転生したら同級生がプリキュアだったんだが。   作:オタクの人

1 / 2
 見切り発車が出発いたします。
 アニメが進んで設定が崩壊する可能性あってこわい。
 小説を投稿するのは初めてなので、至らぬどころだらけだとは思いますがご容赦を。


1.転生したら同級生がプリキュアだったんだが。

 東京・某所。

 天気予報にない雨を降らす空。

 1月のまだまだ凍えるような気温の中、通る人々は白い息を漏らしながら歩く。

 近所の高校生たちの帰宅時間が過ぎ、社会人の帰宅にはまだ少し早い、そんな時間のこと。

 人のまばらな駅のホームで、それは唐突に起きた。

 

 

「誰か!! 110番を!! ナイフを持った男が暴れていたんだ!!」

 

「救急車も呼んで!! 私をかばって刺された子がいるの!!」

 

 

 けして普通ではないが、さして珍しいとも言えない、世界のどこかでいつでも起きるであろう事件。

 通り魔事件。

 

 

 そこに偶然居合わせてしまった、一人の男子高校生。

 彼が、たまには図書室にでも寄っていこう、なんて思いつかなければ。

 あるいは、それが今日でなければ。

 

 

「が……ぁぁ……!!」

 

 痛い。熱い。寒い。気持ち悪い。

 全身が濡れた冷たいコンクリートに触れることを気にも留めず、地面に伏せながら必死に一番熱い箇所──ナイフで刺された腹部を抑える。

 

 近くで先ほど押しのけた女性が叫んでいるようだが、何を言っているのかを聞く余裕などない。

 

 大したことをするつもりはなかった。

 

 ただ、すごい勢いで走ってる男と目の前にいた女性がぶつかりそうだったから、間に体を割り込んだだけ。

 走る男を注意して、女性が大丈夫だったかを確認して、それで終わりだと思っていた。

 

 

 体を割り込んだ瞬間に、走ってきた男の形相と手に持っている凶器を目にするまでは。

 

 

 

 どれだけ抑えても、お腹から熱が漏れ出ていく。少しずつ、しかし確実に体が冷たく、寒くなっていく。

 開いているはずの眼が光を受け入れなくなっていく。

 先ほどまで感じていた尋常じゃない痛みも、徐々に感じなくなっていた。

 

 そうして、どうしようもない最期を認識した脳みそがゆったりと動き出した。

 

(ああ、すごいな……。死ぬ前って、本当にこういう風に考える猶予があるんだな)

 

 創作の中でしか知らなかった死を体感し、どうでもいいことに感心する。

 

(普通こういう時は、走馬灯か何かを見るもんだと思うんだけどな)

 

 あいにく、そうまでして見直したい過去や道筋などはなかった。

 何不自由なく育ち、何事もなく成長し、特段語ることがないまま18歳になった。

 来年行く大学も決まっていたが、特に何の期待も抱いてはいなかった。

 

 恐ろしく恵まれた、幸せで退屈な日々だった。

 

 これからも、今までみたいにすでに踏み均された山と谷を歩いていくものだと。

 そう思っていた俺の道は、どうやらここで終わりを迎えるらしい。

 

 思い残すことも特にない。

 普通に、親より先に死んでしまう不孝を申し訳なく思うくらいだ。

 あとはそうだな、強いて言うなら……

 

(次のプリキュアシリーズ、面白そうだったのになぁ)

 

 18歳の高校生という情報にも、ナイフに刺されて倒れているこの状況にも全く合わないことを考えながら、俺の──閑鳴(ひまな)ヒロの人生は、そこであっけなく幕を閉じた。

 

 

 

 

 ******

 

 

 ……はずだった。

 

 

 

 あの日、通り魔に刺されて命を落としたはずの俺は、なぜか現在1999年のマコトミライ市という場所で日々を過ごしている。

 

 いわゆる転生という奴だろう。

 

 あの後、気が付いて目を覚ました時には、俺は赤ん坊になっていた。

 1985年マコトミライ市生まれの閑鳴ヒロとして、第二の人生が始まっていたのだ。

 

 

 なぜ転生だけでなく過去に戻っているのか分からなかったが、せっかく授かった二度目の生ということで、初めは混乱しながらも、14歳の中学二年生である今日まで生きてきた。

 

 そしてたった今、転生時以来二度目の特大の困惑が俺を襲っていた。

 いや、これに関しては俺が悪い部分もあるんだけどさ。

 

「はい、ということで。今日からこのクラスで一緒に過ごすことになりました!」

「明智あんなです、よろしくお願いします!」

 

 ここ、名探偵プリキュアの世界じゃねえか!!!!!!!!

 

 一瞬の静寂の後、すぐに湧き上がる歓迎の言葉たち。

「こちらこそよろしくね!」

「よろしくなー!」

「分からないことがあればなんでも聞いてね!」

「ただし、俺には勉強以外で!」

 なにそれー! と、クラスに笑いが広がる。

 

 そんな明るい雰囲気のなか、一人頭を抱えて状況を整理しようとする俺に隣の席の女の子が嬉しそうに話しかけてくる。

 

「閑鳴さんほら、あの子がさっき話した今日転校してくる私の友達です!」

「……ああ、確かに聞いてた通りすごいいい子そうだな」

「はい、あんなはとても優しくていい子なんですよ!」

「わかった、わかったから一回落ち着こうか、小林さん」

 

 無意識に身を乗り出していたことに気付き、えへへ……と恥ずかしそうに自分の席へ戻る女の子。

 小林みくるさん。そう、小林みくるさんだ。

 

「それじゃあ挨拶も済んだところで、明智さんの席だけど、小林さんの隣ね」

 

 先生の声で転校生の紹介が終わっていたことに気付く。

 改めて小林さんの方を見れば、とても嬉しそうな顔で明智さんの方へ控え目に手を振っている。

 そうして、俺にとって特大の爆弾が落ちた朝のHRは終わりを迎えた。

 

 さて、言い訳をさせてほしい。

 俺が今の今まで、この世界が名探偵プリキュアの世界だと気が付かなかった言い訳を。

 

 いや、いろいろと違和感自体は感じてたんだよ?

 ただ過去に転生しただけだとは思ってなかったよ?

 

 だって街の名前も景観も妙にかわいいし。

 基本的にいい人ばっかりだし。

 なんか美男美女しかいないし。

 髪の毛の色多種多様すぎるし。

 良く行くパティスリーの店員さんとか髪青色だしバカかわいいし。

 隣の席の子どこかですごい見覚えあったし。

 探偵目指すなんて珍しいなーとか思ってたし。

 でもなんか妙にしっくりきたし。

 

 こんだけ違和感覚えてるなら気づけよって思うじゃん?

 

 仕方ないじゃん! だって最後に名探偵プリキュアの放送前の情報見たのもう14年前のことだし!

 転生直後はこの時代と年齢通りの生活に慣れるのに必死だったし!

 言った通り放送前で実際に話を見たわけじゃないから詳しく知ってるわけでもないし!

 

 俺もずっともやもやしてたんだが、明智っていう特徴的な名字と、小林さんと明智さんを同時に見て一気に思い出した。彼女たちプリキュアだわ。

 さすがに小林って名字だけじゃ思い出せんかった、すまん。

 

 さて、自分の鈍さ加減を自覚すると同時に長年のもやもやが解消された。

 状況を整理するのにはもう少し時間がかかりそうだが、ずっと考えていては今日が終わってしまうからな。

 

 一旦抱え終わった頭を上げると、すぐ横で賑やかな人だかりができている。

 小林さんの隣の席。つまり俺の隣の隣の席で、明智さんの席だ。

 さっそく転校生としてクラスの話題の中心となっているようだ。

 

 

「ねえねえ、明智さんってどこから来たの?」

「えっと、理事長が入れてくれて……」

「部活とかやってた?」

「携帯持ってる? メル友になろー!」

「め、めるとも……?」

「「「私もー!」」」

「わ、わあああ……!」

 

 一度に押し寄せてくる人たちを処理できず、パンクしかけている明智さん。

 若干かわいそうだが、周りのみんなが明智さんと仲良くなりたいと思った結果だ。

 微笑ましい光景である。

 思わず口角が上がるのを感じながら、頬杖をついて人だかりを見つめる。

 

「あんな。ゆっくり答えていこう?」

 

 あわあわしていた明智さんに、小林さんが助け舟を出す。

 話し方が子供を勇気づけるお母さんみたい。

 

 周りの子たちもその様子を見て落ち着いていく。

 

「ごめんね? この時期に転校してくるのって珍しいからつい……!」

「あんなって呼んでもいい?」

「うん! もちろん!」

 

 あっという間にクラスメイト達と距離を縮めていく。

 中学生の純粋さと明智さんの見てわかるいい子らしさがそうさせるんだろう。

 このクラスの子たちもみんないい子だしな。

 

「オカルトとか信じる? 7の月の噂とか!」

 

 7の月……? と頭に? を浮かべる明智さん。

 今日転校してきた初対面の女の子への初手の話題がそれで良いのかそこの男子生徒よ。

 

「最近話題になっているんだよ! 1999年7の月、地球に大魔王がやってくる……! って話!」

「あくまで噂だけどね」

「へぇー……!」

 

 あ、よかった。ちゃんと話膨らんだみたい。

 

 転生してから、(精神的に)年下の子たちを近くで見る機会がとても多いせいで、変なお節介みたいなのをしそうになることがたまにある。

 

 自分では気を付けているつもりだが、それでもたまに漏れてしまうようで。

 クラスの子たちからは、変な呼び方をされることもしばしば。

 

 

「そういえば二人って、同じ家に住んでるんだよね? どんな関係なの?」

 

 えっ、そうなのか。親御さんとかは大丈夫……って、ああ、そういえば。

 確か明智さんの方は、未来からタイムスリップしてきたのだったか。

 俺は転生だけど、生きていた時代は近かったはずだ。

 俺も未だにメル友などの言葉には反応が送れたりするし。

 

 ってなると、ここには両親どころか住む場所すらなかったわけで。

 それなら相方? 相棒? と一緒に住むこともあり得るか。

 

 

 ……放送前は面白そうとか思ってたけど、実際にその状況の子を目の前にすると重すぎるな。

 14歳の女の子が知らない時代に一人送られたのか。

 

 ……いかんいかん、まーた杞憂しそうになった。

 彼女の隣には小林さんがいるし、少なくとも今は楽しそうだ。

 俺がどうこう考えても仕方ないな。

 大人しく見守ることにしよう。

 

 




拙い文章でしたが、読んでくださってありがとうございます。

前書きの通り小説投稿は初めてなので、行間をこうしてほしいとか、地の文の量が多いとか少ないとか、誤字脱字とかの問題があればぜひ教えてくださると助かります。

もちろん、普通の感想もとても嬉しいです。
この短さじゃ感想も何もないとは思いますが。

話がおもんないのと文章が下手な場合は言われても直らんので低評価で許してください。
自分の中でも賛否両論あるんですけど、指が勝手にこう書いたので内容は手遅れなのです。

あとむっちゃ筆が遅いのも許してください。もうすでに映画のワンシーンやだいぶ後の曇らせを書いてあるくらいには書く順番が無茶苦茶なのでなかなか続きが出ないとは思いますが、遅いなりに頑張って書いていきたいと思います。

とはいえ最初なので明日も続きを投稿します。
次回から2人と関わりますので、もしよければ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。