サボとコビーを後にしたルフィ
抱えていたロビンが目を覚ます。
「ルフィ」
「おっ 気がついたか」
「⋯私、どうして」
「気にするな、もう大丈夫だ」
心底安心した笑みを浮かべるロビン
「ええ、 ありがとう」
「シッシッシッ 気にすんな」
それに答えるルフィ
「戦況はどうなってるの? みんなは?」
「わかんねぇ、今ブルックのところへ向かってるから、ブルックと2人でいてくれ、おれは黒ひげをやる!」
「黒ひげのなんでも吸い込む力は無限ではないわ、あなたなら絶対に勝てる」
「あぁ、終わったらみんなで宴だ! 空での宴は2度目だな」
「フフフ、そうね」
そしてブルックと黒ひげの戦場におりたった。
ブルックの状態は良くはない、が深手を負っているわけでもなかった。
「よかった、ロビンさんが無事で」
「よく持ちこたえてくれた、ブルック ロビンを連れて離れててくれ」
「お怪我は?」
「問題ない、バッテンはぶっ飛ばした」
「バッテン?」
「いいから下がってろ」
「はい! 船長」
ブルックはロビンを支えその場から遠ざかる、ロビンも意識がはっきりし回復してきていた。
「ブルック、お願い、行きたい場所があるの」
「ヨホホホホ、お安い御用です」
とあっという間に見えなくなっていった。
遠ざかる2人を意にも介さない素振りで黒ヒゲがルフィの前に立ち塞がる
「ゼハハハ、ラウンド2だな!」
「太陽の神ニカとして純白に輝くルフィ」と、「すべてを無に帰す漆黒の闇を纏う黒ひげ」による、世界の命運を賭けた最終決戦。「白(解放・光・笑い)」と「黒(支配・闇・絶望)」が極限状態でぶつかり合う、凄まじ衝撃波。
「闇穴道(ブラック・ホール)!!」
すべてを飲み込み、悪魔の実の能力すら無効化する絶対的な闇の引力がルフィを捉える。
しかし、白くなったルフィは心臓の鼓動「解放のドラム」を天に響かせながら、満面の笑みでその引力の中をスキップする。
「あははは! 引っぱられたって関係ねェ! どこまでも伸びるんだからな!」
ルフィは引力そのものを手で掴み、縄跳びのように振り回して、逆に黒ひげの顔面へ投げ返す。
「グオォォォォ」
全てを飲み込むかわりに痛みまで吸収する黒ひげの能力
ルフィの実体を掴むまで吸い込みたいがゴム性質の身体がそうはさせなかった。
いくら引っ張ってもゴム性質に変えた周りの地面雲を両足で絡め取り、両手で空にある雷を掴み黒ひげに投げ込む。
「ゴムゴムの、星万雷(スター・ライトニング)!!」
激怒した黒ひげが、大気を殴りつける。
「震天動地!!」
空間そのものにヒビが入り、触れれば即死するレベルの振動波がルフィを襲う。ルフィはその衝撃波の「ヒビ」を両手でガシッと掴み、まるでただの布のようにベリベリと引き剥がして身をかわす。
ニヤリと笑う黒ひげ。
自ら作った大気のヒビから黒靄が手のような形でルフィを掴む!
「闇水(くろうず)」の引力に捕らえられる。抗えない絶対的な力で引き寄せられ、ルフィの体が宙を舞った。
黒ひげの太い腕が、ルフィの首を鷲掴みにする。
その瞬間、ルフィの体から力が完全に抜けた。
全身をゴムのように躍動させていたギアの輝きが霧散し、ただの生身の人間へと引き戻される。
悪魔の実の能力を完全に封じる闇の恐怖が、ルフィの肉体を支配した。
「がはっ……!?」
「ゼハハハ! 痛えだろう! 闇はすべてを引きずり込む! 攻撃も、光も……そして能力者の『体』そのものもな!」
黒ひげは容赦なくルフィを地面へと叩きつけた。
凄まじい衝撃とともに大地が爆ぜ、ルフィは吐血する。
さらに黒ひげは空いたもう一方の手を握り締め、空間に拳を構えた。
その拳の周りに、大気をひび割れさせる白い球の光が灯る。
かつて世界を震撼させた「グラグラの実」の振動の力。
「消え失せろ、麦わらァ!!」
容赦なく振り下ろされる振動の拳。
ルフィは間一髪で身をよじったが、掠めただけで周囲の空間ごと肉体が激しく震動し、骨がきしむ音が響く。
背後の雲が文字通り粉々に粉砕され、衝撃波でルフィの体は遥か後方へと吹き飛ばされた。
地面を何度もバウンドし、泥にまみれて倒れ込むルフィ。
立ち上がろうとするが、足に力が入らない。
視界は血に染まり、目の前を歩いてくる黒ひげの巨大なシルエットが、まるで絶望そのもののようにつのり、迫ってくる。
「おいおい、もう終わりか? 海賊王になる男が、随分と不甲斐ねェじゃねえか」
黒ひげの足元から広がる闇が、じわじわとルフィのつま先に触れ、その自由を再び奪い始めていた。迫る足音と、すべてを飲み込む闇。
ルフィは、かつてないほどの絶対的な窮地に追い詰められていた。
黒ひげは倒伏するルフィの頭を、地面ごと踏みつけにした。容赦ない体重と、その足から伝わる「闇」の波動が、ルフィの体からわずかに残った生命力を削り取っていく。
「ぐっ……あ、が……!」
麦わら帽子が頭から外れ、雲の中に転がった。ルフィは指先一つ動かすことすらままならない。
悪魔の実の能力を完全に無効化され、ただの弱り切った人間に戻された肉体には、これまでに受けた「グラグラの実」の震動のダメージが、文字通り「倍の痛み」となって突き刺さっていた。
「おい、麦わら。お前がインペルダウンやマリンフォードで何を見てきたか、忘れたわけじゃねえよなァ?」
黒ひげの目が、不気味に、そして冷酷に細められる。彼はルフィの髪を掴んで無理やり引きずり起こすと、その耳元で、かつてルフィの心を完全にへし折った「あの男」の最期を囁いた。
「エースは死んだ。お前の目の前で、なァ……! あの時とおなじだ。お前はまた、何も守れずにすべてを失うんだよ!」
「……やめ、ろ……!」
ルフィの瞳に、激しい怒りと、それを上回る過去のトラウマが過る。精神の動揺。
それは戦闘において致命的だった。
ルフィの息が完全に乱れ、覇気が急速に霧散していく。
覇王色の覇気すら、今の絶望の前には発動の兆しすら見せない。
「ゼハハハ! 怒る気力も残ってねえか! じゃあ、トドメといこうじゃねえか!」
黒ひげはルフィを再び地面に放り出すと、今度はその両足に闇を絡みつかせた。
ドロドロとした闇がルフィの脚を侵食し、まるで底なし沼のように、彼の体をじわじわと大地へと沈めていく。
「この闇はな、引きずり込むだけじゃねえ。お前の『記憶』も『絆』も、すべてを圧殺する闇だ。まずはその五感から消し去ってやる!」
闇が腰、そして胸元へと這い上がってくる。触れた部分の感覚が、完全に「無」になっていく恐怖。ルフィは叫ぼうとしたが、喉まで競り上がってきた闇が、その声さえも吸い込んでいく。
「……ッ、……!!」
声が出ない。
視界も徐々に黒く染まり、仲間たちの顔も、自分の夢も、すべてが闇の底へ沈んでいくような、圧倒的な孤立感と絶望がルフィを支配する。
その時、黒ひげが再び右拳を天高く掲げた。
その拳に集まるのは、先ほどとは比にならないほど巨大な、空間を裂く「震動」の光球。それは島一つを跡形もなく消し去るほどの、文字通りの絶滅のエネルギーだった。
「さらばだ、麦わら。お前の冒険は、ここで終わりだァ!!」
完全に闇に囚われ、身動き一つ取れないルフィの脳裏に、最期の瞬間が迫る。