MARVEL世界でバットマンやってます。なお転生先はフラッシュ・トンプソン 作:スローダンサー
ニューヨーク クイーンズ 夜
バットマンはフラッシュを僕に放ったのち、その場を去っていく。なんと言うか………変な奴だ。正義感というかまあそのヒーロー(?)的な感覚は本物であるとはなんとなーくわかるのだが、いかんせんかっこつけというか子供の遊びというかそんな雰囲気が感じられる。
あっ、バットモービルに飛び乗った。………やっぱ絵になるなぁ。マントにをつけてふわりと飛んだ姿はやっぱ格好いいものだ。………もしかすると彼の性根は本当に子供なのかもしれない。
「くぅうん………」
フラッシュは僕の腕の中でうめいている。とにかく、彼をどうにか誰かに渡さなければ………
ぬっ、サイレンの音!
三台のパトカー。何人か降りてくる。………やったぜ、1人知り合いだ。
「ステイシー警部!!ちょっと若返りました?」
「きみの減らず口で老け込こんでないからね。」
ジョージ・ステイシー警部。ピーター・パーカーとしてもスパイダーマンとしても付き合いがある好々爺だ。(僕の正体がバレているわけではない)。最近、中学生の娘が反抗期でちょっとギクシャクしているが今は元気そうである。
「やだなぁ………僕の言葉は警察には向けませんから」
「嘘言っちゃダメだよ、ガキンチョがさ!」
「あんたも人の年齢を決めつけないでくださいよ。」
「まあ、今それはどうでもいい。スパイダーマン、この状況なんなんだ?」
「んー………簡潔にいうと、人間をファイトクラブさせるウイルスがばら撒かれたって感じっスね?」
「最悪だな?デヴィット・フィンチャーがカメラ回してるのか?」
「ゲリラ撮影でもタチが悪いですよ。」
「違いないねぇ。」
床に倒れ伏す暴れ市民を見て顔を顰めるステイシー警部。彼らにかかってる僕の蜘蛛糸を指でいじる。
「これ………取れるのか?」
「あー………取れるんちゃ取れるんすけどねぇ………」
「………とった途端ファイトクラブされると困るな。」
「これが一過性なのかずっとそのままなのかわからないのが面倒な所です。」
「救急車待つかなぁ。」
「それがいいと思います。」
「じゃあそうするか、お前らここに人入れるなよ!」
ステイシー警部が部下に檄を飛ばし、動かした。忙しそうに警官たちが動き回る。ん?ステイシー警部がこっち向いてきた。
「そのキャップ誰だ?」
フラッシュを指差した。そういえば彼をどうするか忘れてた。………ここで保護してもらったら安全だろうな。
「勇敢な人ですよ。僕が来るまでここの市民を制圧してました。」
「うーん。こんなガキが危なかっしいことすんなって思うが………。」
「それ僕にも言ってます?」
「そりゃそうだよ、スパイダーマン。お前の活躍は感謝してるし、個人的には好きだぜ?だが………まあこれは自警団全員にも言えるが、犯罪には警察が当たるってもんだ。解決できないから君たちに頼む。それは一警察としては悔しいし非常に良くない事だよ。」
「………」
耳が痛い。彼のいうことには僕に対して心配する気持ちが込められている。それに内容も最もだ。彼の言葉に僕はどう答えるか悩んだ。
「ステイシー警部その、」
破壊音。
右半身に強い衝撃が走る。
そのまま横移動。
何層もの壁を僕が破壊する。
劇場の反対に出て店に激突。それでようやく僕は止まれた。
「おばさんごめん!このチョコいくら?」
「2ドル。」
「これで支払って!」
スパイダーブラックカードを渡した僕はチョコスティックを食って店から飛び出した。目の前にいるのは………
「ライノ?!お前動物園から抜け出せたのか?!」
「スパイダーマぁぁン………俺にとって檻はそのチョコスティックミテェなもんだぜぇ!!!!」
「いうことださ。鉄がお菓子ってどこのウィリーウォンカ?」
「しねぇ!」
とぉ、背中からミサイルだ!僕のスパイダーセンスはビンビン響いて、うるさい!迫ってくるのは6発。
「しゃあっ!」
僕はウェブを飛んでくるうちの2つを捉え、他のミサイルにぶつける。見事に吹き飛ぶが、残り2つ残っていた。それも避けようとするが………
「はっはーっ!スパイダーマン!俺の角と挟み込んでやる!」
ライノのアダマンチウム製ライノホーンとミサイルが迫る。まるでギリシャ神話の槍トライデントだ。もしかしたらポセイドンもこの世界には実在するのかも?
「じゃあ死ねぇ!」
迫るライノ。
迫るミサイル。
ならばこうする。
僕は生体ウェブを地面に出す。
コンクリートをぶち抜く。
その衝撃で僕は低空飛行。
加速した勢いでライノに突っ込んだ!
「なにっ?!」
ミサイルの隙間を通りライノの角へ蹴りを入れてやった!生憎おることはできない。だが怯ませることはできる!
「うわっ!?」
ライノくんはバランスを崩した。でかいツノのせいで後ろに倒れこむ。これはチャンスだ。決め技決めて倒そうとし………
僕は横に吹っ飛んだ!
「ぐわァァ?!」
誰がこんなことを?!いや候補は多いが果たして。
「スパァァァいでィィィ!!!!」
赤い南米国旗のコスチュームにアダマンチウム製のブーツ。鏡のようなマスクで顔を隠したその男は。
「こ、このやろうタランチュラ!!お前も抜け出したんか?!」
「はーいっ、スパイディ!!テメェの権利奪いにきたぜ?」
「君、姿はかっこいいけどせいぜいヒーローフィギュアについてる悪役がいい所だよ?」
「はっ、蜘蛛枠を食って金稼いでやるだけさ、イヤーッ!!!!」
彼の蹴りはやはり芸術的だ。スパイダーセンスがなければ、早々に喰らってしまうだろう。ブラフに混じった致命傷だけを的確に避けながら反撃の糸口を探っていたのだが………
「俺もいるの忘れたな!!!」
ライノのパンチ。少し体をそらすことで避けたはず………がパンチが伸びた!
「ぐうぇ!」
「イヤーッ!!!!」
吹っ飛んだ僕に合わせてタランチュラは僕に踵落とし!恐ろしく鋭い蹴りは僕を地面に叩き落とす。
「うげぇ?!」
やばい、肋骨折れた。僕の鉄くらい硬いスパイダー皮膚が全く効いてない!凹んだコンクリートでうめいていたが………スパイダーセンスが鳴り響く!
「くっそ避けたか?!」
「おい、ライノ!お前、俺にミサイル当てる気だろ?!」
「知らんなぁ??そんなところにいる蜘蛛が悪い!」
あーっ、くっそ。こいつら組んでるのか?!そりゃそうか、誰かの手引きがないと脱獄なんてのは難しい。まとめて脱獄したのなら、こいつらの手引きしたやつがいるに決まってらぁ。
「まあとにかく、そこでおねんねしてるのなら、標本してやる!」
タランチュラが一回ライノに飛び乗る。
「おいライノ!あのパンチやれや!!!!」
「テメェ………まあいい!!!!」
ライノのピストンパンチがタランチュラを上空に。僕のスパイダー視力でも豆粒ほどにしか見えない。どんどん近づくタランチュラはぐるぐる回転していた。
「タランチュラ・ドリルじゃァァい!!」
空気が摩擦するほどに螺旋蹴りを繰り出したタランチュラだ。ここまで5秒。僕はなぜ動けなかったのか?
「はっはー!スパイダーマン!お前は終わりだぁ!」
ライノが僕の四肢を固定して持ち上げていたのだ!アダマンチウム製の手が僕を締め上げ、動けなくしている。
「ぐっ、ぐうゥゥゥゥ!!」
引き裂こうとするが………難しい!アダマンチウム製ってだけじゃ説明ができない硬さだ。どれだけの科学力がこのライノタンクに詰め込まれている!?
「どこでこんなおニューの車もらったんだい!?」
「お前に教えるわけないだよ!!」
あっ、タランチュラが近い。お、終わった。
激突音
ライノは動かないが、驚いたようだ
手が少しばかり緩んだ
僕は引き伸びた体を縮め抜け出す
ライノの角にタランチュラ・ドリルが激突!
激しい音を出しながらタランチュラが吹き飛ぶ!
ライノは倒れ込む!
「な、何が?」
「いまだスパイダーマン!」
ステイシー警部だ!彼はパトカーをライノにぶつけることで動揺を誘ったのだ!?
「ありがとうございます!」
タランチュラにウェブをぶつける。空に浮かんだ僕は360度に縦回転。2回、3回、4回、5回。
何度も何度も回転し、ライノに向けてぶつける!
「アルティメット・ウェブスロー!!」
タランチュラのアダマンチウム製の足がライノに突き刺さる。そして衝撃!ダブルインパクトで僕は彼らを遂に制圧した!
「あっふーふふー!」
「大丈夫か?!」
「け、警部。助かりました!」
「息荒いな。水飲むか?」
「ありがとうございます!」
ペットボトルの冷水が僕の喉を癒す。息が吹き返した。なんとか………なんとか立ち上がれる。
「しかし、なぜライノとタランチュラが脱獄して………」
「待ってください警部。………やばい早く逃げてください!」
「スパイダーマン!?!?」
僕のスパイダー聴覚がライノから流れるおかしな音を捉えたのだ。時計の針が動くような古典的な音。
「ライノ!逃げろ!」
僕はライノの装甲を引き剥がして人間の中を引き出し、タランチュラと共に遠くへ投げた。
ステイシー警部が受け取ったのを見た瞬間、目の前が光った。僕はそのまま吹っ飛ぶ。床に倒れる。あっつい!?
「ゴボゴーぼおほほ。」
息をなんとかして立ち上がる。立ち上る煙。それが目の前と遠く2つあるのが見えた。
「ウッソだろ。」
この日、ニューヨークでは2つの爆発が起きた。
一つはクイーンズ、一つはマンハッタン。
何人死んだのかわからない。
僕はその場に倒れた。
前回のバットマンが飛び出したのちスパイダーマンに何が起きたのかの話でした。
次回は10/22更新予定
タイトルは『落ちる』
読んでくれてありがとうございます。感想待っています。