21話:渋谷事変の始まり
「お前はどうでもいい」
幸吉は振り返らずに、裏拳で刺すように真人に簡易領域を3本ぶち込んだ。
「は?な……んで?」
「縛りでお前は殺さないが、殺さないだけだ」
究極メカ丸は領域から出て、瀕死の真人を適当に山の中にぶち込んでから、
「さっさとやるぞ。夏油。ここまでなら、これほどスムーズではないにしろ、『3回目』で出来ていたらしい。あんな三下は放っておいてやる。お前がボスだ」
「……ふーん、これは予想外の展開……彼女の、
そう言うものの、夏油は印を結んで、
「領域展ーー」
「チャージ1年!
「ちっ!」
夏油が領域展開をする前に、予め分かっていたようなビームが放たれる。
夏油は避けきれず、袈裟がボロつく。ならばと、殆ど予備動作なしで出来る技にて対応しようとする。
「今から君が相手をするのはアジアの神の呪いだ」
そう言って出てきた呪霊はガネーシャのように見えた。ガネーシャの目が光った。
突然、究極メカ丸は10時の方向に向けて大祓砲《ウルトラキャノン》を放つ。
それは偶然にも、落下してきた隕石と衝突し、隕石を消し去った。
「ははっ、指示者が相当に優秀らしいね。今もこの帷の内のどこかでみてるのかな?」
そうして、積み重ねを見せる。
究極メカ丸は夏油の出す数多の呪霊に対応していく。時には殴りや蹴りで、時には領域展開をされかける時もあったが、突然の、あり得ない効果を発揮する様な位置で放たれる照射にて牽制を入れながらとても器用に戦っていく。
そして、ようやくできた隙。
ここまでに、もう既にチャージ12年分を使っている。
これで、最後だ。
最後に、幸吉が指示されたのは、追尾性能をなくし、殴りに全呪力を込める様な事。威力に全振りしたその技は、
「
それは、今の今まで考えていなかった技。即席で付けた名前と共に技は放たれた。
それは、下から抉り込む、アッパーの様な殴りに、夏油の身体は全身粉砕骨折以上バラバラ未満という様になった。気絶したように、夏油は倒れ込む。
そうして、使用者が気絶した帷を幸吉は解き、駆け出した。
呪力はガス欠で、素の身体能力だけで走るその気持ちは、どこか晴れ晴れとしていた。走って走って、疲れ切って倒れ込んだ所に、そこに、とある人物が近づいてきた。
「おつかれ」
「お前は……ありがとうとは言わねえ」
「別に感謝はいらないよ。けど、私がいなかったら死んでたよ?確実に」
「……」
「別に黙らなくてもいいじゃないか」
「まあ、ありがとうとは言っておいてやるよ」
「どっちだよ」
「縛りの内容を再度確認していいか?」
「うんいいよ」
「俺を助ける代わりに渋谷事変の開始、五条悟の封印まで姿を表さないこと、また永劫にお前の能力の説明を禁じる事……」
「まあ、それで異論はないよね?」
「……お前はもう知っているんじゃないのか?五条悟が封印されることを」
「まだ知らないよ。結局の所、私は適当な理由をつけて目先の君を助けたかっただけだからね。五条が封印されずに、君に永遠に仲間達の前に姿を表せない選択をさせたかもしれない。というか、そっちの方が確率的には高そうと考えるのが普通だよね」
「……助けたかった?呪霊のくせに、あい変わらず何を言っている?」
「君は悲惨な生まれながら、この国に、世界に対して献身してきた。呪詛師に堕ちず、正道を歩き続けた。悪道……夏油との縛りに引っ張られる事はあっても、あれは仕方のないことだ。だから、私は君を助ける。それだけのこと」
「……本当に呪霊らしくないな」
「私は呪霊だよ?たべちゃうぞー」
「……」
「ま、と言うことで、後は渋谷事変まで大人しく生を謳歌しててくれ。んじゃ、ばいばーい」
「まて」
「ん?なに?」
「何度やり直した?」
「カウント11258889回目。150年。殆どは、真人のスムーズな処理とガネーシャの乱数調整ビーム、夏油の呪霊どもの対処だった。どれも大変だったけど、真人のスムーズな処理が意外と実は1番難しかったかな。ああ、今回は短かったから端数もカウントしてるよっ!」
「……」
「……君がどれだけの痛みを背負ってここにいるのかは私にはわからない。それでも、君は頑張った。だから、その褒美みたいなもんさ。偉そうだけどね」
「……」
「じゃ、そういう事で」
特級裨益呪霊……
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〜渋谷事変〜
今日はハロウィンの日だ。渋谷は数多くの来訪者や住んでいる者で溢れかえっている。仮装した人たちが、ワラワラと溢れかえっていたときだった。
「あれ?なんだこれ?壁?」
「お前、なにパントマイムしてんだよ」
「いや、壁があるんだって」
「嘘こけ」
「じゃあ全力でダッシュしてみな」
「いくぜぇぇ!!ぶはぇぇぇ!!」
「ほら、壁あるじゃん」
「だ、大丈夫ですか!?」
順平はその光景を心配しながらも声をかける。これを馬鹿にしないで見えるのは、純粋に高専で自分が成長したからだと思う。それが、いい事かはまだわからないが、無関心が美徳だと悟った気分になっていた時よりはマシな精神性だと思っている。
「順平、そんなバカども放っておいて、さっさといくわよ」
釘崎がそういうと、順平は鼻血を垂れている人の安否確認をした後に釘崎や禪院直毘人、禪院真希の隣をついていく。
だが、そんなこんなで、意外と一般市民は丈夫なものだ。帷の中は案外落ち着いている。
現在は帷を壊す為に呪術師達は行動中である。
虎杖は冥冥、憂憂。
順平は釘崎、直毘人、真希。
伏黒は、七海、猪野琢真。
と共に行動していた。
五条は単独で渋谷駅の地下五階に向かっている。
テラスはというと……