リアルの法事があって少し間が空いてしまいました。
今回からは話ができるたびに投稿していくので、時間は不定期になると思います。
すごい勢いでお気に入り登録数が増えていてありがたい限りです。
想像以上に色んな人に見ていただいてるみたいで、名探偵プリキュアという作品の盛り上がりと人気を実感しますね。
「ほっ……って、ありゃ?」
再び来るであろう落下を警戒しながらドアの先へ進んでみたが、どうやら今度は普通に移動させてくれたらしい。
後ろを見ると、ここと先ほどまでいた音楽室のドア同士をつなげたようだ。
そういえば、最初に体育館へ送られた時も理科室のドアと体育館のドアを繋げていたのだったか。
じゃあずっとそうしてくれとは思うが、相手は敵である怪盗団ファントムだ。
さすがにそれは甘えだろう。
……でもあのゴウエモンってやつ、あんま悪いやつって感じしないんだよな。
なんか頼んだら普通にやってくれそう。
マコトジュエル? ってのを盗んだ過去があるなら、悪いことはしてるんだろうけど。
「えい! ……って、あれ?」
俺と似たようなリアクションでドアを通ってくる明智さん。
落下を覚悟してるとそうなるよな。
「今回は落ちるわけじゃないんだ!」
「みたいだな、ランダムなのかあっちのさじ加減なのか」
「そっかぁ、ちょっと残念……」
「なぜそうなる……? 落ちるのが好きってこと?」
遊園地でめっちゃ絶叫系とか乗るんだろうか。
「そっちじゃないよ!? お姫様抱っこの方!」
「ああ、そういう……そんなになるもんか?」
確かに明智さんはもう1回やって! とか言ってたな。
「なるよぉ、お姫様抱っこなんて女の子皆の夢だもん!」
「そうなると嫌がっていた小林さんの女の子としての立場はどこへ」
「あれは嫌がってるというか……喜びの上というか……」
さっき覚悟決めなきゃ……! みたいな話をしてたのに嫌がってないことあるのか?
嫌なら嫌って言ってもらってもいいんだがな……
女の子の夢ねぇ。
「あんなんで喜んでくれるなら後でいくらでもするけどな」
「ほんと!? あれ、でもさっき嫌がってたような……?」
「嫌じゃないさ、減るもんでもないし。
ただ、今はからくり迷路の中だからな。
落ち着いた時になら別に……」
「じゃあ、約束ね!!」
食い気味にそう言うと、ニコニコと見るからに上機嫌になる明智さん。
うーむ、分からん。
もしかしたら、タイムスリップのせいで生まれた寂しさとかが理由なんだろうか?
それなら小林さんとの反応の違いも納得はできるし。
「そういえば、小林さんは?
さっきは小林さんが先に来てたけど」
「みくるなら、心の準備が出来たらポチタンと来るって……あ、来た!」
ドアの方を見ると、そこにはポチタンを抱えて目をキュッと瞑りながらちょこちょこと出てきた小林さんが。
「ポチポチ!」
「……あれは心の準備ができたって言うのか……?」
「あ、あはは……」
「あ、あれ? 落ちない!?」
小林さんを見て苦笑いをする俺と明智さん。
目を開けて周りをキョロキョロとして驚く小林さん。
すると通ってきたドアが閉まり、早速ゴウエモンの声が聞こえてくる。
『脱出せよ。ドアを開けるには鍵が必要。
鍵は俺が持っている!』
「鍵は俺が持っているまじか」
今までとはだいぶ系統が違うな。
かくれんぼってことか?
ここは図書室だ。
見えにくい場所ならいざ知らず、隠れる場所は多くなさそうだが……
てかこれ謎って言うのか……?
「あのゴウエモンって人を見つければいいのかな?」
「なら簡単ね!
隠れてそうな場所を一つ一つ探していけば……!」
『おおっと忘れていた! 今回の謎の制限時間は1分!
時間内に見つけられなければそこでゲームオーバーだ!』
「ええ!?」
「急にずるい!!」
うん、やっぱこれ謎じゃねえわ。
そりゃ図書室の中だけでかくれんぼなんて制限時間が無きゃゴウエモン側に勝ち目はない訳だし、妥当ではあるんだが。
本当に急にずるいじゃん。
『スタート!』
すると、天井に出現した1分タイマーがカウントを始める。
「どどどどど、どうしよう〜!?」
焦った様子で小林さんの肩を掴んでグワングワン揺らす明智さん。
焦るのはわかるがやめたげて。アホ毛とハーフツインがブンブンしてるから。
めちゃ目回ってるから。
「あうあうあううぅ〜……あ! そうだ、プリキット!!」
「あ、そっか!」
……プリキット? ってなんだ?
「オープン! プリキットミラールーペ!」
え、何それ。
なんかストラップが大きくなって虫眼鏡みたいなのが出てきた。
そういうのもあるのか……!
正直めっちゃ気になるけど、制限時間的に聞くのはあとにしておこう。
「ジェット先輩曰く、ミラールーペがあれば大事な手掛かりを見逃さない!」
あ、ジェット先輩の名前が出てきた。
確か記憶ではいかにも発明家みたいなゴーグルを付けてたし、もしかしてジェット先輩がそういう道具を作ってるのか。
え、すご。阿〇博士かよ。
2人はミラールーペなるもので図書室の床を観察してるようだ。
床見てどうなるんだ……? 髪の毛でも探すんだろうか。
「はなまる発見!」
「この形は、ゴウエモンの下駄の痕!」
髪の毛とかいうレベルじゃなかった。
足跡は拡大どうこうで見れるものじゃない。
ってなると、過去の痕跡を見れるのか。マジですげーやんジェット先輩。
「えっと、こっちのほうに続いてて……」
そう言ってミラールーぺを覗き込みながら歩いていく二人についていく。
今回は……というか今回も俺が何かする必要はなさそうだ。
この子たちもジェット先輩も優秀で助かる。
「ここで消えてる……?」
「他に足跡は……! あああ! あとちょっとしかない!!」
「ポチ~!!」
「ええええ! ひ、閑鳴さんどうしよう!?」
「そこで俺に振るんかい」
と思ったらまた二人が慌て始めてしまった。
まぁ誰だっていきなり今までにない制限時間を設けられれば慌てる。
さすがにこれで永遠に閉じ込められますってのはかわいそうなので、俺も今思いついたズル……というか力技を使うことにしよう。
「2人とも、足跡はここら辺で消えてるんだよな?」
「うん、それは間違いないんだけど……!」
「それが分かれば充分……!
ポチたんと2人とも、今から何も聞かず俺と同じポーズとれ!」
「うん!」
「わかりました!」
「ポチー!」
みんなにそう言ってから、耳を塞ぐポーズをとる。
全員が同じ体勢になったのを確認してから、小林さんと明智さんに聞こえないような声でさらに呼びかける。
巻き添えは可哀想だしな。
「あと、一応どっかで見てる君らもな!」
実際に見てるかは分からないけど。
大きく息を吸い込む。
かくれんぼとしてはだいぶズルいが、急に謎解きから制限時間ありのかくれんぼに変えたそっちもお互い様ってことで。
腹に力を込め、先程吸い込んた空気を今度は全力で声として吐き出す。
「わあ゛ぁ゛────!!!!」
その瞬間、すぐ横の本棚が不自然に動く。
効果アリだ。
「ま、当然ビックリするわな、近くで急にデカイ声出されたら」
耳を塞いでいた2人とポチタンですらびっくりしているのだし。
少し痛む喉を手で抑えながら本棚へ近づく。
そして本棚──正確には、本棚が描かれた布を取り去る。
すると、中からは耳を抑えて苦い顔をしたゴウエモンが居た。
「くっ……!」
「「居た──!!」」
耳を塞いでくれ、と伝えてしまうと前もって警戒されていたかもしれないが、名指しで同じポーズをとれって言う事によって反応が遅れたのだろう。
そもそも、咄嗟に耳を塞ぐだけでも動きは発生するしな。
残り時間は、5秒。
耳から手を離したゴウエモンがこちらを見る。
「なるほどなぁ、なかなか嫌なことしてくるじゃねえの?」
「悪いとは思ってる。
が、一応これも知恵ってことで。
この付近まで絞ったのは名探偵たちのおかげだし」
「フッ、違いねぇ」
そう言って、律儀に鍵を渡してくるゴウエモン。
い、潔いなこいつ。
悪役なら今のはもうちょい悪態ついてもいい部分だと思うぞ。
絶対根はまとも寄りだろお前。
「少々想定とは違ったが、この俺にかくれんぼで勝つとはなぁ!
褒めてやるぜ」
おお、忍者屋敷みたいに本棚と一緒に裏返って消えていった。
ほんとになんでもありだな、この異空間。
「「図書室の謎クリアー!」」
鍵を持って喜ぶ2人。
謎と言っていいのかもクリアと言っていいのかも分からんが、次に進めるなら良しとしよう。
「って閑鳴さん、喉は大丈夫ですか!?」
「! そうだよ、すごい大きい声だったし、喉痛いんじゃ……!」
「ポチ……?」
「ん、まぁちょっとは痛むけど、大したことない。
見つかったんだしオールオーケー」
わざわざ心配しに来てくれる優しい2人とポチタン。律儀だなぁ。
声も枯れたりしてないしな、と声を聴かせて問題ないことを伝える。
「良かったぁー……!」
「ごめんなさい、最後の最後で慌てちゃって.」
「私も閑鳴さん頼りになってこんなことに……」
「いや、制限時間が迫ってきたら誰だって焦るさ。
それに2人のおかげで近づけたからあんな力技が意味を成したわけだし」
俺だけではゴウエモンの居場所に近づくことができなかっただろう。
それだと大きい声を出してもそもそも効果が薄いし、動かせても気づけない可能性が高い。
と、いうわけで。
「2人とも、ほれ」
「「?」」
少し浮かない顔の2人にそれぞれ両方の手のひらを向けて掲げる。
ちょっと前に同じことをしたし、伝わるだろ。
さっきと立場は逆だけどな。
「「……!」」
「あれが出来たのは2人のおかげだからな。
ナイス、2人とも」
「うん!」
「はい!」
そう言って、2人がそれぞれ俺の掲げた手の平をぺチ、とかわいい音を立てて叩く。
ナイスハイタッチ。
こんなことでしょんぼりさせるのは嫌だからな。俺が勝手にやったことだし。
笑顔に戻ってくれたみたいでよかった。
「あと、ポチタンもな」
「ポチ~♪」
ポチタンのほうに手のひらを向けると、ちっちゃな手をぽむ、と合わせてくれた。
やわらか。そしてかわいすぎる。
これだけでのどの痛みとかどうでもいいわ。
「それじゃ、次の謎もどんどん解いてこう」
「そうですね!」
「がんばろ~!」
「ポチポチ!!」
元気いっぱいで何より。
そうして、次の謎を解きにドアを開ける。
それからの謎は、また今までと同じような流れで謎解きだった。
家庭科室では『鍵を編み出せ』という文に従い、小林さんが何とか毛糸で鍵を編んでクリアした。
俺と明智さんは不器用だったので上手く作れなかった。
ポチタンは毛糸の塊と一体化して転がってた。そうはならんやろ。
美術室では、多数の鎖と南京錠でガチガチのドアがあったが、明智さんがそれらを全部無視してシャッターのように下から開けられることに気づきクリア。
俺と小林さんは美術室という部分に無駄に引っかかってしまい分からなかった。
明智さんはやっぱり頭が柔らかいみたいだ。
小林さんは知識や技術が必要な謎を解き、明智さんは直感やひらめきが必要な謎を解いていった。
ちなみに道中の教室間の移動は図書室以降落ちることは無くなっていた。
ゴウエモンがコイツらこれならすぐに移動してくれるわ、ってなったのかもしれない。
俺のエゴのせいで申し訳ないっすゴウエモンさん。
そうして順調に謎を解いていって、行き着いたのは……
「あれ? 体育館?」
「最初に来たところだよね?」
「戻って来たわけだな。これで一周なのか?」
『その通り! これが最後の謎だ。
脱出せよ。正解のドアを選べ。
前へ進むには後ろへ戻り、道なき道を作り出せ』
「進むには……戻る?」
「あからさまな謎だな」
「ですね……今まで通り問題なんだとは思いますけど……」
「ポチポチ!」
「ん、どうしたポチタン?」
何かを見つけたポチタンがドアの方へ飛んでいく。
「ポチ!」
「ドアにマーク?」
「本当だ、全部のドアにマークがあるんだな」
「えーっと……5つのドアにはそれぞれ、〇・△・☆・♪ ・✕のマークがあって……」
小林さんがドアのマークをメモしていく。
「これが謎を解くヒントだと思う」
「さっきの言葉からこのマークのうちどれかを導き出せば、それが正解のドアなんだろうが……」
「うーん。……! 行き詰ったら初めから考える! みくるが前に言ってたでしょ?
つまり、今までの謎を振り返れってことだよ!」
「そっか!!」
「前へ進むには後ろへ戻る、つまり正解のドアを開けるには今までを見直すってことか、なるほど」
行き詰ったら初めから、というのは何かを考えるにおいてとても大切なことだ。
答えが灯台下暗しなこともあるし、美術室での俺と小林さんみたいに思考が固まってしまうときもある。
そういう時はいったん最初から考えるのが一番の近道であることも少なくない。
「まずは今まで通った教室とマーク……あ、音楽室で謎を解いたから♪ マークが正解とか……?」
「ゴウエモンが言ったことを思い返してみて、『道なき道を作り出せ』。
これも関係あると思う」
「そうだな……だが、道ってのが何かわからないな。
俺たちは教室と教室をワープしながら来たわけだし……」
いや、道なき道って言ってるわけだから実際に歩いてきたかは関係ないか?
うーむ、この謎は難しいな。
「ここはからくり迷路、迷路を抜けるには謎を解いて道を進む……あっ!
分かった!!」
そう言うと小林さんが2枚の紙を取り出し、何かを書き込んでいく。
何が分かったのか気になって紙を覗き込む。
「ってあれ、それ昔俺が書いた学校の地図じゃん。
なんでここに」
「さっきまであの地図を使ってみくるに学校を案内してもらってたんです!」
「ああ~そういうこと」
そういえば最初に体育館で会ったとき、地図を見ながら来たのに、とか言ってたな。
にしても、よくまだ持ってたな。
小林さんはもう捨てても問題なかったろうに。
「それで、みくるどうしたの?」
「今まで謎を解いた場所! そこを結んでみるの!」
「結ぶ? ……ああ、なるほどな!」
改めて小林さんの書きこんだ地図を見て、一気に理解が進んだ。
これは紛れもなく道なき道だ。
「最初が体育館、それで理科室に飛んで、音楽室、図書室、家庭科室、美術室、で体育館に戻ってきて……」
「んん~?」
「意味はあると思うんだけど……」
しかし、実際に部屋と部屋を地図上で線で結んでみても、上手く図形にならない。
だが、俺も小林さんの言う通り意味はあるはずだと思う。
道なき道というのもしっくり来たし、きちんと今までの謎を振り返った解き方だ。
なぜマークが導き出せないのか。
少し、考えよう。
俺たちは、体育館から謎解きを初めて、そして体育館へ戻って来た。
つまり、始点と終点が同じということだ。
なら、必ず線で表した道の端と端を繋げることができるはず。
2枚に分かれている地図でそれをするには。
「……重ねるのか?」
ぼそっと言葉にすると、小林さんがこっちを見て目を見開く。
「……あ! そう、そうですよ、重ねるんです!」
「え?」
「地図のこと! そうですよね!」
「ああ、多分だけど」
「絶対それです! 地図の一階と二階!
一枚ずつだと意味がないように見えるけど、2つを重ねれば道がつながる!」
そう言って小林さんが道を書いた2つの地図を重ねて、光に透かして見てみると……
「見えた……!」
「これが……!」
「答えだな」
3人で顔を見合わせて笑う。
「星のマークのドア……!」
「行くぞ?」
「うん!」
「はい!」
「ポチ!」
確信を持って、みんなでドアを開けて先へ進んだ。
読んでくださってありがとうございます。
今回はちょっと上手く書けなかったかも?
なんとなくですけど。
読んでくれた人がそう感じてないことを祈っておきます。
話の展開が遅いのは許してください、がんばって次話には第7話を終わらせるので。
多分こんな長くなるのはゴウエモン回だけです。
ゴウエモン回が面白すぎるのが悪いんです。
私自身も早く4人揃ったところで色んな日常パートを書きたいんですけどね。
今作ではやらなそうな水着回とか、学校のテスト回とかその他諸々を軽く考えてるんですか、いつになることやら。
あとアニメの最新話を見たんですが、とても面白かったですね。ウソノワール……
この作品の今後の展開と相性が良すぎてつい笑ってしまいました。
先に映画のシーンを書いてしまったどこぞのおバカのせいで時系列関係で少し困ったことになりましたが……
ちなみにこの話を投稿する数時間前に4DXの映画たんプリを見てきました。
2回目だから耐性ついたかなーとか思ったら、一回目より泣くのが早くなっただけでした。
まだまだ先のことですが、頭の中では最高に面白い話になってます。楽しい。
面白く書けなかったら自分の文才のなさを恨んで泣きます。
詳しくはアレですが、名探偵プリキュアと転生ってとてつもなく相性がいいですね。
それではまた次のお話で。