〜特級裨益呪霊〜 黄昏の福音   作:楓舞星

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27話:閃vs宿儺 センテラスvs摩虎羅

 

 宿儺と閃は二つの領域の狭間にて殴り合う。両者はとあることを同時にしていた。

 

 それは、『範囲を半径50メートルに絞る代わりに、領域効果を底上げする』という縛りを自身に結ぶことだった。

 

 閉じない領域が閉じない領域と押し合いする。現実を陵辱しているとしか思えないその光景は、真なる呪術戦の極致。

 

「神闘、併殺古刹の型」

 

「っ!まだ神闘とやらはあるのか!」

 

 閃は領域を維持しながら、神闘での格闘をこなしていく。そうして、両者の削りあいは続行されていく。

 

 だが、

 

「龍閃崩拳っ!!」

 

「ぐっっ!!」

 

 テラスと同程度に神闘を修めている閃に格闘戦は分があった。というか、一撃も宿儺は閃に打撃を与えられなかった。

 

 しかし、押し込み過ぎると宿儺の領域に足を踏み込むことになり、そこでの無数の解や捌などは閃にもダメージを与える。

 

 だが、閃は体を無数の攻撃に晒されながらも、攻めることを決意する。

 

「神速閃拳!」

 

「深淵閃風!」

 

「龍閃崩拳!」

 

「ぐぅぅ!!!」

 

 神闘を陰で通しながら、攻撃を決め込む。そうして、宿儺が気絶しかけた寸前、

 

「……ちっ、時間か……だが、悪くない……」

 

 宿儺は愉快そうにふっと笑ってから、顔が、呪いの顔から、青年の、虎杖の顔になる。   

 

 虎杖は一瞬、ふらつきながらも、立っており……

  

「宿儺の器くん?大丈夫?」

 

 閃はそう言いながら、虎杖に話しかける。

 

「……あ、あっぶねぇ……アンタらありがとな!宿儺を止めてくれて……」

 

「おーけ。平気そうだね。これなら私も安心……さて、私も向こうにいくか……君はさっきの漏瑚に燃やされた人たちを助けてくれ」

 

 時間と共に高まっていく呪力を伴って、閃は駆け出した。

 

 _______

 

 そこにいたのは真っ白な巨人であった。全長5メートルはあるだろう巨人。手甲に巻きついているのは対魔の剣。呪霊を一瞬で消し去る正の呪力が存分に込められている。

 

 巨人は、気絶している伏黒に致命の一撃を喰らわそうとしてーー

 

 ーー「させねえよ!!」

 

 テラスは迅速に駆けつけ、前転を挟みながらも伏黒を助ける。

 

 さて、どうやってこの怪物を倒そうか。

 

 テラスは気絶している伏黒を側に置き、この強靭な巨大に対して、

 

「ーー1撃だ。1撃で決める」

 

 それは奇しくも、それはその怪物に対する最も適した殺し方。

 

「……」

 

 怪物はその言葉に何も返さない。ただ、剣を向けるだけ。

 

 テラスは、

 

「いくぞ、怪物。殺してやる」

 

「心神殺華・一閃」

 

 スパッと、その一撃は怪物の胴体を、否、中心を一閃に切り裂いた。それは、明確に致命傷を与えた……はずだった。

 

 ガコン。

 

「なに!?」

 

 切ったはずの怪物の頭上の方陣が回転する。つまり、生きていると言うこと。

 

 だから、テラスは、

 

「前言撤回っ!」

 

「豪魔一閃!」

「魂魄一閃!」

「乱舞一閃!」

 

 ガコン 

 

 そう、中心を更にメタメタに切り裂こうとしたのだが……

 

 (っ!コイツの中心、尋常じゃないくらい硬くなっているっ!)

 

「理円・絶華・煉獄一閃!!!」

 

「……」

 

 ガコン。

 

 とうとう、ナイフが通らなくなった。そして気づく。

 

 (こいつの能力はおそらく『適応』!私のナイフに対する適応をしている!)

 

 テラスは200億年の経験で、怪物の能力を考察する。

 

 怪物は、テラスに攻撃を仕掛ける。だが、それをテラスは、

 

「神闘、邪乱古奏の型」  

 

 テラスが神闘を使い、対応した瞬間だった。

 

 ガコン ガコン ガコン ガコン ガコン ガコン  

   

 数秒で方陣を鳴らしながら、神闘に、テラスの動きに対応していく。それに一瞬動揺するテラスだったが……

 

 だが、

 

「テメェの神闘の成長速度は確かにえぐちぃ。速度と神闘にまで適応出来ちまうレパートリーの広さだけは褒めてやる。だがな、私の200億3万年には足りねえよ。もしも私に勝ちたいのならーー

 

 ーーその方陣をあと、そうさな、後2000億回はまわせ」

 

 冗談か本当かわからないようにそう言ってから、

 

「図虚空……私から更に吸い上げろ。限界なんてぶち壊せ。私の前に限界など無粋なものなど不要だ……ーー

 

 ーーだから、共に限界を超えて舞うぞ」

 

 1??%

 

 そう言って、テラスの姿が異形めいたものへと変わっていく。全身から血が出て、敵からのダメージは負っていないというのにもうすでに死屍累々。失血による昏倒と、それよりも重大なのが、精神への負担だ。

 

 2??%

 

 ざっと、肉体のダメージよりも、128倍ほどの強い精神的ダメージを受けている。

 

 3??%

 

 本来なら、頭がイカれてぶっ壊れる呪具なのだ。五条が用意できる中で、最も肉体的ダメージを抑えて、精神的ダメージをくらうようなモノにしてもらった。慣れれば、完全に肉体ダメージから精神ダメージのみに切り替えることも可能になるかもしれない。

 

 4??%

 

 本来なら、喋ることすらできない、呼吸することすらままならず、生きることを放棄するような地獄の中、テラスは、

 

 5??%

 

「おい、まだ足りねえ。もっとだ。もっと吸い取れ」

 

『もっと』を要求する。その要求に、更にその呪具は正気と生気を吸い取る。テラスの精神を吸い取る。

 

 凄惨に拷問されて死ぬよりも辛い地獄で、テラスは、余裕綽々の表情のまま

 

「コレなら…………テメェを殺せる……」

 

 1000%

 

「……」

 

「じゃあな。怪物」

 

 テラスは理解できない速さの、正に神速で怪物との距離を殺すと、

 

「天聖・龍牙一閃」

 

 ズバッと中心を取り出してから、

 

「細転一閃」

 

 人外の膂力と言う言葉ですら生々しいただの力技で、テラスは中心を一閃ではなく、粉々に、バッラバラに裂いた。

 

 そして、その残った残骸に、

 

「龍閃崩拳」

 

 まだ適応されていないだろう拳での一撃をお見舞いし、完全に吹き飛ばして消滅させた。

 

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