〜特級裨益呪霊〜 黄昏の福音   作:楓舞星

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2話:センテラスの戦闘能力

 

 夜の帷はもう降りている。オカ研のメンバーは、こう言うホラー系は夜の部室でやるのが良いと言い、テラスを巻き込みながらその箱の開封を実行しようとしている。

 

「ねぇ、これ、中身どんなのなのかな?」

 

「さぁな、だが、面白えもんが入ってるかもよ?」

 

「早く帰りてーっす……」

 

「なんだ?ビビってんのか?」

 

「び、ビビってねえし?」

 

 テラスはここまで長引くとは……と言うより、夜まで待たされるのは思っていなかった。知っていたらもう適当な嘘をついて帰っていた。

 

「それじゃあ、開封〜」

 

 そう言いながら、佐々木先輩が箱を開ける。そこには、いかにもな封印がされてる、人の指ほどの大きさの物体があった。印が刻まれた巻物がぐるぐると巻かれている。

 

「わー、すごいね」

 

「おー」

 

「……なにか、嫌な予感がする。やめた方がいいよ」

 

「ここでやめるなんて男がすたるぜ!」

 

「先輩……全く……」

 

 テラスの言葉には耳を貸さないで、佐々木はそのまま指にくくりつけられている、旧い言葉が書き記してある巻物を剥がしてゆく。

 

 そうして現れたのは、

 

「人の指……?」

 

「んなわけねえだろ。ニセモンからパチモンのどっちかだろ」

 

「それどっちも同じ意味じゃない?……じゃなくて、先輩達、なんか近づいてきてませんか?」

 

「近づいているって?なにが?」

 

「足音?気配?……違う!!これは私にしか感じ取れないモノ!!」

 

「おいおい、お前電波系にでもなっちまったのかよ。そう言うタイプじゃなかったと思うんだが」

 

「っ!井口先輩!危ない!」

 

 テラスは井口先輩を突き飛ばした。

 

「おっと、なにすんだよ!」

 

「みんなここから逃げて!『さっさとしろ』!」

 

「「っ!!は、はい!!」」

 

 何故か、歳下のテラスの呼び声に両者は威圧されると、井口と佐々木は指を置いていき、いっぺんに学校の外に出て行った。指はそのまま置かれたままだ。

 

 一人、テラスは首をゴキリと鳴らす。威風堂々とした面構えで、

 

「お前らみたいな異形が『この世界』にいるとは思ってなかったから、私が残っていて、本当に良かった」

 

 近づいてくる気配、いや、気配よりも薄い。もはや気配とすら呼べない。透明な、だけれど明確な異形。

 

 自身を喰らいに来ているそれらをテラスは体軸をずらし、時には片手側転など技術を用いり、攻撃を避ける、避ける。

 

 そうしている内に、朧げに輪郭が捉えれてきている気がする。

 

 勿論見えてはいないのだが……

 

「全部見えてれば、見えない物も見える!」

 

そう言いながら、その巨大な異形の輪郭のみをピシリと読み取っていく。

 

 そうして、

 

「見えた!『閃拳』っ!!」

 

 その異形の中核……魂や器と言うのだろうか。または、それのどれにも当てはまらないモノを打ち砕く『正拳突き』を放つ。

 

 そうして、それは異形の体に深々と突き刺ささった。

 異形は口を大きく開けながら倒れ伏し、チリと化す。

 

 だが、異形はこれだけではない。奥には、更に多くの異形がいる。

 

 テラスはとある部屋に駆け込んだ。

 

 調理室だ。

 

 テラスは調理室の部屋の扉を回し蹴りで破壊、突破し、その部屋の中からとあるものを拝借した。

 

 ペティナイフだ。

 

「拳じゃしんどそうだからね。ちょっと借りるよ……返すとは言わないけど」

 

 そうして、調理室に入ってきた異形に対し、テラスは

 

「一閃」

 

 ナイフでの応戦を決意した。ここでこの異形共を排除しておかないと、明日ここにくる先生達の身に危険が及ぶと判断してのことだった。

 

「月華一閃」

 

 全ての異形に対して、的確な技を持ってして特攻する。テラスの技はおかしな妙用が働いていると言わんばかりの戦果をあげる。

 

「魂魄一閃」

 

 その時だった。

 

「おいお前!何をしている!」

 

 声をかけてきたのは特徴的な漆黒の服装をしている青年だった。この夜の学校にこんな人物が紛れ込むなんて、可能性は一つしかない。この異形共を倒せる可能性のある人物ということだろう。テラスは確認がてらに聞く、

 

「おい男!この異形共が見えるのか!?」

 

 テラスの質問に、漆黒は驚いたようで、

 

「なに!?逆にお前は見えていないのか?」

 

「見えないね!私は雰囲気で戦いをしている!」

 

 ついファントムに返しながらも、テラスは殺戮の手を止めない。

 

「ちっ!よくわからないが、玉犬!白、黒、いけ!」

 

 そう言うと、見えないが犬のような輪郭が現れ、異形を倒そうと奮闘する。テラスは召喚獣のようなものかと納得する。

 

 そうした時、窓ガラスをバリンと割って彼が登場した。虎杖悠仁だ。

 

「おい、テラス、伏黒、大丈夫か!?」

 

「大丈夫かじゃねえ!くるなっつたろ!呪力がないお前がきても、なんの役にも立てねえ!!」

 

 伏黒が怒気を強めて言った瞬間だった。背後からの、巨大異形からの卑劣な奇襲。

 

 そのままタックルされるような形で伏黒はダウン寸前になる。頭からは血を流して、意識が朦朧としているようだ。

 

「……ど、どうして一級呪霊がここに……?宿儺の指があるとは言え……」

 

「伏黒!」

 

 何か動揺している伏黒に、そう叫ぶ虎杖だったが、何かを思いついたのか、テラスに聞く、

 

「指、指ってどこにある!?」

 

「指ぃ?アレのことなら多分、部室に置いてあると思うけど……」

 

「サンキュー!ありがとよ!」

 

 そう言って、虎杖は全力疾走していった。テラスは訝しげにそれを見ながらも、目の前の事態に対処しようとする。

 

 漆黒……助け人である伏黒はダウン寸前であることを確認してから、

 

「……これを言うのも久しぶりだね」

 

「助け人はやられた。虎杖はいない。私は一人。ミッションは、異形の壊滅……」

 

 テラスは、すっと息を吸うと吐き出して、そして、キリッと目線を世界に向けると、

 

「ミッション、了解」

 

 そう宣言し、巨大異形と対峙した。

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