自称幼女は銀魂世界でぷりちー天使あいどるにレベルアップする。 作:松魚
いつもの闇の中、私の意識だけがふよふよと宙に漂っている。
そう、ここはアイツと会話するとき他色々と野暮用があった時に出現する場所だ。つまり呼び出し部屋みたいなものである。
アイツ、とは……決まっている。奴が偉そう私に声をかける数秒前、私は自身の右手拳に力(最大限にまで)を籠め、左足を一歩後ろに引き出現する衝撃に備えた。燐華直伝、というか燐華から受けた攻撃を真似たものではあるが…。
自分が実際に喰らったものだ、やり方はすでに頭に叩き込まれている。あとは実践あるのみ!
コォォォオオオオオオ、と渦巻くように光が右手に集まってくる。それは膨大な量の光の束となり私の姿さえも強い光にかき消されそうなほど。そして、時は来たり!
「よ、たのしんでっグはっっ――――!?」
「喰らえ、怒りの咆哮をあげよ!私の拳―――――!」
電光石火のごとく私が放った闘気の塊=今までの鬱憤&不満が爆発しアイツにモロ喰らわせていく。そして奴の体は私の攻撃を避けることなどできるわけもなく真正面から喰らい血反吐を吐きながら吹っ飛びあまりの力の差になすすべもなく暗く冷たい地面に叩き付けられた。
ぐしゃり、と奴の体は人の形を為しておらずそれはぐちゃすちゃなスプラッタ状態となった。私はそれを冷たい視線で見下ろしこみ上げてくる感情を一気に吐き出した。
「くくくっ、………くくく、ハハッあはははははははははっははははははははは」
壊れたように私は嗤い続けた。今まで操り人形のように使われた日々、その分を取り返したのだ。これで私は自由、私を縛るものは何もいない…。そう、私は自由なのだっ!
「アハハハハハハハハハハハハッ」
血走った瞳はすでに自我を保っておらず、己の欲望のまま私は叫び、嗤い続けた。奴の骸を目の前に…。
「お前、勝手に筋書き変えてんじゃねーよ」
ビシッ!
「痛いっ!?」
後ろから容赦なく頭を叩かれた。それも力いっぱいに…。涙目になりつつああ、つまんねぇなと愚痴を零せばまた小気味よい音が一発響いた。私に執念深く突っ込みをしてくる奴。それは…。
「お前、勝手に殺すなよっていうか読者がギャグ路線じゃねぇって突っ込むに決まってるような展開を勝手に作るんじゃねぇよ!」
「巧の癖に生意気な」
そう、さっきぐしゃぐしゃにしてやった相手である。
「誰がぐしゃぐしゃにしてくれって頼んだ?」
ガシッと片手でスイカが割れそうな勢いで私の頭を掴み、充血した目でガン飛ばしてくる。
「誰も頼まないから私がやってやった」
「それ単に自分の欲望満たす為にやった事じゃねぇかよ!?ってか、自己満足で演出しないでくれる!?あんな人形まで作りやがってっ!」
そう、巧がスチャっ!と指差した先には地面に倒れている男、ではなく単なる人形である。
「姿形似せてやった巧生贄人形№1と名をつけてやろう。さぁ、光栄に思え『バシィィィイン!!!』ヘブシッ!」
「誰が生贄じゃぁぁあああああああああ!」
巧の全身からの雄叫びがこの場所にエコーをかけてしばらく響いた。話についていけていない方の為に補足しましょう。つまり私が鬱憤晴らしに巧の人形でやっつけた振りしてそこい激怒した巧本人が怒りを抑えきれずに突っ込んで出てきたという事。
ちょっと遊んだだけなのに、フッ。心の狭き奴よ、男のくせに。
「お前に言われたかねぇよ!」
天姫のツッコミ好きはもしかしたらこの男から受け継がれているのではないかと思うのだ。うんうん血筋ってすごいなぁ~。
「いいからお前黙れ」
文句を言われているが今現在私は喋っていない。ただ心の中に思い浮かんできたことを思っているだけなんだが。口うるさいじじいである。
「誰がじじいだ」
筒抜けというのも困ったもんだ。というかこれって意志疎通に不便を感じないのはいいかもしれないがプライバシーのへったくれもあったもんじゃない。
「お前いい加減にしねぇと怒るぞ」
あいあい
「お願いだから黙って!」
「無言」
「…いいや、もう無視する……」
脱力しきった巧は項垂れながら私にこう言った。突然何の前触れもなく、だ。
「お前、花見したくねぇか?」「したいです!」
超即行に返事をした私は奴の驚く様などまったく気にせずに巧の服を引っ張った。
「ちょっ!?首が首が絞まるぅぅぅううう」
奴の悲鳴を無視し私は花見ができる!酒が飲める!という歓喜だけに囚われ続けようやく巧の首元を絞めていた事に気がついたときに奴は白目になっていた。
あの巧空間からルンルン鼻歌歌いながら逃げてきた私は現実の世界に舞い戻る。
鳥のさえずりが耳にかすかに聞こえてくる。ああ、朝か。なんて思いつつ自分の体にある違和感に気がついた。なんか、体が重いな…。
「う、う…」
こう圧迫感があって尚且つスルリ、と頬を撫でられていて自分が吐く息ではない誰かの吐息が感じられて…。
「ジルの肌って白いな、ヤベぇな……抑えきかねぇかも…」
あれ、幻聴か?誰かの声が聞こえる……。ってか重い!!
暑苦しい重圧から耐え切れず目を開けばなんと鼻先さえ触れ合ってしまいそうなほどすぐ目の前に
「おっと、残念。せっかく夜這いしてやろうとしてたのに?」
ニヤリとほくそ笑む男が私の上に居ました。
「総、ちゃん。アンタ何してんの」
台詞がおかしいから夜這いは朝にはしねぇよとツッコミをしたかったがそれよりも
おかしすぎる展開だ。
一気に意識が覚醒したので彼を睨みつけたが全然効いていない。
「朝からそんなに見つめてくるなんて誘ってんのかい?」
私の髪の毛をくるりと指に絡めてきて遊ぶ。
お互いの距離に変わりはない。っていうかヤバい!
くそ、腕まで固定された。やばいやばい!と私の中で警鐘が鳴り響く。寝込み襲われるとは考えていなかった…。
「叫ぶぞ」
と脅せば
「口塞いでやるぜぃ」
と宣告どおり口を塞がれた。抵抗する間もなくあっさりと奪われる唇。
しかも息ができなくなって酸素を求めて口を開けば総ちゃんの執拗な舌が私に絡んできて余計乱される。朝から熱烈きっすをかまされた私は呼吸困難になるかと思った。
ようやっと解放された時、私は涙目になり必死に酸素を求めて息が荒くなっていた。
それを見て総ちゃんは自分の唇を舐めつつうっとりとした表情で
「やっぱ、サイコー」
と零す。
「アホかっ!」
幼児に盛るんじゃねぇって前にいったはずだろうが!学習能力ねぇのかよ、コイツは!
「なんでぃ、ホントは嬉しいクセに」
「勘違いすぎ!?勘違い男って呼んでやるわっ!」
「そこは照れねぇで『ア・ナ・タ』だろ?」
「キモっ」
「総悟様でもいいぜぇ?」
「消えろ」
押し問答がどのくらい続いただろうか。ようやく私の上にいた総ちゃんを放り投げることに成功した私。適度に距離をとり己の体を守りつつ布団を片す。畳に投げられた彼はイテテと言いながら拗ねた顔をする。
「なんでぃ、体は素直なクセに意地張って」
「誤解を招く言い方はヤメロ!」
バシッ!
私が投げた枕が総ちゃんの顔にヒットした、かのように見えたがすんでの所でそれは食い止められる。ッチ、勢いが足りなかったか。
舌打ちした私に総ちゃんは枕をほいっと投げて返してきた。
でも、表情はさっきとは一変して鋭いものになっていた。
「ジル、巧って誰だ」
「………知り合いの名前」
動揺を抑えつつなんとか誤魔化す。どうやら口に出していたようだ。
いつから居たんだ。というか勝手に乙女の部屋に入るなどありえん!
「『巧』、ねぇ~?」
「そう、『巧』」
いかにも怪しい名前だ、と彼は言う。命名した私もそう思う。
「…………」
「……俺の嫁は秘密がありすぎだぜぃ」
「嫁じゃない」
キッパリ否定するが突き刺さる視線が痛い。さて、どうするか。今色々と詮索されるのは面倒だ。いつ元の姿に戻るかわからない現状、幼児もどきと思わせておかなければならない。かといって総ちゃんを騙せるとはもう私は思ってはいない。
「そんなに私を知りたいの?」
総ちゃんの前に歩み寄り彼の前で止まる。
「ああ」
タダで教えてあげるほど私はお人よしではない。利用価値があると思わせた相手ならなおさらね。見定める必要がある。
「それなりに対価がいるよ」
小さな両手が総ちゃんの頬を捕らえる。合わさる視線は何を映す。
「それは?」
コクっと彼の喉が鳴るのと反対に私はにぃ、と笑みが浮かぶ。
「『死』よりも恐ろしいほどの『覚悟』を貰う」
私にメリットがあるか否か。
それを決めるのは貴方ではなくこの私。決定権は私にある。
だから知るには覚悟を見せなさい?
私が彼に垣間見せたのは絶対なる独裁だ。何者も抗うことができない圧力を掛ける。
女帝のほんの一部に過ぎないそれは彼にはどう、映っただろうか?
彼からの返答はなかった。なぜなら小さな女帝に全身に至るほど魅了されていたのだから。
◇◇◇
普段の私は決して暴力的ではない。だが時として嬉しい感情を表現するときがある。
感情を吐き出せ、と愛しのディディに教わった事だ。板張りの廊下をたったたかと可愛い足が走る。満面の笑みを浮かべ、ある人物をろっくおん!
「お花見できるよ~!」
そう叫びながら私はゴリぱぱに頭から突進した。全身の力を頭部に集中させて。
「おはよゴハッ!!」
ゴリぱぱは笑顔で見事な曲線状の血飛沫を噴いて床に倒れました。
朝、とても仲のよい親子の絵図が出来上がりました。
そして、通りかかった土方さんが血だまりに倒れたゴリぱぱを抱き起しにかかりました。
「近藤さぁぁあああんん―――!?どうしたぁぁああああ―――!?」
「ぐふっ、と、トシ…俺はもう駄目だ…」
ゴリぱぱの震える手を土方さんがぎゅっと握りしめます。必死に叫ぶ土方さん。
「そんな事いうんじゃねぇよ!生きろ、生きてくれ!」
「フッ、可愛い可愛い娘ジルに突進されて死ねるなんて、本望、さ…ガクッ」
「近藤さぁぁあああああああん!」
ゴリぱぱは天に召されました。
「邪魔でさぁ」
問答無用で総ちゃんがゴリぱぱと土方さんに蹴りを入れて庭に落とします。
そして傍観していた私を自然な動作で抱き上げ朝から甘い台詞を放ちました。
「朝から元気だな、なら今夜も忍び込んでやるぜぃ。…覚悟しな?」
「それ幼児に言う台詞じゃないから」
「ジルは俺の娘なのぉぉおおおお!」
「総悟ォォオオオォォオオオオオ」
朝から本当に騒がしい連中である。まったくこれが大人だろうか?
『お前も一応大人だろうが!!』
「…?なんか今空耳が…」
「ん?どうした。ジル」
「…なんでもないなんでもない。たぶんどこかのツッコミ屋がツッコミ症候群にかかっててツッコまずにいられない禁断症状にまでいってるんだと思う」
「なんだそれっ!!?」
土方さんが驚愕の表情で突っ込んできた。
「そうかい。それは切ねぇなぁ」
総ちゃんは理解してくれたらしい。うんうん頷き返してくれた。ちょっと嬉しい。
「助けてぇぇえええええ!」
グルゥゥゥゥウウウウウウウ。
朝から庭先でシロとやっちんが戯れていた。あんなに涙だして喜ぶなんてよっぽどやっちんはシロが気に入ったのね。シロもやっちんに襲い掛かって嬉しさを体全体でアピールしてる様をみて飼い主である私も嬉しいってもんだ。存分に可愛がって欲しい。
「そういえば今日は花見が出来るんだよな?ジル」
「「花見??」」
総ちゃんの発言に朝からコントをみせてくれた男二人は首をかしげて声をハモらせた。
そうなんです、今日は花見をします。
ホラ、ゴーラちゃんが朝早くおきてせっせと愛情込めて作ってくれたお重が待ってるよ?
さて、その頃なぜか花見会場に来ていた銀さん一家。
なぜこの時期に花見してんだ俺たち?と疑問を抱きましたがそういう設定なので
あんまり深く考えない事にしました。
そして恐怖の始まりでもありました。
「なんですかコレは?アート?お前これ2回目だろうが。まともに作れねぇのかよ」
「私卵焼きしかつくれないの~。2回目っていう自覚がないからいいのよ。何度でもエンドレスしてあげるわ」
銀時の正確な言葉に妙が笑顔で答えた。
どうやら銀時だけでなく、他の人間もなんか2度目の花見してね?という感覚があるらしい。でもめんどいので突っ込まないらしい。
「いいから男は黙って食いやがれ、そして輪廻に廻れ!」
「なんか台詞混じってね!?」
「これを食べないと私は死ぬんだ…これを食べないと私は死ぬんだ…死んで私は大海原に旅経つの!!伝説の秘宝、『ワンピース』を求めてっ!」
「神楽ちゃん!仲間を見つけなきゃ駄目だよ!カムバックっ!?戻ってきて!」
幻想の世界に飛び立とうとする神楽と必死に戻そうとする新八。
銀時と神楽は尊い犠牲になりつつある時、
「ガハハハ 全くしょーがない奴等だな。どれ俺が食べてやるからこのタッパーに入れておきなさい。今度こそ永久保存番にしよう」
ゴリラが湧いた。
――――ドパン
剛速球でお妙が卵焼きを投げた。
「何レギュラーみたいな顔して座ってんだゴリラァァ!」
お妙6670の攻撃を喰らわせた。
「ダハァ!!」
ゴリラ12800ダメージを喰らい追加攻撃を喰らう。銀時はボコボコにされ続けている近藤を一瞥して
「オイオイ、まだストーカー被害にあってたのか。町奉行に相談した方がいいって。っていうかもう俺疲れた。2回目疲れた」
「じゃあ省略しましょうか、読者の皆さんはわかっていますよ。お話の流れを」
「そうだな、わかってるよな。よしじゃあ省略しよう」
納得した銀さんと新八。
「切り替え早いな」
なんとなんと其処には真選組の面々がいらっしゃいました。
瞳孔開いてる物騒な男と何やら幼児抱えた沖田が注目を受けます。
今日の装いは黒のワンピースに上に桜色の和服を身に纏い帯は金色で銀色の髪はツインテールにしピンクのフリフリリボンをし、足元は黒の子供用ブーツを履いています。
ジル本人はフリフリなんてと嫌がりましたが、なんせ用意されているものは全てあの
ゴリ近が選んだ可愛い系ばかりなので仕方なく着ている現状。
というか、銀さんは一番、その少女に釘づけになりました。
お口あんぐり状態に陥っています。
なぜなら行き倒れた自分に飴をくれた親切な少女だったのですから。
「お前!あん時の」
「あ!行き倒れの人!」
と無邪気な笑みを見せてくれました。ドキュンとキタ銀さん一家。でも銀さんは
「それ引きずるのやめてくれっ!」
と必死に懇願しました。沖田はぶすっとした顔で
「なんでぃ、アンタ俺の嫁と知り合いだったんですかぃ?」
「嫁!?」
一同に衝撃が走りました。
「総ちゃんは黙れ」
ジルの小さなおててが沖田の口を塞ぎます。ぷりちー発動。
「「「グハァァアアアアアア!」」」
とこの場所にいる人たちすべての心を瞬時に射抜きました。
やられた本人は余裕かまして、自分の口を塞ぐジルのおててを
ペロッと舐めました。
「ぎゃっ!?」
「ん~、ジルの味がするな」
「変態っ!?」
愛しい娘の悲鳴?を聞きつけてお妙の攻撃から復活した泣きながら近藤が食って掛かります。というか刀抜きさして襲い掛かろうとします。
「ジルは俺の娘なのっ!嫁に行かせないから!」
びゅんびゅん!とすごいチャンバラ劇が始まりました。
余裕でジルを抱いたまま避ける沖田。周りはおお!と拍手喝采でした。余興として酒飲みを始める者も出始めました。
「それじゃあ私一生独身なんですけど」
「心配しなくて大丈夫!パパが一生食うに困らないお金準備してあげるから」
ゴリぱぱは必死でした。可愛い娘を守る為なら悪にでも染まって見せよう
そんな心意気だったのです。例えだったんです。
「近藤さん、立派だぜ…」
そんな近藤の心情知らず土方はそんな近藤の背中を見つめて涙しました。
っていうか彼だけが感動していました。
チャンバラごっこに飽きたジルがしびれを切らして押し殺した声で言いました。
「だったら幕府の金ちょろまかして作ってみろ」
養父に悪に染まれと強要する4歳児。なかなかいないでしょう。というか本当にいたら末恐ろしい。
「ジルちゃんが黒くなったっ!」
ショックを受け固まった近藤に向かってウザったそうに「ケッ!」と吐き捨てると
銀さんたちに顔を向けた時にはジルは天使のように癒される笑顔に変わっていました。
「初めまして。ジルって言います。一応保護者はこのゴリ近なんですけど血の繋がりはないのでれっきとした人間です。よろしくお願いします」
ぺこりと小さく頭を下げました。
2回目ぷりちー発動。すると
「「「グハァァアアアアアア!」」」
とこの場所にいる人たちすべての心を2回目で瞬時に射抜きました。
その中でも特にお妙さんに気に入られた様子。
ガシッと華奢なジルの肩を掴んで離しません。
「私の道場の跡取り娘にならない?ジルちゃんなら全国統一制覇も夢じゃないわ」
「どうしよう総ちゃんスカウトされちゃった!?っていうか道場で全国制覇できるもんなのっ!?」
「俺はかまわないねぇぜ?転職しても。お望みなら世界征服もしてやりまさぁ」
「なぜそんな話に繋がる!?」
なんか話がややこしくなってきたのでここはジル争奪戦と称しましてゲームで勝敗を決めることになりました。
名づけて
「かぶってジャンケンポンでデスバトル大会~」
「「「なんでデスバトルっ!?」」」
皆綺麗にハモリました。続く。
やっちんは、相変わらずシロと追いかけっこしていました。続く。
桜が散って綺麗なお花見会場なんですが、ジルとしてはお花見を心から楽しみたいと思っていたのに、お妙の思わぬスカウトに翻弄されなぜかジル争奪戦なる大会が開かれることとなり、目下不機嫌真っ最中なのでした。
ぶすっとリスのように頬を膨らませ、私不機嫌ですから話しかけないでくださいと言わんばかりに眉を吊り上げているのですが、ジルの右となりに座る沖田と左に座る神楽に間を挟まれた状態で
「ぶす」
プシュゥウ
ん!
「ぶす!」
プシュゥゥ
ん!
「「ぶす!」」
「ダメ、ハマるわコレ!」
「コレ持ち帰りしたいアル」
ほっぺた膨らませると同時に頬に指を突き刺されて空気が抜けて、でまたジルは不機嫌なのでほっぺを膨らませてまた同時に指を突き刺されて空気が抜けてという行為を
何度も繰り返していました。
沖田と神楽はとろけそうなほどジルの可愛さに当てられて暴走していました。
勿論周りの人間もその様子を見続けて癒されていました。
(((ずっと見てても飽きねぇぇえええええ!)))
当のジルはウゼェェエエエエエエ!と心の中で頭抱えて叫んでいました。だったら子供っぽいことしなければいいのにと思うかもしれませんが本人はまったくその気はないのですが中身が子供っぽいのでしかたありません。大人な精神持ってくるくせに子供っぽい性格が仇となりました。
こんな展開はまたあるのでどうぞ気長にお付き合いくださいません。そしてキレそうな雰囲気の中とうとう大会の司会参上です。
「では司会を務めさせていただきます狂暴な姉に日々恐怖の手料理を食べさせられ視力がガタ落ちしてしまった志村新八と」
「我が真選組最年少あいどるから歌舞伎町最年少あいどるへ知名度が上がったぷりちー天使ジルちゃんに愛称をつけられた俺、山崎退改め『やっちん』がお送りします」
「「かぶってぽん!じゃんけんデスバトル大会~開幕!」」
やんややんやと周りが歓声を上げる中、それは起こりました。
お妙がスッと立ち上がりどこから手にしたのかコンクリートを片手で掴み笑顔で
「新ちゃん貴方の視力を完全になくしてあげることも可能なのよ?」(ニッコリおぷしょん付き)
メギャッ!と粉砕しました。そして
「山崎…、てめぇ俺なんかまだ土方さんとしかジルに呼ばれてねぇのになんて羨ましいんだコノヤロー!」
「そうだそうだ!銀さんなんか行き倒れの銀さんって思われてるぞ!?何行き倒れって!俺の異名は行き倒れなのかっ!?ジルの印象の中で俺は一生行き倒れの男として認識されていくのかっ!?」
と醜い男共の嫉妬に巻き込まれたやっちんは苛められました。
どかごしげしばきばきと容赦なく。
「ぎゃぁぁああああああああ!助けてぇぇえええええ!ハッ!?シロ!ヘルプミー!助けてくれたら遊んであげるよ!」
いっつも襲い掛かってくるシロに助けを求めたやっちん。するとシロは
「グルゥゥゥウウウウウウウウウゥゥゥ」(遊んでくれるなら喰う)
と喜んでやっちんを苛めた二人に襲い掛かりました。遠慮なしに食べようとしています。
「「ぎゃぁぁあああああああああ!来るなぁぁぁあああああああ!」」
二人は雄叫びを上げて逃げていきます。同じ動作で俊敏に。
シロは鋭い牙をちらつかせて追いかけます。逃げる餌を捕食するために。
「早く始めろよ」
珍しくジルが突っ込みました。
第一回目はお妙と近藤です。両者睨み合い、なんとも言えない気迫です。
「いけェェ局長ォ!」
「死ねェ副長!」
「誰だ今、死ねっつったの!切腹だコラァ!」
「勝った方はここでジルちゃんと一日デート権を得るわけです」
「やっちん、それは私の承諾なしに行うわけ?」
道場の跡取り娘としてお妙にスカウトを受けた話がいつの間にか、ジルのデート権が賞品となっていました。
「じゃ君らは+真選組ソーセージだ! 屯所の冷蔵庫に入ってた」
「要するにただのソーセージじゃねーか!いるかァァァ!っていうかそれってジルちゃんに対して失礼すぎじゃねーか!」
新八の的確なツッコミ、ナイスです。そしてお妙はジルに向かって余裕そうにいいました。
「待っててジルちゃん、私と一緒に全国制覇しましょうね」
「いくらお妙さんでも譲れませんよ!俺のジルは嫁に出しませんからねぇぇええ!」
おっさんの涙の叫びはお妙には通用しませんでした。
というかウザイという虫けらを見るような視線でピコハンを握りしめるとためらいもなくそれを近藤の頭に叩き付けました。結果、近藤のヘルメットかぶって防御作戦はまったく意に介さずヘルメットと共に近藤は粉々に砕け散りました。
「局長ォォォォ!」
「テメェ何しやがんだクソ女(アマ)ァァ!」
「あ゛~~~~やんのかコラ」
「「スンマセンでした!」」
隊士含めすべての人間が一人の女性の前に土下座しました。以心伝心です。
素晴らしいですね。ジルはゴリ近がやられたことになんとも思いませんでした。
なんせ逆らってはいけない人種がいることを知っているからです。そしてジルも土下座をしている内の一人です。逆らえない者は何処の世界にもいる、ということを身をもって体験した日でした。
そして二回戦目は
「俺の嫁は誰にも渡さねぇぜ。チャイナ娘。テメーでもな」
「フン!だったらジルの背中にでも俺の物って書いとくアル。私の野望は誰にも止められないアルヨ!名づけて『歌舞伎町の女王とぷりちー天使のsession!』が最初のデビュー曲アル!100万枚は売れるヒット作品になること間違いなし!」
「CDデビューしようとしてるの神楽ちゃん!?それはちょっと無理じゃない!?」
新八の適格なツッコミが闘いの幕開けとなりました。
両者人間業を凌駕した動きでギャラリーを驚かせました。
ジルは退屈してたので土方の所にとことこ歩いていきました。
すると、酔っ払いの銀さんと酔っ払い土方はジルが来たことに喜びました。両者ジルに対して手招きします。
「ジル、こっち来い。そっちの酒臭い奴に絡まれたら大変だからな」
「なんだとテメー、銀さんは全然酔ってませんからねー。だから銀さんとこ来なさい来なさい」
ジルは酔っ払い二人に腕を掴まれあっち行ったりこっち行ったりしてました。
そして二人は言い争いを続けます。
「アン!?駄目だ、ジルこっち来い!ソイツは変態ロリコンだからな。何されるかわかったもんじゃねぇぜ」
「そっちこそ瞳孔開きっぱなしで危ないッたらありゃしないぜ。幼児の教育に相応しくねぇ」
「てんめぇぇええええ!」
「んだとコラァァアアアア!」
「あ!ゴーラちゃんがロケットランチャー準備してカウントダウンしようとしてる」
「「俺たち超絶に仲良しだぜっ!」」
命の危険をすぐさま本能で感じとった二人はすぐに手のひら返したみたいに仲良しになりました。
うんうん、仲良きことは美しきかな。
どうやら沖田と神楽は野生的な闘いにまで発展した模様。色々と周りを巻き込んで暴れまくっている。ちょっと楽しそうだなと思ったジルでした。
沖田と神楽の野性的な闘いを目の当りにして土方が感心したように呟いた。
「ほう。総悟と互角にやり合うたァ何者だ、あの娘? 奴ァ頭は空だが、腕は真選組でも最強を謳われる男だぜ…」
土方と銀時の間に挟まれたジルは冷静に付け加えた。
「総ちゃんロリコンだけどね、毎日人の寝所に夜這いしにくるけどね」
「お前やっぱ俺のとこ来た方がいいんじゃねーか?…互角だァ?ウチの神楽に人が勝てると思ってんの?奴はなァ絶滅寸前の戦闘種族“夜兎”なんだぜ。スゴイんだぜ~」
自慢そうに語る銀時にジルはポン!と手を打って相槌を何度もした。
「やっぱ種族一家なんだ、納得~」
「ジル、お前まだ俺のこと糖分しか接種しない種族だって思ってんの?銀さん泣いちゃうよ?いい歳して泣いちゃうよ?」
情けない声を出して幼児に縋ろうとする大人。土方は笑い飛ばした。
「ハッ!女々しい奴だな。おいジル、はっきり言ってやれ。テメーなんか人間の端くれも端くれよってな!泣かしてやれ」
するとジルは土方にグサっと突き刺さることを真面目な顔で言った。
「土方さんマヨラーすぎて近づくたびにマヨネーズ臭がすごいからご飯食べるときに私の隣に座らないで欲しい」
「ガーン!」
土方はショックでお決まりの台詞を言ってしまった。ツッコまずにはいられない銀時だった。
「お前が泣いてどうするよ」
辛辣すぎるぷりちー天使の発言にショックを受けたおっさん二人はヤケ酒してゲロ吐いた。
「オイぃぃぃ!何やってんだ、このままじゃ勝負つかねーよっていうかジルちゃんそんな酔いどれおっさん二人に容赦ねぇ!?」
怒り口調の新八だがツッコミまくり。
「心配すんじゃねーよ。俺ァまだまだやれる。例え可愛くてしかたねぇジルに辛くあたられようが屁でもねぇぞ。シロクロはっきりつけようじゃねーか。ウチのジルは真選組のアイドルで十分なんだよ!全国まで登らなくても十分だっ!」
「なんだよそれ、ジルの輝かしい未来を奪う権利がお前にあるってか?ジルはなぁ、今やかぶき町のアイドルなんだよ!てめぇらだけ独占してんじゃねーよ!このまま普通に闘ってもつまらねー。ここはどーだ、真剣で“斬ってかわしてジャンケンポン”にしねーか?それで決着つけてやら!」
「上等だコラ」
「上等じゃねーよ。いつから私はアイドルになった。道場の跡取り娘からなんでアイドルに昇格するんだよ」
「上等だコラ」
「だから上等じゃねぇって言ってんだろーが」
ジルの発言を無視して真剣を手に銀時と土方が立ち上がるが二人とも足下がおぼつかないというか千鳥足だ。
「お前さっきから『上等だ』しか言ってねーぞ。俺が言うのもなんだけど大丈夫か?」
「上等だコラ」
「いーかげんにせんかい」
「いくぜ」
「「斬ってかわしてジャンケンポン!」」
「取ったァァァァ!」
銀時が先に動き刀を振るう。風が走り大きな手ごたえをつかんだ。
ズゥウウウウウゥゥゥンンン――
倒れたのは木だった。
「心配するな、峰打ちだ。まァこれに懲りたらもうジルに固執するのは、やめるこったな。ジルは天下を目指す女だぜ」
「今度は天下かよ、私どこまで飛躍するんだ」
まったく人の事無視しやがってとぷりぷり怒るジルに周りの人間は
「「「癒されるぅぅぅううううううう」」」
と始終ご満悦でした。
「俺の嫁は天下無敵だな」
と沖田にぎゅうぎゅう抱き締められ
「総ちゃんウザい」
とジルは冷ややかな視線を浴びせました。
結果=花見してねーじゃん。
◇◇◇
はっさん視点
桜舞う中僕たちは互いの愚痴を言い合っていた。
「そうなんですよ、僕の姉上って見た目お上品なお嬢さんって感じですけど裏をひっぺ反してみればそれはそれは理想と現実のギャップ的な象徴でしてかくゆう僕もその犠牲者をたくさんみてきましたよ」
グォングォングォン
「え?ゴーラ君もそういう人が身近にいるんですか?」
グォングォングォン
「えっ!?笑顔で大の男一人を米俵みたいに軽々担ぎ上げて尚且つ拳一つで地面に亀裂入れるのが得意な女性なんですかっ!?それは姉上以上の人みたいですね…。え?後、料理が得意で今武器にも使える毒料理を一生懸命開発中だって!?……それって本当に女性…っていうか一般人ですか?姉上以上に恐ろしい人がいるんだな……お互い苦労しますね…」
グォングォングォン
「え、あ?ジュースどうぞ?あ、ありがとうございます!あ、それじゃあ僕も注ぎますね?」
グォングォングォン
「え、お酒はいらないんですか?…自分三歳なんでお酒は飲めないんです…。そうですか三歳じゃ仕方ありませんね……三歳っ!?アンタ三歳なんですか!?そんな図体デカいのにこの世に生まれて三歳っ!?え、じゃ僕って三歳に人生相談したの!?三歳とっ!?っていうかアンタ機械ですよね機械と人生について語ってたのか僕は!っていうかアンタジルちゃんのペットなんだよな!もうすごいすごすぎて突っ込みたいけどなんかすごくてもうこれ以上突っ込めない!」
すごく疲れた所に癒しが参上した。無邪気な顔でペットに抱き着いてきた銀髪の少女。
「楽しそうだね、ゴーラちゃん」
「あ、君は」
間近に見ることで尚更ジルちゃんの可愛さに当てられてしまう。
「初めまして、ジルです!おにーちゃんのお名前教えて?」
「え!えっと、僕は志村新八っていうんだ。」
「へぇ~、新八…。いい名前だね!」
「ありがとう、ジルちゃんの名前も可愛いね」
はにかむ顔なんか最高だ、本当にかぶき町でファンクラブが出来るぐらいご当地アイドル化してるだけある。
「嬉しー!あのね私の名前、ディディがつけてくれたの。ディディはすごいんだよ?普段すっごいカッコいいのに部下がいなくなるとへなちょこになるの。それがまたギャップ萌えなんだよね~」
「幼児がギャップ萌えの言葉を熟知しているっ!?」
「名前褒めてくれたからあだ名つけてあげる!えっとね~新八だから……はさん!今度からはさんって呼ぶね!」
「新八って言っときながらはさん!?なんかはさんて破産に聞こえない!?お願いだからそれはやめてくれないっ!」
見た目可愛いのにあだ名つけるセンスはゼロだ。なんて恐ろしいギャップ萌えだろうか。
「ぶー、可愛いのに……じゃあ、はっさんで手を打とう」
「それはもう決められたもんなの!?」
「それにしてもはっさんはそんなに突っ込んで疲れない?」
「スルーされた決定されたよ。いいよもうはっさんでそうさ僕ははっさんさ。…ツッコミ?そうだね、これはもう僕の中に刷り込まれているようなもんだから自然としてしまう行動なんだよ」
「へぇ~。この世界ってホント面白い人種がいるな~」
「ちょっと待ってジルちゃんの中で僕はどう思われてるの?」
「影が薄いクセにツッコミっていうポジションにしがみ付いて地味に生きてる種族」
「辛辣っ!見た目可愛いクセして人の心えぐるのが好きな幼児だ!だいたい種族って何!?ツッコミだけを生きがいにしてる種族ってどっから誕生したの!?」
「最初は糖分しか接種しない種族、次ははっさん」
「僕悲しくなってきた悲しいよその糖分しか接種しない種族ってものすごく思い当たりあるから、メッチャ知り合いだから余計悲しくなってきた」
「大丈夫私はちゃんとはっさんを認めてるから。人として」
「ジルちゃんの人とほかの種族の境界線ってどこからなの?」
「宇宙人と人間」
「スケールでかっ!?それは人類規模の永遠のテーマだよっ!」
「とにかくこれからよろしくね」
「ウッ!可愛い顔してうまくまとめようとしてる…。けど可愛いから何も言えない!なんて計算高い子なんだ…」
僕は結局それ以上何も言えなくなってしまった。だってあんまりにも可愛いもんだから。
そして、この日僕はジルちゃんファンクラブに入会した。
そしてジルちゃんファンクラブ会員№5555を取得した。
そして、僕は銀さんを含む他の人たちに袋叩きにされました。
理由:あだ名つけられたから。(一部、妬みから)
ああ、僕は今日という日を忘れないよ。
僕の、『あだ名記念日』…
byはっさん