自称幼女は銀魂世界でぷりちー天使あいどるにレベルアップする。 作:サボテンダーイオウ
絶賛只今、パトカーに乗せられ連行されてます。
「おなか、すかねぇかい?」
「……全然…」
運転するのはさっきの少年で私は助手席だ。しっかりとシートベルトまでご丁寧にしてくれたが行先だけは教えてもらっていない。やはり誘拐か。
甘いチョコのお菓子を差し出されたけど私は手を伸ばすことはなく、差し出した少年の手も私の微動だにしない様子をみて手を引っ込めた。
うん、さっきから色々と世話を焼いてくれるがなぜだろうか。
というかここはどこですか。
車中から外の景色を見やると何処をみても行きかう人々は着物を着用している。下手すればちょんまげスタイルとかいる。だがおかしなことに江戸時代ではないことは分かっている。なぜならパトカー乗っているからだ。私の知っている歴史上の江戸時代にパトカーはさすがにないはずだ。
ならば、結論はこうだ。私は新世界に来た!と思うことにした。だってあんな魚人とか見たことないし、私を監視するかのようにさっきから視線を送る少年もあきらかに現代ではありえない機関関係者だ。警察関係者とも言えなくもないが制服がイカス。
そして、少年はどうみても私よりめっちゃ年下にみえる。と彼に説明したところできっと信じてもらえないだろう。なぜなら私は縮んでしまったようだから。さっき抱き抱えられた時点で気付くべきだった。私、そんなに軽くないでしょう、と。
しかも私の定番の姿となってしまっている、所謂幼児への姿に。
ペタペタと己の手で顔を確認してみるとうん、小さいと納得できてしまう。
幼児化、慣れたものだがこの体は何かと不便なことも多いから正直なるのは嫌なんだがこうなってしまったものは仕方ない。今は現状を把握するところから始めよう。
しかし私はどこに連行されるのか。というか私の罪状は何だ?冤罪とか勘弁である。
無言で運転している少年に私は耐え切れずに行き先を尋ねた。
「どこに連れてくの」
「アンタは一応保護って形で、屯所行きでさぁ」
屯所……古臭い言い方する。派出所みたいなものだろうか、それよりは大きいところ?
まぁよくわからんが情報が少ない今保護という名目で情報収集するのもいいかもしれない。
さっきの首輪のせいでひりひりしている自分の喉を気にしつつその屯所やらがどんなところなのか、期待しながらこれからどうしようかなどと考えた。
さてその屯所なるものについて早々に車から降ろされ、ご丁寧に少年に無理やり抱っこされいかにも偉そうな人がいるところに案内された。
もちろんその前に喉の部分は丁寧に手当してもらった。包帯付きオプションである。
そういえば『真選組』という字が移動中読めたかな。新撰組じゃなくて真選組…。パロディ?
「近藤さん」
「おう、総悟、どうしっ……」
机に向かっていたおっさんが顔をあげるとすごいリアクション顔で固まった。
「連絡するより直接連れてきた方がはえぇと思いやしてね。ってかゴリラ、聞けや」
大口開けたままのおっさんが動き出した。
めっさ距離が一気に近くなり直視したくもないドアップが迫りくる。
「誰がゴリラじゃぁぁああああああ!ってそれよりも総悟!?そのぷりちーな美少女はどうしたっ!?まさかどこかでゆうか」
だがお偉いさんの台詞の途中で、
ドゴォ!
と総悟と呼ばれた少年が私を抱っこしながら器用におっさんを足で畳に沈めた。
その様、肉眼で捉えられないほど素早かった。うん、こやつできる!
「んな訳あるか、ゴリ近(ごりこん)め」
「ゴリ近って何!?もしかして俺の新しいあだ名!?」
「気にしやさんな、ゴリ近がアンタに過剰に反応しただけなんで」
少年にそう言われ、ふーんと私も納得した。
「ゴリラって放し飼いできるんだね」
「そうでさぁ、ここでは放し飼いオンリー」
「違うから!俺はゴリラじゃないから!」
泣きながら否定してくるおっさんについつい加虐心を煽られる。
フッ。面白いイジると癖になりそうである。
なんておふざけはこのへんでやめといて、真面目な雰囲気に突入します。
畳の上に降ろされた私は正座してゴリ近の真正面に座った。
少年は私の隣に座って連行した経緯を説明した。
「実はかくかくしかじかGO~!ってな感じで連れてきてんでさぁ」
「…なるほど、かくかくしかじかめぇ~ってな感じでここに連れてきたんだな」
「…………」
今の出説明が出来上がっているらしい。しかもちゃんと相手に伝わっているようだ。
やはりここは侮れない世界と私は額に汗がでるのを止められなかった。そんな一人緊張感に体を震わせる中、近藤と呼ばれるおっさんは私に視線を変えて問いかけてきた。
「君の名前はなんて言うんだい?」
「名前、……どうして教えなきゃいけないの?」
こてんと幼児らしく不思議そうに首を傾げながらはっきりと言い返した。
今時、変な人が多いのだからそう簡単に名前を教える餓鬼がいると思っているのか。
「ここが何処だか教えてほしいの、あとは自分でなんとかするから」
「アンタ、何言って」
少年がびっくりした様子で私の肩に手を乗せようとする。
が、私は反射的にそれを払いのけた。パシッと良い音がなった。
やべ、つい条件反射で叩き落としてしまった。だが仕方ない。最初からフレンドリーに接する人間など信用ならないのだから。
「気安く触るな」
「っ!?」
先ほどとは打って変わって幼児らしさの欠片もない殺気籠った声で拒絶すると少年は雰囲気が様変わりしたことに驚愕した。
まだちょっとしか時間たってないのに馴れ馴れしいのだ。少年にはショックだろうがこれが私である。まだ味方と断定できない彼らから距離とるために隅っこの方へ移動する。いつでも逃げられるためにだ。だが近藤という人は私が怯えているかと思ったのか、優しい声音で話しかけてきた。
「お嬢ちゃん、ここには君に害を与えるものはいない。俺が保障する」
「…近藤さん…」
胸張って言っているが先ほど被害にあったので信用しとろいうのは無理な話だ。
「あなたたちは私に何を求めるの?お金?力?権力?私は道具じゃない、人形でもない。意思を持っている。貴方は私を安心させる為の方便を口にしたとしても私にはただの偽善にしか聞こえない。すぐに信用しろだなんて無理な話だわ」
見返りを求めない人間はいない。
私を利用しようとする馬鹿な人間は甘い顔して内側をどす黒く塗り固め笑顔を張り付ける。自分はいかにも善良な人間だと言い張る。だからまずは疑えが私の鉄則だ。誰人たりとも例外は、ない。
「そんなもの俺はいらない。俺は君が知りたいんだよ、お嬢ちゃん。君自体が知りたい」
「知って何になるの、私には得がないわ」
バッサリと彼の言葉を斬り捨てるとおっさんはまっすぐに私を見据えた。
「損得の問題じゃない。人間として、君が知りたいんだ」
『人間』として。『モノ』としてじゃなく、『人間』として、か。
……ゴリラみたいな容姿をしているが考えて伝えてくれているらしい。
うん、少し緊張が少しほぐれた。
私は肩の力を抜きその場に正座をしてして彼らに向かって深く頭をさげた。
「無礼な真似をしてしまい申し訳ありませんでした」
「お嬢ちゃん!頭をあげてくれ」
「そうでさぁ、アンタがそんなことしなくても!」
慌てふためいた二人の様子を雰囲気で感じとりながら私は頭をあげた。
失礼な真似をしたのは事実だ。なので謝るときはちゃんと謝罪するのは礼儀。私はふんわりと笑みを浮かべこう言った。
「私の名前はジルです」
前の世界で私の名付け親になったある人物を思い浮かべながら言った。
幼児化になったのだからこれが私の名前だ。大人に戻ったときは元の私の名前になる。二人はみるみるうちに表情をかえ嬉しそうに
「ジルちゃんか、いい名前だね」
「ジル、日本の名前じゃなかったのかい」
「そうか、じゃあジルちゃん」
「はい」
ゴリラのおっさんは笑顔で言いました。
「もし、君が良かったら…おじさんの娘にならないか?」
「…近藤さんロリコンだったんですかい。うわぁー、気色わる」
「なんでロリコンになる。……ジルちゃん、親御さんはいるかい」
親?薄情な親は元から存在いないようなものだし、三国のパパは遠すぎて今傍にいるかと問われればいないと答えるしかない。だから私の返答は
「のー」
になります。おっさん、やっぱりみたいな顔で
「ジルちゃんが良ければ、だが」
娘ですか、話がいきなりすぎてちょっと混乱しますがこの人は信用に値する人間。
不慣れな世界での貴重な情報源にもなるこの場所話としてはうまい。
断る理由はない。住所不定と言うのも今後動くにはまずい事だ。保護者がいるのなら後ろ盾としても利用があるというもの。私の考えは決まった。
「ゴリ近って呼べばいい?」
「せめてパパって呼んでくれぇぇええええ!」
反応良好。私の住所決まりました。真選組です!