自称幼女は銀魂世界でぷりちー天使あいどるにレベルアップする。 作:サボテンダーイオウ
雨がざぁざぁと降り注ぐ中今、私はコンクリートじゃない場所に立ち尽くしております。
足元は砂だろうか。うぅ、それもはっきりと確認できない。どうやら風で砂が目に入った直後のようだ。
先ほどまで確かに私はあの場所にいたはずなのに、まるで光の速さの如くあっという間に転移させられてしまった。
クソッ、いつもいつも必ず腹立つことがある。
それはどうしてアイツは予告なしに行動に移すということだ。
すぐに頭に思いついたことはすぐ実行と単純明快な事。それに巻き込まれるのは主にいつも私である。むしろアイツにも同じ目に遭わせてやりたいと強く思うのだ。
私のように知らぬ異世界に放り込まれ勝手に作られた設定なるものを必死に頭に叩き込みながら見知らぬ人物とさも知り合いのように会話をしなければならない。
出会って初対面なはずなのに相手はもう私を知っていってそれも結構親密な関係だったら、もう冷や汗しか出てこない。
死ぬ気で演技をしてその場を切り抜けるしかないのだ。
この苦痛を奴にも体験させたい。そして私は高みの見物をし奴の頭上から笑ってやるのだ。
なんと楽しそうなことだろう!
はははは。できたらいいな。
願望は所詮願望なのだ。現実逃避したところで私の運命が変わることはないんだろうなと諦めた。たとえ目の前に魚が二本足で立ちながらこちらを凝視していようと私のこの悲しさが晴れることなどないだろう。あれ、幻覚?第一村人が魚人って笑ってもいいよね。
「けけけけ、上玉じゃねぇか!!」
「そうだろ、人間のメスだが、これほどの餓鬼はみたことがないぜ」
二匹目も現れた。涎だらりと垂らしながら近づいて欲しくない。お下品だし不衛生だ。
人が怒りと悲しみの渦で苦しんでいるというのに、目の前の魚人もどき共はゲヒゲヒと薄汚い鳴き声で近づいてくる。
そして私が何も反応しないのをいいことに私の首に鎖つきの首輪をつけた。
「逃げようと考えるなよ?お前は高く売れるんだからな」
「しかし、さっきから表情変わらない奴だな。…悲鳴もあげねぇし、不気味な餓鬼だ」
「…………」
さっきから、目は痛いし、首は鎖でジャラジャラ言うし、いいことなんか一切ない。
おまけに愛しの狗楽とも離れ離れなこの状況。
どうしてくれる、巧。お前のせいで胃潰瘍になったらどうするんだ?
ストレスって怖いんだよ。あ~、ストレス発散したい。当たり所がほしい。
しかし、誰が悲鳴あげるって?そんな考え全然なかったわ。
今はこの鬱憤をどう晴らそうか一生懸命考えてるんだから邪魔すんなよ。
魚のくせに生意気だ。なんで二足歩行してるんだよ。
だって頭部は魚のくせにだよ?魚は裸で十分だろうが、どうして服着てんだよ。
お前らに必要ないだろうが。身ぐるみ剥いでやろうかと、考えたのだが、駄目だった。
魚人1匹目が手にしている鎖を引っ張り、私を早く歩かせようとせかす。
そのせいで、首輪がのどに食い込んだ。
「………ッ…」
「さっさと歩きやがれ!」
ドサッと地面にダイブしてしまいました。
とっさに手をついて顔面強打は免れたが手の皮がすりむけて血が流れてしまう。
ぐすん、痛い。うえっ。気持ちわる。
目玉がぎょろりと動いて私を見る。その動きがなんか生理的に拒否拒否!。
それでも魚人2匹目がこちらに手を伸ばしてきて再度首輪を引っ張る。
「オラッ!!さっさと立て、餓鬼が」
おめぇ、誰に向かって暴言吐いてんだ?
コラァ。しかも、餓鬼だと!?
私の何処が餓鬼だというんだ。
そりゃ永遠のピチピチ20歳ですが。お前らの寿命よりは数倍生きてきましたよ。
それなりに修羅場も潜り抜けてきたし、命のやり取りだって何度行なってきたか。
そんな苦労も知らない魚人に罵られて平気でいる人間いると考えているのか。
殺す。いや、ただ殺すだけじゃつまらん。
網焼きしたみたいに焼き目をつけてこんがり焼き殺してやる。
魚人の網焼き、できあがりだ。うん、そうしよう。
魚人共よ、文句を言うなら私をここに落とした巧に言うがいい。
私の瞳に炎が宿りこの鬱憤を晴らせる。そう意気込んだ、その時!
私の楽しみを奪う者が予測なしに現れた。
「そこまででさぁ」
「何奴!?」
しかしこういうタイミングで誰かが邪魔するのってよくあるパターンというやつだ。
はぁっとため息を吐きながら邪魔した人物に注目してみる。
雨の中その人物は傘も差さずなぜか腰元に刀をさして登場とはこれまた時代劇か。
服装は制服のような隊服なのかわからないがそれなりにカッコイイものだ。
顔は少し歪んでいてはっきりとは見えない。雨が目に入って視界がぼやけてるんだ。
今私は座り込んでいるから必然的に上目づかいになる。するとその人物とバッチシ!視線があった。なぜか、彼は息を呑む表情に変化した。
逆に私のほうがなんですか!?
と叫びたくなるくらいの驚きようだ。
実際に叫びたいのだがいかんせん首輪が煩わしいので叫ぶ気力を削がれている。
「…とって……?」
首輪外してクダサーイ。駄目なら魚人共私に殺らせろ。
よくみたら中々のイケメンの少年ではないか。
「……てめぇら、お天道様の下の地下にまで落としてやらぁ…」
「…ひえぇ!!」
「ぎゃぁあああ!」
なんか、物騒なこと言った彼は腰の刀を引き抜きバサバサ斬っていく。魚人がみじん切りである。なんて嘘だけど死んでたのは間違いない。だってどれも急所を狙われて一撃だもん。少年は刀をしまい私に近づいてくる。
だがその歩みはあまりにもゆっくりだ。
はよ、外してくださいよ。
ブーブー、ブーイングしたかったけど助けてくれることはさっきのでわかったので文句は言うまい。なぜか、少年の手が震えながら首輪を外していく。
雨で体が冷えちゃったんだね。そうも、すいませんねぇ~。
「大丈夫かぃ?」
「…………」
あー、喉痛い。
さっきの首輪のせいで喉の部分がひりひりする。たぶん、痣かできているに違いない。
自分の手を喉元にやって傷の具合を確かめてみる。
肌の具合からして皮膚の一部、薄皮捲れているようだ。
手のひらも痛い、ちきしょー。医者行かなきゃなぁ。医者探すか。
私は軽く少年に微笑みお礼を述べた。
「…ありがと……」
「………、おまえ……は…」
いや、おまえって名前ではないですがな。
「何処いくつもりでぃ?」
とりあえずこんな寒い所にいるわけにはいくまい。
「…知らないところ…」
ここは私の知らない土地なので間違ってはいないはず。そう答えると少年はおもむろに私の腕を捕まえ、
「…のにゃ!」
抱きかかえたではないか。まさかの彼の行動に一瞬動きが固まってしまった。
新手の誘拐か!?
私の動揺など彼は一切無視して歩き出した。
向かう先はどうやら車らしい。…だがただの車ではなかった。あまり関わり合いになりたくない独特の模様。パトカーである。この少年警察関係者だったのか。
私、なんかいけないことしただろうか?
ただただ、私は少年の腕にしがみつきどうか不審者として掴まりませんようにと祈るしかできなかった。
※
誰かさん視点
偶然通りかかった場所だった。土方コノヤローが見回りを強化しやがれと怒鳴ってきたのが偶然だったとしたら一応感謝しておかねーとな。
最近江戸では人攫いが発生している。それも女子供ばかりを狙ってな。
なんとも物騒な世の中でぃ。天人が江戸に介入するようになってから生活は一変したが、今度は天人による事件や攘夷派が世間を騒がせている。
この事件だって初めてのことじゃない。それだけこの世の中は腐っている。
そして雨が降り注ぐ中見ちまった。天人に無理やり連れて行かれようとしている餓鬼を。
最初はただの餓鬼だと思った。
けどまず服装がおかしいに気がついた。なんせ、和服と洋服をコラボレしたような服装。
スカートなんかくらげみたいに膨らんでいるしハイカラって感じか?
天人の子供ではないが日本人じゃありえない容貌をしていた。
そして一番に目を惹くのは銀色の流れるような髪に紫色の瞳。綺麗だと思った。
見惚れたっていうのか。
雨が無情に降りしきる中少女だけはより一層輝いて見えたのだ。
少女が俺に助けを求めてくる。
それが一気にやる気へと変わり、己が昂ぶる気持ちを抑え切れなかった。
魚人の天人に誘拐されそうなところを条件反射で助けたが子供の前で殺生をしてしまったことに後から後悔した。
だが少女はなんら変わらない様子で反対に礼を言った。
その無垢な笑みは本当に穢れを知らない純粋さで溢れていた。俺にはないもので急に欲しくなった。
眩しいほどの太陽だ。
だがそんな少女は俺に背を向けどこかに消えようとする。そんな傷付いた姿で何処かへ向かわせたくない。二度と会えなくなるのは嫌だった。
そんな思いが俺を普段考えられない行動へとむかわせた。
気が付いたら少女を抱き上げパトカーまで運んでた。
少女は一回叫び声をあげたが、暴れるような動きはなく逆に俺の腕にしがみつく。
その少女の手は僅かに震えていた。やっぱり俺が怖いのか。
そう、内心落ち込んじまった。けどよくよく考えたら少女は俺を拒む様子はない。
なら、さっきの天人に恐怖を抱いたのか。
とにかく手当てもしなければいけないし何より雨の中座り込んでいたのだ。
服はお互いにぬれねずみ、風邪でもこじらせたら幼児にとって一大事に繋がる。
すぐにでも屯所に連れて行ってやりたい気持ちが勝った。
まだ名前も知らない幼児を乗せて俺は車のエンジンを動かした。
設定
ジル(仮名)
見た目4歳児
突然落とされた被害者女。見た目超可愛いシルバーブロンド幼児に強制変身。自分の容姿に興味が無く自由奔放なのは相変わらず。年齢詐称疑惑あり。