R15と残酷描写ありは、予防処置と寮監先生の苦行でできています。
色々オリジナルだから許してくだされ~(>ω<)ノ
お天気爽やか、キラキラの木曜日である。
何故にスリザリンとグリフィンドールを組ませたがるのか?
と、思うが、別に嫌がらせではなく教師と教室の空きと、カリキュラムの都合なのであった。
そもそも先生の数が足りていない。
補助要員はいるけれど、メイン授業は各教授が行うとなれば、クモの巣のような授業計画になる。
それがイベント、テストなんかが挟まるし、選択科目が入り込む上級生を考慮するとなると、そりゃぁなるべく生徒をまとめて指導したほうがよくなる。
一学年合同だってある。
これを原作というか、神のシナリオに乗せてるって考える事もできる。
シナリオ、ロール的に纏めて演技?
けどね、どっちが本家問題ってわかる?
ここがお話の中と考えるより、こっちが元。
向こうがコピー。
これもありなんじゃない?
だから、あちらで物語を仕入れた人ならば、間違いを探したんじゃないかな。
チキチキですごく辛いだろうなぁ。
ほら、知ってて悲劇を回避?
無理、そして成り代わりなんかしたがったら最後、すごーいストレスだろう。
自分の人生ってさ、そんなシナリオどおりになるわけがないじゃん。
お陰様で、そもそも知らないから、その苦しさはない。
知ってたら、すごい苦しかっただろうね。
でも幸いにも知らない。
だから、グリフィンドールと顔をあわせる回数が偏ってても、それは原作に倣ったとかじゃなくて、こっちの学校側の運営事情って訳。
まぁこんなどうでもいいことを考えているのは、ひとえに、箒の授業が憂鬱だからだ。
そいでドキドキ飛行訓練だ。
ドキドキ魔法薬学に引き続き、スリザリンとグリフィンドールの合同授業である。
今回は、どんなオモシロポイントがあるんだろうか。
「何も面白いことないから、ほら、学校の箒が並んでるでしょ、場所は、そうね。
葵の場合は後ろよ。ともかく、トラブルにならないようにっと」
初手から、既に学友が何かを察したように動いてくれる。
まるでヘルパーとお婆ちゃんである。
何か、今日はできる気がする。
オラ、ワクワクするぞー!!
「今回もまた、俺が生贄でよろしく。一応、箒には乗れる。グリーングラスは?」
自虐から入るノット君。
眠そうな目をしているが、彼は勉強の鬼なので、いつも睡眠不足だ。
ハリー君達と一緒にいる女の子と良い勝負である。
「大丈夫よ、妹と一緒に幼児用で遊んでたし。
ともかく、この子がおかしな事しないように見てよう」
お、おぅ。
お婆ちゃん、ちょっと反省。
高所恐怖症だと、伝える。
それでテンション上げてただけだよー。
「それは周りの奴らに言わないほうが平和だな。手伝うとか言い出しそうで、面倒」
「二人乗りしようとか言われても乗らないでよね。ろくな事にならないから」
ありがとう、二人の私への信頼が厚い。
トラブルを引き寄せるワイの信頼感マックスなりよー!
んで、お空を見上げる。
はぁ、今日も生きてる。
物語の世界でも、現実だ。
足元の芝生は美しく、風が流れていく。
この世界は美しい。
現実じゃないみたいだと何度も思う。
それはとても危険だ。
わかっている。
茶化しながら、私は見回す。
すると主人公の少年と友達が到着。
グリフィンドールの子たちも箒の側に並ぶ。
先生は、うん、短髪の白い髪をしたマダム・フーチである。
実は今回、初めての関わりである。
彼女は日々、箒、スポーツ指導をしているから、とんでもなく忙しく、そして室内におられない。
ほぼ、クィディッチチームの事柄で動いている。
生息地は教員室かお外、又は各チームの部室で、私の行動範囲から外れていた。
そもそも彼女からすると、事故って健康に問題ありの一年生と、言葉を交わす用事がない。
元気出せよって声をかけるぐらいだろう。
おまけにほぼ、寮監先生の預かりである。
首輪まであるとか、どんびきーだろう。
と、マダム・フーチがマリーン風味で子供たちを叱咤しながら煽り立てる。
なんだろう、ホグワーツの教師って色物が多いよね。
にゃんことか、ターバンとか、他の先生もそれぞれ、とっても興味深い。
酔いどれてる女の先生もいるし、まぁ、一番は我がスリザリンの寮監先生だけど。
そしてこのマダム・フーチ先生、なぜにマリーン、海兵隊風味なの?
クィディッチの体育会系ノリって、フルメタル・ジャケットのハートマン軍曹のノリなの?
パブリックスクールハイソじゃないの?
ハリー・ポッターファンの人、誰か教えて!
んで、箒に命令しろって。
うん、私にどうしろと?
「あー、どうする?この授業、必須科目じゃないから、先生呼ぶ?」
人生はーチャレンジのー連続だー!!
足元の箒を見る。
お掃除用ではない。
箒立てなる金属のストッパーみたいなのもある。
「比較的、おとなしめの箒のはずよ。先生も、トラブルは嫌だろうし」
性格あるの?
わーわーグリフィンドールで何やら騒ぎが起きてて、先生はそっちに掛かりきりだ。
また、マルフォイ君が煽り芸を見せてる。
彼の親御さんは大丈夫なんだろうか、息子さん、ちょっと思春期で拗れてるんじゃね?
「癖があるのよ、魔道具だしね」
なるほどー。
ある程度、こちらの思念を読む道具だと考える。
あの帽子みたいにね。
ならば、ワイの思念もイケんじゃね?
ほうき氏〜、ほうき氏〜聞こえてる〜?
こっち来てもらっていいかなぁ?
なんかねー魔女っ子って箒で空を飛ぶんだよねー?
高いところ苦手だけどさー、やっぱロマン?
ちょっとは飛ばないとー魔女のかっこうがさーつかない?
ウントモスントモ、お答えはない。
じゃぁしょうがないね、後は必殺!
(お願いよ!私〜困ってるのぉ、箒さん、こっち来て?)
冗談でぶりっ子しながら、小首を傾げて、指クイっ。
ビシィィッ!!
アホみたいに、箒氏、ワイの手に収まる。
このエロ箒めっ!お仕置きしちゃうぞ!!
「...ねぇ、私、何を見たのかしら?」
「俺は見てない」
「見間違えね、うん、そうよね」
そいで操縦方法は体移動、だと?
このエロ箒、思念で動くと思うんじゃが。
そしてこいつを跨ぐことは、絶対に無い。
断言しよう、私は嫌だ。
なのにこの箒、水平になり高さをキープ。
乗れという感じで、少し下がる。
「上手じゃない?って、何でそんなに嫌そうなの?」
ダフネちゃんもノット君も、きちんと高さをキープして箒に座っている。
大凡のスリザリン生は、魔法界に慣れてるご家庭の子供たちだ。
そもそも乗れない子のほうが少ない。
溜息。
箒氏、横座りしていいかな。
君を跨ぐ気がしない。
内なる少女が泣くから。
そう念じたら、更に乗りやすいように高度を下げて、椅子のように後ろに回る。
んで、座ってみた。
もちろん、横乗り。
実際、見えないサドルというか椅子のような感触。
なるほど、箒の形はしてるけど、乗り物なんだと実感した。
じゃが、絶対に跨がぬぞ。
(箒さん、私、高いのも、早いのも、嫌なの。ゆっくりね)
って再びぶりっ子思念を飛ばしたら、ゆっくり慎重に浮かび上がって留まる。
(ありがとう)
ダフネちゃんとノット君は、何だか遠い目をしていた。
その間、グリフィンドールは盛り上がり、事故る。
事件が起こらないとすまないのだろうか。
授業って、事故ありきなの?
そして不遇に見舞われたのは、魔法薬学に引き続き、再びのネビル君。
で、先生が彼を医務室に連れて行くと、当然のように、マルフォイ君とハリー君の小競り合いになる。
そりゃもう、箒で追いかけっこでハリー君勝利までがワンセットプレー。
そいでマクゴナガル先生登場でハリー君を回収してエンド。
箒の授業はこんな感じで初回を終えた。
ネビル君を振り落とした箒はどこまで遊びにいったんだろう。
アウトローだったのかな、エロ箒よりはいいか。
***
ちなみに、クィディッチ狂のマクゴナガル先生は、ハリー君をチームに推薦した。
最年少の選手としてだ。
ハリー君もグリフィンドールの寮生達も喜んで盛り上がっていた。
まぁそれはいいんだけどね。
でも、今回の事で、少し、がっかりしてたりする。
あのマクゴナガル先生も、結局は、すこし毒されているんだなぁとわかったから。
まぁ人間だから、しょうが無いけどね。
この学校の有り様は、そもそも少し偏っている。
それに気がついている人は少数だ。
教師はある程度、そのへんは飲み込んでるはずだ。
それでも、ちょっと毒されてしまうんだろうけどね。
寮監先生は、わかってる数少ない一人だよ。
偽善ありきの小世界だってね。
校長先生の独善で、色々決められるワンマン経営寄りの似非トップダウン方式だとも。
もちろんプラス部分は大きい。
私の事だって、すんなりと受け入れてもらっている。
このような厄介な能力を封印までしてもらっている。
本来だと、きっと隔離案件か入学拒否。
討伐されるかもだしね。
否定はしない。けどねー。
そいで依怙贔屓の話ね。
独善的判断で方向性が決まるなら、現場は大きな声で主張するしか無い。
だから、寮監先生は堂々と依怙贔屓上等である。
でも、マクゴナガル先生は、依怙贔屓してるつもりはない。
彼女は、魔道具の帽子が四分類に分けただけなのに、そのレッテルを本気で信じているフシがある。
ホグワーツの歴史と権威を信じるように、魔道具の区別が差別と化している事を理解していない。
西洋人的、白黒、善悪、グレー無しの考え方だ。
だって傾向で便宜上分けて、競争させて向学心を求めているだけなのに、個人の資質よりレッテルが絶対になっている。それもマイナス部分をクローズアップだ。
まぁ歴史のせいもあるんだけどね。
ヴォルデモートと言う人。
彼に似た傾向は、悪だ。
と、分けると安心する。
スリザリンは悪いんだ!
でもザル理論なんだよね。
このホグワーツを出てしまったら、その4つの分類がいつまで通用するのだろうか。
同じ職場で別の寮の人間と机を並べる事だってあるだろう。
おまけにホグワーツ以外の魔法学校だってある。
人間は4つの色分けで済む生き物じゃない。
そしてちゃくちゃくとハリー君は、人間は4つのパターンだと勘違いし始めているんじゃないかな?
もしくは、悪い奴と善い奴にハッキリくっきり、区別できるって。
マクゴナガル先生も、根底に正しい理由があれば、無法も許容以上の肯定になるようだ。
依怙贔屓だよね?
ハリー君は、クィディッチの才能を見せた。
理由も正義感からだ。
だから、他のルール違反にペナルティは無い。
負け続きの己の寮チームの為にもなる。
まぁ意地悪したのはスリザリンだしね!
つまりマクゴナガル先生は、信じている。
ホグワーツが定めたルール、レッテルを疑いなくね。
スリザリンのマルフォイ君は、親に言われるまま、意地悪を繰り返している。スリザリンだから。
これ、間違い。
マルフォイ君は親の考えに影響を受けているが、友達になり損なって以来、引っ込みがつかなくなっただけ、である。スリザリンだからね。
悪いってわけじゃないよ。
人間だもの。
でも、同じ事を寮監先生がしたら悪者扱いって、それこそ狡くない?
まぁ校長と寮監先生は、そういう思考の流れを利用してそうだけどね。
扇動して動かすアジテーション。
マクゴナガル先生みたいな、善い人を誘導している節がね。
現実、人間的には、マクゴナガル先生は安心できる心を持っている。
優しさも厳しさも、教育者としてはパーフェクトに近い。
ただ、ね。
マグルの世界もだけど、まっすぐな人って利用されるんだ。
固定観念に固まった相手は、扱いやすい。
それも仕立て上げたね。
寛容があったとしても、個人個人の違いがある事を知っていても、ホグワーツは最初にレッテルを、そうと気が付かせずに子供に貼るんだもの。
寮監先生の言っていた、嘘を本当と信じてる、が、これだ。
今回もハリー君は学んだ。
正しい行いならば、ルール違反も許されると。
大人って怖いね。
彼はホグワーツ内で、もしくは同じ考えの仲間内だけで通用する常識を学びつつある。
模範例が、すでに固定観念に毒された大人と、嘘を演じるのが巧い大人だからね。
「フィルチに言っておいた。これで奴らは退学だ」
漏れ聞こえる言葉。
ホグワーツで起きる出来事は、外的要因の影響を受けている。
寮監先生、面倒くさい事ばっかりじゃーん。
まぁ、だからこそ、誰にも肩入れするなっていう話である。
談話室で、お菓子(いつもの妖精さんの差し入れ、最近、また、量が増えてる)をモショモショしてたら、マルフォイ君と取り巻きの子が、盛り上がっていた。
んで、適当な相槌をうっていた取り巻きズが、私のお菓子に気がついた。
じーっ、じゅる。
食べる?
んで、速攻で走り寄る、ゴイル君。
「これ、イチゴの奴だ」
うん、このクッキー美味しいけど、私には甘すぎ。
あげるよ。
「ありがと」
相方のクラッブ君もやってきた。
おいしい?
「うん、おいしい。お姉ちゃん」
うん、いちおう同級生な。
牛乳も飲んでいいよ。
もう、ノルマがきつくて。
二人を餌付けしていると、遠くからマルフォイ君がぼーっと見ていた。
手招くと、ギクッとして後ずさる。
相変わらずの、ナマハゲと子供である。
二人とも歯を磨いてから寝ろよ。
「うん」
で、今日のハリー君弄りは、どんな具合?
「呼び出し、勝手に夜、であるいて」
「フィルチに知らせといた、真夜中、トロフィーのところ」
なるほどー、自分の手を汚さないスタイルはいいね。
相手が乗るかは自己判断だし。
「よくわからない」
わからなくていーよ。
マルフォイ君が困ってるから、残り、お土産にもって行きな。
「うん、ありがと」
バイバイと手を振る。
戻っていった二人が、マルフォイ君に怒られていた。
面倒見がいいとか、彼はとってもいい子だ。
トロフィーが置かれた場所といえば、四階である。
四階といえば、校長が何かフザケた事を言っていたような?
とても痛い死に方をしたくなければ、今年いっぱいは、右側の廊下...
『今年は無理だ』
『この勝ち目を逃しちゃ駄目よ』
脈絡もなく、関係の無い言葉が過ぎる。
ふーん。
深夜になる少し前、夜着にガウンを纏い、私はこっそりと寮から外に出た。
まぁ冒険だ。
私のこの行いで、寮杯の点数がマイナスになる確率は低い。
この首輪の不具合で許されるだろう。
くっ、首輪が、とれたー!!
就寝時間になってからお部屋に戻ったんだけどね。
小声で、ハミングしてた。
で、久方ぶりに、何だか歌えそうだったのだ。
謎の確信。
魔笛(モーツアルト)もイケる。
ワイ、コロラトゥーラ・ソプラノもイケんじゃね?
で、夜の女王のアリアを、例の有名部分をちょっとだけ、出そうとしたらね。
首輪が、とれた。
ぼろっ
ガビーン。
で、慌てて鏡を見る。
ワイのお目々、大丈夫?
人間のお目々だった。
予備の眼鏡を取り出し、どうすべぇと頭を抱える。
ワイ、魔物化、討伐案件。
嫌過ぎる展開であった。
悩むこと暫し、じゃぁ、ちょうどいいじゃーん。
あひゃ!
己の中の、どーしよーもないアホンダラが囁く。
ハリー君達、ひやかしにいこうかなーって。
勿論、彼らがいるとは限らない。
騙されてない方が可能性は高いよね。
単にワイの反抗期である。
ヤケクソ理論?
なんかねーストレスありすぎない?この学校。
そいやって寮を出て、地下階からの階段を暫し登る。
ホグワーツの上の廊下にある階段って動くんだよ。
何を考えてんだろうね。
楽しいより、アスレチックにして、足元の危うい高齢者が通る時、どうすんだよって思う。
エスカレーターでも事故るのにさー。
と、どうでもいい事を考えながら、静かなホグワーツをペタペタ歩く。
寮監先生のところに行かないのは、まぁ、どうせ怒られるなら、野次馬しとこーかなって。
何が今年はダメなんだよって理由。
手紙の内容も、差出人も教えてもらえないストレス。
私のほうが怒ってもいいよね?
叔母さんの事だってあるんだよ?
皆の気遣いも、わかるんだけどね。
玄関ホールを抜けて、回転階段でモタモタ。
それから若干強面の魔女の像の先、トロフィー室である。
スニークスタイルで絵画のところは避けたつもり。
グリフィンドールの塔からは反対の位置だから、きっと奥の通路から、ハリー君達はくるのかな?
月光に照らされた通路。
トロフィー室は静か...うん、うすーく扉が開いてる。
という事は既に来ていた?
まぁええか。
校長先生のところに行くには、更に上階に行かねばならない。
まぁ実際は口実で、明日の朝、相談すると思う。
寝てるところを叩き起こすのはいけないしね。
で、入ってはいけない四階右手となると、ハリー君達のグリフィンドール塔側の方になる。
私が上がってきたスリザリン寮からみると、そのグリフィンドールの階段より更に奥だ。
まぁお散歩ついでに、その四階のお部屋の前まで行ってみよう。
で、ぺたぺた歩いていくと、おぉフィルチ氏とミセス・ノリスがいた。
ほほぅ。
「こんな夜更けに何をしておる!」
ワイ、首輪を見せて、困ってると首を傾げる。
「減点しなければならなくなるぞ、せめて監督生を起こして相談しなさい。
夜は出歩いちゃならん!危険じゃないか!」
ありがとう、ごめんなさい。
反抗期終了。
で、馬鹿ねぇって顔で、かわちぃ猫ちゃんに見られる。
反省。
見回りを優先してくださいな。
明日、改めて相談しますーごめんなさい。
と、私が書いて見せると渋い顔。
だが、次の瞬間、何かの笑い声と壊れる音が響いた。
「早く、寮に戻るんだぞぉ!」
と言いつつフィルチ氏は走っていった。
ごくろーさまー!
...あー、まぁ、いいか。
で、そのまま、通路をペタペタと歩く。
振り返ったトロフィー室は静か。
騒ぎは遠ざかっていく。
昼間はあまり近寄らない通路の奥へと歩いていく。
今年のホグワーツに何があるのか。
まぁ私が関わる事は無い。
でもさ、話ぐらいしてくれてもよくね?
そうしたら素直に、知らせたのに。
変なの、紛れ込んでるよって。
授業が始まった頃から、ちょくちょく、ぶち当たる。
私の縄張りに、まぁ縄張りとか言うと野生動物みたいだけれど、ちょくちょく匂うんだ。
ワイは、こう、能力的に人間を攻略する系でしょ。
自然と効果範囲ってのを設定してる感じ。
普通の人のパーソナルスペースみたいなもの。
だから、見えていなくても、人物の位置とか、なにかしてるなーってのは感じてる。
目を包帯でぐるぐるでも、平気だよーっていってたのは、それね。
授業は困っちゃうけど。
んでね、
嫌な匂いだよ。
子供の暮らす場所にあっちゃならない匂い。
するんだよ。
不意にね。
元が見つけられたら、焼き潰すのに。
マッチは持参してる。
生ゴミみたいなものだよ。
焼けるって私、知ってるみたい。
内なる少女も、焼き殺された過去の彼女もね。
なら、焼いて始末しとこうかなってね。
でもさ、私には利益のない行為だ。
だから、何も教えてくれないなら、私も積極的に教える気がおきないわけ。
反抗期ー。
でも、子供が巻き込まれたら嫌だもんね。
焼き潰せるなら、ヤキヤキしゅるんだー。
でも今のところ、発生源がわからない。
こう統一感がないんだよね、臭う時にさ。
他の塔に繋がる階段、照明はそれなりに灯っている。
踏み段や装飾品の場所を過ぎると、廊下奥、階段下の右側に扉が見えた。
ここが例の場所だろうか?
そこに立ち止まって耳を済ませた。
誰かの息遣いが聞こえる。
うん。
で、ゆっくりと扉が開いた。
「ねぇ、黙っててくれる」
頷くワイ。
「何で、出歩ってて減点にならないの?」
パージしちゃってる首輪を見せるワイ。
「えっ」
中、見て良い?
「駄目だよ、大きな怪獣みたいな犬がいるんだ!」
見るだけ。
で、四人を避け、閉じられた扉を開けて見る。
ふわふわの立ち耳の犬がいた。
「危ないって」
「グリフィンドール塔にもどらなくちゃ」
じっと見つめ合うワレと、わんわんズ。
きゅぴーん!
やんのか、コラ。
ここは我の縄張りぞ。
ん、仕事?
おぉそうか。
仕事ではしょうがないなー励めよ。
ん?
暇だから時々会いに来て?
それワイが怒られる案件な。
音楽とか楽しい歌がここには無いから、お家に帰りたい?
ほぅ、ご飯は食べさせてもらってるの?
うん、うん、森番の大きい人がくれる?
お家に帰りたいというワンワン。
仕事頑張るよーワンワン。
のーみゅーじっく、のーらいふ、なワンワン。
中々に個性的な怪物系三首ワンワンである。
毛並みがふわふわで撫でてみたいが、部屋に踏み込んだら怒られるだろうことは予想がつく。
と、いうか、鍵がかかってないのね。
「いや、ハーマイオニーが」
「なによ、フィルチに見つかったほうがよかったの?」
まぁ、ご安全に帰ったほうがいいよ。
減点されるし。
「首輪、とれてるけど大丈夫?」
うん、まぁとれたなーって知らせとこうかなって思ってでてきたけど、夜だしね。
帰ろうかなって。
とは伝えず、首を振る。
「自由ね、いいわよね。減点されないなんて」
おょ、依怙贔屓が気になるかい?
でも君たちも、だいぶ依怙贔屓されてるよ。
気がついてないようだけれどね。
まぁ、意地悪は言わない。
相手は子供だ。
と、更に笑うと、彼女はちょっと怒ったようだ。
「よしなよ」
「スリザリンのマルフォイに騙されたのよ、腹がたたないの?」
「だって、彼女、関係ないじゃん」
「同じスリザリンだわ。それに出歩いてても、彼女だけ何も言われないなんて」
そうだね。
君たちは、もっと考えて行動しなくちゃ。
簡単に誘導され過ぎだよ。
とは、言わずに、微笑んでおく。
「気味が悪いわ」
うん、それが真っ当な感想だと思う。
この中で、唯一、正常な判断をしていると思うよ。
「行こう。またピーブスが来たら厄介だ。
あの、内緒にしてくれる?」
「無理よ、この人、スネイプ先生のお気に入りだもの」
うん、そうなるのかなぁ。
どちらかと言うと、向こうが巻き込まれているんだぜー。
笑う。
馬鹿にしているんじゃないよ、うん、これは悪い大人に利用されるだろう。
「行きましょう。これで満足した?
貴方達のお陰で、殺されるところだった。
それにこのままだと退学ね」
「ついて来いなんていってないだろ!」
しーっ
黙っているよ、早くお帰り。
内輪揉めしている四人をグリフィンドール塔の方へ押し出す。
「ごめんね」
ネビル君、まぁポキッといった手首が治ってよかったね。
見送ってから、暗い通路を見やる。
そうもう一つ気配がある。
気になる焼き潰したい匂いだ。
土のニオイ。
湿気ったカビ臭さ。
脂っぽい何かが腐れたような。
知っている。
古い地下墓地カタコンベ。
葬儀屋の遺体安置所。
ふふっ、半ば埋もれていた棺桶の中に、残っていた泥。
何で知っているのか?
さぁ、きっとそんな場所で最期を迎えたんだよ。
誰にも知られず、愛を殺されて。
棺桶の蓋が閉じるのを、白い空が見えなくなるのを。
男が棺桶に封をするのを眺めていたのさ。
まぁ落ち着きなよ、私。
なぜ、出てこないのかしら?
この部屋の奥に何があるのかしら?
まぁ、私にはどうでもいいことだ。
ただ、ここはホグワーツで、ここに来ちゃ駄目だよって言ったのは、校長先生だ。
子供でも開けられる鍵をかけて。
なんてまぁ、正しい大人ばかりなんだろう。
暗い廊下を見つめていると、夜回りだろう姿が現れた。
そして気配は退き...
シリアスは消え、むちゃくちゃ怒られた。
寮監先生、鍵がね、開いちゃった。
あのね、あのね、中のワンワンね、ちょっと支配できそー。
それからね、首輪がね、ポロってね。
フィルチさんにも怒られちったー
取れた首輪を前に、片手で目を覆う吾輩氏。
そして背後の扉は半開き。
ワンワンがよだれを垂らして、威嚇している。
あー、ワンワン、この人、寮監先生ねー。
この人、食べたら、お仕置きねー。
仕事?
うーん、でも、マジで何かあって、この人齧ったら、お前、タダジャオカナイヨ?
あぁ怖い?
やだなぁーチミなんかより、ワイ、か弱いでしょ?
目?
なんのことー?
齧ったら、ユルサナイ、ワヨ
オボエテオオキ、ナ
ユルサナイ、ワラワ、ノ、ナワバリヲアラスノカエ?
きゅいーん、きゅうーん、きゅわわーん!
うし、寮監先生、こいつワイの舎弟なー!
吾輩氏、ちらりと中を確認し、ワンワンを嫌そうに見てから扉を閉めた。
そして徐ろに、ワイの耳を捻り上げた。
暴力はんたーいー!!
***
お説教のうえ耳を捻られたが、まぁあの晩の冒険?は終わった。
気になる気配はあれど、紛れるんだよ。
何処にいるんだ?
洗面を済ませ、眼鏡をかける。
拘束具としたが、そこまでの強固な束縛はないらしく、オーバーフローがおきると安全弁が働いてパージするらしい。
眼鏡が砕けたみたいになる前に、外れるって感じ。
そうなったら、魔力が自然に放出してゼロになれば、再利用できるとの事。
そいで再装着の場合は、やはり寮監先生じゃないと駄目らしい。
登録者の変更はできない。
んで、首輪は先生のところである。
予備をつくる訳にもいかぬ品らしく、再利用で頑張れと校長には言われてる。
アレ以上を強請ると、ろくでもない感じのグレードアップ品になるらしい。
それはそれで見てみたいが、寮監先生への嫌がらせがすぎるので止めておく。
んで、首輪の魔道具の出どころは貴族様らしい。
純血魔法使いの古いお家ね。
因みに、ワイ、魔法族を貴族と良く言っとるが、マグル界の貴族階級とは違うので要注意。
イギリスとヨーロッパの魔法界で、古い名門で純血の魔法族だよっていう氏族の事だ。
マグルのように序列はないけど、高貴な純血だよって認定されてるお家って訳。
現在は28の名門がイギリス魔法界で純血の特別なお家ってなってる。
そうした公的に認められてる純血家以外もあるわけで、そういった全体を、私は魔法界の貴族様っていってる。
まぁ正確には、マグルの血が入ってるか入ってないかの違い。
マグルみたいに、王侯貴族の爵位があるわけじゃない。
地位は別にもってて、純血の魔法族の血って事。ややこし。
んで、一週間たった頃、そろそろ首輪が戻るかなーって朝。
毎朝のふくろう便タイムに事件が起きた。
ハリー君の所に、新品のどえらい箒が届いた。
まぁいつも通りの、マルフォイ君とグリフィンドールトリオの漫才タイムである。
完全なる依怙贔屓なんだけど、まぁ、いつも通りである。
先生方も、まぁけっこう、こういうの放置だし。
依怙贔屓しまくったマクゴナガル先生は大広間にいなかったし、校長先生も不在。
朝ごはんの後だったし、教員のテーブルには殆ど誰もいなかった。
まぁそんなもんだよね。
ただ、事件といってもこれではない。
「ドヴワティーヌ嬢、魔道具の再充填が可能になった、来い」
新品の箒で盛り上がる大広間の片隅、呼びつけられるワイ。
煽り芸をするマルフォイ君、グリフィンドールの親友組となにやら言い争ってる。
「眼鏡をとって、髪をあげろ」
グリフィンドール、すんげぇ楽しそう。
「違和感は?」
ないですよー。
うん、ちょっとふら、つく?
「目を見ろ」
うん、手を。
はいです。
いつも通り、すごい寝不足ですね。
体温ひくっ
朝食とってましたよね。
肉、肉を食え!
「収まらないか?」
大丈夫です。
私の瞳孔、変化してません?
「大丈夫だ。酩酊感は?」
少し、かな。
教師が箒をプレゼントとか、あの依怙贔屓は許されるんですねー。
おっ、鼻で笑いましたね。
「後で違和感が出るようなら知らせろ。面倒くさい事には首をつっこむなよ」
やっぱり面倒なんだなぁ。
「目をもう一度見ろ。」
ぐらつくけど、最初のような事は無い。
「放すぞ。歩いて戻れるか?」
大丈夫、です。
「よし、行け」
先生も、水分と栄養をとってくださいよー。
はぁ、今日の授業の準備しなきゃな〜って、何?
「この空気をどうしたらいいですか、先輩?」ダフネちゃん。
「基本的に、疚しいことは無いのよ。きっと私達の目が曇っているの」監督生先輩。
「違うだろう、どう見ても、違うだろう」通りすがりのハッフルパフ男子。
「目で会話、してるわよね」唸るダフネちゃん。
「ねぇ、どうして、手を握り合うの?」キレるパンジーちゃん。
「やめてー、それ聞いたらオワルー!!」何故か、遠くのグリフィンドール双子。
「疚しいところはないんでしょ。
この空気を払拭しないと。
あっちで言い争ってた馬鹿のテーブルも、向こうの黄色い奴らも青いのも、他のテーブルというか、この全体の空気の濁りを取りたいのよ、バカー!!
アンタね、オカシイのよ、なんで手を握りあって、見つめ合うの?
そうしないと、魔道具つけられないの?
っていうか、何で見つめあってるだけで、会話がなりたってる風なの?」
息、パンジーちゃん大丈夫?
手?
あぁ、魔道具をつけると目がまわるんだ。
視点をどこかに定めていないと、失神する。
「ありがとうーございますー、バーカバーカ!
わかってる。
大丈夫よ、私、大人になったわ。
読み上げたとおりよ!
聞いていたー?
そーいうことよー、ほら、続けて、喧嘩してんでしょ?
ほら、静まり返ってないで、この空気を、空気を払拭するのー!!」
で、事件。
この間抜けな会話の裏で、グリフィンドールの癖毛の女の子とハリー君達が喧嘩になっていた。
すまぬ、空気の読めぬワイと寮監先生のいつものやり取りが、シリアスをぶっ壊していたようだった。