元女先生メイのアリウス学生生活!   作:Ikaloss

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第2話です。
なぜか第1話が二つ上がっていますが、気にせずスルーしちゃってください!


アリウス自治区

ドゴオオン!

また、地面を揺らすような轟音がどこからか聞こえて来た。轟音が響くたびに、付近の廃墟と化した建物がポロポロと崩れ、至る方向から銃声や爆発音が響くここはアリウス自治区である。

 

 

「これじゃあ、サオリ達がどこにいるのかわからないよー!」

 

 

私は、キヴォトス生活2日目にして、銃声が響くアリウス自治区を彷徨っていた。なぜこんなことになっているのか。それは、昨日に遡る。

 

 

昨日

「私に魅力的な取引?」

 

「ええ。あなたは突然キヴォトスに連れてこられたのですから、なにかと入用でしょう。そこで、我々があなたのキヴォトスでの生活をバックアップしましょう。」

 

「確かに、悪い話ではないね。連れてきた本人が言うことじゃないけど!」

 

 

しかし、黒服の提案は確かに魅力的だ。黒服が原因で連れてこられたのだから、当然バックアップしてほしいものだが、そんな常識的な訴えが通るとは思えない。なんなら、このまま無一文で外に放り出されてもおかしくないのだ。なら、もはや黒服と取引するしかないのか?ただし、大事なことを聞かなくては。

 

 

「で、取引ってことはそっちからも要求があるでしょ?それを聞いてからだよ。」

 

「もちろんです。難しいことは言いません。お見受けするにあなたの年齢は10歳かそこらでしょう。これからキヴォトスで暮らすのであれば、数年後にはどこかの学校に所属することになります。その際、あなたにはこちらが指定する学校に所属し、軽くスパイのようなことをしていただきたいのです。」

 

 

正直、意外な内容だった。てっきり、やれ実験台になれ、やれあいつと戦ってこいとかそんな扱いを受けるものだと思っていた。せっかくキヴォトスに来たのだ。自分の好きな学校に行って色々やりたいと思わなかったと言ったらうそになるが、背に腹は代えられん。学校は所属しなくても遊びにいけばいいか。

 

 

「あ、それとたまに実験にも参加していただきたいですね。」

 

 

ほらやっぱり。あの黒服が神秘の塊を前にして何もしないわけがない。でも、どうしたものか。何リットルも血を取られたり、耐久テストと称して散々撃たれたりするのはごめんだ。

 

 

「学校の方は分かった。あなたに指定された学校に行くよ。スパイ活動についても、生徒で許される範囲で頑張るけど、実験は別。実験については、事前に実験内容を開示、私に拒否権があるっていう条件かつ、都度の報酬ってことなら受けるよ。」

 

「いいでしょう。では、その条件で契約書を作り直しましょう。元々、あなたは他にない貴重なサンプルですから、危険な実験はできませんよ。」

 

 

黒服は、書類を修正しながら、楽しそうに言う。しないではなく、できないなのが黒服らしい。黒服が印刷してきた新しい契約書を受け取り、黒服の気持ちが変わらないうちにとサインする。そして、サインしながら黒服に尋ねた。今思えば、サインする前に聞くべきだった。

 

 

「そういえば、あなたが行ってほしい学校ってどこなの?」

 

「ああ、まだ言っていませんでしたね。アリウス分校です。」

 

「あー、アリウスね。え?」

 

 

 

その後、その晩は実験施設内の客室のような部屋に泊まり、これから住む自治区の見学がてらアリウス自治区に来たのだった。最低限、学校として機能しているところに所属させられるという予想は外れてしまった。

 

ちなみに、キヴォトスデビューした私だが、ブルアカ本編に介入する気は一切ない。私が介入したせいで、ハッピーエンドにならなかったりしたら死んでも死にきれない。もっとも、生徒達とは本編に影響しないぎりぎりまでは交流したい。一目だけでも見たい。仕方ないよね、オタクだもの。推しごとは命懸けだからね。

 

そんなわけで、せっかくアリウス自治区に来た私は、スクワッドのみんなを探して自治区内を彷徨っているのだった。

 

 

「でもなぁ。こんな状態じゃ、見つからないよなぁ。」

 

 

というのも、現在のアリウス自治区は、マダムことベアトリーチェに平定される前で、自治区内の派閥同士でバチバチにやり合っていた。黒服は平定され、戸籍などがきちんと管理される前に、私というスパイを送り込んだのだ。そんな中、まだ本編前で幼いであろうスクワッドがそんな弾丸飛び交う戦場をうろちょろしているはずもない。必要最低限以外は隠れているだろう。

 

私はスクワッドの捜索を半ば諦め、まだ使えそうな建物がないか、手頃な建物に登り、上から観察していた。すると、下から怒号が聞こえて来た。

 

 

「お前、まだ食料を隠し持っていたな。それも寄越せ!これ以上抵抗するなら痛い思いをするぞ!」

 

 

声の方に目をやると、何か包みを抱えてうずくまるミントグリーンの髪の少女に向かって、腕に強硬派の腕章をした生徒が銃口を向けながら怒鳴っている。食料の略奪とは、ここがいかに戦時中のようであるかを実感させられる。ん?ミントグリーンの髪?

 

すると、その子を庇う様に、暗い紺色の髪の女の子が生徒の前に立ち塞がった。

 

 

「これは勘弁して欲しい。これまで渡してしまったら、私たちが食べる分が無くなってしまう。」

 

 

彼女は、生徒に向かって堂々と言った。相手は銃を持ち、自分は武器らしきものも持っていないにも関わらず、迷わず庇いに出た彼女。イケメンすぎる。ん?暗い紺色の髪のイケメン?

 

 

「そんなことは関係ない。我々はこの自治区の統一という大義の為に戦っている。自治区のものには協力する義務があるのだ!何より、この自治区では弱肉強食だ。弱者は強者によって奪われるしかないのだ!」

 

 

生徒は言い終わると、黒髪の少女を突き飛ばした。私は場所を移動しながら、生徒の発言について考える。

 

確かに生徒の発言は正しいと思う。戦時中のようなここでは、武力を持つものが好き勝手するのは当然だし、法治国家においても力の性質が変わるだけで弱者は強者に搾取されるしかない。しかし、弱者から奪う強者にも覚悟が必要である。そう、撃っていいのは撃たれる覚悟があるやつだけだ。

 

生徒が、うずくまる少女に手を伸ばす。少女は、ただ震えていた。そして、生徒の手が少女に触れる直前、生徒は上から降ってきた私の下敷きにされ、気絶してしまった。一瞬、そこにいた全員が空から何かが降ってきたこと以外、理解できなかった。数秒すると、生徒の仲間二名は、落ちてきたのが人間であると気づき、銃を構えようとする。

 

私は、アサルトライフルを持った生徒の銃口がこちらを向くより早く、下で伸びている生徒をつかみ、そのまま投げつけた。生徒は見事に命中し、そのまま二人で倒れこんでしまった。ヘイローが消えているから気絶したのだろう。残った一人はハンドガンを抜き終わっていたが、その手はひどく震えている。

 

こちらから近づいていくと、生徒はグリップを両手で握り、必死に標準を合わせ、発砲した。放たれた弾丸は私の眉間に当たった。痛い。でも、痛いで済んでしまった。むしろ、痛みよりも衝撃の強さに驚いたぐらいだ。半信半疑だったが、黒服の言う通り、私にはある程度の神秘があるようだ。私が自分の新しい体に感心しているうちに、生徒は、そんな私の様子を見て一目散に走って行ってしまった。

 

先ほど突き飛ばされた少女は、倒された姿勢のまま、目を見開いていた。まあ、空から人が降ってきたらびっくりするだろう。驚かせて申し訳ない。私は手を差し出しながら尋ねた。

 

 

「大丈夫?あなた、名前は?」

 

 

少女は数秒遅れてから、ハッとして、私の手を取り、答えてくれた。

 

 

「私は錠前サオリだ。助かった。感謝する。」

 

 

やっぱり、サオリだった。なんとなく聞く前から分かっていたが、どうしても本人の口から聞きたかったのだ。それにしても、小さいサオリもイケメンで、かわいい。

 

 

「サオリ姉さん!」

 

 

さっきまで、うずくまっていた少女が、サオリに勢いよく抱き着いた。その眼には涙が浮かび、食料を持つ手も震えている。食料、しっかり持っているな。さすがヒヨリ。かわいい。

 

 

「ほら、ヒヨリ。お前もお礼を。」

 

 

サオリが抱き着くヒヨリの腕を無理やり剝がしながら言う。ヒヨリは一瞬こっちを見てくれたが、すぐにサオリの後ろに隠れてしまった。

 

 

「おい、ヒヨリ」

 

「いいよ、サオリ。したくてしたことだし、あんなことの後じゃ警戒して当然だよ。」

 

 

私はポッケから糖分補給用に買っておいた飴を取り出し、ヒヨリに差し出した。ヒヨリは、すぐに飴に視線が釘付けになった。そして、今度は飴とサオリの顔を交互に見るようにして、サオリの様子をうかがっている。サオリがうなずくと、飴を受け取り、幸せそうに口の中で転がし始めた。かわいい。

 

 

「ヒヨリがすまない。この借りは必ず返す。」

 

「気にしなくていいよ。サオリもいる?」

 

「私はいい。いや、やはりもらってもいいか。私ではないのだが食べさせたい相手がいる。構わないか。」

 

きっと、アツコやミサキのことだろう。こんな時からリーダーしていたなんて。イケメンが過ぎる。

 

 

「いいよ。まだまだあるから。代わりといってはなんだけど、少しここら辺を案内してくれないかな?実は私もここら辺に住むことになっていてね。」

 

「それは構わないが、あまりここに住むのは賛成できない。確かにあなたは強いようだが、ならなおさら他の自治区で暮らした方がいいだろう。」

 

 

こんな環境にありながら、他人を思いやり、スクワットのみんなの面倒を見るなんて、流石サオリ。尊い。この時点で、私の中の本編には関わらないという決意は、泡となって消え失せていた。推しを目の前にしたオタクにとって、そんな些細な決意など何のストッパーにもならなかった。むしろ、この子たちは、私が幸せにしなくては!という決意が全身にみなぎってくる。

 

 

「そういえば、あなたの名前を聞いていなかったな。よかったら教えてくれないか。」

 

「私の名前は、メイ。姉さんって呼んでね!」

 

「そうか。ん?姉さん?」

 

 

サオリは、私の勢いで出た突拍子のない姉発言が処理できていないようだ、まあ、言ってしまったものは仕方がない。これから姉として頑張っていけば、時間が解決してくれるよね。ふと、ヒヨリのほうをみれば、彼女は変わらず、幸せそうな顔で飴を転がしていた。かわいい。

 




最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
アリウスのみんな、かわいいですよね!
私が守らなきゃって気になります!

分量なんかは書いていくうちに調整して予定です。
良ければ、感想、要望等残していってくれたら嬉しいです。
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