秋晴れの高い空の下、産屋敷邸の庭に吹き荒れていたのは、涼やかな秋風ではなく、柱たちの凄まじい闘気と男たちの意地がぶつかり合う熱風だった。
「オイオイ、一発殴っていいだとォ? そりゃあ俺にも手合わせしてくれるって意味で受け取っていいんだよなァ!?」
風柱・不死川実弥が、血走った目で獰猛な笑みを浮かべながら日輪刀の柄を叩く。
「うむ! 素晴らしい闘気だった! 俺も是非、君と一太刀交えたいぞ!!」
炎柱・煉獄杏寿郎も、燃えるような瞳で力強く同調した。
蛇柱・伊黒小芭内に至っては、甘露寺蜜璃の心を持っていかれた(と思い込んでいる)嫉妬で、すでに抜刀せんばかりの構えを取っている。
「えっ? いや、お前らは関係ねえだろ! ちょ、おまっ、待て!!」
マヤが珍しく狼狽えた声を上げるが、一度火がついた戦闘狂たちの熱は収まらない。
(マジかよ……嫉妬でこじれた空気を収めるために一発殴らせてやるって言ったのに、なんで全員参加の血みどろバトル大会に発展しようとしてんだ……?)
マヤは深く長いため息を吐いた。
「……仕方ねえ」
マヤはドカリと座っていた胡座から、ゆっくりと立ち上がった。
その巨体が立ち上がった瞬間、庭の空気がビリッと震える。先程までの飄々とした気配が嘘のように、研ぎ澄まされた刃のようなプレッシャーが放たれたのだ。
マヤはそのまま、上座の縁側で静かに微笑んでいる当主・産屋敷耀哉の方へ、大股で歩み寄り始めた。
「なっ……貴様、お館様に気安く近づく気か!?」
実弥が鋭く吠え、他の柱たちも反射的にマヤと耀哉の間へ割って入ろうと身構える。
だが、耀哉はスッと右手を上げ、柱たちを制した。
「よい。……おいで、マヤ」
柱たちが息を呑む中、マヤは縁側のすぐ手前まで歩み寄り、片膝をつくこともなく、耀哉の顔を真っ直ぐに見下ろした。
至近距離で見る耀哉の顔は、目元から額にかけて、皮膚が赤黒く変色し、痛々しく爛れている。脈打つ血管が浮き上がり、明らかに正常な病の進行ではない。
(……近くで見て確信した。こりゃあ、ただの病気じゃねえな)
マヤは声を極限まで潜め、周囲の柱たちには絶対に聞こえない音量で、耀哉にだけ言葉を落とした。
「……なぁ、親方様。あんた、何かの病気かい? 今近くで見て気づいたんだが……」
「……」
耀哉の微笑みが、ほんの僅かに驚きに揺れる。
「……ああ」
耀哉もまた、唇を動かすだけの小声で返した。
「私の一族には、呪いがかかっているんだ。代々、身体の細胞が徐々に腐敗し、崩壊していく……。誰も、三十までは生きられない」
「細胞の……崩壊、か」
マヤの目が鋭く細められる。
「……つまり、あんたの体は今、内側から細胞が自滅していってるってことかい? それよ……鬼の細胞の『崩壊プロセス』にひどく似てないか? 人間が無理やり鬼に変わる時や、強烈な毒を食らった時のプロセスにな」
その言葉に、耀哉の白濁しつつある瞳が見開かれた。
「まさか……君の言いたいことは……例の、極秘の……?」
「ああ」
マヤは口元を少しだけ歪め、不敵に笑った。
「その崩壊を防ぎ、逆転させる薬の『第一段階』の理論が、つい昨日、うちの天才たちによって証明された。……あとで、良ければあんたの血液サンプルをもらえないか?」
お館様の呪いという、産屋敷一族の背負う重すぎる宿命。
それに全く臆することなく、医学的アプローチで希望を提示してきたこの男に、耀哉は心底からの驚嘆と、深い感謝の念を抱いた。
「……いいだろう。だが、どうやって他の柱たちに気づかれずに?」
「了解だ。なら……あのやる気満々の三人と、やってやるよ」
マヤは後ろで殺気を放っている柱たちを親指で指差した。
「今、俺の懐に未使用の注射器がある。それをしのぶに渡すから、俺が試合をやって柱たちの目を惹きつけてる間に、しのぶの『蟲柱襲名の挨拶』って名目で近くに寄せてくれ。しのぶには俺から話を通しておく」
「……わかった。ありがとう……本当に」
耀哉が、心からの安堵と感謝を込めて頷く。
マヤは小さく肩をすくめると、クルリと柱たちの方へ向き直った。
「さて! 今お館様に色々と条件を飲んでもらって、手合わせすることになったぞ! この話の内容が聞きたかったら、俺を倒してみるんだな!」
マヤがワザとらしく、挑発的な大声を張り上げる。
(なんとも……自己犠牲の強い男なのだね。すまないね、マヤ)
耀哉は、マヤがすべてのヘイトを自分に向かわせることで、極秘のやり取りから柱たちの意識を完全に逸らしたことに気づき、そっと目を伏せた。
案の定、柱たちは「おのれ、お館様をダシにしおって!」とやる気満々である。
「俺とやりたい奴は、そこで少し準備して待っててくれや。俺も木刀を借りるからよ」
マヤはそう言い残し、呆然としている蝶屋敷の面々の元へ歩み寄った。
「マ、マヤさん……本気ですか!?」
カナエが青ざめた顔で問いかける。
「しのぶ、ちょっと耳貸せ」
マヤはカナエの言葉をスルーし、しのぶの耳元へ顔を近づけた。
「ヒャッ!? な、何ですか急に……っ」
至近距離からの男の熱い吐息に、しのぶの顔が一瞬で林檎のように赤く染まる。
「すまんな、せっかくの襲名式なのにこんなドタバタになっちまって」
マヤは囁きながら、しのぶの白衣の袖の中に、見えないようにガラスの注射器を滑り込ませた。
「……え?」
「よく聞け。お館様の顔の爛れ、あの症状は、鬼の細胞崩壊プロセスとひどく似てる。つまり……珠世とお前が完成させたあの『逆転の薬』の理論が、効くかもしれない」
しのぶの瞳が、驚愕に見開かれる。
「俺が試合で奴らの気を惹きつけてる間に、お館様がお前を近くに呼ぶ。お前の襲名祝いの挨拶を装って、気づかれないように採血してこい。許可は取ってある。後は頼んだぞ、天才医者殿」
「マヤ、さん……」
しのぶの胸が、熱く締め付けられた。
柱の嫉妬による揉め事。それすらも利用して、少しでも自分たちの研究を進めるために、彼はお館様に直談判し、すべてのヘイトを一人で背負って矢面に立ってくれているのだ。
(この人は……本当に、どこまで……っ!)
泣きそうになるのを必死に堪え、しのぶは唇を噛んだ。
「……この後、俺に悪態でもついて離れろよ。不自然じゃねえように、耳元でふざけたこと言われたみたいにな」
マヤが最後にそう囁くと。
「っ……!! 耳元で、ふざけたこと言わないでください!! 最低です!!」
しのぶは顔を真っ赤にして叫び、バシッとマヤの胸板を叩いて、プイッとそっぽを向いた。袖の中に注射器をしっかりと隠しながら。
「痛ぇな、冗談だろ?」
マヤがワザとらしく頭を掻く。
「……マヤさん。あなた、しのぶの耳元で何を吹き込んだんですか?」
カナエが般若のような笑顔でマヤの腕を強くつねる。
「いや、ちょっとした軽口だよ!」
「もう、この人ったら……! さすが恋柱ちゃんの気を惹くだけのことはあるわね……」
カナエが頭を抱える横で、甘露寺蜜璃は「マヤさん、素敵ぃ……」と両手を組んでうっとりと見つめていた。
「……俺はいいや」
騒ぎの中、水柱の冨岡義勇がポツリとつぶやき、興味なさそうに縁側の端へ寄った。
「派手に面白ェが、女のためにあそこまで啖呵を切る奴は嫌いじゃねェ。俺もやらないぜ」
音柱の宇髄天元も、ニヤリと笑って壁に寄りかかる。
「彼の言い分は正しい部分もあった……。私は見守らせていただこう。南無阿弥陀仏……」
悲鳴嶼行冥も数珠を擦り合わせた。
「なら、俺と、不死川と、伊黒の三人だな!」
煉獄が木刀を手に、快活な声を上げる。
「準備が整ったようだね」
上座から、耀哉の静かな声が響いた。
「手合わせの前に、まずは胡蝶しのぶ。君の蟲柱襲名だ。近くへおいで」
「……はいっ」
しのぶが姿勢を正し、静かに耀哉の元へ歩み寄る。
柱たちの視線が、中央で木刀を構えるマヤと伊黒に集中している隙を突き、しのぶと耀哉は視線を交わした。
(話は聞いているね?)
耀哉の優しい眼差しに、しのぶは微かに頷く。
「では……まずはマヤ対小芭内だね。柱の皆もしっかりと見るように。……はじめ!!」
お館様の号令が響いた瞬間。
しのぶの手が、一切の殺気も音もなく動き、耀哉の腕から鮮やかに極秘の採血を完了させた。一瞬の出来事である。
そして、庭の中央では。
「死ねェッ!!」
伊黒が、嫉妬と憎悪のすべてを乗せた木刀を、凄まじい速度でマヤの首筋へ振り下ろした。
空気を切り裂く鋭い一撃。当たれば木刀とはいえ骨が砕ける速度。
だが、マヤはその場から一歩も動かなかった。
「蛇柱さんよ。どうよ? 楽しいかい? 私念だけで振り回す剣ってのはよ」
「黙れッ!!」
伊黒は蛇のように軌道を変化させ、次々と予測不能の連撃を放つ。
しかし、マヤは手にした木刀を最小限の動きで操り、伊黒の攻撃をすべて『弾く』のではなく『いなして』流していく。
ガキッ、カァンッ!!
どれほど手数を増やしても、マヤの木刀に触れた瞬間に力が逃がされ、伊黒の体が前へのめり込む。
「無口だねぇ。ほら、相手してやってるんだ、どんどん打ってこいよ」
マヤは余裕の表情で伊黒をあしらいながら、チラリと縁側のしのぶを見た。
しのぶが、袖を押さえながら、微かにコクリと頷いた。
極秘任務、完了。
「……いいね。最高だ」
マヤの口元に、凶悪な笑みが浮かんだ。
その瞬間。マヤから放たれる闘気の質が、全く別のものへと変貌した。
「終わりにしようぜ。無意味だよ、こんなのな?」
伊黒が渾身の力で突きを放った瞬間、マヤの木刀が下から跳ね上がった。
打撃ではなく、伊黒の木刀の根元に絡みつくような柔らかな動き。しかし、そこには防ぎようのない凄まじい螺旋の回転がかかっていた。
「なっ……!?」
伊黒の手首が強制的に捻られ、木刀が弾け飛んで宙を舞う。
マヤは流れるような動きで伊黒の懐に潜り込み、木刀の切先を伊黒の喉元ピタリ一ミリのところで止めていた。
誰もが見惚れるほど、完璧で、美しすぎる制圧だった。
「綺麗な捌き方ぁ……っ!」
甘露寺が両手を組んで感嘆の声を上げる。
「……蜜璃ちゃん、見惚れるのはいいけど、よだれが出そうよ。頭が痛くなるわ……」
カナエが隣で呆れたようにつぶやく。
「……っ、まいった……」
伊黒が、屈辱に顔を歪めながらも敗北を宣言した。
「勝者、マヤ」
耀哉の声が響くと、甘露寺が「すごぉい! すごいすごぉい!!」と盛大な拍手を送る。それに釣られるように、カナエやしのぶ、そして耀哉も拍手をしたことで、庭には不思議な温かい拍手が鳴り響いた。
「さて、少し休憩を入れるかい? それとも連戦でもいいけど、どうしたい?」
マヤが肩をすくめる。
「舐めんじゃねェぞ! 次は俺だ! お前ができるならすぐでもいいぜェ!!」
実弥が木刀をひっつかみ、眼走らせて躍り出た。
「了解。では、お館様、合図を」
「では、マヤ対実弥。……はじめ!」
「オラァァァッ!!」
合図と同時、実弥が突風のような踏み込みで間合いを詰め、マヤの頭部を叩き割らんばかりの豪快な一撃を振り下ろす。風柱の名の通り、その速度と威力は伊黒を遥かに凌駕していた。
だが。
「へ〜、強い一撃だね。殺意も満点だ」
マヤは木刀を両手で握り、実弥の振り下ろしを正面から受け止めた。
ドゴォォンッ!!
凄まじい衝撃音が響く。しかし、マヤの体は一寸たりとも沈み込まない。
「でも、それは分かりやすい。直線的すぎるよ」
マヤが自身の闘気を爆発させ、木刀越しに実弥の力を真っ向から押し返した。
「なっ……バカなッ!?」
弾き返された強大な力に実弥の体が宙に浮き、そのまま後方へ数メートル吹き飛ばされ、ドサリと尻餅をついた。
わずか一合。一瞬での決着。
「すっごぉぉぉぉい!!!」
甘露寺の拍手が、今度はさらに大きくなる。
「おいおい……どうなってやがんだ、あの門番」
宇髄が額に汗を浮かべて目を見張り、冨岡義勇も驚愕に目を見開いていた。
「勝者、マヤ。……あとは杏寿郎だけだね。二勝零敗、この時点で勝負はマヤの勝ちだが……マヤ、最後までやってくれるかな?」
「もちろんやりますとも。俺とお館様のやり取りは秘密ってことを、みんなが承諾してくれるならね」
マヤがニヤリと笑う。
「そこはもう、お館様が決めたことだ! 俺からは何も言うまい! ただ、君の……いや、マヤ殿の強さ、俺にも試させてほしい!」
煉獄が、これまでにないほど真剣な、武人としての敬意を持った顔で歩み出た。
「了解しました」
甘露寺がキラキラとした目で熱視線を送る中、マヤはお館様、そしてしのぶに向かって深く頭を下げた。
「いきなり始まったことだったが、あんたらの配慮に感謝を。……そして、しのぶ。蟲柱襲名、おめでとうな」
その言葉に、しのぶの瞳が微かに潤んだ。
自分がどれだけ無茶をして極秘の血を採ってきたか、彼は分かってくれている。
「……ありがとうございます」
しのぶが小さく、しかし誇り高く一礼した。
「お館様、しのぶ殿。感謝する! では!」
煉獄が木刀を正眼に構える。一切の隙がない、燃え盛る炎のような完璧な構えだ。
「最終試合……はじめ!」
マヤもまた、木刀をゆったりと下段に構えた。
(隙がない……。実弥や小芭内を赤子のようにあしらった男。これは、かつてないほどの強敵だ……!)
煉獄が呼吸を深め、極限の集中力で踏み込もうとした、その瞬間だった。
マヤの姿が、一瞬だけブレた。
「……!?」
煉獄が防御の体勢を取った瞬間、マヤの木刀が、煉獄の木刀の側面に、カンッ!と軽く、しかし異常な速さで打ち付けられた。
ビリリリリリリリッ!!!!
「くっ……!?」
煉獄の顔が驚愕に歪む。
木刀が触れ合った瞬間、言葉では言い表せないほど強烈な『振動(闘気)』が木を伝わり、日輪刀を握り慣れた炎柱の両手に直接叩き込まれたのだ。手のひらが痺れ、一瞬、木刀を落としそうになる。
(なんだ今の打撃は……!? 斬撃でも打撃でもない、芯を揺らすような……!)
煉獄が必死に木刀を握り直して距離を取る。
「さすがだな。今ので木刀を落とすかと思ったんだが……さすがは柱だ」
マヤが感心したように口の端を上げる。
「マヤ殿……強いな。底が見えん!」
「今の振動、何発耐えられる? しかも、本気でぶつけたらどうなると思う?」
マヤの静かな問いに、煉獄の額から一筋の冷や汗が流れた。
あの振動を連続で叩き込まれれば、確実に武器を手放してしまう。剣士にとって、武器を失うことは死を意味する。
伊黒は未だに悔しそうに唇を噛んでいるが、他の柱たちは、マヤのこの異次元の戦い方に全く意味が分からず、ただ呆然と見守っていた。
だが、煉獄だけはその真意を悟っていた。
「ふむ……! これは、相手を殺すためではない。相手の武器を奪い、制圧し、『守る』ためのやり方か……!」
煉獄がふっと構えを解き、清々しい笑顔を見せた。
「分かった! 俺の完敗だ、降参としよう!」
「よかったよ、そうしてくれて」
マヤも木刀を下ろし、爽やかに笑った。
「お互いの為にもそれがいい。それに、あんたはもっと強くなる。柱のみんなもな。……『相手を殺そうとするんじゃなく、相手の武器を無くして無力化する』。こういう戦い方をする奴も世の中にはいるってのを知ったんだからな」
「勝負あり。勝者、マヤ」
耀哉の穏やかな宣言が、静寂の庭に響き渡った。
「すっごぉぉぉぉぉぉぉぉい!!!!」
沈黙を破ったのは、もはやメーターが完全に振り切れた恋柱の絶叫だった。
「なんかとっても凄くて、凄くて……っ! マヤさんのその強くて優しい剣を見たら、私、私なんかもう……っ!!」
タタタタタッ!と、甘露寺が猛ダッシュで縁側を飛び降り、両手を広げてマヤの広い胸板へ向かってダイブしようと宙を舞う。
「マヤさぁぁぁぁ――っ!!」
ドサッ!!
「はい、そこまで」
だが、甘露寺がマヤの胸に飛び込む直前。
空中でカナエが鮮やかに割り込み、甘露寺の腰をガシッと抱え込んで、そのまま地面に美しく着地(というより押さえ込み)を決めた。
「むぎゅうっ!?」
「蜜璃ちゃん。何をしようとしたのかしら? ちょっと落ち着きなさいな。はしたないわよ?」
カナエの笑顔の奥に、般若のような恐ろしいオーラが渦巻いている。
「あ、う……っ、ごめんなさいカナエちゃん……でも、マヤさんがかっこよすぎて、体が勝手に……っ」
涙目で弁明する甘露寺を見て、マヤはポリポリと頭を掻きながら笑った。
「ははっ。みつり、そう言ってくれてありがとうな」
――ドッキィィィィィン!!!!
マヤの無自覚な極上の笑顔を向けられ、甘露寺の顔からプシューッと湯気が上がり、そのまま目を回して気絶しそうになった。
「……もうやだ、この空間……」
しのぶが、袖の中の極秘サンプルを握りしめながら、深く、深く天を仰いだ。カナエも「マヤさんのばか……」と小さく呟いている。
敗北の屈辱を噛み締めながらも、マヤの実力を認めざるを得ない柱たちの鋭い視線。
騒ぎの収拾がつかない庭で、耀哉だけが満足そうにくすくすと笑っていた。
こうして、嫉妬と怒りから始まった波乱の柱合会議は。
マヤの圧倒的な実力の証明と、密かに完了したお館様の血液採取という、途方もない二つの成果を手土産にして、ドタバタと幕を閉じるのであった。