「ゼハハハ! 跡形もなく消え失せろ、麦わらァ!!」
黒ひげから放たれた振動の光球、倒れつつもルフィはその大気のヒビをじっとみていた。
『あの隙間から黒ケムリだしてたな⋯』
「そうだ!」
ルフィの瞳に活力が漲る
落ちてくる大気のヒビに身体をねじ込んでいく!
「?⋯⋯!」
ギクリとする黒ひげ
手足に、血が巡る。心臓が、再び力強く脈打ち始める。
黒ひげの手さえ離れれば、この闇の中だろうと、ここはルフィの独壇場だ。
ドクン、ドクン、と、心臓が奇妙で小気味良いリズムを刻み始める。
「解放のドラム」の音が、音のない闇の世界に響き渡った。
「ヒャハハハ! 真っ暗で何も見えねえな!」
ルフィの髪と衣服が純白に染まり、自由の象徴たる「ギア5(ニカ)」が発動する。
闇の圧力など、今のルフィのゴムの肉体にはただの心地よい締め付けに過ぎない。
ルフィの目がカッと見開かれ、背後に巨大な太陽の光輪が浮かび上がる。
「いくぞ、黒ひげぇーーー!!」
完全に光と化したルフィが、闇の奥深くへと突撃していった。
完全な闇が眩い光に照らされる。
外の世界では黒ヒゲが異常をきたしていた。
「グォォォォ!」
外見からは分からないが内部で身体のバランスが崩れてきている。
その瞬間、ルフィの心臓が「解放のドラム」を最高潮に打ち鳴らす。
全身が真っ白に染まり、究極の自由を体現する「ギア5(ニカ)」が、黒ひげの体内という究極の密室で大爆発した。
「んんんんん……ゴムゴムのォ〜〜〜〜……!!!」
黒ひげの巨体が、あり得ない形に歪み始めた。
お腹が風船のように丸々と膨らみ、次に右腕がボコボコと異様に肥大化する。
ニカの力は、触れるものすべてをゴムに変える。
黒ひげの頑強な内臓も、筋肉も、骨も、すべてがルフィの理不尽なゴムの力に巻き込まれていく。
「ぎゃあああああああ!? 痛エ! 痛エ痛エ痛エ!! なんだこれはァ!!」
ただでさえ人の倍の痛みを引き受ける黒ひげの肉体に、内側から引き延ばされる激痛が襲いかかる。
のたうち回る黒ひげの体の中で、ルフィは完全にオモチャのトランポリンで遊ぶように大はしゃぎしていた。
「ヒャハハハ! 伸びろ伸びろ〜〜〜!」
「ゴムゴムのォォ 黒ヒゲ! そして〜〜ギガントガトリング!!」
ルフィはロキ以上の巨人となり、さらに腕をギガント化させ回転しつつガトリングを放ち各所で戦っている巨漢船長数人をなぎ倒した。
そして黒ひげの胃袋の壁を足場にして、ルフィが思いっきりジャンプする。
黒ひげの背中が、外側から見るとルフィの足の形そのままに思いきり後ろへボコンと突き出た。
さらにルフィが中でぐるぐると腕を振り回すと、黒ひげのお腹が洗濯機のように激しくねじれ、外側の衣服ごと雑巾のように絞られていく。
「や、やめろォ! 出ろ! 出ていけ麦わらァァ!!」
涙と鼻水を流し、自分の腹を自分でボカボカと殴る黒ひげ。
しかし、殴った拳の衝撃すらも中のルフィに吸収され、さらに腹がベコベコと歪むだけだった。
「よし、そろそろ出るぞ! 一番太いところからぶち抜いてやる!」黒ひげの体内で、ルフィが限界まで拳を巨大化させる。
「ゴムゴムの“業火拳銃(レッドホーク)”」の炎が、黒ひげの体内を真っ赤に焼き焦がす。
「“ギガント・ピストル”ーーー!!!」
「がはあああああああああああーーーっっっ!!!???」
黒ひげの口から、凄まじい衝撃波と炎、そして純白の輝きを放つ巨大な拳がブチ抜くように飛び出してきた。
内側から完全に破裂させられるような一撃を受け、黒ひげは白目を剥き、何十本の巨木をなぎ倒しながら遥か彼方へと吹き飛んでいく。
大爆発の煙の中から、ケラケラと笑いながら宙返りして着地する真っ白な戦士。
「あー、おもしろかった!……どうだ黒ひげ!」
ルフィは麦わら帽子を拾い上げると、パンパンと叩いて頭に被り、気絶しかけている黒ひげに向かって最高に自由な笑顔を向けた。