使い続けると死ぬシステムを使って戦う女の子達の戦う理由を消しちゃったチート転生者の話 作:POTROT
理屈とか理由とか、細かい裏事情とか、そういうのは全く把握していないが。
可愛らしい画風と裏腹に、美少女たちが容赦なく死ぬガチガチの鬱展開が繰り広げられる話として騒がれていた作品がある。
それで……やはり、詳しい話は知らないが。
最終的に致命的な破局を迎えることで、主人公たちが闇落ちしたりして世界が本格的に詰む、とかいうことだけ、ネタバレを食らって知っていた。
んで。
そんな世界に、とんでもないチートと一緒に転生してしまったのが、俺で。
世界が今現在外宇宙からの侵略者たちに襲われているが、ヴァルキューレ達が頑張ってるから大丈夫、的な極秘機密情報をチートで知って。
彼女たちが多分しくじって地球が終わるんだろうなと、そう理解したから。
宇宙の最果てに居た親玉ごと、全部ぶっ殺しておいた。
それから、その情報をヴァルキューレとかいう彼女たちとその上司的な人達に伝えたら、拘束されて経過観察のため拘留とか言われてヴァルキューレの建物に閉じ込められた。
狙い通りの展開だ。俺が身を隠した結果、変に話が拗れたら面倒だったが、こうすればある程度は俺が主導権を握れる。
あとは俺が穏便にこの組織を解体し、外宇宙的侵略者どうこうという話を無かったことにすれば、それで全部解決だ。
■
V-システム。
私たちヴァルキューレがヴァルキューレと呼ばれる所以となった、人知を超える力を得るための装備。人間を辞めるための手段。終わりに向かうための翼。
特定の年齢で、特別な素質を持った少女だけが適合する、世界に13個しかない奇跡の産物。
人類の明日のために、私たちが飛ぶための炉心。
それが、V-システム。
燃料は───私たちの、命。
V-システム。Victim-システム。犠牲システム。
私たちは選ばれた。選ばれてしまった。受け入れるしかなかった。
そうしなければ、人類に明日は無いから。
家族も、友達も、誰もが、死んでしまうから。
だから私たちはあの得体の知れない機械の翼を背負った。
命が削られる音に耳を塞ぎながら、戦った。
自分の体が日に日に人から離れていくことを自覚しながら、剣を振るった。
戦い続けていれば、いつかはきっと報われる。
ずっとずっと、そう信じて、戦ってきた。
そうしたら、本当に救いは降って来た。
でも、それは、望んだ形であるとは、決して言えなかった。
「外宇宙侵略者……ここじゃヘルズ、とか言うのだったか? 全て滅ぼしておいたから、もう戦う必要はないぞ。外宇宙にいた親玉まで、きっちり殲滅済みだ」
彼は、私たちと同年代に近い年齢であるようだった。
高校生か、大学生か。その辺りだ。
アジア人的な顔立ちで、英語の訛り方から考えると、多分、日本人。
そんな彼が、数多の機密を漁り、無数の監視と防衛をすり抜けて、この場所に辿り着いた直後に発したセリフが、それだった。
あまりにも唐突過ぎて、意味が分からな過ぎた。
確かに、彼が現れる数時間ほど前から、技術者の人たちがヘルズの姿が見えないと騒いでいたから、状況証拠的には、彼の言っている事の信憑性はあった。
でも、誰も彼も信じなかった。
信じたくなかった、が正しいのかも知れない。
けれど、現実は彼を支持した。
絶え間なく続けられていたヘルズたちの侵攻はピタリと止み、あれだけいたヘルズの影はきれいさっぱりと消え失せ、元通りの宇宙が、そこには広がっていた。
残っていたものは、この組織と、回収された幾らかのヘルズの死骸。
それと、人間ではなくなってしまった、13人の少女だけだった。
「……わたしたち、これから、どうすればいいの?」
誰かの呟きが、嫌に大きく部屋に響いた。