4本の足にジェットダイアルを着けて凄まじい速度で飛ぶバンダーデッケンの先には死闘を乗り越えた『麦わらの一味』全員が走っている。
バンダーデッケンの肩には大きな特殊な機械、それを肩車しているような格好でどんどんと麦わらたちに追いついて行く。
肩の機械には大きな筒状の物が10個、筒の背中側からコードのようなものがバンダーデッケンの手元まで伸びている。
「バホホ、待ってろよ麦わらぁ!」
――― 数年前 魚人島
五老星の一人、ジェイガルシア サターン聖は魚人島の王、ネプチューンの元へ出向いていた。
「ネプチューンよ、この城の牢獄にバンダーデッケンはおるな」
「おるにはおるが、何用じゃもん?」
「身柄を渡してほしい」
「いくら五老星様といえども犯罪者をわけも分からず渡せと言うのは⋯」
「ただでとは言わん⋯ レヴェリー参加、 どうだ?」
ネプチューンの顔色が変わる、オトヒメ王妃の念願、それが目の前に、手を伸ばせば届くところまで来ている。
バンダーデッケンを引き渡すのはさして問題ではない、マトマトの実ターゲットはリセットし、もうシラホシが狙われる心配はない、五老星とてバンダーデッケンを野放しにするわけもない、しかし、だからこそ意図がよめない。
悪い予感というやつをネプチューンは感じていた。
「バンダーデッケンをどうするつもりじゃもん」
「それは知らなくてよい」
「なに、魚人島に迷惑はかけぬ」
「しかし⋯」
「ネプチューンよ⋯私は交渉をしているが、交渉が必要なのか疑問を挟むものもいるのだがな」
ゾクリと背筋が凍るのがわかった。
いうとおりにしないなら力尽くをもじさない、完全な『脅迫』である。
国のため、オトヒメの念願のためにも従うしかなかった。
「わかったじゃもん、牢獄まで案内するじゃもん」
「それでよい」
その後2人は話すこともなく牢獄まで行き、バンダーデッケンを引き渡した。
バンダーデッケンはサターン聖にたいし、はじめは無骨な態度をとっていたが五老星のヤバさに気づいたのか、途中からは借りてきた猫のように背中をさらに丸めサターン聖のあとについて行った。
ネプチューンは一抹の不安を抱えつつも見送るしかなかった。
―――
狙いを定めるウソップ、バンダーデッケンはジェットダイアルで飛んでるため不規則な動きで狙撃するのは容易ではないがウソップの見聞色の力はいとも簡単に狙いを定める。
しかし、右肩の傷が狙撃の難易度をぐっと上げた。
デッケンの姿はさらに近づき誰の目にも見えるところまで来ていた。
ブルックに担がれているルフィがデッケンを視界にいれた。
弱々しい声で
「バッテンのやろぉぉぉ~、もっとぶっ飛ばしておけばよかった⋯」
その声にブルックは
「ルフィさん、あれと戦ったんですか?」
「なにいってんだぁぁ〜 お前がロビンをたすけてくれって⋯」
「私が戦っていたのはバンダーデッケンではありません」
「?!」
ルフィもブルックもわけがわからない、しかし今はサニー号に行くこと、それ以外に優先するものはなかった。
そのためにはバンダーデッケンの追撃をなんとかしないといけない。
ウソップの覚悟が決まった。
そして放たれる。
「必殺、太陽星、ゴッドオブエルバフ!!!」
それと同時にバンダーデッケンの肩から放たれる十本の閃光!!
ロビンを除いてちょうど10人、バンダーデッケンは世界政府によってマトマトの実を改良され、一指ごとにターゲット登録が可能になっていた。
ルフィに勝てるはずのない闘いに挑んだのはルフィをターゲットにするために右の人差し指で触れることだった。
デッケンは両手の指を特殊な箱に指す。
その瞬間に十本の指からターゲットを認識し自動追尾する閃光!
パシフィスタの閃光のような光がロビンを除いた麦わらの一味を猛追する!
「⋯ヤベェな」
呟くと同時に振り返るゾロ!
「マリモ、てめぇ!」
「みんなを頼んだぞ、 ――サンジ⋯」
「! マ リ⋯モ⋯」
言葉を失うサンジ
地面雲を蹴り、宙を舞うゾロ、その左目が開眼する
「背中の傷は剣士の恥!」
「鬼の目! 鬼気九刀流、阿修羅阿鼻九閃・常闇!!!」
ゾロから放たれた九本の斬撃!
バンダーデッケンの放った閃光はゾロの斬撃により一味に届くことはなかった。
一本を除いて⋯
ゾロの胸に突き刺さった閃光は無慈悲に心臓を貫きそのまま落下する。
途中、ほどけたバンダナがバンダーデッケンを仕留めた爆風にのりルフィのもとへ舞い落ちてきた。
バンダーデッケンもウソップの放った一撃により致命傷(恐らく絶命)をうけゾロと同時に落下する。
「ゾロォォォォ⋯」
絶叫するサンジ
目を疑うウソップ
戻ろうとするチョッパーにサンジは一喝する。
「行くな!チョッパー!!」
「でも まだ⋯」
チョッパーも分かっている。
だてに医者をなのっているわけではない
しかも一流の医者にまで上り詰めているチョッパー
致命傷の一撃かそうでないかくらいすぐわかってしまう。
「ゾロに⋯頼まれたんだ。 みんなをって⋯」
「行くぞ!」
走り去る一味を感じ、大の字に倒れたゾロが天に向かって剣を突き上げる
「約束は⋯⋯ま もった⋯ ぜ 、 ルフィ⋯」
満足気な口元のまま、静かに瞳をとじた――