マグマ団員成長レポート   作:ボンバイエ

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書くのって大変ですね。


2話

 ヒダネは今までマグマ団という組織に関して聞き覚えが全くなかった。何を目的に活動しているのか。何処に拠点があるのか。そもそも本当に存在しているのかも分からない、自宅についてからPCで調べてみても何の情報も得られなかった。ヒダネは一息つき自分のベッドに勢いよく横たわり帰り道でのアキトとの会話を思い出していた。

 

「マグマ団?聞いたことないな。何をやっているんだそいつらは」

 

「さあ俺もよく分からねえ。ただ高等部の先輩が話してるのを聞いた限りちょっと危ない匂いがするイかした組織みたいだぜ」

 

「はあ。で?何でそのイかれた組織の事なんか急に話し出したんだ?実際にマグマ団に会いにいこうって話ならお断りだぞ」

 

「いや、会いにいこうっていうんじゃない。先輩の中じゃカナズミ周辺でマグマ団のやつを見たっていう話もでてるんだ。どんな奴らなのか詳しいことは知らんが注意はしといたほうがいいぜ」

 

 アキトがいうには危険な匂いのする組織、あくまで噂だがそんな連中がカナズミ周辺に潜んでいると分かれば注意するにこしたことはない。ヒダネはしょせん噂、別段気に留める必要もないものだと軽い気持ちで対応してアキトと別れ家に着いたのだった。しかしやけに頭に残るマグマ団という名前、ヒダネは自宅についてから自分ができうる範囲でマグマ団の情報を集めようと行動した結果が現在の様である。そもそも危険な組織がPCに情報が残るようなマネしないか、とヒダネは苦笑いしながら呟きベッドがら立ち上がり、食欲のそそられる匂いがするリビングの方へと足を向けた。リビングには真っ赤なソースがかかり皿に盛りつけられていても尚油と肉汁が音をたてているハンバーグをメインに彩り鮮やかな食卓があった。

 

「今日はグレン風かざんハンバーグじゃん!テンションがあがってきた!」

 

「あなたはどんな料理でもテンションあげてくれるから好きよヒダネ。あなたもこれくらい喜んでくれたら嬉しいんですけどねコウタロウさん」

 

「おいおい俺も表に出さないだけで喜んでいるさ。いつもおいしい料理をありがとうユカリ」

 

 食卓を中心に集まった3人、ヒダネとその父と母――コウタロウとユカリは席につくといただきますと3人声を揃え食事を始めた。コウタロウは現在カナズミシティ一の大企業『デボンコーポレーション』でポケモンの化石の研究を中心に働いていて、社会人としては勝ち組と分類してもいい程に収入を得ている。ちなみにヒダネがツツジに自分の父はデボンで化石の研究をしていると話した際、ツツジは目をキラキラ輝かせて、ぜひお父様に会わせてください!とヒダネに迫ったことがある。実際にコウタロウと会った時のツツジは興奮冷めやらぬといった状態で目を輝かせ、前のめりになりながらコウタロウとの質疑応答を楽しんでいた。その様子を見ていたヒダネはまるでドゴームのようにうるさいやつだな、と普段のツツジからは想像できないほどの様子に本人が聞いたら顔を赤くして怒りそうな感想を持った。 

 美味い!とヒダネが箸を休めることなく食べている料理を作った母、ユカリは父と結婚するまでポケモンの見た目や技の美しさを伝える競技『ポケモンコンテスト』でトップコーディネーターとして活躍していた女性である。当時はショートカットにした綺麗な茶髪にスラリとしたスタイルと美しい容姿にコウタロウが一目惚れしし猛アタック、その末長い付き合いを経て結婚。現在は専業主婦としてヒダネとコウタロウを影から支えている。コーディネーターを務めていた影響でこの世界にある『きのみ』に関しての知識は目を見張るものがありヒダネがスクール編入試験の為のきのみに関しての知識は殆どユカリから教わったものだ。教科書よりも母さんから聞いた方が分かりやすいし面白い、とは本人の談である。

 ヒダネはそんな両親のことを尊敬し、愛していた。スクール編入の意思を伝えた時、ヒダネは両親に反対されることを視野に入れていた。トレーナスクールに入るには知識とバトルの腕もそうだが費用もそれなりにかかるのである。だからこそヒダネの予想に反して笑いながら了承した。反対どころかむしろ喜んでる様子もうかがえた二人についヒダネは反対しないのかと訊ねた。二人はまた微笑みながら普段ヒダネが自ら欲しいものをおねだりすることがあまりないこと、もっと親に甘えてくれて構わないという意思をヒダネに伝えた。そんな出来事もありながら3人は家族としての絆をより一層深いものとしてヒダネが合格できるよう全力でサポートした。同級生には親がうぜえ、いなくなっちゃえばいいのにと話している連中もいる。俗にいう反抗期というやつだが自分にはそんな時期は訪れる事はない、反抗期になった自分が想像できないとすらヒダネは思っている。

 

「そういえば今日116番道路で妙に怪しげな人影をみたっていう話を会社で聞いてね。最近物騒だから二人にも一応話をしておこうと思っていたんだよ」

 

「怪しげな人影ねえ……本当はポケモンのヒトカゲだったんじゃない?あの子可愛いわよねえ。ヒダネ、今度捕まえてきてくれないかしら?」

 

「母さん……父さんは俺たちのためを思っていってくれてるんだからさ……」

 

「いや、いいんだヒダネ、母さんは昔からこんな感じだがいざってときは頼りになるんだぞ。そんなところがまた可愛い!」

 

「まあコウタロウさんったら、私もあなたのそんな真面目で純粋なところが好きですよ」

 

 いつまでたっても仲の良さが変わらな二人を見てヒダネは自分もつい笑いだすが内心でコウタロウの言っていたことお思い返す。116番道路とはカナズミシティを東に進んでいった際に出る当たり一面雑木林で覆われ奥に進むと長い岩山があるなかなかに険しい道の表記である。確かにあそこなら不審者が身を隠すのにうってつけの場所であるが現在あそこは岩山を挟んで隣り合っている町――シダケタウンとの交通の便を良くする為の岩山にトンネルをつくろうという計画がある。そのため計画に携わっている人々が頻繁に出入りしているためそう簡単には身を忍ばせる事はできない。ヒダネは先程から調べていた影響もあってかその怪しげな人影がマグマ団かもしれない、という憶測の域をでない考えを生み出した。コウタロウはデボンの社員ということもありかなり頭がいい。もしかしたらマグマ団の事も知ってるんじゃないかと思い訪ねようとしたところでイチャイチャしていたコウタロウが話題を戻した。

 

「とにかく、そういうわけだから二人とも注意しておいてくれ。何かあってからじゃ遅いんだ。お前たち二人に何かあったら俺は生きていけないからな」

 

「それは私も同じですよコウタロウさん、ヒダネ。二人とも十分気を付けてください」

 

「……ああ気を付けるよ。父さん、母さん」

 

 そんな会話をしてヒダネはマグマ団の話題を出すことをやめた。存在しているかもわからないものを問いただし二人に過剰な心配をかけさせてはいけないというヒダネなりの配慮だった。それがコウタロウとユカリにとって本当に配慮といえるものなのかは別であるが。

 

 食事を終えて自分の部屋につくとヒダネは改めて今日の出来事を思い返す。授業はいつもと変わらないもの、ツツジとバトルして完敗したこと。アキトから聞いたマグマ団という組織。なぜマグマ団という組織がこんなにも頭に残っているのかヒダネには分からなかった。ツツジとのバトルに集中できなかったことといい何か今日はおかしい。そんなことを思いながら腰に掛けていた二つのモンスターボールを手に取り軽く放り投げた。

 

「出てこいデルビル、ラクライ」

 

 モンスターボールが床に落ちるとボールが開き中からデルビルとラクライ――緑色を基盤に後頭部と尻尾が稲妻を体現したかのように尖っている子犬のような容姿をしたでんきタイプのポケモンが現れた。ヒダネは二匹にポケモン用の食事『ポケモンフーズ』を食器に取り出し食事を与えた。二匹はポケモンフーズを見るや否や尻尾を左右にせわしなく動かし待ってましたと言わんばかりにおかれた餌に飛びついた。

 デルビルはヒダネが10歳の時にコウタロウが知人から譲り受けたポケモンのたまごから孵したポケモンでありヒダネの最初のパートナーとなった。デルビルが生まれた時から『おや』となったヒダネは以来今まで片時も離れる事なく共に遊びやバトルを繰り返し、いつしか一人と一匹の間には強く固い絆が芽生えていった。ちなみにデルビルはあく・ほのおタイプといったこの世界では珍しい複合タイプの持ち主であり見た目同様攻撃的なポケモンとして世間は認識している。ヒダネのデルビルもその例に違わず割と好戦的な性格をしているがそれと同時にかなり人懐っこくもある。そのためコウタロウとユカリもデルビルのことはかなり可愛がっており一時期ヒダネは弟ができてそちらにばかり親がついていて構ってくれない兄のような寂しさを覚えたこともある。

 

 ラクライはヒダネが両親と共にホウエンが誇る港町『カイナシティ』に遊びに行った際その北部に位置する110番道路にてバトルしてゲットしたポケモンである。初めてゲットしたポケモンということもあってヒダネはその日一日中変にテンションが上がり道行く人にまるでポケモンバトルで必死に跳ね続けているコイキングを見るかのような温かい視線を送られていた。ラクライはでんきタイプという素早いポケモンが多く含まれ文字通り電気を扱うことに長けている。ヒダネのラクライも得意技であるでんきショックを中心とした技を使いバトルをする。デルビル同様人懐っこい性格をしているがポケモン一匹一匹がそれぞれ必ず持っている性質のようなもの『とくせい』がせいでんきという触れた相手を麻痺させてしまうことがあるとくせいを持っているため迂闊に撫でようとすると麻痺してしまうなんてことになる。ヒダネもその例にもれず今までラクライを撫でては麻痺してしまう、ということを繰り返しているものの自分の手持ちであり大切なパートナーであるラクライを無碍になんかできるはずもなくデルビル同様愛情をもって接している。そんなヒダネにラクライも確かな信頼と愛情を寄せている。ちなみにラクライをゲットした後、ヒダネがラクライを非常に溺愛していたためデルビルは下に弟ができてそちらばかり可愛がっていてこちらをみてくれない兄に腹を立てている弟のような気持ちになりヒダネの尻にかみつくを仕掛けたことがある。

 

「うまいか?まだまだたくさんあるからどんどん食って力をつけるんだぞ。俺もお前たちもさらにレベルアップして強くなっていかなくちゃならないんだから」

 

 そのヒダネの発言に応えるように二匹が短く、強い声で鳴く。デルビルは今日の戦いを反省し、今度こそあの鼻野郎を倒すとリベンジに燃え、ラクライは大好きなヒダネに褒められるために燃える。二匹とも自分が強くなっていきたいという意思は確かに持ち合わせているのだ。

 

 食事を終えてゴロゴロとじゃれついてくる二匹を撫でながらヒダネが考えるのはやはりマグマ団のことだった。得体のしれない組織、危険な匂いがするなら強いトレーナーの一人や二人いるんじゃないか、とヒダネは考える。

 この世界のおいて強いトレーナーというのは基本的にどんな業界でも重宝される傾向にある。だからこそトレーナースクールというものが設立され、そこで優秀な成績を収めたものはこぞって各業界がスカウトしにやってくる。顔が良ければテレビ業界でバトルが強いタレントとして勧誘され、ポケモンバトルの強さがほとんどそのまま反映されるような仕事である警察や消防署なんかにも就職が決まることもある。

 善悪の問題は今のヒダネにとってさほど重要な問題ではなかった。大事なのは強くなれるかどうか、その手がかりがあるのなら少しでもわずかな可能性に賭けたい、そして自分が憧れ尊敬している本気のツツジに勝ちたいと。コウタロウが言っていた116番道路に怪しい人影を見たという話を思い出しながらヒダネはベッドの横になり眠りについた。二匹はベッドの傍で寄り添いながらすやすやと寝息を立て始めた。

 

 翌日、スクールが休みということもあって早速ヒダネは116番道路へ向かう準備を進めた。茶色いカーゴパンツを履き黒いTシャツの上から赤をベースに黄色いモンスターボールの模様が入ったパーカーを羽織る。そして短く逆立った母親譲りの茶髪の上から大人気雑誌ポケモンの友の懸賞で当たった赤と青を基盤にしたキャップをかぶり腰のベルトのホルダーにデルビルちラクライが入ったモンスターボールをセットする。ヒダネは大事なことがある日は大抵この格好をする。いわゆる勝負服というやつだ。準備万端となったヒダネはユカリに遊びに行ってくると告げ家を出て駆け出した。

 

 116番道路にはスクール、学校が休日ということもあり少年少女の姿がチラホラ見かけられた。トレーナーには目があったらバトルという暗黙の了解のようなものがある。いつどこでできたのかも不明なそれはトレーナーになる前からそのことは知っているという者もいる。そんな暗黙の了解があるからこそヒダネは116番道路についてから一目散に道路の奥へ進んだ。今日はカナズミから道路の入り口付近から常にトレーナーを見る。もしもここに潜んでいるとしたらトンネル計画の作業員がいようと岩山の方へ身を寄せるしかないとヒダネは考えたのだった。声をかけようとしてくるトレーナーも無視してしばらく走るとようやく岩山がヒダネの目についた。上がり切った息を整えるためゆっくりと走るのを止め速度を落としていく。幸いにも休みだったのか作業員の姿は見えずに楽に岩山に侵入することができた。

 ここの岩山の特徴として視界はそこまで悪くなく進める道がほとんど一直線になっているのと丸っこいうさぎのようなポケモンゴニョニョが大量に潜んでいることだ。ゴニョニョは普段は大人しく、何御喋っているのか聞き取れないほどの声量でしか喋らないが危険を察知するとこちらの耳が引き裂かれるかのような大声を発する。ヒダネは周囲を見渡せば必ず視界にいるほどのゴニョニョたちに自らが危険な存在だと思わせないように慎重に進んでいく。

 一直線の道を進んでいきやがて目にしたのは完全に行く手を遮断するほどの岩盤であった。結局噂なんてそんなものかとヒダネは一人苦笑いしながらうなだれているとトコトコとゴニョニョの群れが背後を進行していた。その可愛らしい様子に癒されながら帰路につこうと反転したその時、ゴニョニョの群れがいく先にわずかながら光が見えた。実際岩山へ入るのが初めてであったヒダネにとってほぼ一直線であるこの岩山の道はかなり楽に思えた。それゆえの見落とし。振り返って周りをよく見れば人が頑張れば侵入し隠れるくらいの場所くらいいくらでもある。自分の視野の狭さを間抜けに思いながらもヒダネは光を目指しゴニョニョたちが抜けていった狭い穴を通る。穴の先は人が何人も入れるようなホール状の空間が広がっていた。そしてその先には――

 

「なんだあお前は?ガキがこんなとこくるとは驚きだな」

 

 胸に大きく山にも見え、アルファベットのMにも見えるような模様をつけた真紅の衣装を身にまとった見るからに怪しげな集団がそこにはいた。ヒダネは半ば確信に近い状態で目の前の集団が何者なのか理解した。

 

――奴らがマグマ団だ

 




ヒダネ一家説明会のようなものになってしまった。
次回ポケモンバトル描写本格的に書こうと思います。
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