テラスは屋上に移動しようとし、超巨大異形倒そうと試みる。伏黒と呼ばれていた助け人もなんとか私についてくる。
「おい!お前、名前はなんて呼ぶ?」
「テラス!閃テラス!言っとくけど、日本人だからね!ただのトチ狂ったキラキラネームってだけ!」
屋上にたどり着いたテラスは、その多腕の異形を見上げる。ざっと6メートルはあるだろうか。
テラス軽く呼吸を整えながら、ステップを踏む。
そうして迎えるのは、異形から伸ばされる腕。当たれば屋上の床すら破壊する威力を持つそれは、しかしテラスには当たらずに、意味のない攻撃に終わった。
だが、テラスからしたらその攻撃こそ意味のある、歓迎していたことだった。テラスはその腕に乗り上げる。
テラスに乗られたことを鬱陶しがった腕が激しく動くが、テラスは頭に直進しながらも腕の機敏に鋭く動き、本体へと向かっていく。
そうして、向かった先では雷速の、複数の一閃。腕が無数の分身をしたかの様に見え、数多の陰を置き去りにする神技。
「
異形の体を切り、切り込み、切り裂く。そうして感じ取るのは、異形の『中心』。この強大な『中心』に、彼女は、最高火力技をぶつける。
「
それは、円とアステロイドを描くように行われる。そして最後に円の中心に煉獄一閃……全力の突きで切り込みを入れ、技は終了する。この技だったら、確実にこの異形を仕留め切れる……そう思ってのことだったが……
パキッ
「っ!!」
ペティナイフが、最後の煉獄一閃に、技の行使に耐えきれず、破損した。それと同時に、腕により『中心』の近くにいたテラスは持ち上げられる。
(なんだ?急に、『中心』が……体全体が強化された……?)
「くっ!放せこらぁ!!殺そうとしたのは謝るよ!!!300円あげるからぁぁ!!!!」
そう言うものの、テラスは襟を掴まれたまま動けない。詰みだ。
それを自覚した時だった。このままでは負ける。つまり、伏黒とやらや、虎杖も死ぬかもしれない……それを反芻した時、
テラスの闘志が燃え上がる。だから、
「ちっ、こんなところで言う羽目になるなんてね……全く、腕の鈍りは本当に嫌になる……」
すっと、こんな状況なのにゆっくりと息をはいて、
「ヒーロー見ーーー」
そう、言い終わるときだった。
「伏黒!俺に呪力ってもんがあればいいんだよな!?」
「っ!馬鹿!やめろ!!」
その声が聞こえた。不可視の斬撃が腕を切り、持ち上げられていたテラスは落下する。
「あっぶな!地面コンクリだぞ!もっとゆっくり下せ!」
落下したテラスはなんとか五点着地をし、落下の難を切り抜ける。そして、身勝手な文句を言い、どうして自分が落下したのか頭を悩ませたところで、虎杖の様子が変貌していることに気づいた。
虎杖(?)は言う。
「いい時代になったものだな……鏖殺だ!!!」
そうして、虎杖(?)はビリリと上半身の服を破く。全身にタトゥーのような模様が入っており、テラスはそこで、コイツには底知れぬ膂力と、圧倒的な気配があると判断した。
伏黒が床をドンと強く叩きつける。
「最悪だ……宿儺が……受肉した……」
どうやら、あの虎杖(?)は、宿儺という存在が受肉したが故の存在の様だった。
テラスは、ふっと息を吐き、宿儺と呼ばれる存在に声をかける。
「やあ宿儺っち。その虎杖っちゅう奴の体を返してけれ」
あえての態度でテラスは宿儺に話しかける。
「……なんだ貴様、俺に向かって……ほう!『人間』か!この時代にもいるものなのだな!」
「人間……?まあとにかく、虎杖の体置いてってどっか行ったら痛い目見ないで済むよ?」
「痛い目……だと?ふはははは笑わせる!」
「そっかぁ、ちょっとオイタがすぎまちゅねぇ……」
会話のドッチボールに励んでから、テラスは構えた。元々、人型を破壊する為の技が自分の技だ。よって、この宿儺と言う者が人型を取り続ける限り、自身は有利をとれる。
「だがな、貴様なんぞ、これで十分だ」
「解」
飛ばされるのは術式からの攻撃。それをテラスは鋭敏に感じ取る。
(糸のような気配。込められているのは切断属性のようなもの。狙い所は首。当たったら、死ーーー)
世界が一瞬、スローになる。
テラスは頭をスウェイさせ、それを躱わす。それに対し、宿儺は驚愕の声をあげる。
「なに!?見えているのか、俺の術が!」
「っ!」
テラス自身、自身の当て感がまだ失われてないことを安堵しながらも、急接近し、
「神速閃拳!」
怒涛のラッシュを繰り出すが、岩でも殴ってるみたいに硬い感触。その間にも、宿儺はテラスに殴りを突きつける。これもまた、当たったら即死。
よって、
(神闘、『
テラスは格闘戦において、宿儺の常に一歩先をいくという『神の技』を披露し、その殴りをしゃがみ込んで避け、同時に攻撃へと移行した。それは、地に立っているものを堕とす技。
「深淵閃風」
その名も、足払い。そうすることで、宿儺をなんとか倒れ込ませることに成功する。
そうして、低い体勢のまま、必殺技を放つ。
「龍閃崩拳!!!」
「ぐっ!」
宿儺のどてっぱらに一発、必殺技を打ち込むことに成功する。宿儺は驚愕と笑みをもって応答する。
「ははは、なんだ貴様……なんだ?名前を教えろ」
「私?私は……」
「センテラス、探偵さ」
そう、テンプレを用いて返した。
「センテラスか……その名前、覚えたぞ」
宿儺がそう言った瞬間、顔面や上半身からタトゥーが消える。そうして、穏やかな青年の顔になった。
「あれ?テラスか、大丈夫だった?あ、そうだ!伏黒が大怪我してーーー」
元に戻った様子の虎杖の姿を見て、伏黒は、
「『大丈夫か?』、はお前の台詞じゃねえ。お前の方こそ大丈夫なのか?まさか、宿儺の器にーーー?」
「ちょっとー、お二人さーん。色々話を聞かせて〜」
テラスは男二人の掛け合いにジト目で参加する。そして、先ほどまでいた異形はなんだったのか、宿儺とはなんなのかをじっくりと聞く必要がある。
そんな時だった。
「やっ、おまたせさん」
「っ、五条先生!」
白髪に目に黒い目隠しをしているような変態が突然現れた。名前を五条悟と名乗った。
「やあ、まず何があったか聞かせてくれるかい?」
「それがですねーーー」
伏黒は、まず虎杖が宿儺という化け物の器になったこと、そして呪力というもの無しに呪霊を倒せる私の存在のことを話した。
「なるほど、とりあえず、君、呪力なしで呪霊が倒せた……というのは本当なのかい?」
「っすね。うっすうっす」
「なるほど」
「わかるんですか?」
「いや、特になにも」
「「……」」
「あとは、君、虎杖くん。宿儺と変われるかい?」
「多分出来るけど……」
「じゃあ、10秒経ったら交代だ……」
五条は軽くストレッチしていると、
かくして、戦闘が始まった。
んで、終わった。
散々舐め腐った私にてっきりヘイトが向くかなぁと思っていたテラスだったが、そんなことはなかったと杞憂に終わり、とりあえず帰路についた。
そうして、テラスは、東京都立呪術高等専門学校の招待状を受けることになったーーー