〜特級裨益呪霊〜 黄昏の福音 作:楓舞星
東京都立呪術高等専門学校への入学手続きを経て、虎杖とテラスは五条と共に学長へ面談することとなった。
「チカラ以外の序列はつまらんな」
虎杖が、急に出てきたソイツをパシッと止めた。
「テラスは学長と面談したいかい?」
「なんで私だけ選択制?」
「君はもう、覚悟決まってそうだからね」
「どうせなら受けるよ。そこに山があるなら登るだけや」
テラスとしては、虎杖が受けると言うのに、自身だけ受けないことを、五条に認められているとはいえど、どこか卑怯と感じていた。だから、受けることにしたと言うのが本音。
「ははっ、そうかい。やっぱり君ってどこか律儀な所があるよね。壊れた部分をイカれた部分で隠してるサイコパス」
「それ、本当に生徒の前で言っていい言葉なんですかね?私のダイヤモンドハートもつい粉々になっちまいまっせ」
そんな会話をしていると、学長がいると言う寺に着いた。
「ほら、挨拶して」
五条に促され、虎杖とテラスは挨拶をする
「虎杖悠仁です!好みのタイプはジェニファーローレンス!」
「閃テラスでーす。銭湯民族ニホンジンの王子です」
テラスは適当に虎杖に合わせて挨拶を行う。それに対して、学長は真摯に受け止めて、
「……お前たちは、呪術師となり……その先に何を求める?」
「何って言うか……」
「そこに呪いがあるんだったら、登るだけだ!それがニホンジンの誇り!私はニホンジンの王子ぃぃ!!」
虎杖は真に受け、テラスはめんどくさそうに答える。
「呪いによる被害だからと看過しないと言うのか?」
「……」
「え、呪術師って呪い撃滅系民族の結集隊なのではなくて?私、それになりにきたんすけど」
「……お前は銭湯民族ニホンジンなのではなかったのか?」
「そんな小ボケは忘れたぜい!」
「……お前は合格だ。出てけ」
「うっす!」
「あっ、ちょっ、テラス!」
テラスは足早にスタターとその場を出ていった。内心、おいおい、こんな顔合わせで大丈夫なのか?と常識的感性に身を委ねながら。
_______
その施設の中心に来たテラスは、質問する。
「ここはどう言う施設なんですか?」
「ここは訓練場。まあ鍛錬に使う部屋だね」
五条は高専の施設について紹介していた。
「へー、五条先生もよく使うの?」
無事に学長から合格を貰った虎杖が質問をする。
「そうだね……昔はよく使ってたかな」
五条は『昔』に想いを馳せながらも、
「どうする?一回使ってみる?」
「私は大丈夫かなー」
「俺は……うーん、どうしよう」
「そうかい?僕としては、どちらとも、特にテラスの実力が気になるんだけど」
「そんなん気にしてもなんにも出ないっすよ」
そう言うテラスであったが……
「いや?教師として生徒の実力は正確に把握する必要がある。ただでさえ生徒を死地に追いやる仕事なんだから」
「せ、正論……いや、私の論理武装が弱すぎる……まあ、でも、そんなに意味ないと思いますよ」
テラスは伏目がちに言う。それに対して、五条は不思議そうに、
「どうしてだい?」
「だってーーー
ーーーごじょせんじゃ私を測れないと思うので」
テラスは申し訳なさそうにそう言った。実のところ、今のテラスの言動は、ある種の誠意を尽くしたつもりである。五条の言い方から、恐らく生徒が死んだ事例も実際に存在するのだろう。それを慮ってのことだということにも気づいている。だから、それに対するお礼の様な物だ。
同時にテラスは気づいていたのだ。五条からは、また一つ、違う眼差しが見えたことを。それはーーー孤独の眼。テラスに、何かを、新しいモノを期待する眼。だから、テラスは敢えて挑発する風に言った。教職に就いている五条では、自身の欲にかまけて己に勝負を挑むことさえできないと思ったから。
きっと、五条は孤独なのだろう。その圧倒的な実力で、周囲がきっと、なんか花にでもなにかに見えているのではないだろうか。そう、テラスには思わないことができなかった。
ーー誰もいない草原で、切磋琢磨するその辛さは、テラスもよくわかっていたからーー
だから、テラスは胸を貸す思いで、五条よりも身長が低いと言うのに、覗き込むようにして、
「ごじょせんじゃ私に勝てませんよっ!ーー
ーーもしかして、びびってんですか?」
「ーー言うねぇ……」
「ちょ、テラス何やってんの!」
虎杖は慌ててるが、それは宿儺を仲介してとはいえ一度五条と戦っているからだろう。
「ルールはどうする?」
「えーっと、確か術式っていうのがあって、先生の場合はそれが無限を操るモノなんでしたっけ。まあ、それはナシ……それ以外は全部アリでやりましょうか?試合時間は1分でいいでしょう」
「へぇ、それじゃあ呪力も使うけど、
「いいですよ。そんな眼をする奴はこらしめてやります。
瞬間、
テラスが五条の顔面を蹴り上げようとハイキックを繰り出すが、五条はクイッと顎を上げて避ける。
「ちょ!」
虎杖は慌てて動き、部屋の奥からそれを見つめることにした。内なる宿儺も、それを笑いながら見ていた。
次回、センテラス(試合)vs五条悟(試合)