば、当然身体と精神は限界を迎える。

 仕事を終えた深夜の帰り道、彼は度重なる残業と無理な職務に過労死寸前の状態だった。青信号となった横断歩道を渡ろうとしていた時、飲酒運転かつ不注意で交差点に侵入してきたトラックから見知らぬ男性を体当たりで庇い、そのまま死を迎えた。その直後に救急車に運ばれ、病院に到着するも時既に遅し。

 

―――他人が見れば、悲惨で、ツイてなくて、損ばかりの人生だったと思うだろう。それで良い。そしてどういう訳か、僕はこの世界に生まれ落ちた。そこで初めて親の愛を知った。僕は絶対に失いたくない。その為に強くなりたい。例え無様だと笑われても良い。自分の力で泥臭く生きて、誰かを助けられる強さを手に入れてみせる。

 

 この世界の御宅正義はIS部品開発メーカー、『御宅工業』の跡取り息子として産まれ、世界で2人目の男性IS操縦者となった。

 『御宅工業』はISの本体その物ではなく、ISの装甲やハイパーセンサーに使われるような超精密な特注パーツを作っている技術系の中小企業。正義の両親はその社長と副社長。

 “御宅工業のパーツでないと、ISの反応速度が0.001秒遅れる”と国家代表クラスの実力者から謳われるくらいの高度な職人技術を誇り、IS業界では絶対と言える安心感と信頼が売りと言える。

 しかし、そんな『御宅工業』も数年前までは経営不振に陥っていた。理由は稀少金属や特殊素材といった原材料の相次ぐ価格高騰。それが『御宅工業』の経営に大きな影を落とし、経費を圧迫すると共に資金繰りの悪化に繋がっていた。

 その時現れた救世主は『更識重工㈱』。日本でも有数な大企業。当時から部品をコストカットしながら大量生産する事が得意だったのだが、精度面で後れを取っていた事が悩みだった。

 そんな時に『御宅工業』が開発する部品の精度の高さに目を付け、『御宅工業』の買収を目論んだ。話し合いの末に『御宅工業』の買収が決定すると共に子会社化させた。

 それ以来、『更識重工㈱』は世界有数の大企業となり、IS業界における巨人と言えるポジションとなったと同時に、『御宅工業』も以前より安価でより精度の高い部品を開発出来るようになった。この事例はIS業界でも珍しい、両者が共に得をしたと言うエピソードで有名だ。

 

(まぁ、やっぱりこの世界は僕が知っている原作世界じゃないな。第一、更識姉妹は社長令嬢だし、僕がいるクラスは1年3組だからね)

 

 1年3組には原作に登場するような人物は1人もいない。本来であれば、原作知識を持つ転生者は原作ではいるはずのキャラがいない、いないはずのキャラがいると言う異常事態は不安になるだろう。

 しかし、正義は前世の経験が経験な為、同年代に比べて大人びている。それに加え、元々この世界が原作世界とは違う事を見抜いていた。

 と言うのも、実家の『御宅工業』を買収した『更識重工㈱』の社長令嬢は更識刀奈・簪の姉妹。彼女達と初めて会った時、正義は確信した。この世界は原作世界とは違う、原作知識はあまり役に立たなくないと言う事を。

 本来であれば、更識刀奈こと楯無は裏工作を実行する暗部に対する対暗部用暗部の更識家の17代目当主。しかし、この世界には対暗部用暗部の存在は確認されていない。この時点で差異が発生している為、正義は現実を受け入れるしか選択肢が無かった。

 

「は~い、ホームルームを始めるから皆席について~!」

 

 それから少し経ち、教室のドアが開かれて1人の女性が入って来た。ビシッと決めたスーツにモデルのような美しさを誇る金髪の女性。

 号令を聞いた女子生徒達が素早く自分の席に付いた後、女性は教室を一回見渡してから口を開いた。

 

「皆、IS学園入学おめでとう。私はこのクラスの担任、スコール・ミューゼルよ。よろしくね」

 

『よろしくお願いします!』

 

(担任はスコール先生か……この世界に『亡国企業(ファントム・タスク)』は無いはず。……大丈夫だよね?)

 

 正義は1年3組の担任の先生がスコール・ミューゼルと言う事に驚きつつも、少しだけ不安を感じた。

 と言うのも、原作知識ではスコール・ミューゼルは『亡国企業(ファントム・タスク)』の実働部隊“モノクローム・アバター”を率いる幹部。

『亡国企業(ファントム・タスク)』は裏の世界で暗躍する秘密結社と言う設定になっているが、詳細があまり分からない事ばかりな為、正義はテロ組織みたいな物と解釈している。

 

「皆さん初めまして。御宅正義と言います。何でかはよく分かりませんが、ISを動かせたのでここに来ました。それ以外は普通の高校生です。どうぞよろしくお願いします」

 

 その後は自己紹介の時間となり、出席番号で早い方にいる正義に順番が回った。そこで無難な自己紹介をして出番は終了。

 その後も自己紹介が進み、最後は副担任のオータムが自己紹介をしてホームルームは終了となった。そのまま1時間目の授業となり、スコールの説明を聞きながら正義は状況を整理する事にした。

 

(これからどうしようかな? 正直一夏君やヒロイン達とは仲良くしたいけど、一番は平穏無事に過ごせる事だね)

 

 そもそも正義は“一夏から原作ヒロインを奪い、ハーレムを築く”と言う最低最悪な考え方を最初から抱いていない。むしろ、一夏や原作ヒロインと交流しながら平穏無事な学園生活を送りたいと言う、穏健派と言えるような考え方の持ち主だった。

 そもそも、神様特典で言う所の“束のようなチートな頭脳と千冬の身体能力”や、“超絶イケメンな容姿”、更には“最強無敵な専用機”が一切ない。そんな状態でどうしろと言われても困るレベルだ。

 

(それに、この世界は原作の出来事は同様に起きている。起きているんだけど微妙……いやかなり違うみたいなんだよな。となるとこれから先も同様に名前は同じでも、中身が違う場合が多々あるだろう。そんな時に僕が出来る事ってそんなに無いしな……)

 

 この世界でも原作であった出来事は起きている。しかし、中身がかなり異なっていて、それが正義を余計に混乱させる理由でもあった。

 例を出すなら『白騎士事件』。原作では日本に向けて一斉に数千発ものミサイルが発射されるも、その約半数をISこと“白騎士”によって迎撃したと言う内容になっている。

 しかし、この世界では『白騎士事件』は異なる展開となった。10年前に何者かが全ての軍事基地のコンピューターをハッキングし、数千発ものミサイルを日本に向けて一斉発射。それを世界各国の戦闘機や軍艦、オメガモン達デジモンによって全て迎撃して被害と死傷者をゼロにした物だった。

 “白騎士”はミサイル迎撃に協力するだけの活躍に止まり、この後で捕獲もしくは撃破しようと各国が送り込んだ大量の戦闘機や戦闘艦などの軍事兵器の大半を無力化するような事が無くなった。

 原作ではこの事件以降、ISとその驚異的な戦闘能力に関心が高まることとなったが、この世界では依然としてデジモンの脅威が去っていない事が明らかになり、世界各国で対デジモン用の兵器開発やデジモン達との連携が議論され、頻繁に軍事演習や合同演習が行われるようになった。

 

 

 

 

 

「其れでは授業に始めます……と言いたいんですけど、その前にクラス代表を決めてからにさせて下さい。クラス代表とは名の通り、クラスの顔になる大事な役職。再来週に行われるクラス対抗戦だったり、これから行われるイベントに出場する役職です。基本的には学級委員のような物と思って下さい。ちなみに一度就任したら余程の事がない限り、1年間は交代出来ません。自薦他薦は問いません。ただし自薦する者は相応の実力と覚悟がある人だけにして下さい」

 

 2時間目の授業。開始早々にスコールがクラス代表を決めると言い出した事で、入学早々正義の苦労が始まった。

 クラス代表と聞いて顔をしかめる正義だったが、世界で2人しかいない男性IS操縦者の片割れを女子生徒達が見逃すはずが無かった。

 

「はい!私は御宅君を推薦します!!」

 

「私も推薦します!!」

 

「いやいやいや! 僕より適任いるでしょ!? 皆、考え直して!」

 

「すみませんが正義君……他薦されたら基本辞退出来ないルールなんです……」

 

「それを先に言って下さい!」

 

 女子生徒達がこぞって正義を推薦した事で、正義は悲鳴を上げながら頭を抱える事しか出来ない。しかもスコールが援護射撃をしたせいで断るに断り切れない状況が出来上がってしまった。

 

「でしたら私が名乗り出ても良いでしょうか?」

 

「わ、私もです!」

 

 そこに2人の女子生徒が名乗りを上げた。1人は黒髪ロングで健康的なオリーブ肌、切れ長な目が特徴なスペイン人女性。もう1人は黒髪ストレートでタレ目、何処か自信なさげにしている韓国人女性。

 

「ナタリアさんにパクさんですね。代表候補生2人……ここは投票で決めましょうか」

 

(よ、良かった……これなら……)

 

「あ、忘れていた。ごめんなさい。やっぱり総当たり戦で決めましょう」

 

『ッ!?』

 

 名乗り出たスペイン人女性はナタリア・スアレス=ナバーロ。韓国人女性はパク・チェヨン。どちらも代表候補生。このままクラス投票で決まる流れになると思いきや、スコールは何かを思い出した。

 そのせいでクラス投票になるはずが、ISを用いた総当たり戦になりそうな雰囲気となった。

 

「実は……正義君の両親から休み時間に連絡がありました。来週の月曜日のお昼、正義君の専用機が到着する事になったとの事です」

 

「えっ!?」

 

『専用機!?』

 

「と言う事で専用機の駆動テストと実戦テストも兼ねて、来週の月曜日の放課後にクラス代表を決める試合をやります。……正義君ファイト♪」

 

「マ~ジ~か~よ~!」

 

 クラス代表戦まで残り1週間。その週に正義の専用機が到着する手筈となり、その駆動テストも兼ねて正義はクラス代表決定戦に挑む事になった。

 その事に絶望したように声を上げる正義だったが、この時の彼はまだ知らなかった。後に自分が世界の命運を握る戦いで英雄的な活躍を遂げる事を。そして数多くの物を、大切でかけがえのない物を手にする事を。

 




ここからは後書きとして、本編の裏設定や裏話について記します。

・変更点

 この小説では主人公が2人と言うシステムになりました。
 1人は今回登場した御宅正義君。もう1人は次回登場です。

・主人公のモチーフ

 御宅君のモチーフはベルセルクのガッツにしました。
 泥臭く戦い、最後まで諦めずに勝つ。
 ただ性格は優しくて真面目な苦労人です。

・主人公の知識について

 原作知識はアニメ2期しかありません。
 ゲームやOVAとかアニメの後の原作小説の話は一切知りません。
 なので『アーキタイプ・ブレイカー』に登場したヒロイン達の知識は本音さん以外はありません。むしろ「そんなんあったの!?」と驚かれます。

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