セリフもう少し増やした方が読みやすいですかね?
もしよければ、ご意見ください!
今、私は幸せである。右手から伝わる小さくも温かな感触を堪能し、私は満面の笑みで銃声鳴り止まぬアリウス自治区を歩いていた。そう!私は今、小さなヒヨリと手を繋いで歩いているのだ!そのヒヨリはといえば、私と繋いだ手を振りながら、先程渡した二つ目の飴玉を幸せそうに味わっている。こんな可愛い生物がいていいのだろうか。なんらかの法律に反するのでは?
そんなニコニコしている私たちの少し後ろを、サオリは何やら呟きながらついて来ていた。
「姉さん。いや、しかし…」
どうやら私の突然の姉発言について、真剣に検討しているようだった。確かに、今まで長女的なポジションで頑張っていたサオリにとって、突然の姉という存在はすんなり受け入れられるものじゃないだろう。難しく考えなくていいんだよ。世の中には年下の姉とか、年上の弟くんとかもいるんだから。
現在、私たちが向かっているのは、サオリ達スクワッドが拠点にしている建物だ。私がアリウス自治区に住むつもりであることを聞いたサオリが、一時的な拠点にでもと提案してくれたのだ。私的には、生徒達の家に私なんかが同居するなんて恐れ多いことこの上ないのだが、今のアリウス自治区では、まともに住める建物すら貴重であるとのことだった。
そのため、とりあえず手頃な建物が見つかるまではお世話になることにした。不可抗力だ。決して内心で狂喜乱舞していたりはしない。
「メイさん!聞いてもいいですか?」
ヒヨリが声をかけて来た。飴玉のお陰かすっかり警戒も解いてくれたようだ。
「もちろん!何かな?」
「メイさんは、天使さんなんですか?」
ヒヨリからの予想の斜め上の質問に、頭がフリーズした。天使?確かに、今の私の銀髪に薄黄色の瞳という容姿は、カラー的に若干の聖属性感がなくは無いけど、天使は人を投げたりしないだろう。何より、目をキラキラさせながらこんな可愛らしい質問をするヒヨリの方がよっぽど天使らしい。
「うーん。天使じゃないかな。どうしてそう思ったの?」
「メイさんは、空から降って来たし!美味しいお菓子もくれましたから!お迎えに来た天使さんで、最後の晩餐かもって。」
なるほど、それでか。この頃から、ちゃんと悲観的だったんだな。でも、それだけで天使だと思ってしまうとは、なんて純粋なんだ。ヒヨリの頭を撫でつつ、これは汚されないよう保護しなくてはという保護欲のようなものが溢れてくるのを感じる。ヒヨリとそんなやりとりをしていると、いつのまにか私たちを追い越していたサオリが立ち止まり、振り返った。
「ね、姉さん。着いたぞ。ここが私たちの今の拠点だ。」
目の前には、半壊したレンガ造りの建物があった。どうやら、ここの壊れていない部分を拠点としているようだ。いや、そんなことは今重要では無い。今、サオリが躊躇しつつも、私を姉さんって呼んだぞ!勢いで言ってみたものの、こんなに早く呼んでもらえるとは思っていなかった。やっぱり、サオリは真面目だ。
サオリ本人は、自分で言いながら若干照れているようで、下を向いて顔を見られないようにしている。あー尊い。ダメだ。もうここで死んでもいい。
「メイさん、こっちです!」
サオリのあまりの尊さに放心していた私だったが、ヒヨリに手を引かれ、建物の中に入っていく。中は薄暗く、床には瓦礫が散乱しており、とても良い環境とはいえなかった。そのまま進んでいくと、比較的損傷の少ない金属製のドアが見えて来た。
ヒヨリはそのドアに駆け寄ると、ドアを一定のリズムでノックした。すると、鍵やチェーンを外す音が聞こえ、中から淡い紫色の髪の仮面の少女が顔を出した。
「姫ちゃん!聞いてください!メイさんがお菓子をくれたんです!」
「メイさん?その後ろにいる人?」
「そうです!メイさんは空から降って来て、悪い生徒さん達をやっつけてくれたんです!」
「空から?」
ヒヨリが興奮しながら姫と呼ばれた少女に、自分が見た出来事を説明しようと頑張っている。かわいい。しかし、その内容があまりにも突拍子がないので、うまく伝わっていないようだ。
姫と呼ばれた仮面の少女。顔は確認できていないが、おそらくというかほぼ確実にアツコだろう。アリウス自治区において姫と呼ばれるのは代々の生徒会長の血を引く、ロイヤルブラットであるアツコ以外考えにくい。
「姉さん、少し待っていてくれ。姫達に説明してくる。」
私の後ろにいたサオリが、ヒヨリに助け船を出した。サオリとヒヨリはそのまま部屋に入っていき、私は大人しく部屋の前で待つことにした。
私が5分ほど部屋の前で待機していると、建物の外が何やら賑やかになって来た。なんにせよ確認しておいた方がいいだろう。私は建物の2階に上がり、窓枠から建物の外の様子を確認した。
外には、5人の強硬派の腕章をつけた生徒が、建物の入り口を包囲するように展開している。よく見れば、集団の中に先ほど逃げたやつが紛れている。どうやら尾行し、報復に来たらしい。いつもなら警戒を怠らないであろうサオリも、私というイレギュラーを処理していて怠ってしまったのかもしれない。
もしそうなら、私の責任だ。私がなんとかしないと。私は屋上へ上がる階段を発見し、そのまま上がる。その際、落ちている瓦礫をいくつか拾っておく。私が屋上に着くと、生徒の1人がグレネードを投げる準備をしていることに気がついた。
私は、生徒がグレネードのピンを抜いたタイミングに合わせて、拾っておいた瓦礫をその生徒めがけて投げた。特に細工もないただの瓦礫だったが、ヘルメットに命中し、生徒はそのまま倒れ込み、持っていたグレネードは足元に転がる。グレネードはその場で爆発し、左右1人ずつ生徒の仲間を巻き込んだ。
「なんだ!どうした!攻撃されたのか!」
「くそ!どこからだよ!」
残された2人が、混乱しつつも攻撃を受けたことを理解し、遮蔽物に身を隠しつつ、周囲を警戒し始める。すると、以前私に発砲し、逃走した生徒と、目が合った。とりあえず、手を振っておこう。
「居たぞ!あそこだ!」
目が合った生徒が叫んだ。すると、もう1人の生徒も私に気づき、2人とも発砲してきた。私はとりあえず身をかがめて隠れつつ、次の瓦礫を握る。そして、相手がリロードに入ったタイミングで、1人に向けて瓦礫を投げる。瓦礫は投げる時に手の中で砕いたので、散弾のようになっており、生徒が隠れていた遮蔽物を穴だらけにし、生徒の意識を奪った。パーフェクトゲームだ。
その様子を見ていた残りの1人は放心状態だ。私は屋上から飛び降り、スーパーヒーロー着地を決めると、最後の1人に歩み寄る。最後の1人の生徒は、その場で銃を捨て、両手を挙げた。
「降参だ!もう襲ったりしないから許してくれ!」
私は、捨てられた銃を無言で拾い上げ、満面の笑みで生徒のヘルメットめがけてスイングした。先に撃ってきておいて、降参したから許しては無理だよね!
サオリ視点
私がヒヨリと部屋に入ると、部屋の中には姫とミサキが居た。ミサキは部屋の隅で体操座りしていて、姫はヒヨリと一緒にボロボロのソファーに腰掛けた。私が椅子に腰掛けると、姫が質問して来た。
「それでさっちゃん。お姉さんなんてどこで拾って来たの?」
「いや、あれは姉さんに言われただけで!」
自分でもよくわからないが、恥ずかしさを覚え、つい勢いよく否定してしまった。
「メイさんはですね!空から降って来たんです!」
「さっきからヒヨリはこう言ってるけど、本当に空から降って来たの?」
ヒヨリが嬉しそうに言う。確かに間違ってはいない。しかし、空から降って来ただけでは姫もよくわからなくて当然だろう。私は、ヒヨリが食料を強硬派に奪われそうになったところから、姉さんについて出来事を姫とミサキに説明した。その間に、ヒヨリは姉さんからもらったであろう飴玉を2人に配っていた。
「私たちと同い年くらいなのに、弾丸を頭に受けても平気で動けるなんて。」
「でも、そんなに強いなら、今まで自治区内で聞かないのは変じゃない?」
「本人が言うには、姉さんは他の自治区から来たらしい。」
ミサキは、姉さんの異様な強さが信じられないようだ。確かに、神秘の強さによって、私たちの肉体強度には差がある。しかし、まだ幼い私たちは学校に所属する生徒達に比べて肉体強度は低い。弾丸を受けて平気などころか、頭に受けてもけろっとしているなんて異常だ。少なくとも、キヴォトス内でも稀有な強さだろう。
それに対して姫は、姉さんの所属が気になるようだ。姉さんの強さを完全に把握したわけではないが、もしも姉さんが融和派か強硬派のどちらかについたのなら、アリウス内のパワーバランスは大きく傾くだろう。しかし、姉さんは最近アリウスにやってきたと言っていた。強硬派の生徒を攻撃していたことからみれば、少なくとも強硬派の人間ではないと思う。なにより姉さんが纏う雰囲気は、アリウスのものではない。
「姉さんは私とヒヨリの恩人だ。だから、住むところが決まるまで一時的に、ここを提供したいと思っている。」
私の提案に、姫とミサキは考え込む。2、30秒ほど経過したところで二人とも結論が出たようだった。
「私は、サオリ姉さんが言うなら文句はない。」
ミサキは淡々と答えた。
続けて、姫が口を開く。
「私もさっちゃんが言うなら反対はしない。けど、どうしてさっちゃんが、メイちゃんを信用したのかだけ、気になるかな。」
「私が、信用した理由..」
姉さんは、私とヒヨリを助けてくれた恩人だ。ヒヨリには飴までくれた。しかし、まだ会って間もない人間だ。普段の私ならここまで警戒を解いたりはしないだろう。それなら、なぜ私は。私が言葉に詰まっていると、三つ目の飴をなめ終わったヒヨリが口をはさんだ。
「それは、メイさんが天使さんだからです!」
ヒヨリは、腰に手をあて、堂々と胸を張って宣言する。私は、ヒヨリの発言を聞いて、納得した。もちろん、姉さんを本当に天使だと思ったわけじゃない。ただ、信じたくなってしまったのだろう。救いも希望もないこの世界で、私がみんなを守らないといけないと思っていた。だからこそ、初めて自分を守ってくれた存在を信じたくなってしまったのだ。
「私は、姉さんのことをほとんど知らない。どこからきたのか。何をしにここに来たのかも。だが、信じてみたいと思ったんだ。」
「そっか。なら、私もさっちゃんが信じるメイちゃんを信じるよ。」
姫は、納得したように微笑んだ。姫はいつもと違う私の様子に気づいて心配してくれたのだろう。
「なら、さっそく、姉さんに声をかけてく」
言い切る前に、建物の前から爆発音が響いた。そこまで重いものではなかった。おそらくグレネードの類によるものだろう。私は、現状を確認すべく、姫たちに待機の合図をして、慎重に部屋のドアから外を確認する。部屋の外に人影は見当たらない。まだ、ここまでは攻め込まれていないようだ。しかし、姉さんの姿もなかった。
私は建物の正面に面する部屋に移動し、一部のみ残る壁の陰から、建物正面の様子をうかがった。
建物の正面には、強硬派の腕章をつけた学生が二人確認できた。その足元にはやつらの仲間であろう生徒が複数倒れている。
「なんだ!どうした!攻撃されたのか!」
「くそ!どこからだよ!」
二人の生徒が身を隠しながら叫んでいる。どうやらさっきの爆発の被害を受けたのは強硬派の生徒の方らしい。
「居たぞ!あそこだ!」
生徒の1人が屋上を見ながら叫び、遅れてもう1人も屋上の方を向いた。そして、2人で屋上に向けて発砲した。強硬派を襲撃したやつは屋上にいるらしい。生徒がリロードに入ったタイミングで、屋上から何かが投げつけられ、生徒は倒れてしまった。何が投げつけられたのかはよく分からなかったが、着弾の音からしてすごい威力だったのだろう。
もう1人の生徒は、放心状態にあった。私はすかさず建物を出て無力化しようとしたが、それより早く屋上から姉さんが降ってきて、おかしな姿勢で着地した。今まで見た姉さんは、なぜか毎回降ってくる。姉さんは、そのまま生徒に近づく。生徒は、銃を捨て、両手を挙げて降参したが、姉さんは、銃を拾い上げ、そのまま頭にスイングした。容赦がない。
「大丈夫か。姉さん」
私が後ろから近づいて声をかけると、姉さんは振り返った。
「サオリ!サオリ達も怪我はない?ごめんね。なんか目を付けられちゃったみたい。」
姉さんは、笑顔でそういった。とても、目の前の惨状を作り出した人物とは思えない、天使のような笑顔だった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
今回から少しタイトルを変更させていただきました!
タイトルって意外と思い浮かびませんね。
良ければ次回もよろしくお願いします!