「「「「待ちやがれぇぇぇぇ!」」」」
「誰が待つかあぁぁぁぁあ!」
俺、工藤 直樹は魑魅魍魎の妖怪どもに追われてる。何故こうなったかは。
「魔理沙の八卦炉、何でそんな強力になってるのよ。」
「あ、私が改良しました!」
「こう見えても緋色は凄いやつなんだせ!」
この隣でのうのうと会話をしながら飛んでいる奴らの所為だ。(緋色は霧雨の箒に乗せてもらっていた。)
「お…お前ら。ちょ…ちょっとはこの状況を「あ、この先崖だぜ。」先に言えぇぇぇえ!」
俺はとっさの所で止まった。
「じゃ、後はよろしく〜」
「直樹ー!死なない程度に頑張ってねー!」
「死んでも骨は拾ってやるから安心しとけよ〜!」
「ちょっ、おーーーい!待てよー!!」
三人は本当に行ってしまった。…帰ったらただじゃおかねえからな。
「もう逃げられねえだろ。」
声がした後ろの方を振り向くと、妖怪達が息を切らせながら待っていた。とてもじゃないが、突破できそうにない。後ろは崖で進むわけにもいかない。まさに絶対絶命だ。
「くっ!」
地味に妖怪達が距離を詰めて来ている。こういう時に自分の能力を呪いたくなる。俺は落ちない程度に後ろに下がった。
「ん?」
何かが足に当たった。気づかれない様に足元を見ると、何やら小さな字で書いてあるメモがついたボールが転がって居た。一応、視力は4.0あるから余裕で読めた。
『魔理沙が作ったものすごい匂いのする煙幕よ。妖怪にも効く様に私と緋色で改良しといたから、思いっきり蹴飛ばしなさい。』
“ 霊夢”
おお!まさか、こんなのを用意してくれてなんて。よし、あの時逃げたことは水に流しとこ…ん、何か追伸がある。
追伸。
煙幕を爆発させたら、崖から飛び降りるのよ。
は?何だ?つまり、霊夢は俺に死ねと。いやいやいや。そこまで鬼じゃないだろ。確かにこの前、魔理沙と俺で弾幕勝負してたら賽銭箱に流れ弾が当たってものすごい怒られたけど、そこまで鬼じゃないだろ!?
「何にもして来ねえなら、こっちからいくぞぉ!」
「ちっ!ああ、もう!分かったよ!飛んで死んだら、枕元に立ってやるから覚悟しとけよ!」
俺は思いっきり足元の煙幕を妖怪達の方に蹴った。
「うわ!くっせぇぇぇぇぇ!」
かなりの臭いらしく、一時的だが全員がこっちから目を離した。今だ!俺は地面を蹴った。途端、身体か宙に浮いた。
「うわああああああああぁぁぁぁ…
そして俺の意識は近づいてくる地面とともに消えていった。
何だか近くで水の流れる音がする。そして花の匂い。確かこれは彼岸花じゃなかったっけか。俊が事細かに授業で発表してたからな…伝説もあって、三途の川の近くにかなりの量が咲いているって…
「おおい!」
「のわぁ!びっくりした。」
俺はまず周りの状況を確認した。どうやら俺は小屋に寝てた様だ。部屋の中央にある囲炉裏からパチパチと火花が飛んでいる。そして、その近くには赤髪で着物の様な服を着た女があぐらをかいていた。
「あ、起きたんだ。急に大声を出すもんだから驚いたじゃないか。」
「ここは…何処だ。」
俺は恐る恐る聞いた。
「ん?ここは地獄の一歩か、二歩手前の三途の川だ。仕事が終わって家に帰ろうとしたら、あんたは岸辺で横たわってたもんだからびっくりしたよ。」
「てことは、俺は死んだのか?」
こう聞くと、あぐらをかいていた赤髪の女はいたずらそうに笑った。
「ああ、死んだね。ま、あとはうちの上司の担当だからこれからのことはどうにも言えないけど悪いことをした覚えがあるなら気をつけた方がいいよ。」
そっか。俺は死んだのか。
「まっ、仕方ないか。」
俺はさっきまで寝ていた布団に再び寝っ転がった。
「え、いいの?」
赤髪の女は素っ頓狂な声を出した。
「ああ。それなりに楽しめた人生だし、最後には面白い体験も出来たし、あ、心残りがあるとすれば最後ぐらい霊夢に賽銭やっとけば良かったかな。」
俺が一呼吸おくと、赤髪の女はじーっとこっちを見た。そしてー
「うん。アンタは面白いね。」
「はぁ?」
特に面白いことをしたわけではないのだが。
「私は死神で色んなやつを見て来たけど、アンタみたいに周りの奴らと物凄く距離がいい関係は見たことがないよ。」
「さっきからなに言ってんだ、お前?」
「お前じゃなくて”小野塚 小町”(おのづか こまち)だよ。小町でいいよ。《距離を操る程度の能力》って言うのを持ってるんだ。」
「あぁ、だからさっき距離がどうとか言ってたのか。俺は工藤 直樹って言うんだ。」
しかし、死んだとなれば色々確認したいことがある。閻魔にも会ってみたいし。そんなことを考えていると死んでも以外と楽しめることに気づいた。
「あ、そうそう。アンタはまだ死んでないから。」
「え。」
ひと時の静寂。そしてー
「はぁぁぁぁぁ!?」
「うわぁ!だから、急に大きな声出すなってば!いやだって普通のやつならまだ死にたくないとか言うだろ!?そんな感じでからかったら何か順応し始めちゃってるから言った方がいいと思ったんだよ。」
てことは死んでもいないのに三途の川に来たわけだ。何それすげぇ。俊に言ったら『非科学的ですね』とかいいそうだな。あ、そういえば
「どうやったら戻れるんだ?」
「うーん、分かんないんだよね。取り敢えず、うちの上司に明日、会いに行こうよ。」
死神の小町の上司ときたら閻魔ってことか。確かに会いに行って見たいな。
「どんなやつなんだ?」
小町は腕を組んで少し考えると
「口うるさくて、バカ真面目で、厳しい上司?」
「…何か怖いな。」
すると結構怖い感じの人なのか?マジかー。何か怒られそうだな。特に悪いことはした覚えはないけど。
「取り敢えず夕飯にしようよ。私、お腹空いてんだ。鮎があるから囲炉裏で焼いて食べよう。」
「お、サンキュー。腹減ってたんだ。」
一回、考えるのをやめて目の前の旨そうな鮎に舌鼓を打つことにした。
ー少年少女食事中ー
「はぁ〜、食った食った。」
「あれ、何処で釣ったんだ?まさか、三途の川とか言わないよな。」
「そのまさかなんだなー。以外と釣れるもんだよ。」
夕飯を食べながら小町と話しているのは以外と楽しく、仕事場の話などをしてくれた。こっちは博麗などの話をしたら小町は博麗や霧雨のことを知っていたらしく、『あいつらは人間の癖に死までの距離が長いんだよね。』何てことを行っていた。その後は外の世界の話を話すと興味津々に聞いていた。
「そういえば、俺の身体って何処に行ったんだ?」
地獄の一歩か二歩手前にいるんだから、今は幽霊みたいな感じになってるんじゃないだろうか。
「ああ、直樹の場合は身体ごとこっちに来てるからあっちでは急にいなくなってる感じだよ。」
「…それって大丈夫なのか?」
「あまり大丈夫ではないだろうね。ま、すぐ帰れば何とかなると思うよ。」
帰ったら、緋色とかに質問攻めされそうだな。霧雨や博麗ならわかってくれそうだが。
「取り敢えず、もう寝よ。私もう眠くてダメだぁ…」
小町は畳の上にバタッと倒れた。
「おい、布団はいいのか?」
「もういいよ…動くのが…億劫でぇ…ZZZ」
小町は寝てしまったようだった。○び太くんですか、このヤロー。とても気持ちよく寝てるので起こすのも何だか悪い気がするし、着ていた服の上着を小町にかけて寝ることにした。そして俺もすぐに意識を手放した。
ー幻想郷、妖怪の山の崖ー
「直樹ー!どこー!」
「直樹ー!返事してくれー!」
私は魔理沙さんと一緒に直樹を探していた。あの時、崖のしたには紫さんのスキマがあって、それを使い、神社に直樹を送るはずで、私たちは神社に戻った。けれども夕方になっても戻ってこないので心配になり、魔理沙さんと共に崖へ向かった。霊夢さんは『すぐ帰って来るから大丈夫よ。』と言って神社の奥に行ってしまった。
「くっそ!どこ行ったんだ?」
「でも、紫さんのスキマにも入ってなかったですし…ここら辺にいるはずだと思うんですけど…」
もう空は暗くなっていてよく分からなくなっていた。私たちは途方に暮れていた。
「あれ?緋色じゃないすか?」
下から聞き覚えのある声がした。よく見ると影が動いている。その影が少し屈んだ感じになると
「行くっすよ!よいっしょー!」
ものすごいジャンプとともにこちらに向かって来た。
「え?何あれ!?妖怪か!?」
魔理沙さんは八卦炉を構えた。が、スピードが間に合うわけもなく影は私たちの1m位前で止まった。そこにはロケットブーツのようなものを履いた大樹が空中に立っていた。
「大樹!ちょっと手伝ってくれる!?直樹がいなくなっちゃったの!」
「え、マジっすか!?でも俺、見てないっすよ。文は何か見たっすか?」
大樹の質問に黒い羽を背中に付けた、あやと呼ばれた天狗のような格好をした人が答えた。
「うーん、私は見てないですね〜。にとりさんはどうですか?」
するとにとりと呼ばれた大きいリュックを背負った女の子が答えた。
「私も見てないよ。あ、でもカメラには映ってるかも。」
「カメラ、ですか?」
「そーだよ。妖怪の山の警備対策として、天狗様のカメラを応用して作った無人で動くカメラ《見えるくん》を至る所に設置してるんだ。」
リュックからはアームが出て来て、宙にディスプレイが浮かんだ。
「ちょっと時間かかるから待っててね。」
女の子はよくわからない作業を始めた。
「そーいえば、まだ緋色には紹介してなかったすね。あの人は”河城 にとり”って言って、まあエンジニアみたいな感じの人っす。河童らしいっすけど、面白い人っすよ。んでこっちの人は」
「あややや、全てを俊さんに話してもらうのは悪いですねぇ。私は”射命丸 文”と申します。幻想郷で記者をやって居ます。」
すると大樹が魔理沙さんの方を向いた。
「あの、そちらさんは誰っすか?」
「あ、紹介が遅れたな。私は霧雨 魔理沙だ。んで文、本当に見てないんだな?」
魔理沙さんは射命丸さんを見た。
「はい。この清く正しい射命丸。嘘偽りはありませんよ!」
と、自信満々に言った射命丸さん。その時にとりさんが声を上げた。
「あ、あったよ!」
皆がにとりさんの近くに集まった。ディスプレイに映ったのは上空からの映像だった。
「どうやら、妖怪達に囲まれてたみたいだね。でも何かを蹴って…うわ、爆発した。そして、え!?崖に落ちた!?」
と、ここまでは私たちの思い描いて居た通りだった。重要なのは其の後だ。
「え?」
ふと、画面を見た皆が凍った。崖から飛び降りた直樹の姿が消えた。紫さんのスキマのせいではない。その証拠に紫さんのスキマは後から現れたのだから。じゃあどう言うこと?その場に居た皆に同じ考えが浮かんだと私は思った。
「直樹は見つかったわ。」
ふと、後ろから声が聞こえた。それはここにいないと思っていた霊夢さんの声だった。振り向くと、スキマから顔を出して居た。隣には紫さんも居た。
「何か、あいつ。三途の川にいるのよね。」
「はぁ!?どう言うことだよ!」
「私にも分からないわよ。紫に聞いて頂戴。」
霊夢さんはスキマの奥に帰ってしまった。どうやら奥は博麗神社に繋がっているみたい。当の紫さんは口元を扇子で隠しながら喋り始めた。
「恐らく、空間の歪みがここにあってそれが三途の川に繋がって居たのではないのかしら。大丈夫よ。死んではいないから。」
皆に安堵の表情が見えた。魔理沙さんも、ホッとしていた。
「じゃあ、俺たちは帰るっすね。」
「うん。ありがとね!射命丸さんもにとりさんもありがとうございました!」
「いえいえ!どうってことないですよ!出来れば文々。新聞を購読していただk「うんうん!こちらこそありがと!《見えるくん》のいいデータも取れたし良かったよ!じゃ大樹行くよ!」
にとりさんは何だか慌てて文さんの服の後ろ襟を掴んで行ってしまった。それに大樹は着いていき、山の中に消えていった。
「紫さんもありがとうございました。わざわざ探して頂いて。」
「本当だな。しかし、霊夢は何もしなかったな!」
魔理沙さんは少し怒っている様子だった。
「あら、違うわよ。霊夢が私を呼んで幻想郷中を探せって言って来たのよ。藍にも助けてもらってさっき見つかったばかりなのよ。人使いが荒いんだから。」
紫さんは肩をトントンと叩いた。私は魔理沙さんと顔を見合わせてクスッと笑った。
「さ、帰りましょ。スキマを通ったら神社よ。」
私は帰ったら霊夢さんにもありがとうを言わないと、と思いながらスキマに入った。
どーも作者です。投稿遅れてすみません!受験の空き時間を使って書いているのですが、中々はかどりません!(T_T)頑張りますのでこれからもよろしくお願いします!
質問、意見などありましたら是非教えて下さい。