初めてアニメでここの謎を見たときはとても感心しました。
学びもあっていい謎。
あとがきにも書きましたが、感想のほうを非ログインユーザーでもできるようにさせてもらいました。
ドアを通ってみると、即座に重力に従い落下を始める体。
前に進んだはずなのに、床と水平になって出てくるのは不思議な感覚だ。
慣れない感覚に戸惑いながらも体勢を制御し、足から手という流れで衝撃を逃がしながら着地する。
事前に意識していなければ、まともな着地は難しかっただろう。
まぁ落下と言っても高さは教室の天井からだから、大けがになることはないだろうが、心配は心配だからな。
すぐさま立ち上がり、今出てきたドアの方を見て構える。
横向きに出てくるわけだから、お姫様抱っこの形がいいだろう。
……というか今更だけど、この向きで助かったな。
マコトミライ学園の女子生徒の制服はスカートだ。
普通に上から降りてくるだけだったらとてつもなくまずいことになっていた。
勝手にヒヤッとしていると、まずドアから小林さんが出て……というか落ちてくる。
もちろん横向きで。
「やっぱりまた……! って、閑鳴さん!?
あぶな……!」
「オーライオーライ」
立ち位置を微調整して、落下してきた小林さんを受け止める。
腕だけの力で受け止めようとすると小林さんが痛いと思うから、足の筋肉と膝を上手く使って体が沈むように。
「うし、上手く行ったかな」
「ひゃっ……!」
無事受け止めきれたはず。
どこぞのパズーさんじゃないから転生前を含めても女の子が落ちてきた経験はさすがになかったが、さすがはこの体。
うまく行ったみたいだ。
ぱっと見だが小林さんも痛がってはなさそうだし。
「次が来るからな、悪いけど床に降ろすぞ」
「は、はいぃ……!」
明智さんに備えて腕を空けるため、すぐに小林さんを優しく床に下ろし、再度上を見て構える。
ちょうどそのタイミングで明智さんも落ちてくる。
「わぁぁぁ!」
「ポチー!」
さっきので要領は掴めたからな、ミスはしない。
同じように全身を使い、なるべく明智さんが痛くないように受け止める。
「……ふぇ?」
「ほっ、と。ナイスダイブ。
ポチタン……もちゃんといるな」
「ポチ~♪」
明智さんの肩からぴょこっと顔を出して返事をするポチタン。
髪に隠れて見えていなかったか。
なら、これで無事に全員移動できたかな。
「んじゃ、明智さんも降ろして……」
「すごーい!!!」
「わあびっくりした」
今まできょとんとしていた明智さんが、降ろした瞬間立ち上がってぴょんぴょんとはしゃいでいる。
どうしたどうした。
「閑鳴さん、すっごく力持ちなんだね!
はなまるびっくりしちゃった!」
「ん、ああ……実はちょっと鍛えてるんだ」
「へぇー……! ねえねえ、今のもっかいやってほしいな!」
「呑気か。無邪気か。そして子供か」
「む、ちゃんと子供だもん」
「そりゃそうだが」
こんなとこで駄々こねられましても。
何度目かわからんが敵の攻撃食らってる最中だぞ。
さっき楽しいとか思ってた俺が言えることじゃないけど。
ちなみに、鍛えているというのは嘘である。
さすがにちょっと鍛えたくらいで上から落ちてくる女の子を同い年の男の子が受け止めるのは無理な話だ。
ならどうしてできたのか。
どういうわけか今のこの体、間違いなく14歳のはずなのに身体能力が少し鍛えた20代前半くらいなのだ。
理由は謎だが、まぁ転生が関係しているのだとは思う。
正確な原因なんて考えてもどうせわからないので、アニメなんかでたまに聞く「肉体は精神に引っ張られる」ってマジなんだなぁと勝手に思い込んでいる。
それかセルフワン・フォー・オール。あれ、これだとワン・フォー・ワンか?
閑話休題。
最初は普通だったが、見る見るうちに歳の割には怪力になっていた。
体力や足の速さなども同様。
そういうわけで、このくらいの高さなら女子中学生一人ずつであれば受け止められるというわけだ。
まぁそうはいっても変身したプリキュアとは当然比べるべくもないから、今後役に立つかはわからないけどな。
「ぶっつけ本番だったけど、痛くなかったか?」
「うん! 全然痛くなかったよ!」
「ポチ!」
「なら何より。小林さんは……小林さん?」
明智さんは見るからに元気だが、最初に受け止めた小林さんは降ろしたところでぺたりと座り込んだままである。
ミスった感覚はなかったが、どこか痛めたのだろうか。
心配になりしゃがんで顔を覗き込むと、なにやら顔が赤い。……顔?
「ひゃ、ひゃい!! なんでしゅか!?
ど、どうかしましたか!?」
「いや、どうかしたかはこっちのセリフだが……。
座ったまま動かないから、上手く受け止められなかったかと思って」
「いえ!! ぜんっぜん! へいきです、だいじょうぶです!
なので、あの……! あ、あんまり今こっち見ないで……!!」
そう言うと、自身のハーフツインにしている髪と手を使って顔を隠されてしまった。
なんでこうなっているのかはわからないが、何か拒否されたことは分かる。
大丈夫って言ってるし怪我とかではない……のか?
頭に? を浮かべて困惑していると、明智さんが助け舟を出してくれる。
「あー……閑鳴さん、みくるのことは一旦任せてもらってもいいかな……?」
「え、どうにかできるのか?」
「どうにかっていうか、なんて言うか……えっと、とにかく大丈夫!
多分痛かったわけじゃないので!! お気になさらず!」
明智さんに背中を押され小林さんから離れる俺。
謎は深まるばかりだが、明智さんが大丈夫って言うなら大丈夫なんだろう。
俺が悪かったならあとでちゃんと謝らなきゃな。
正直私も気持ちわかるよ……という謎の明智さんの言葉を耳にしながら周りを見回す。
壁にかけられた見覚えのあるいくつもの人物画。
太鼓のような見慣れない楽器から、馴染みのあるピアノまで。
「ここは……音楽室か」
いつの間にか来るときに通ったドアは無くなっている。
体育館から理科室、そして理科室から音楽室。
恐らくここにも、そしてこれから行くであろう他の教室にも謎があるんだろう。
先ほどは理科室にちなんだ内容だったし、今回は音楽の問題かもな。
そう思ってドアに近づくと、ゴウエモンの声が響く。
『脱出せよ。ドアを開けるには鍵が必要。鍵を打て』
そして同時に、ドアの引手の横に5本の横線とその上で3つの縦に並んだ鍵穴が出現する。
これが今回の謎ってことか。
鍵を打て……か。ふむ……。
……ああ、なるほど。これはいい謎だな。シンプルに面白い。
「閑鳴さん、今のって……!」
「こ、今回の謎ですか?」
ただただこの謎に感心していると、2人がこちらへ駆け寄ってくる。
小林さんは……まだ少し顔が赤いけど、大丈夫そうだな。
何があったか気にはなるけど、今は掘り下げない方がいい気がする。
心の中で明智さんに感謝をしながら、2人にドアを見せる。
「ああ、今回も鍵を探すみたいだな。鍵を打て、って言ってた。
それと、ドアのこれ」
「5本の線と、鍵穴?」
「だな。この謎は小林さんの方が解きやすいかもしれない」
「私の方が……ですか?」
「ということは、もしかして閑鳴さん、この謎解けたの!?」
「まぁ謎解きだからな、偶然閃くこともある。
2人も解けると思うし、やってみな」
「わかった! みくる、一緒に解こう!」
「うん、頑張ろう!」
解けたのに先に進まず謎を楽しんでるけど……ゴウエモンも何も言ってきてないしいいか。
プリキュアに仕掛けてるのに関係ない生徒が謎を解いていっても面白くないだろう。
そういえば、ゴウエモンと森亜るるかたちはどうやってこちらを見ているんだろうか。
声のタイミング的に見られてるのは間違いないと思うが。
不思議な力で覗いているのか、物理的にどこかから見ているのか……
「うーん、この5本の線ってなんだろう?」
「音楽室で見る5本線……五線譜じゃないかな?」
「ああ、楽譜に書いてあるやつね!」
「そうなるとこの鍵穴は音符を表していて、この位置を五線譜と合わせると……ドミソ!
鍵はドミソ!」
「なるほど!! ……で、ドミソの鍵を打つって何?」
「そ、それは……」
周りを確認しているうちに、気づけば謎は解けそうなところまで来ていた。
さすが小林さん、早かったな。そこまでわかったならもうすぐだろう。
ヒントくらいは出してもいいかな。
「ゴウエモンはさっき、『鍵を打て』と言ってただろ?」
「はい、そうですね」
「さっきはここが問題文だったが、今回の問題は5本線と鍵穴の方だから、この『鍵を打て』っていうのは指示文だと思ってもいいかもな」
「なるほど、指示文……うーん、あと少しで分かりそうなんですけど……!」
「みくる、がんばれ~!」
「ポチ~!」
もどかしそうに悩んでいる小林さんを横で応援する明智さんとポチタン。
謎の方はほぼ解けているから、あとは思いつくだけだ。
「『鍵を打て』は別の言い方もできるぞ」
「鍵を打つ……別の言い方……
……あ、分かった!!」
ヒントを聞いてすぐに閃いた小林さん。
そして君も閃くとアホ毛がピコーン! ってなるのね。
「ドミソの鍵。その在りかは……そこ!」
そう言って小林さんが指すのは、音楽室には必ず置いてあるであろうピアノ。
うん、俺もそう思う。
「で、合ってます、かね?」
宣言した後になぜか俺のことをちらっと見て不安げにする小林さん。
「俺は出題者じゃないけどな。でも同じ考えだ。
俺に確認しなくても、小林さんが考えてそうだと思ったんなら自信持っていいんだぞ?」
「は、はい。わかりました!」
「でも、なんでピアノ?」
ピアノと聞いてもピンと来てなさそうに首を傾げる明智さんとその傾げた顔でむにゅってなってるポチタン。かわいい。
「俺は偶然閃いただけだから、小林さんの話聞きたいな」
「偶然なことないと思いますけど……えっと、正確にはピアノの鍵盤の部分!
漢字で書いた鍵盤の最初の文字はカギとも読むでしょ?」
「そっか! ちなみに、さっき閑鳴さんが言ってた『鍵を打て』の別の言い方って?」
「それは多分、打鍵のことですよね?」
「正解、そういうことだ」
そう言うとぱぁ……! と嬉しそうにする小林さん。
そういうことされるとすごいぞーって撫でそうになるからやめていただきたい。
「打鍵?」
「うん。ピアノの鍵盤を押して音を出すことを打鍵するとも言うの」
「なるほど、『鍵を打て』を言い換えて打鍵する、ってことなんだ!」
「それとさっきの音符。このお団子みたいに一列に並んでいるのは和音と言って、鍵盤ごとに別々になっている音を、同時に鳴らすって意味なの!」
「あ、本当だ。これ今考えたら和音だな」
「私はそもそも和音を知らなかった……」
「普通の人はコードって言葉のほうが聞き馴染みがあるかもな。
コード進行とか」
「あ、私もそっちなら聞いたことある!
コードって和音のことなんだ!」
「そうそう。でも、俺はあの鍵穴が和音ってことまでは気づかなかったな。
さすが小林さん」
「みくるすごい!!」
「ポチー!」
「えへへ、昔ピアノ習ってたから……!」
少し照れた様子の小林さん。
探偵になりたいと言っていただけあって知識が豊富だ。
「あ、もしかして閑鳴さんが最初みくるの方が解きやすいって言ったのって……!」
「昔ピアノを習っていたって話を聞いたことがあったからな」
「よ、よく覚えてましたね? 一瞬話しただけだと思いますけど……」
覚えていたというより、先ほどプリキュア関連のことを思い出すのと同時に小林さんとの会話もある程度思い返していたからだが。
今日までプリキュアなんて意識せずに関わってきたからな。
「ま、それじゃさっそくドミソの鍵を打つか」
「うん!」
「はい!」
みんなでピアノに近づき、鍵盤の蓋を開ける。
「ポチタンは俺と一緒に鍵盤を押すか」
「ポチ!」
そして3人で並んで、ド・ミ・ソの音を同時に奏でた。
するとドアの方からガチャリ、と鍵の開いた音がした。
「よし。これで音楽室の謎、クリアだ」
「「やったぁ!!」」
「ポチー!!」
さて、さっきみたいにゴウエモンに急かされないようにしないとな。
「さっそく次の謎に……」
「ひ、閑鳴さん! ちょっと待ってください!」
「ん? どうした?」
当然のように最初にドアを開けて進もうとしたら、小林さんに止められてしまう。
あれ、なんかまたちょっと顔赤い?
「その、もしかしてまたさっきと同じように受け止める気だったり……」
「? もしかしても何もなくそうだけど」
「な、何かしら他の手は……?」
「探せばあるかもしれないけど、多分そんな時間ないと思うぞ?
またさっきみたいに言われるだろうし」
「ですよね……うぅ……!」
「一緒に覚悟を決めよう、みくる!」
「あんなはさっき喜んでたじゃない……!」
「それは、その……えへへ」
「??」
「ポチ?」
何やらひそひそと話す2人。
またしてもよくわからない反応だ。
そんなに受け止められるのが嫌なんだろうか。
あれか? 体重とかの話だろうか?
理科室でも言ったが、2人ともすごい軽かったけどな……。
女の子のことは難しいな。
「ま、悪いが多少嫌でも無理やりそうさせてもらうぞー。
2人が落ちて怪我しない方が優先だからな」
そう言って、ドアを開けて次の教室へ進む。
次の謎は何かなー。
「別に嫌とは……! って、もう行ってるし!」
「こういうところは強引なんだね……」
「ポチポチ~」
******
「そう来なくっちゃなぁ!」
椅子をたくさん積み上げて、その上に立ってのぞき穴からみてるゴウエモン。
……アイス食べたいな。
「ゴウエモン、楽しそう」
「あの妖精の力を見るんじゃなかったの?」
「にしても、プリキュアに助手がいるなんて知らなかったが……」
「聞いてないし……あたし達は見物させてもらいましょ」
「……助手?」
助手なんて、今まであの2人を見ているときにはいなかったはずだけど。
最近できたのか、それとも今までは偶然見かけなかったのか。
……助手、ね……。
「るるか? 大丈夫?」
「マシュタン……うん、平気」
「さぁて、そろそろ俺の出番だな?」
張り切って移動を始めるゴウエモン。
「私たちもいこう」
「ええ」
さっきまで、謎解きにはあまり興味なかったけど……
後輩たちの助手がどんなものなのか、少し気になる。
読んでくださってありがとうございます。
奇跡的に間に合ったので連日投稿です。
リアルの用事もあるので、さすがに次は間が空きますが。
はやく書きたいですね。
そしておかしい……恋愛要素があるかも決めてなくて、描いてる時ですら全然意識してなかったのに、気づいたらみくるがメインヒロインみたいになってる。
あんなより出会うのが早かったので、みくるの方が先に焼け始めている。
アニメ的に一番の爆弾の可能性があるのに果たして大丈夫なんでしょうか。
一応作者本人はあんなが一番好きなはずなんですけどね。もちろんみんな好きですが。
創作って不思議だ……。
こういうのもあり、タグやあらすじなどが結構コロコロ変わります。
曇らせは恐ろしく先のことなのでとりあえず消して、気づいたらラブコメ? だったのでラブコメタグを追加しました。
あらすじも結構変えてみましたが、どうでしょう。
前の方が内容が伝わりやすいという方がいるようなら戻そうかなとも思います。
創作って難しいですね。
それと感想のほうを非ログインユーザーでもできるようにさせてもらいました。
こんな設定があったとは知らず……
今後の展開について感想の方で質問してくれた方がいましたが、他の方も気になることがありましたら気軽にどうぞ。
普通の感想でももちろん。とても喜びます。
それではまた次のお話で。