〜特級裨益呪霊〜 黄昏の福音 作:楓舞星
「
彼女は習得した、『外殻のない』領域を展開する。その瞬間、五条の領域の周りを閃の心象風景が包む。そうして、
「っっ!??」
閃の領域が五条の領域を破壊する。
かくして、その全貌を五条に見せる。
(なんだ、この領域……イカれてるなんてもんじゃない)
天はオーロラの様に虹色に輝き、その中心には巨大な時計が滞在していた。天からは無数の雷が降り注ぎ、地は砂漠のようで、所々ドロドロに腐っており、腐臭が漂っている気さえする。だが、温かみの様なものがある気がして、脳内が軽いパニックを引き起こす。
そして、五条はみる。小さな、されど厳かな皆を照らす光、小さな太陽に座っている閃の姿を。
閃は五条に軽口を叩く様に、まるで友達と話すかの如く言葉を発する。
「上から見下される気分はどう?」
「最高だね。この領域ってなに?あと、ここの効果ぐらいは教えて欲しいね」
五条は気づいている。テラスから聞いているのだ。宿儺が、閉じない領域という不可解な技を使っていたことを。
閃は丁寧に五条に伝える。
「この領域は閉じない領域。ここの領域の効果は至って単純。情報を相手にぶつける事ができる」
「……へぇ……」
奇しくも同じ……そう、五条は思った。
「どんな情報なんだい?」
「私の歩んできた歴史……400兆1477億9万166年の記憶……それを、お前にぶつける」
大きさと密度だけならば、現存する『
『規模』だけに目を向ければ、人類史が始まって以来の全人類が束になって、一生を過ごしても、カケラも届かないほど、途方もない大きさ。
「その全てを超速圧縮させて、お前に送る」
「じゃあね。最強。リトライ100億回。約6万年。私に結界術の才能はなかったね」
基礎は一応出来てたのになぁとぼやいて、閃は、
太陽の上で足をぷらぷらさせながら、指で作った銃で五条に狙いを定めて……
――【弧虚炉・残影・終焉加速】――
五条を時の牢獄へと招待した。
「おっと」
領域を解き、倒れた五条を閃は支える。
「ま、嘘なんだけどね。本当に400兆年の記憶を送りつけたらどうなるかわかんないから、かなーり抑えたんだけど」
実際に送りつけた記憶は2年程度の記憶である。2年でも一般人からしたら相当な記憶の量であるが、六眼という特別な眼を持つ、情報処理が上手い脳をもつ五条なら一瞬ダウンするだろう程度の情報だ。
「やあ。お疲れ様。見事な領域だったよ」
「おっす。まあこれだけ練習すれば誰でも出来るよ」
そう話していた時だった。
「っ……」
五条が目を覚ます。
「おっと、早めにやらないとね」
「獄門疆、開門」
五条が仰向けになって倒れている所に、ババっとルービックキューブの様なものが開く。
「やあ、悟。久しいね」
「っ、お前は!」
五条が起きあがろうとしたその瞬間、ルービックキューブが五条の体を包む。
「……誰なんだ!お前は!!」
「誰って、夏油傑さ。親友の顔を忘れてしまったのかい?悲しいね」
五条は体を動かそうとするが、思う様に動かせず、
「……詰みか」
元々、領域勝負で負けた時点で詰みなのだ。封印されるだけ、死なないだけマシと捉えるべきか……
「お前はなんのためにそいつに付き添っているんだ?」
「しつまぶし」
「暇つぶしだろう、バカやろう」
五条は再び夏油に目を向けて、
「肉体も呪力も、この目に映る情報はお前を夏油傑だと言っている……だが、俺の魂がそれを否定してんだよ!」
「さっさと答えろ! お前は誰だ!?」
「キッショ……なんで分かるんだよ」
頭蓋をパカリと開いた夏油がその正体をみせる。
「うわっ、きも」
「そんなこと言わないでくれよ。傷つくだろう?」
そう言って、再び糸を縫い合わせた夏油は、
「あぶらっかしいし、さっさと閉じちゃおうか。おやすみ、五条悟。また会おうね」
「獄門疆、閉門」
かくして、五条悟は封印された。