MARVEL世界でバットマンやってます。なお転生先はフラッシュ・トンプソン 作:スローダンサー
ニューヨーク クイーンズ 夕方
【ガラス工場、屠殺場と化す!】
【複数のマジア(marvel世界におけるマフィア)が争ったか?】
【バットマンとスパイダーマンの目撃情報あり!彼らの犯行!?】
ふと、今朝見たデイリービュークルの電子記事を思い出す。昨日の事件はやはりセンセーショナルか。いくらマジアといえ20人もプルドポークになっていたからなぁ。
JJJの筆も乗っていたぜ。僕とバットマン、その両方が黒幕かのように叩かれていた。僕は人を殺すなんて事しないんだが………。
なぜ僕は人を(極力)殺さないようにしているのか。僕のパンチは突っ込んでくる幼稚園バスを天高く吹っ飛ばせるくらいには強い。このパワーを全力で人間に振ったら………粉微塵になるのは必定だ。
だから僕は、どんな相手であれ、全力で殴りつけたり蹴り飛ばしたりすることはない。その訳を考える。
うーん………やっぱ理由なんているのだろうか?いやまあそのなんとなく嫌だ。この程度になってしまう。『なんとなく』。でも僕はこの感覚は大切なものだと思っている。
いや別に殺すことを非難するわけではない。キャプテン・アメリカは第二次世界大戦でナチスをちぎっては投げ出たろうし、ブレイドは吸血鬼ハンターで名を馳せてるし、ウルヴァリンなんかも元々工作員だ。
パニッシャーくらいになると極端ではあるけど、多かれ少なかれ、闘いには死と殺が付き纏うものだ。
ただ………僕は嫌である。そもそも僕が相手の人生のピリオドを勝手に打って良いのだろうか?だが、一方で犯罪者を警察に引き渡し、その結果死刑なんか喰らったとしたら、僕が殺しているのとなんら変わりはないのではないだろうか?
無論、死刑を喰らうなんてのはよっぽど悪いことをしているからそうなるわけで自業自得ではある。だがうー痛ぇ?!
「よそ見してるな、スパイディ!」
僕のお相手さんの脚が腹筋に突き刺さる。僕の身体はかなり丈夫だが、特殊金属のブーツに対して無傷でいられるほどの頑強さは………ない!
ビルに対して平行に僕は落下した。ウェブは………間に合わん!
「東陽神秘のウケミ!!」
柔道の衝撃逃し方。僕がすればコンクリートは粉になるが………死ぬことはない!
「じゃあこの蹴りも受けてみろよ!」
そう言いながら落下してくる。あいつの名前は『タランチュラ』だ。
「受けるわけないんだよなぁ。そんな狙う位置見え見えの蹴りなんかキャッチして十分!」
右足を針のごとく突き出してきたタランチュラを両手で掴む。………いてぇぇ?!あいつ、ブーツから針出してきやがった!!
地面に倒れ伏す僕をタランチュラが踏みつけにしている、側から見れば。実際はもっと危険な状態だ。
「かーかっか、俺の名前を言ってみろよスパイディ!」
「えっ?ダラさん?」
「略すな!」
「えーとなんだっけ………タランティーノ。」
「レザボア・ドックスはクソだ。」
「それはお前の感想じゃねぇか、タランチュラ!!」
「三度目の正直だな、ええ?」
くっそ、もっとおちょくるつもりだったのに、思わず怒鳴っちまった。タランチュラは自分のブーツを指差す。なんとも憎たらしい笑顔でムカつくぜ。というか針から結構毒垂れてるじゃないの!
「俺は毒蜘蛛タランチュラ様よ!テメェ様が出さない毒で差別化なんざ簡単なんだ。」
「なんに?蜘蛛糸出さないのそんなコンプレックスなのか?トイザらスいけば俺のおもちゃで出せるぜ?」
「ふふふ………ククク………カッハーッハッハッハッ!!」
タランチュラは笑った
「アメリカのトイザらスはもう潰れてるだろうがァァァァァァァ!!!!」
タランチュラはキレた
ブーツから飛び出していた針の数が約5倍に増える。僕の腕を貫通し、腹の皮膚を破って、中に入ってきた。アッツ!?毒の痛みは熱さなのか?!
「ど、どれだけやる気があるんだ…!」
「俺の口座に100万ドルプラスされたからなぁ。だがなスパイディ!!テメェを殺せるなら1セントだって要らなかったぜ?」
「じゃ、じゃあなぜ襲いに来なかったのよ。ちゃ、ん、すはいくらでも」
「カッーかか!!俺は殺し屋で傭兵!金を積まれたら動くのが信条よ。勝手な殺しは名前に傷ができる。」
詰まる所目の前の男は金があれば人を簡単に殺せる。まあそんな奴だ。まったく………
「俺はお前が嫌いだ」
「奇遇だなぁ、俺もだぜ。………じゃあスパイディ、死ねよやーっ!」
タランチュラは突き刺さっている靴をどんどん押し込もうとしてきた。心臓にキリキリ迫っている針。………『これを待っていた』!
タランチュラは油断している。そりゃもう勝ち確ってところだからな。僕は自分の筋肉に力を入れた。タランチュラのスパイクは………全く動かない!
「なっに?!」
馬鹿め!
僕は背筋の力で飛んだ。3mほど上へ。タランチュラは脚が固定されたせいで空中でバランスを崩す。
落下
回転
僕が上
タランチュラは下
地面
激突
タランチュラは白目だ
僕はタランチュラの足からスパイクを外し、突き刺さった針を引き抜いた。同時にウェブで傷口を塞ぐ。これで止血になる。
僕は体内の毒を生体ウェブ発射口から噴き出した。中々に………キモい。
「タランチュラ。一つ忘れてたね。僕は蜘蛛人間。毒は出せないが、毒は効きづらいんだぁ」
気絶している相手にうまく愚弄もできなかった。僕はウェブスイングで空を飛ぶ。毒のせいでフラフラした。あっ
「ぐぅぇ。」
ビルに体を打ちつける。
落下
花壇
激突
フローラルな香り
「あっスパイダーマン!」
幼稚園児たちだ。
「どうしたの?」
「あっー………ちょっと疲れた」
「大変!アイスあげるよ!」
「いや大丈夫。気持ちだけもらうわ」
僕は子供たちに囲まれ、たわいもない話をした。もうだめだ少し寝よう………
◇◇◇◇◇
ニューヨーク クイーンズ 夜
「いたたた………」
「ん………ピーター大丈夫?」
「あっ、ああMJ。骨は折れてないから。」
「でも車に轢かれたんでしょ?病院行かなくて良いの本当に?」
「いやいや!歩けるし元気だから!!」
実際、どんどん元気になっている。スパイダーマンの力を手に入れて良かった数少ない点の一つだ。それに今夜は公演初日。いきなり欠番するわけにも行かない。
「100%の元気?」
「………8〜9割くらい………」
「ふーん。」
MJが近づいてくる。
えっ
近
良い匂い
可愛
柔
僕はMJに手で顔を潰された。
「元気出た?」
もちろんイエスだ。
2時間後
開演時間である。人は多い。やはり注目度が高いのだろう。
『アベンジャーズ・アッセンブル!!』
それが今回やるミュージカルの名前である。10年前、チタウリという宇宙人が攻めてきたが、世界最強のヒーローチーム『アベンジャーズ』がそれを退けた。彼らの名前がとても有名になった出来事を2時間ほどのミュージカルにしたものである。
さて、アベンジャーズのミュージカルという事で花形になるのはやはりヒーローだ。そのうちの1人を僕が演じるのである!
ハリウッドで成功している人間が出ているミッドタウン高校劇団の花形!自慢であるが僕は有望株なのだ。………スパイダーマンバレしないために演劇サークルに入ったら意外と才能があったのはここだけの話。
僕の役はハルクだ。簡単に言えばヒーローになったジキル博士とハイド氏である。普段は優秀な科学者のブルースバナーは激情によって緑色の怪物ハルクに変身するのだ!………説明だけ聞くとおおよそヒーローじゃないね。
特徴はパワー!圧倒的なパワーだ。一度殴り合ったことがあるが、僕とほぼ互角だった。でもおおよそ僕じゃ対処できなさそうな、なんかでかい怪獣もぶん殴ってたから多分僕よりパワーある。………敵にはしたくない。
まあなんの因果か、ハルクに僕はなったのだ。科学者の服から緑のペンキ半裸男になるので1番わかりやすい役である。
そしてMJもフラッシュもこの劇に出るのだ。
MJは空飛ぶ宇宙ヒーロー『キャプテン・マーベル』。
フラッシュはいける伝説、最近老人に戻った『キャプテン・アメリカ』。
当時(8歳)から思ったが、キャプテンが2人いると指揮系統が混雑しそうだ。
MJはリラックスしている。
フラッシュは………そういえば、今日一日やつと話してない。というか出会ってない。
衣装置き場に盾とスーツはなかったのでいるとは思うのだが………
「フラッシュ」
MJの抑揚のない声が僕の耳に届いた。彼女の視線を追って彼の顔を見る。
「よう、お二人さん!調子はどうだい?」
いつもの声
いつもの口
いつもの歯
………だがマネキンみたいだ。
「やあ!フラッシュ!まあぼちぼち?」
「はーい、フラッシュ。ぼちぼちどころじゃないよピーターは。」
フラッシュはびくりとした気がした。
「何があったんだい?」
「車に轢かれたんだって」
「………おいピーター病院行かなくて良いのか?」
「幸い無傷だ!骨も折れてないし内臓も無事だ!」
筋肉は毒の熱のせいで熱いけど、まあ演技に支障はない。
「そうか………今日は頑張ろうな」
フラッシュはそういう時スタスタと去っていく。キャプテンアメリカの格好した彼はやけに小さく見えた。
「何かあったのかしら」
MJのつぶやきに僕は答えを出せなかった。
◇◇◇◇◇
『We are Averagers!!』
僕を含めて8人、ヒーローの格好をした人間が舞台の上で立った。目の前にいるのは老若男女(やや子供が多い)。オープニング曲『Avengers Assemble』が始まる。
簡単にいえば自己紹介曲だ。
『金持ち天才鋼鉄纏、トニースタークはアイアンマン!』
『宇宙はまかせろ、キャプテン・マーベル!』
『七つの海は俺のもの、ネイモア!』
『ハンマー回せ、雷神ソー!』
『誰にも見えない、クイックシルバー!』
『ブンブン飛ぶのだ、ワスプ!』
『怪力無双、インクレディブル・ハルク!』
『そして立ち上がれ、キャプテン・アメリカ!』
こんな感じでチタウリと戦いつつ歌う。ここで掴まなければこの後の劇の雰囲気は地獄だ。客の反応は………かなりウケてる。とりあえず第一関門は突破と言えるだろうね!
………ん?なんだあれ。1人、2人、複数、立ち上がった客がいる。ポケットから何か出した。赤い何かしらが入ったカプセル?
「あっ」
誰かの声が漏れた時にはもう遅かった。周りには赤い煙がばら撒かれる。そしてそのあとは地獄が待っていた。
ピーターが演技上手いは独自設定です。びっくりするくらいには上手いのでスパイダーマン=ピーターという説に辿り着く人間は現在いません。
もしスパイダーマンの正体がわかるとしたらメタ読みくらいしかないでしょう。
この世界のアベンジャーズは今回の劇に出てきた8人が元祖になります。MCUとかとは違う感じにしたかったのでちょっとメンツをずらしました。
次回は10/12日更新
タイトルは『ハンド』
感想、評価ぜひください。待っています