学園黙示録 =簡単に壊れるこの世界で…=   作:唐揚げ好き蔵

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完全な見切り発車で開始したのはいいけど全然書けない!っと言うことで急遽プロットといいうものを書いてみようとしたが、案外難しい……。

こんなムズイの皆かいてるの?




第二話(上)

 人間は環境に順応して生き残った種族である。

 それは世界中の子どもを見ればいい、日本やアメリカ ヨーロッパの子どもの大半は学校に行き友達と一緒に楽しく過ごすが、内戦の絶えない国の子どもは自らが自分の家族を守るために銃を持ち、人の命を奪っている。これ程大きな違いが生まれるのはどれだけ周りの理不尽に触れてきたかの差で生まれるのだろう。

 

 こんな風に、人は周りの環境に適応するように変化していく。それは生き残るための正常な変化であり、その中で敵を倒す事に快感を覚えるのはある意味当たり前なのかもしれない。

 

 しかし、周りの環境ではなく自分の持っている力によって変化していった者はどうなのだろう。その変化は大きすぎる力のよって来る正常なものという事が出来るし、周りの環境に関係のない異常な変化とも言える。ならば、これが正常か異常かなんて私には分からない……。

 

 

~毒島~

 

 

《………どうやら屋外は大変危険な状況のようです。可能な限り自宅から出ないように注意してください。》

 

 

 この地獄が床主町だけでしかないと思っていた訳ではない。しかし、床主町だけであったならこの町から小室君たちと脱出さえすれば助かると考えていたが、世の中はそんなに甘くはなかったようだ。

 

 自己紹介の後、少し大きな音を立てすぎたので”ヤツら”が職員室前からある程度いなくなるまでの間職員室で休息をとることにした。それは何より高城君の気持ちの整理の時間を作りたかったというのも理由にはあるが、これから起こると予想される長い戦闘に備えての束の間の休息を皆が求めたからだった。

 

 

『奥にこんなものがあった。この学校から逃げるにしても腹が減っては戦は出来ないという、少し遅いが昼食としよう。』

 

 

 皆自分の思い思いに休憩している中、小村くんが炊事場から見つけてきたというカップラーメンを全員に配る。短い休憩時間の中で他人を気遣うのはこれから行動を共にする人と信頼関係を築く上で大切だが、さっきまで"ヤツら"と戦っていたのに昼御飯とは……。

 

 

 そんな不器用なりに信頼関係を築こうとしている小村君だが、私はそんな彼について少し気になる事がある。

 

 

 気になる事と言うのは、平野くんによれば職員室前の"あれ"を作ったのは小村くんであるらしく、また彼によれば小村くんは自分の知り合いかもしれない"ヤツら"を殺すことに苦しみながらも殺していったとも聞いた。でも私に言わせれば、小村くんが"ヤツら"を殺すことになんの躊躇いもないことなんてあの綺麗に首を切られた死体を見ればハッキリと分かる。それでも彼が苦しんでいるとすればこの世界で明確な敵を殺すことに優越感に浸っている自分に対してなのかもしれない。だが私の考えが正しいなら、いつから彼がそんな風に暴力をふるう事に躊躇いがなくなったのがこの地獄が始まってからなのかが気になる。もしそれよりも前、まだ”ヤツら”の居なかった日常からなら私の求める答えが見つかるかもしれない。

 

 

「宮本くんは小村くんと同じ槍術を嗜んでる様だが、彼の事を知っているのか?」

 

 

 小村君の事を知るために彼と交流のありそうな人を探す、ここには小村君以外一年はいないが幸い彼と同じ武器の槍を使う宮本君がいる。珍しくこの学校には槍術部というものがあるから、あんなにも綺麗な槍さばきをする彼が宮本君と同じ槍術部に入っている可能性は高い。

 

 

「はい。小学校の頃は一緒に父から銃剣術を学んでいたんですが、私とは別の中学に行ってしまって……。小学生の頃はあんなに強く無かったのに……。」

 

 

 宮本君の言う通りならば、あんなに迷いなく人を殺せるのは中学の頃に何かがあったのかもしれない。彼と一緒に行動していれば答えを見つけれるかもしれない。

 

 

「でも、今は昔とは違ってますがやっぱり、隼人は生意気で何処か抜けている可愛い弟ですよ。」

 

 

「…弟?彼と宮本くんは苗字が違うようだが、」

 

 

「弟みたいっていう事ですよ。父と隼人のお父さんはおなじ課の刑事だったんで、よく一緒に遊んでました。孝にも懐いていたんで彼も知ってますよ。」

 

 

 小村くんまでも小村くんと知り合いだった事に驚いたが、言われてみれば今も彼らは楽しそうに話している。小室君に彼の事を聞いて見るのもいいかもしれない。

 

 ひとまず、昼御飯を食べ体を休めておこう。

 

 

 

=====

 

 

 

「極力"ヤツら"との戦闘は避けていこう」

 

 

 ひとまず私達の目的は、学校を脱出し安全な場所に行く事と成った。その為に小室君たちとチームを組み、まずは駐車場に止めてあるマイクロバスに乗り高城君の家を目指す。

 

 チーム編成は、前衛に私と小室君、小村君。真ん中に鞠川校医と高城君そして彼女達の護衛に平野君を置き。殿を務めるのは宮本君である。

 

 このチームで行けば、"ヤツら"にやられる事はおそらく無いが戦う時間が長く成れば成る程危険な状況になることは変わりない、無駄な戦闘は避けいち早くマイクロバスに行くことがこの学校から脱出するための最低限の条件である。だが、余裕があれば他の生き残りを助けていこう。

 

 

「キャアアアアア」

 

 

 駐車場への最短距離である玄関口を目指していると、近くから女子生徒の悲鳴が聞こえてきた。

 

 

『先に行かせてもらう。』

 

 

 小村君はそう言って私たちが行こうとするよりも早く悲鳴の聞こえる方に行った。慌てて彼の後を追うが、私達が階段の踊り場についた時には既に"ヤツら"の全てが生き絶えていた。彼が誰よりも早く悲鳴を上げた生徒達の所に着いたおかげで誰も"ヤツら"に成ること無くこの場を治め、かつ彼自身も無事なので問題ないが、

 

 

「私達はチームを組んでいるのだ、。早く生徒を助けるためとはいえ、余り勝手な行動をするのは危険だぞ。」

 

 

 彼がいつも単独行動をしては、チームを組んで生き残る事が出来なくなるかも知れないので一応、釘を差しておく。

 

 

『すみません。でも………』

 

 

 彼が何を隠し、なぜ言い淀んだか分からない。

 

 もしかしたら、彼が悲鳴のする方に行ったのは悲鳴を上げた生徒達を助けるためでは無く、早く"ヤツら"を殺したかったという事を隠したのかもしれない。

 

 

「あ、ありがと「し!静かに、"ヤツら"は音に敏感だから。」分かりました。」

 

 

 女子生徒が私達にお礼を言おうとしたところを、小室君が大きい声を出さないように注意した。

 

 

「誰も噛まれてないよな?」

 

 

 彼はそのまま、悲鳴を上げた生徒のいる集団に確認を取る。

 

 

「お、おう、誰も噛まれてない。そうだよな!」

 

 

 バットを持った男子が答え、隣にいる女子生徒に正しい事の確認を聞いた。

 

 

「え、ええ。誰も噛まれてないわ。」

 

 

 彼女も誰も噛まれてないと言った。

 

 見たところ、彼らは返り血を浴びているが誰も痛そうにしている者も居ないので彼らの言うとおり誰も噛まれてないのだろう。

 

 しかし、彼らの行動はが怪しすぎる。ここで彼らを問い質してもいいが、口論になって仕舞えば"ヤツら"が集まる。かと言って、彼らを見逃してチームを危険に晒したくはない。

 

 

 結局、私の迷いが解決しないまま彼ら五人をチームに入れた合計十二人でこの学校から脱出する事に、急にこんなに大所帯になってしまったがもうすぐ正面玄関に着くので大丈夫な筈……

 

 

……だったのだが、

 

「見えて無いんだから、隠れる必要なんて無いのに。」

 

 

 高城君がポツリとそんなことを言った。しかし、彼女も私達と同じく階段の影にかくれているのは彼女自身"ヤツら"が音だけに反応する事に確証を持てていないのだろう。私自身、高城君からの説明で"ヤツら"には視覚が無く聴覚を頼りに動いているのは知っているが、やはり身体を不必要に晒すのは精神的に避けたい。

 

 玄関前の階段から確認したが考えていたよりも正面玄関の"ヤツら"の数が多かった、私一人なら強行突破してもいいが十二人の大所帯である今は強行突破は自殺行為以外のなにものでもない。ならば、校舎の中を通って別の出口を探す事も考えたが、やはりこちらも建物の中"ヤツら"に囲まれ退路を絶たれる可能性が高く、チームの人数が多ければ尚更それが高くなってくる。

 

 つまり、マイクロバスを目指してすには、高城君の説を誰かが証明した後に正面玄関から行くのが一番いいのだ。しかし、それにはある問題が生じてくる。それは……

 

 

「誰かが高城君の説を確かめるのだ。」

 

 

 この場の誰もが不安な顔をしている、まあ当然だおそらく私も同じ様な顔をしているのだろう。もし高城君の説が間違っていれば"ヤツら"の仲間入りは避けられないのだから。

 

 

『やるしかないか……。』

 

 

 だから皆が沈黙を守る中、小村君の声がやけに大きく聞こえた。彼は、この大きな決断をため息するかの様に告げた。

 

 

「隼人!?なら私も一緒に行く。」

 

 

 宮本君が小村君が一人で行こうとしている事をなんとか止めさせようとしている。確かに、普通なら一人よりも二人の方が互いに助けあって行く事で生き残る可能性が高くなるが、今回は靴箱に邪魔されるのでかなり動きが制限させられてしまうので一人の方が自分の身を守るだけで良いので安全である。それに彼がこれから行うのは、"ヤツら"が聴覚で行動しているかの確認で複数で行くものではない。

 

 それでも、宮本君が彼に告げたのは彼の事を大事な弟分と思ってのことだろう。

 

 

『必要ないよ。』

 

 

 だから彼も姉貴分を思って宮本君の提案を断った。

 

 

「でも、それなら変わりに私が……「女足らんと欲するのであれば、男が決めた事の邪魔はしない事だ。小村君がした決断に提案すべきではない」」

 

 

 これ以上ここで彼を止める事は、彼が皆を思い決断し行動しようとしている彼を侮辱することになる。

 

 小室君が小村君を安心させるかのように彼の肩に手を置いた。

 

 小村君は自分に言い聞かせるように何か小声で呟いてから深呼吸をして、生き残る以外の雑念を消し去ったのか身に纏う空気が変わった。こんなに早く意識の切り替えが出来る実力はさすが武人である。

 

 小村君は一歩一歩慎重に"ヤツら"のいる玄関前に向かって歩く。此処から見ていると彼は平静を保っているようだが、彼の心は恐怖で満たされているだろう。それでも、彼は感情を押し殺し"ヤツら"の眼前をそよ風のように過ぎた。

 

 そんな眼前を通る彼を気にも掛けずに"ヤツら"は鼻先にいる小村君に気付く素振りも見せず、ただ呆然と空虚に視線を向け歩いているだけだった。

 

 

 

ダン!!

 

 

 

 彼はおもむろに床に落ちていた誰かの脱ぎ捨てられた靴を取り、奥にあるロッカーに目掛けて靴を投げると命中し大きな音が響いた。

 

 それまで、ただ何かを求める歩いていた"ヤツら"はゆっくりと音が響いたロッカーに視線を向け覚束ない足取りで歩き始めた。

 

 そのまま、小村君は靴箱の影に隠れて"ヤツら"が通り過ぎるのを待った。

 

 "ヤツら"が十分奥にあるロッカー周辺に集まった事を確認して、玄関扉を軋んだ音を立てないように注意して慎重に開け、私達に手招きをした。

 

 まだマイクロバスまで"ヤツら"はたくさん確認できるが、第一関門を突破出来たことには変わりなくそれを成し遂げた彼に感謝する。

 

 

「さすが男だな。」

 

 

 あの試練を乗り越えた小村君を素直に労い感謝の意を述べただけなのに彼は驚いた顔をしていた。

先程まであんなにも武人の様な空気を纏っていた彼の姿と驚いた表情をしている彼のあまりにも大きな違いに思わず笑いがこみあげてきた。まだ、こんな世界になって混乱しているが小村君を見ていると、前向きに生きて行けそうな気がする。

 

 

 

カン!!

 

 

 

 だが、この世界は私達を簡単に生き延びさせる気はないようだ。

 

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