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少年と目隠し
その日、自他ともに認める最強の呪術師『五条悟』は推定特級とされる任務に赴いていた。
「ここが、その屋敷ねぇ…」
目隠し越しではわからないその目線がそれでも少し険しくなっているようにも見える。
「まぁちゃちゃっと終わらせて帰りますかね」
五条は指を組んで背伸びをする。そのまま屋敷の中へと入っていった。
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五条は一通り屋敷を見て回り、適度に呪霊を祓って行く。その手際は流石の特級術師、手を軽く振るだけで呪霊は消し飛んでいく。
「うーん…特級らしき気配は
そう言って五条は一つの屋敷にしては余りにも過剰過ぎる大きさの大聖堂へと足を踏み入れた。
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聖堂の中へと踏み込んだ五条の目線の先、そこに佇んでいたのは呪霊などではなかった。
五条に近しい白銀の髪、翡翠を思わせる瞳、小柄なその背丈からは想像のつかない呪力…そして何より目を惹くのは、その人物の背に在る『時計を模した方陣』であった。
「君…何者?」
((見た感じ人間だ…でもこの呪力量、下手したら憂太よりも多い…それに何より、呪力の流れが読めない…この僕がだ))
「おにーさんこそ誰?」
五条の問いに答える訳でもなく、同じ様な疑問を投げかけてくる少年。
「僕は五条悟、まぁ呪術師ってのをやっててね、平たく言うと化け物退治のヒーローさ。その中でも僕は最強なんだよね!!」
表面上おちゃらけてピースを作る五条。しかし依然として警戒を怠ることはない。
「最強!?凄いね!!じゃあ僕と遊んでよ!…ここ最近は気持ち悪い化け物としか遊べてなくてつまらなかったんだ…いいでしょ?」
無邪気な笑みを浮かべてそう問いかけてくる少年に五条は不敵な笑みを浮かべながら言葉を返す。
「いいけど一つ約束してもらうよ、僕が勝ったら呪術高専に来な。君くらいの呪術師が呪術を学ぶ場だよ、結構面白い奴らがいるし、気に入ると思うな」
「分かった!」
勢い良く返事をした少年のその言葉を最後に、両者は構えをとる。
瞬間、空気が弾ける。
五条は術式順転『蒼』により少年の背後を一瞬で取る、そのまま少年の首に手刀を繰り出したが
「…!!すごいね?どうやったの今の?」
先程まで首に突き刺さる事が確定していたであろう手刀が空を切った。
いつの間にか少年は大聖堂の二階、その手摺に腰かけていた。
「えっとね…時間を停めたの!!凄いでしょ?でも停めてる間におにーさんに攻撃したけど…なんか当たらなかったんだ。どんな
その言葉を聞いて内心冷や汗をかく五条。
((時間の停止…!!世界、概念に干渉するタイプの術式か!…だがその規模の術式、何か綻びがあるハズ…))
「さあね?当ててごらん」
「やっぱおにーさん面白いね!!」
すると少年は空間を『掴ん』だ。
「……!!」
「快適な空の旅にいってらっしゃ〜い!」
少年はそのまま空間を絨毯のように波打たせる。
((時間だけでなく空間にも干渉できるのか…!?あの空間の弄り方…前に
天井を突き抜けて空を浮遊しながら五条は思考を加速させる。
「おお!おにーさん凄いね!!浮いてるよ!!」
キャッキャと笑いながら自身も空に浮かび、そうリアクションしている少年。その少年に五条は右手を突き出す。
「術式反転…赫」
五条が放つは無限の発散、その力の奔流。
油断していた少年に赫色の光弾は着弾し、少年の事を屋敷の庭園へと叩き落とした。
「……さて、どう来るかな?」
久しく現れていなかった強敵に笑みを零す五条。
そんな五条の視線の先から元気のよい声が響く。
「痛いよ!おにーさん!!急に吹き飛ばさないでよね!!」
腕を上げて瓦礫の中からそう抗議する少年。
((…赫を受けてこれといったダメージが見受けられないな、恐らく空間を弄って威力を落としたな?そして赫に干渉できる空間操作と言うことは……))
そこまで考えて五条は一つの仮説に辿り着く。
((僕の無下限も破られる可能性が在る…!!))
「…?おにーさんなんで笑ってるの?」
「…いや?面白くなってきたなと思ってね」
「僕も面白いよ!!おにーさん強いもん!!」
そんな軽口を交わした後、五条は接近戦を仕掛ける。
「うわっと!?おにーさんあのバリア解いてるの!?」
拳を咄嗟に躱しながらそう叫ぶ少年。
「君相手じゃ相性が悪くてね!それ以外にリソースを割く事にしたよ!!」
五条の拳を頑張って躱していた少年だが、一瞬の隙を突かれて拳が腹部に突き刺さる。
「うぐっ!?」
((思った通りだな、この子は術式が高次元過ぎて格闘戦の経験が浅すぎる。素人同然だ…まぁその状態で僕の蒼パンチ躱せてるんだから十分化け物だけどね…))
「ちょっ…おにーさん…お腹はズルい……」
腹部を押さえて蹲る少年に五条は頭を撫でながら話を続ける。
「とりあえず今日は僕の勝ちだね!!君痛みにも耐性無いんだ、今までろくに攻撃受けたことないっしょ?分かるわ〜…僕もそうだったもん」
「……うん、今日は僕の負け。約束通りおにーさんについて行くね」
「よぉーし!じゃあ一緒に高専向かおうか!!新たな仲間が君を待っているぞ!」
「おー!!」
先程まで戦闘をしていたとは思えないテンションで肩を組みながら五条と少年は山を降りていった。
ーーーーー
「で、その少年を拾ってきたと?」
そう五条に問いかけるは東京高専学長『夜蛾正道』
「そ!!この子は多分術式の格で言ったら僕の無下限より上だ、そんな才能の原石を見逃すわけには行かないでしょ!」
何時もの調子でそうオーバーリアクションを返す五条を見て、夜蛾は嘆息する。
「そこの少年、名前は?」
夜蛾から問いかけられた少年はおずおずと答える。
「えっと…『
「そうか、優君…君の親御さんはいらっしゃるのかな?」
その問いに答え辛そうにしながらも言葉を絞り出す時量。
「えっと、お父さんお母さんはもう居ません。今はお父さんが残してくれたお金で生活してます」
「よく答えれたね」
そう言って時量に笑いかけながら頭を撫でる五条。
時量も嬉しそうに目を細める。
「そうか、優君は今何歳になるんだ?」
「15歳です!」
その言葉を聞いて夜蛾と五条は口を開く。
「…え?10歳じゃなくて?」
「もう!おにーさん!失礼だよ!?僕はれっきとした15歳なんだから!」
「いや済まない…私もてっきり悟と同じくらいを想像していた…そうか、ならウチに来ないか?」
「高専に入学するってこと?」
その言葉に夜蛾は深く頷く。
「ああ、君のその力は放置するには危険だし、何より君の生活の場をウチなら整える事ができる。…一応形式として面接はあるが、入学は出来るだろう」
夜蛾の言葉に五条も続ける。
「正直、優なら一瞬で特級認定だろうしあんまり気負わなくて良いと思うよ〜?」
二人の言葉を聞いた時量は頷いた。
「わかりました!僕、呪術師になりますっ!!」
こうしてイレギュラーではあったが、東京高専1年に一人、仲間が増えた。
ーーーーー
「いやあ、無事に優も面接を突破できて良かったよ!まぁ呪術師としての意気込み聞かれた時に僕を超えるって言ったのは笑ったけどね!!」
そう言ってケラケラ笑う五条に時量は頬を膨らませる。
「むぅ…!おにーさんに負けっぱなしじゃいられないんだから!!絶対におにーさんをボコボコにしてやるんだからね!!」
「ハハハッ!楽しみに待ってるよ」
そう言って五条は頭を撫でる。やはり撫でられるのが好きなのか時量は満更でもない表情をしていた。
そんな所に三人の若者がやって来る。
「あれ?五条先生?」
そう疑問系で五条に話しかけるのは宿儺の器『虎杖悠仁』
「そちらの子はどなたですか…?まさか誘拐…?」
言葉から五条への信頼の無さが浮き彫りなっているのは『伏黒恵』
「あら、結構可愛い子ね…お名前は?」
五条を無視して時量に問いかけるのは『釘崎野薔薇』
「えっと…」
言いごもる時量の声を掻き消す声量で五条は三人に紹介を行う。
「コチラ僕がスカウトした4人目の1年!!時量優君でぇーす!!因みに等級は特級ね!!」
その言葉を聞いて三人は驚愕の表情を浮かべる。
「いぃ!?特級って五条先生と同じ!?」
「なんて子を連れてきてんのよ!?」
「五条先生がまたヤバいヤツを連れてきた…」
そんな三人を見て、時量は改めて挨拶をすることにした。
「今日から皆と同じ1年になった時量優だよ!!よろしくね!」
その言葉を聞いて三人は一度顔を見合わせたあと…同じ言葉を言い放つ。
「「「よろしく!」」」
「青春だねぇ〜」
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