自称幼女は銀魂世界でぷりちー天使あいどるにレベルアップする。 作:松魚
さてロドリゲス太郎と別れた後、ジルはぷらぷらと町を歩いてた。
屯所に戻ったところであのウザさから解放される保証もなく、ジル本人も久しぶりに外でのんびりと満喫でもしようかなと思っていた所。
コンビニでなんとなく缶コーヒーとコーヒー牛乳、それにツナと鮭のおにぎり一つづつ買ってぷらぷら歩いて辿り着いたところは昼間の公園。子供が遊ぶ遊具などが置いてある場所にベンチが数台設置されている。近藤から持たされた携帯は電源を切っている。
今時の子供携帯はGPS装備付でいつどこでも子供の居場所が見つかってしまうという素晴らしい機能がついている。ジルは子供用の携帯を持たされているのだが本人は子供用ではなく普通にス○ホが欲しいのだ。だがショップであーだらこーだらと近藤曰く
「ジルにはこれで十分なのっ!だって可愛いじゃないかキッズ用の携帯持ったジル!ホラ?ピンク色とかあるんだよ?超可愛いよね」
「じゃあお前の携帯寄こせ私が使ってやるから交換してやるよ」
「俺がピンク使うのっ!?恥ずかしいっていうかジルちゃん汚い言葉使いメッ!」
「ケッ」
「とにかくジルの携帯はこれなの!決まり」
と言って強制的に子供用携帯持たされることになった。
首からぶら下げられるようにヒモに通してストラップは偶然見つけたシロそっくりのぷりちーな猫さん型ストラップ。通話代とかお金の面は出してもらうから文句は言えない。しかし携帯ぐらい選ばせてくれてもいいはずだろうにとジルは似非幼児らしくぶーと頬を膨らませつつ空いているベンチに腰をおろした。すると、となりのベンチに人の気配を感じたが別に気にする理由もなし。ジルは無視することにした。
「お嬢ちゃん、今日は良い天気だね」
このグラサン独りごとぼやいてやがるとジルは無視することにした。
「ハハハ俺無視されてるのか、俺って存在自体無視?」
このグラサン空笑いしてやがる。なんか変なひとっぽいな。別の場所でおにぎり食うか。
とジルはベンチから降りる。
「ハァ~昨日タクシーの運転手はクビになるしパチンコで金はすっからかんだし全財産スリにすられるし昨日から食うもんもまともにくえてねぇし俺ってホントにマダオだな~」
何度も重くて暗いため息を吐く変なグラサンおっさんはしきりに何かを訴えようとしている。幼児であるジルに。
決してウザいからやってやろうと思ったわけじゃないが、暇だからジルなりに構ってあげることにした。項垂れるおっさんの背後に回り背中から飛び膝蹴りを一発お見舞い!
「とうっ!」
「ぎゃっ!?」
顔面から砂にダイブするおっさんX。ジルはふわりと華麗にベンチの上に着地し、顔面を痛そうに抑えるおっさんが何事かとこちらを向く。
ジルは不敵に笑い指で銃の形をつくりおっさんめがけて撃ったふりをした。
「お前の人生撃ちぬいたぜ?」(ニヤリ)
「グハッ!」(ドキューン)
おっさんはなぜか心臓部分を抑えてまた盛大に地面に倒れ込んだ。
「私何もしてないよっ!?ただふざけただけなんだよけど!」
ジルの叫びが公園に響いた。ぷりちー天使ジルちゃんはここでも奴隷(ファン)を獲得したようだ。
なぜ再び倒れこむのかまったく理解できなかったジルだが、音速の速さで復活したグラサンおっさんとなぜか一緒にベンチに座ることになった。
おっさんはぷか~と煙草の煙をふかせながら
「おじさんのハート撃ちぬくなんていけないぜ?お嬢ちゃん。だが俺はまだ忘れられねぇ女房がいるんだ…すまねぇな」
とまったく自分よがりの妄想を語った。ジルは冷徹に斬り捨てた。
「何一人で腐ってやがるマダオ。誰がオメェに惚れたって言ったよ?」
「クッ!辛辣だ、幼児の癖して辛辣だ…でもたまらないな…」
「コイツ変態だったのかちなみに仮で婿いますから恋人とか間に合ってます」
「幼児のくせして婿?!俺は世間から取り残されているのか!?今じゃこれが当たり前なのか!?」
ジル自身が当たり前じゃないことばかりの塊なのでまったく常識はないがおっさんは混乱しているので気にしないことにした。
「さっきから幼児幼児うるせぇよ。私の名前は幼児じゃないっつーの。おっさんから名前名乗れや、構ってやってんだから」
「なんで飛び膝蹴り喰らったうえ上から目線で自己紹介させられなきゃいけないんだっ!?まぁ、いいさ。俺の名は「マダオね」そうマダオ…って違うから!それ違うから俺の名前は長谷川「わかったマダオね」」
コクンと頷きジルは応える。
「何もわかってないじゃんっ!」
「いちいちうるせぇ男だな、テメェそれでもナントカついてんのかよ?」
「ナントカ?ナントカ!?それって(放送禁止用語)って言いたいの!?」
「そうだよ(放送禁止用語)だよ」
「あのね幼児が(放送禁止用語)って言うんじゃないの」
「いいだろうが(放送禁止用語)ぐらい」
「いやよくないでしょ(放送禁止用語)って!(放送禁止用語)だよ!?」
「やかましい(放送禁止用語)でビビってんじゃねぇよ」
「もうわかったわかったから(放送禁止用語)って言うのやめて!おじさん泣いちゃうから」
そういってマダオはおいおいと両手で顔を覆い泣きだした。
「お前が最後に言ってるじゃん」
とにかくようやくこの話題から離れることができた二人だった。
ジルはお腹をすかせているおっさんに丁度いいとコーヒー牛乳と鮭のおにぎり1個を恵んでやった。
「え?ふつう君がコーヒー牛乳じゃない?なんで大人のブラック缶コーヒーなの」
「ぱぱがやかましいから飲ませてくれないんだもん、幼児が飲む飲み物じゃありませんっ!なんて自分ばっかり飲んでるクセにして独り占めしてるんだから」
ぷんぷんと頬を膨らませながらコーヒーをくいっと飲んだ。
「プハァ~!生き返る~」
「親父くさっ」
「いいから食べろって、おなかすいてるんでしょ」
「おう、ありがとうな」
なんか色々まだ言いたそうなおっさんだがやはり背に腹は代えられず。おにぎりをばくっと口に含んだ。
「うまい」
「他人の金で食べさせてもらってるもんをマズイとは普通言わないよね」
おっさんは複雑そうな顔で口の中のものを咀嚼して飲み込んでから悲しそうな顔で言った。
「なんでお嬢ちゃんはそんなにおじさんを苛めてくるのかな?おじさん悪いことした?」
「いやちょっとストレス発散したくて」
「おっさんストレスの当たり所!?」
またおっさんは泣いた。どうやらジルはおっさんキラーの属性があるようだ。
「まぁ細かいこと気にしないでここは私が人生相談に乗ってあげようじゃないか?こうみえておっさんよりも修羅場くぐって生きてきたからさ」
「どうみえても俺よりも若すぎてぷりちーな4歳児にしか見えないんだけど」
「おっさんマダオって名前みたいだけど」「いやおっさんの名前マダオじゃないから」
「マダオさんよ~、人生まだまだだぜぃ~?命(タマ)とられたわけじゃねぇんだからこれからいくらでもいい事廻ってくるさ」
そういってジルは缶コーヒーをぐいっと飲みほし「ていっ」と缶を向こう側にあるゴミ箱に投げ込んだ。缶はひゅ~~っと音を立ててカラン!と地面におちることなく中に入った。
「ナイスシュート!やったね」
「お嬢ちゃん、すごいコントロール持ってるね。普通の人でもなかなかできないと思うよ。幼児が命(タマ)とか言ってくる時点でおかしいというか俺が幼児から人生相談言われてるほうがおかしい!」
「私なんかウチの妹が小さい頃、雌豚のババアに毒盛られて10年間耐えて耐えて一気に腐った一族もろとも復讐しまくったしバッサバッサと人斬りまくったこともあったし戦場で馬で駆けた私の跡って血まみれに濡れる倒れた兵士で道が出来上がるくらいだったもんねぇ。妹から加減くらいしろよ!なんて怒られたっけ。懐かしいなぁ~」
「どこの戦場の御話っ!?っていうかお嬢ちゃんの妹だったら君よりももっと年下はずだろうが!?なんで妹に怒られる幼児がいるんだっ!?」
「さっきからおっさん突っ込んでばっかり。はっさんみたい」
「おっさん知らねぇよ。誰はっさんて」
「突っ込まずにはいられない種族。…ハッ!?もしかしておっさんははっさんと同じ種族!?」
「はっさんて天人なのかっ!?」
「ううん、人間」
「じゃあ種族っていうなよっ!?紛らわしいから」
「だってこの世界って私が想像できないほど非常識な種族多いんだもん。区別つけるのに丁度いいし」
「お嬢ちゃんの世界観おじさん理解できないよ。もしかして今の若い子ってこんなモンなの?」
「ま、人生100年と言いますから頑張れ!キラ男」
「何そのマダオからキラ男っていうレベルアップしたみたいな名前」
「私が付けてあげたんだからなんかいいことあるかもしれないよ」
「とりあえずおじさん今日はツッコミしまくったことかな。あとおにぎり食えたこととか」
「じゃあねキラ男!キラッと光り輝けよ」
「なんかツッコミたいけどもう疲れたよ。ありがとう結局名前名乗らなかったぷりちー少女」
こうしてジルは颯爽とキラ男=長谷川泰三と別れを告げ走り去って行った。
そしてのちにキラ男は知るのだ。
自分が会話していた少女が巷をにぎわす『ぷりちー天使ジルちゃん』本人であることを!
果たして次なる出会いは!
さて屯所の方では大騒ぎ状態となっていた。
ジルの自室にて鼻水たらしながら号泣しまくりお手製『ぷりちー天使ジルちゃん』人形を抱きしめた近藤が叫んでいた。
「ジルが…俺のジルがぁぁああああああああ!また家出したーーーーー!ぱぱのどこが嫌いなんだい!?ぱぱ完璧に直してみせるから帰ってきてーーーーーー!」
うぉぉおおおおおお!とゴリラが叫ぶみたいに泣き叫ぶ近藤を痛ましそうに見つめ覗いていた襖をパタンと閉めた土方はぎゅっと拳を握りしめかたく誓った。
俺が、俺が見つけてみせるぜ…と。
そして広間にて勢ぞろいした隊士たちに号令をかけた。
「よしてめぇーら…、ジル大捜査線開始だ!」
「「「了解!」」」
隊士たちは一目散に我先にと駆けていった。実はその中に沖田の姿はなかった。もう捜しに出かけていたからだ。
隊服が乱れるのも気にせずというか認識していない沖田は我武者羅に走り愛しい彼女を捜していた。
「自由奔放すぎんだよっ!」
馬鹿ジルが!
沖田にとってもはや呼吸するのでさえ、彼女の存在が必要不可欠。ジルに依存しすぎていた。だから必死になって捜すのだ。
大切になりすぎているからこそ手放したくないから。