〜特級裨益呪霊〜 黄昏の福音 作:楓舞星
(高校生が平日サボって映画来んなよ……)
彼は、そう思いながら、自身もそうだと言う事にため息をついた。
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「じゃあツバサが嘘ついてるって事ですかぁ!?」
「ぐっ!」
「やっぱ見てんじゃん!」
彼は蹴られ、殴られ、暴行される。胸ぐらを掴まれ、頬打ちをされ、顎を殴られ、みぞうちに足先を突っ込まれた。
「うっえ」
「うーわコイツ吐いたぜ?」
吐瀉物を吐き散らかした彼に対して、男は周囲の人間と笑いあう。
「お、お前たちみたいなガキ大将がいるから、僕は無関心こそ美徳だとーー」
彼が必死の答えを出そうとした時だった。
「大丈夫?」
彼女がきた。場は騒然とする。
「あ?誰だテメェ」
「偶然だよ。こんな所でイジメてるのが悪いよね」
そう言って、
トン。トン。トン。トン。
特級裨益呪霊は、全員を一瞬にして気絶させた。
「え、だ、誰ですか?貴女……」
「特級裨益呪霊ですっ!名前は覚えなくていいよ。因みに君の名前は?」
「吉野順平……特級裨益呪ーー」
「現闘を高精度で納めた『私』からしたらこの程度朝飯前なのさ」
順平がそれを反芻する前に、特級裨益呪霊は順平を気絶させた。そうして、彼女は順平を持ち上げ、吐き捨てるように言う。
「二度と『私』の前で胸糞を見せるな……殺すぞ」
そう、気絶しているいじめっ子に言い放ってから、彼女は順平を離れた場所に安置し、その場を去った。
その行為が魚を釣るのを教える行為ではなく、魚を配る、持続性のない愚行だということに気づいている。だが、根幹治療は、そも彼女には興味がなかった。彼女はただーー
ーー『目の前』の胸糞だけがどうしても許せない。そんな歪な者なのだ。それは真実……
だが、偶然でここに来れるものなのだろうか。本当はイジメや事故、事件を探し回っているのではーー
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「昨晩、未登録の特級呪霊2体に襲われた」
「災難……?勘違いすんなよ」
「僕にとっては街でアンケート取られたくらいのハプニングさ」
「……」
五条はそう言って、
「これからの世代は、特級なんて物差しじゃ測れない。牙をむくのが僕だけだと思ってんなら、痛い目みるよ……おじいちゃん」
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「こんなもんか、一級術師」
「残念ですが、ここからは時間外労働です」
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夕暮れの河川敷にて、彼らは話す。
「あれ?今ちょっと揺れた?」
「そうだね……震度2ぐらい?」
虎杖は奇しくも同級生の順平と話をしていた。そうして、順平は、虎杖の胸にある渦巻のボタンをチラリと見た。
(……渦巻のボタン?)
『彼らは呪術師なんだ、きっと順平と仲良くなれると思うよ』
(でも、呪術師って真人さんの敵だよな……)
「なあ、映画館で何みてたの?」
「みみず人間3」
「あれ超つまんねえよな!」
「でも、2だけはーー」
「でも、2だけはちょっと面白かったよな!」
二人は意気投合する。映画トークは盛り上がりを見せる。そんな中に、一人入ってきた人がいた。
「あれ?順平?こんなところで珍しいわね」
そう声をかかたのは、順平の母親だった。
「ちょっと、母さん!」
「その子はいったいだれ?友達?」
「ううん。さっき会ったばかり……」
その順平の不安げな顔に、虎杖は尻目に覗いてから、
「さっき会ったばかりなのに友達になれそうでーす!」
そう高らかに言った。
「それじゃあ、ウチでご飯食べてく?」
そうして、順平の母親、吉野凪はノった勢いでそう言うと、虎杖のお腹がぐーっとなって、
「それじゃあ、少し……」
そういって、虎杖、凪、順平は久しぶりに、大らかな晩飯を迎えた。
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里桜高校の事件後、吉野順平の自宅から、実母、吉野凪の遺体と、剥き出しの宿儺の指、副左腕小指が見つかる。吉野凪は、宿儺の指によって寄せられた呪霊に、襲われたと見られるーー
黒い服は持っていなかったから、母のクローゼットを開けて初めて目のついたものを羽織った。
嗅ぎ慣れた朝の空気も、見慣れた通学路も、
今日はーー
順平は震える体を、真人に支えられながら伝えられる。
『これは、宿儺と言って、呪いを呼び寄せる呪物なんだ』
『なんでっ、なんでそんなものがウチに……』
『人を呪うことで金を稼いでいる呪詛師は多いそう言う連中の仕業だろう』
『心当たりはないかい?君や母親を恨んでいる人間をーー』
「ああ……そう言うことだよね。真人さん」
「闇よりいでて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え」
「おー、できたできた」
「従宅地での事前告知のない帷……すぐに窓が通報するだろう。君の考えている絵図が描けるといいね」
「吉野、一体……」
「死にはしないよ……先生、ちゃんとみててね」
「聞きたい事がある。アレを置いたのお前か?」
「な、なんなんだよお前!?」
「なってないな」
「まだ自分が質問を質問で返せる立場だと思ってるのか?」
「なにしてんだよ!順平!」
「ひっこんでろよ。呪術師」
そうして、虎杖と順平は拳を振るいあう。もっとも、順平が用いるのはその式神であったが。
だが、話し合い、戦い合いの末に得たのは、
「ーー俺はもう、絶対に順平を呪ったりしない。だから、話してくれ」
「順平、高専にこいよ。バカみたいに強い先生とか、頼りになる仲間が一杯いるんだ」
「必ず報いを受けさせてやる!」
そう虎杖が心からの宣言をした時だった。不意に後ろから、笑い声がした。
「ふふ」
「誰だ!?っ!」
コツコツ。
その呪霊は体を変幻自在に動かし、虎杖を壁に押し付け無力化する。それに、順平は待ったをかける。
「待って、真人さん!!」
虎杖は七海から事前に聞いていた。ツギハギ呪霊の
「逃げろ!順平!コイツとどんな関係かはしらん!だが、今は逃げてくれ!」
「……え?」
理解不能な状況に、唖然とする順平だったが、そこに、真人はポンと肩に手を当てて、
「順平はさ、まあ、頭はいいんだろうね」
「でも、熟慮は時に短慮以上の愚行を招くものさ」
「ーー君って、その典型」
コツコツコツ。
「順平って、君がバカにしてる人間の、その次ぐらいにはバカだから」
真人はにっこりと笑って、
「だから、死ぬんだよ」
真人は自身の術式を手を介して使おうとする。
「無為転変」
コツコツコツコツ。
順平は真人の術式、無為転変により、紫の化け物、改造人間にされる。
「さあ、ラウンド2だ!」
「あ、間に合わなかった。『私』ってこんなのばっかし」
「っ、誰だ!」
真人に拘束された状態のまま、虎杖は叫ぶ。それに対し、彼女はルンルンと喋る。
「えーっと、宿儺の器くんだったっけ?よろしくね。特級裨益呪霊です」
(さ、最悪だ……と、特級呪霊が二体……)
「特級裨益呪霊か……どうしてここにきたの?まさか、邪魔しにきたなんて言わないよね?それにしても……魂の中心が存在しない?どういうことなんだ……?」
「んー、今のところ目的は、そこにいる人間を助けること。魂云々については知らないけど、まあ大凡の推測はつくかな。伊達に生きてないからね」
「……でも、もう順平は治せないよ?」
「そっか。まあそうなんじゃない?普通は」
「因みに、どうやってここを嗅ぎつけたの?」
「電化製品店のテレビで」
「はは、面白いことを言うね。君」
「それほどでも」
「ふふ」
「誰だ!?っ!」
コツコツコツコツ。
その呪霊は体を変幻自在に動かし、虎杖を壁に押し付け無力化する。それに、順平は待ったをかける。
「待って、真人さん!!」
虎杖は七海から事前に聞いていた。ツギハギ呪霊の
「逃げろ!順平!コイツとどんな関係かはしらん!だが、今は逃げてくれ!」
「……え?」
理解不能な状況に、唖然とする順平だったが、そこに、真人はポンと肩に手を当てて、
「順平はさ、まあ、頭はいいんだろうね」
「でも、熟慮は時に短慮以上の愚行を招くものさ」
「ーー君って、その典型」
コツコツコツコツコツコツコツ。
「順平って、君がバカにしてる人間の、その次ぐらいにはバカだから」
真人はにっこりと笑って、
「だから、死ぬんだよ」
コツコツコツコツコツコツコツコツコツ。
真人は自身の術式を手を介して使おうとする。
「無為ーー」
「おらー!」
ヒラヒラの喪服を纏ったアンテナ不審者が真人にドロップキックを浴びせる。そうして、守る様に順平の前に立った。