自称幼女は銀魂世界でぷりちー天使あいどるにレベルアップする。 作:松魚
総悟に抱っこされ屯所に帰ってきた途端、ジルは誰かによって引っ張られ強く抱きしめられた。大泣きしている近藤だった。
「ジル!無事だったのか…。ぱぱが悪かったよ。お外で遊んでおいでなんて言ったのが間違いだった!」
「むぎゅ」
「よかった、よかった…本当に怪我がなくて」
「ごめんなさい…ゴリぱぱ…。心配かけちゃって」
「いいんだよ、そん……!ジルちゃんの首に包帯!?」
首の包帯を見られた時はぱぱ絶叫しまくってジルを抱っこしたまま「救急車ー!」と叫びまくって、それに同調した土方が「オシ!わかった!」と頼りがいありそうな素早い動きで「救急車一台寄しやがれ!」とスリッパ片手に怒鳴りだす。
そして通じもしないのに「このクソ携帯ガァアアアアア!」とキレ始めた。
かなり面白いのでジルは近藤に蹴り入れつつ、悶絶してる間に素早く床に降り傍観することにした。だがまたむぎゅっと抱きしめられた。
それは、半泣き一歩手前の彼はボロボロな山崎だった。
「ジルちゃん、無事で良かった…」
「やっちん、ゴメンね。心配かけて」
どうやら色々と大変だったらしい。ジルはシロにでもやられたのかと罪悪感に襲われる。だが実はシロではなく隊士達に袋叩きにされていたのだが山崎は何も言わずにただジルが無事であることを喜んだ。そして、山崎以外にも誰かの視線を感じると横目から上を見上げてみると、見た目怪しいおっさんが沸いていた。
「良かったナァ~!!おじさんも嬉しいぞ」
「誰このおっさん」
ジルは幼児ぶらずに素でウザったそうに呟いた。
「ぐはぁ!ぷりちー天使ジルちゃんにおっさんと言われてしまった!」
「キモい」
ジルは幼児ぶらずに素でウザったそうに毒を吐いた。
「ぐはぁ!ぷりちー天使ジルちゃんにキモいと冷ややかな視線で言われてしまった!」
「ジル、この人はな?松平片栗虎って言って俺たちの上司で」
「え?ゴリぱぱの上司なの!?なんでそれをサッサと言ってくれないの!無駄に本音出しちゃったじゃない!どうも初めまして、ぱぱがいつもお世話になっていまーす。義娘のジルです。よろしくお願いします。ぺこり」
ジルはあざとく幼児らしく可愛く振舞った。今更なのに。だが効果てきめん!
松平のオッサンは吐血して背中から倒れた。
「ゴハァ!」
「とっつぁーん!」
近藤は驚愕しながら、松平のおっさんに駆け寄ってその体を片腕に起こす。
「この、この松平片栗虎に血を吐かせるとはァ、なかなか将来が楽しみじゃねぇ、か」
「とっつぁん……アア、俺の娘は中々に辛辣だからなァ。超絶に可愛いからギャップ萌えに身を悶えさせる毎日だ。日々これでも体鍛えてるぜ!いつ鼻血噴射してもいいようにな!」
「フッ、羨ましい奴だぜ、可愛い娘持てて幸せじゃねーか、おう?近藤よ……立派に育て上げるんだぜ…?俺は草葉の陰からオメェらを見守ってやることに、するぜ…ガク」
「「「とっつぁーん!」」」
「お前らアホじゃねぇの?」
下らない三文芝居をみせられジルは冷たく突っ込んだ。総悟はその他大勢など目もくれずにジルの隣にしゃがみ込む。
「ジル、怪我の具合はどうなんだ」
「大丈夫だよ、そんな心配そうな顔しなくても…優しいね?『総悟』は」
ここで土方があることに気が付いた。
「アレ、ジル。お前総悟の事、名前で呼んでたか?」
「さっきそう呼ぶことにしたの。ねぇ?総悟」
「ああ」
ジルが手を差し出せば総悟はおそるおそると手を絡め繋ぐ。
触れ合った指先に先手を打つのは小さなジルの方できゅっと総悟の手を握る力を籠めれば、総悟はビクンと反応し、翻弄されているようだ。
「可愛い」
「………男をからかうと痛い目みるぞ…」
そっぽを向いたまま総悟が照れながら言い返すとジルは目を細めて
「ふうん?……『痛くしてあげてもいいんだけど』?」
と幼児らしからぬ大人な発言で返す。途端に総悟は頬を赤く染めて「………馬鹿が…」と悔しそうに呟いた。ジルは「ウフフ」と妖しく微笑む。
土方は二人の微妙な空気を感じ取った。総悟の態度がまるで、好きな男を前にした純情な乙女のようで、ジルは反対に大人の魅力あふるる色男のようであると。だがそれはすぐに演技であったことを知る。ジルが種明かしをしたからだ。
「どうどう?大人のカップルみたいなのやってみたー!」
「演技だったのか!?」
「うん!そうに決まってるじゃん!ねー総ちゃん?」
「……おお…」
「ジルちゃんが小悪魔になってしまったー!ぱぱはどうすればいいんだー!」
近藤は真に受けて頭抱えて叫び出した。ジルは他人事のように笑った。
「アハハハ!だったらお金貢げばもっと小悪魔よりもスゴイ女王様化してあげるよ」
「いやそれは駄目だろ」
土方がツッコみ仕掛けている側でジルと総悟の手はしっかりと繋がれたままなのだ誰も気づかなかった。
※
夏が近くなろう今日(こんにち)。普段からスキンシップが激しい総悟は日を増してジルにくっ付いてくるようになった。
畳に寝っ転がりうぅ~と唸ってると総悟が腕を伸ばしジルの体を引き寄せようとする。
「総悟、暑い近寄るな」
「いいだろ、もっと」
甘えさせろよと総悟はジルにくっ付く。総悟の髪が首筋にくっ付いてくすぐったいとジルは少し身をよじらせた。
「私ってば毎回猫に好かれるのね」
「猫?猫飼ってたのかよ。…っていうかシロ飼ってるだろうが今」
「いやシロは虎だから別もんだよ。大体シロは式神だし。うん、おっきいの2匹。人の膝ばっかり狙ってくる賢いの。で有料でーすって言うと眉間に皺寄せるの。丸わかりなんだよね、不機嫌ですって言うのが」
「ふーん……それ『猫』じゃねぇだろ」
総悟の読みは正しい。ジルは割とこういうパターンは慣れていたりする。
しかし教えてあげないことにしたジル。
「なんか気に入らなそうな顔してる」
「別に」
「拗ねた、可愛い」
「拗ねてねぇよ、可愛くねぇし」
「ハイハイ」
「どうしてジルの髪は銀色なんでぃ?」
「そういう風になってるから、としか言いようがないね。私が決めたわけじゃないし」
「じゃあ、誰が決めた」
「神男」
「それってどんな奴なんでぃ」
「ツッコミ大好きじーさん」
「……教える気ねーだろ」
「あるから教えてるのに」
「だったら教えろよ」
「だから教えてるでしょうが」
「………」
総悟は黙ったままジルの髪を弄んできた。少し汗ばんだ髪だがジルはお構いなしに指を絡ませようとする。だが見た目はあまりよろしくない。
「総悟、こうしてるとロリ変態で捕まるよ」
「別にいーじゃねぇか。嫁と戯れてるだけなんだから」
「……見た目幼児と戯れてる少年としか見えないけどね、ギリギリ兄妹で誤魔化せるくらいだから」
「他人の事なんか知らねぇさ、俺がどう思うかが重要なんだよ」
「……はいはい、そうですか」
開き直れはそれでおしまい。ジルはそれ以上言い返すことはしなかった。だって、無駄だろうから、本人に何を言っても直すつもりはないのだ。ならばジルも開き直るしかない。
「ジル」
名を呼ばれ意識を向ければそこには総悟の顔。顔から首筋にかけて手を撫でられる。
ゆっくりと、ゆっくりと。
「総悟ってキス魔なのね」
「実感してるだろ、いつも」
そういって、総悟は瞼を閉じてジルの唇に軽いキスをした。何回も、何回も。
触れるだけのキスをジルたちは何回もした。
【見た目初々しい初恋みたいで中身は罠だらけ】
◇◇◇
ぱぱが超過保護になった。
朝起きて横見たら、「ジル~、朝だよおっきして~?」と当然の如くいたのでシロに襲わせた。
食堂でウキウキと朝ごはん食べようとしたら隣で「ジル~、ほら今日はぱぱがお林檎切ってあげたよ~ウサギさんだよ~」といたので代わりにゴーラちゃんに相手してもらった。
家庭教師のおじさんと自室で勉強してたら「ジル~、お勉強中~かい~?ぱぱも一緒にお仕事しちゃおうかな~」とか言ってきたのでゴーラちゃんに強制的に仕事部屋に帰ってもらった。
結野アナが出てる番組を見ながらシロとゴーラちゃんと一緒にのんびりしてたら「ジル~、ぱぱとゲームしないか~い?今話題の最新作なんだよ~」と言ってきたので一緒に楽しくゲームした。
総悟が風呂で待ち伏せしていて危うくヤラれる所だったのでドついて気絶したのを見てから逃げた時に脱衣所に突如出現して「ジル~、一緒にお風呂『どかっ!!』ガはっ!」
と変態発言したので台詞と途中ではあるが桶投げつけて裸のまま気絶してる総悟とぱぱを土方さん呼びつけて片づけて貰った。
トイレから出てきた瞬間に「ジル~、おトイレ一緒に「死ねっ!!」グハァ!」
思いっきり叫びながら男の急所に蹴りいれてやった。
夜こそは平穏に寝られるかと思いきやふとんめくった瞬間に総悟が襲い掛かってきて「ジル~、一緒にお寝んねしよ~ねぇ~って総悟!?俺の娘と一緒に寝ようとしてるのか!?ぱぱ許さないからね!俺の娘は一生俺だけの娘なの~!」と義父と仮婿がバトルを開始したのでやっちんの布団に避難し一緒にお寝んねした。
そして、次の日、「ジル~、ジル~、どこだ~い?ぱぱの天使ちゃん~?」と言いながら徘徊しまくる、まるでゾンビ状態のぱぱを見て自室の机に置手紙を残し洗濯してるゴーラちゃんに「遊びに出かけてくるね」と声を掛けシロと戯れているやっちんに「死なないように遊んでね」と声を掛け家出をした。
置手紙の内容はただ一言のみ簡潔に。
『ウザい』
※
タロス視点
俺は目下変装ずみだ。だが一発でいたいけな幼児に見破られてしまった。銀髪に紫の瞳をいう人間離れした容姿を持った完璧な幼児だった。気配なく出現したチビッ子は俺を見るな否や「おにーさん、かつら屋さん?」と声をかけてきた。何の違和感を与えずに。
「俺はカツラじゃない」
「髪の毛ずれてるよ」
「何だと!?」
確かに髪の毛ではないが俺のちょび髭が口元からずれていたのを手で確認した。
そうか、これでこのチビッ子は俺の変装を見抜いたようだな、なんと侮りがたしチビッ子よ。
「してチビッ子よ、何故このような場所にいるのだ」
「ぱぱが24時間ストーカーしてくるから逃げてきた」
「……お前の父親は変態なのか?」
「ゴリ近っていう種族なの」
「………お前の父親は天人なのか?」
「ううん、ゴリ近っていう種族なの。趣味はストーカー」
「うっ!?」
俺は思わず目頭を押さえてしまった。あふれ出る感情を抑えきれないからだった。
なぜならこのチビッ子の瞳が言葉以上に語っているのだから。
天人の監視下に置かれ24時間気の休まる暇も与えないくらいに酷使されている。だが素晴らしい根性は我ら志士にも勝るであろう原石を持っている。
このチビッ子こそ次代を背負うにふさわしい存在ではないか。
これは俺が保護しゆくゆくは俺の跡目に育て上げるのもいいのではないかとさえ思ってきてしまった。するとチビッ子は俺の隣にたつエリザベスに興味を抱いたようだ。ぐるぐると飼い主の周りをまわる子犬のように周り、がばっと抱き着いた。
「ほ~、この人可愛いね!」
「!?」
何と神々しい微笑みだろうか!というぷりちーすぎる…。
あまりにも可愛いすぎてこの生き物は俺と同じ人間なのだろうか、と馬鹿らしいことを考えてしまう。チビッ子はつぶらな瞳で上目づかいをしてくる。ぐふっ。
「こんにちは、お名前なんていうの?」
『エリザベスです、ぷりちー天使のジルちゃんですよね?ファンなんです。サインください』
「いいよー。なんかぷりちー天使のジルちゃんってフレーズがすごく気になるけど、
エリザベスちゃん可愛いからサインしてあげる」
エリザベスはどこからかサイン色紙と黒ペンを取り出しチビッ子に差し出す。なんと手際のよさだろうか。いつもの三倍は早いような気がするぞ。
『エリザベスさんにって一言お願いします』
「うん」
ぷりちー天使のジルちゃん!?
なんとこのチビッ子はあの○ーちゅーぶにも出ている今噂の最年少あいどるではないか!?
「エリザベス!?なんと羨ましいことをっ!ぷりちー天使ジルちゃんよ、俺にもいただけないか?」
そういって俺もサイン色紙をとりだした。ぷりちー天使ジルちゃんは幼児らしからぬ達筆な字でサラサラと字を書いていく。
「うん、いーよ。おにーさんかつら屋さんだっけ?」
「違う!俺はカツラ屋ではない桂小太郎だ」
「そっか、桂小太郎さん、ね。それじゃあロドリゲス太郎」
「なんだと!?」
「あだ名つけてあげた、気に入らない?」
「なんで桂小太郎と言っておきながらロドリゲス太郎に発展してしまうんだっ!?」
ぷりちー天使ジルちゃんはダサいネーミングセンスの持ち主なのだと、この時俺の中で刻まれた。俺の叫びにぷりちー天使のジルちゃんは頬を膨らませ(可愛い)ぷんぷんと怒った。
「ぶー、不満なの?」
「不満ありまくりで爆発状態だ」
ついでに可愛さに身悶え寸前5秒前だ。
「ケッ、注文の多いヤローだ、…じゃあタロスね」
極上の笑みとはまさにこのことだな。今舌打ちしたのは俺の気のせいであろう。
「…フッ、お前がそういうのなら俺は今日からタロスと名乗ろうではないか」
まさに予想だにしなかった展開ですあるが悪い気はしない。俺はぷりちー天使のジルちゃんから『タロスへ』と書かれたサイン色紙を胸に抱きつつ少女と別れた。
そして、この日俺は桂小太郎という身分を偽ることなくジルちゃんファンクラブに入会した。
そしてジルちゃんファンクラブ会員№8888を取得した。
そして、俺は珍しく激怒したエリザベスを含む他の仲間志士たちに袋叩きにされた。
理由:あだ名つけられたから。(一部、妬みから)
フッ、俺は今日という日を忘れない。
俺の、『あだ名記念日』…
byタロス