自称幼女は銀魂世界でぷりちー天使あいどるにレベルアップする。 作:サボテンダーイオウ
瞳孔開かずにはいられない人視点
ドカドカと音を立て廊下を歩くとある男はキレていた。
今日は朝から皆に近藤さんから重大な発表があると言われていたはずなのにいっこうに姿をみせないのだ。
どうせ寝坊しているに違いないと考えた男は怒鳴りこもうと総悟の部屋の障子を壊す勢いで開いた。
「おい、総悟」
スパン!
と勢いよく音が鳴り、微動だにしない一組の布団を冷めた視線で見つめた。
どうやら瞳孔開き切った男の方になど関心さえ向かないほど熟睡しているらしい。
男は青筋立てながら総悟の布団に手をかけた。
ガバっとめくり怒鳴った。
「てめぇ―――、………」
だが瞳孔開いた男は、ある一点に視線が集中し言葉を詰まらせた。というか声が出なかった。
「…なんですかい、夜這いに来たんですかいコノヤロー」
「んなわけねーだろうが!!しかももう朝だよ!!それよりも」
ぷるぷると男が指差した方向には…小っちゃく丸まり総悟にぴったりと寄り添う人物の姿があったのだ。
幼児にはデカすぎるおそらく総悟のものであろうワイシャツをパジャマがわりに着込みその本人は気持ちよさそうに寝息をたて眠っている。しかもあの!総悟がありえないほど優しい表情でその人物の頭を撫でるのだ。
総悟の部屋を訪問した男にとっては青天の霹靂。顎が外れそうな勢いである。
「ジル、朝でぃ」
「………ん…ねむ」
ソレはまだ眠たそうにまた総悟に引っ付く。着物の端を小さな手で握り離そうとはしない。
銀色の珍しい髪が朝の光を浴びて輝く姿は綺麗で、つい男はマジマジと見つめてしまった。それを気に入らなかったのか総悟がボソッと、だがハッキリと聞き取れる声で呟いた。
「無粋な輩が邪魔してきやがって」
出たな、黒総悟めとツッコミしかけた男。
てめぇ、と出かかった声はなぜかしぼんでしまう。のそりと顔をあげ総悟に向かって、ソレは言ったのだ。
「………ぶすりる?」
上目遣いと寝ぼけているのか口が回らないようで謎の言葉をつぶやく幼女。
バンバンっ!
「…………!」
とりあえず総悟がいかれてしまった。
畳を叩きまくって何かを耐えがたき衝動を抑えているかのようだ。そして、それは男にもダメージを与えた。
バンバンっ!
バンバンっ!
「…………!!」
小動物的ソレに男二人が妙な行動をすることを理解できないようでこてんと首を傾げた。
「?…しんくろりつたか」
※
発作が収まった二人はようやく息を整え話を戻すことに。
ジルはうぅ眠い~と言いながらまた布団にもぐってしまった。幼児となった事で眠気からなかなか解放されないのだ。見た目が可愛いのはご愛嬌。頭から入り込み小さな足だけが出ている。頭隠して、尻隠さず。ぷりちーな追加効果を発動!
また男二人は悶絶モードに突入した。
しばらく経過し…、あきらかに疲れ切った顔をしている土方は再度総悟に確認する。
ジルが再度もぐりこんだ布団の脇に寝そべりながら「コイツはなんだ」と布団をめくったり、元に戻したりしている。そのたびにジルは「うぅ」と可愛い反応をさせる。土方ははまってしまった。土方とは反対側になる場所で総悟が土方に足蹴りしながらジルがいる布団の中にもぐろうとするのを土方は無理やりやめさせた。
「昨日から屯所に住むことになりやした、俺の嫁でさぁ」
「なんで嫁なんだよっ!?…誰が許可した」
ツッコミながら総悟の行動を阻止しようとする土方。総悟は抵抗しながら言った。
「ゴリ近」
「誰だよ、それっ!」
土方の大声でジルは完全に目が覚めた。
ぱっちり開いた瞳で土方に目をやると、
「おにーちゃんだれ?」
と破壊力抜群の笑みつきで土方をノックアウトした。
ノックアウトされた土方を総悟は踏みつけ、
「ジル、顔洗いに行こうぜぃ」
「うん、でもこの人いいの?」
「変態だからむしろ無視しなせぃ」
総悟の迫力に負けジルは「うん」と頷いた。
「………」
そして二人は仲良く手を繋ぎながら部屋をでた。土方を放置して。
※
やっちんからみた視点
「…ええ~。皆に紹介したい子がいる」
えらく畏まった局長はなぜか超絶ぷりちーともいえるシルバーブロンドの美少女幼児を抱っこしていた。えらく似合わない二人だと思った。天と地ほどの差がある。美女と野獣じゃなくて幼児とゴリラであっているはず。
でもここで口に出して発言しなかったのは懸命な判断だと思う。ぜったい副長の蹴りが飛んでくるからだ。構える暇もなく蹴り倒されるなんてやだ。
「突然だが養子に迎えることになった。俺の娘だ。名前は……」
「ジルです、幼児なクセして言葉が達者だなとか疑問に思った方はそういうもんなんだとスルーしてくださいネ?皆様どうぞ宜しくお願いします」
ぺこりとお辞儀をする様はく~~、っと耐え難い身悶えを起こしてしまうそうになるほど可愛かった。
「局長!どこで拾ってきたんですか?!」
「総悟が保護した、親はすでに他界したらしい」
「「「…………」」」
一同隊士達はあまりの悲しい話に涙ぐむ奴らが続出する。かくいう俺もその内の一人だ。
ぐずっ、こんな悲しい話はいまだかつて聞いたことがない……。
けど絵図ら的に気持ちが悪いものがある。むさ苦しい男連中がむせび泣いたり、うぉぉぉおおお母ちゃ――――ん!などと思いだし泣きしたりと騒がしくなった。
そんな収拾がつかなくなった混沌(カオス)な時点でジルちゃんはもう定時の仕事は終わったんで帰りまーす!というサラリーマンよろしく、局長から降りようと暴れはじめた。
「っつか、離せやゴリ近。紹介終わったろ?」
「ジルちゃん!?もう反抗期かい!」
あれ、なんか言葉遣いが乱暴なような気がしたけど俺の空耳かな。
局長が叫びジルちゃんは嫌そうに顔をゆがめた。
「ねぇ、総ちゃん」
フレンドリーに呼ばれて顔がゆるんでますよ、沖田隊長。逆に怖いです。裏で何考えてるかさっぱり分からない。
「なんでぃ」
「私ってゴリラの娘?」
「大丈夫、ジルはちゃんと立派な可愛い、れでぃでさぁ、しかも将来は俺の嫁。」
「ジルちゃぁぁあああんんん――――!?パパは認めないよぉぉぉおおお!嫁にだなんて絶対認めないからぁぁぁあぁあああああ」
「ゴリ近、泣いてるよ」
「ありゃ、嬉し涙でさぁ。恋人いないのにもう子供できたんだから。ついでに婿もできるし」
「へー。…え!?恋人いないの?好きな人は?ってか結婚してなかったんだ。婿は間に合ってますから。っていうか婿候補たくさんいるんでもういいです」
「してないしてない、報われない恋としりながらストーカー行為にまでおよんでるぜぃ。遠慮しなさんなって、それと誰なのか教えろ叩き切ってくるから」
「…私、選択間違えたかも&遠慮してねーよ&誰が教えるかっ!」
「がぁぁぁあああああああんんんん!」
局長はショックで泣きながら固まった。沖田隊長がすかさずにジルちゃんを口説きにかかった。はたから見ればロリだ。完璧ロリコンですよ。
「だったら、尚更、俺の嫁にきなせぃ、苦労させませんぜ?」
「幼児を口説くな!」
そこへ土方さんがツッコみを仕掛けるという大胆な行動に出た。けど沖田隊長は嘲るように口元を歪ませて笑った。
「土方コノヤローが羨ましいからって邪魔してくんなよ」
「誰が羨ましいだとっ!?」
「ひまだ」
ジルちゃんは言い争う二人を置いてどこかに行こうかなと呟いている。今まさにジルちゃんをめぐっての争いが勃発しようとしているのにこのマイペースさ。可愛い。
唯我独尊って感じで可愛いよ。
俺はじぃーとジルちゃんを見つめていたらパチコン☆と視線があった。あってしまった。
うわぁ、綺麗な紫色だなぁ、なんて見惚れてるうちにそれはどんどん大きくなっていって、いつの間にか目の前にある。というかすぐ真下から俺を見上げてた。銀色の髪を二つに結ってつぶらな瞳で。どきゅんと胸は高鳴った。
「おにーちゃん、名前は?」
「お、俺!?山崎、山崎退!」
「さがる?じゃあ、やっちんだね」
「やっちん!?」
退っていっときながらやっちんときたか。
妙なあだ名をつけられたけど、でも悪い気はしない。つい、頬が嬉しさから緩んでしまう。
「やっちん、私はジルって言います。色々迷惑かけることが今後あるかもしれないけど、っていうか絶対あるかもしれないけどその時は笑って流してくださいね」
なんと、ジルちゃんは超絶な笑顔を俺だけにくれた。
ぽおっと顔が真っ赤になるのを止められず、
「よろしく、ジルちゃん。大丈夫だよ。ジルちゃんが迷惑かけることなんて全然ないと思うから!」
とにやけ顔でジルちゃんと同じ目線に腰を落とすと彼女の頭を撫でた。
「やっちん、良い人なんだねぇ。悪い女に誑かされないか心配になっちゃうよ」
まるで俺のオカンみたいな事いって心配してくれた。優しい子だなぁ~。
こんな天使みたいな子が問題を起こすわけないと【その時】は思ったんだ。
とりあえず、この日真選組に最年少あいどるが誕生しました。
ついでに隊士によるジルちゃんファンクラブもできました。
そして、俺は副長を含む他の隊士たちに袋叩きにされました。
理由:あだ名つけられたから。(一部、妬みから)
ああ、俺は今日という日を忘れないよ。
俺の、『あだ名記念日』…。
byやっちん