R15は、予防処置と寮監先生の苦行成分でできています。
原作のお約束はシニました。
エロはないけど、グロはあるの方向へダイスを振っています。
学生は勉強が本分だ。
どこの世界線でも同じである。
授業を受けて、宿題をやって、予習をする。
覚える事もいっぱいだし、調べる事もいっぱいだ。
んで、こんな私でも勉強を頑張っている。
発語に問題ありだけど、なんとかお歌&ハミングで乗り越え、時々、エロ箒と戦っている。
まぁそんな具合であるが、ここ最近、事件が起きていない。
それが普通なんだけどね。
ハリー君がクィディッチの練習に時間をとられてるのもあるし、マルフォイ君も宿題をやったり、とりまきの勉強を手伝ったりと忙しい。
食事の時には相変わらず煽り散らしたり口論したりもするけど、目を覆うような険悪さでは無い。
別次元の険悪さがあるからだ。
どうしてそんな事が目に付くのか。
スリザリンは、内部でのいじめも諍いも、家の事が絡まなければ無い。
程々の距離感と仲間意識でまとまっている。
お家の意向ってのが先にあるからね。
マルフォイ君に群がる女の子達も、彼のお家が重要な地位にある事も理由の一つだ。
パンジーちゃんはマルフォイ君自身も好きだろうけどね。
で、あまり語らないけど、そういったお家の力関係もあるから、子供でも遠慮もあれば打算もある。
喧嘩をするのは間違いだし、無用に虐めたり高圧的に接するのも考えものだ。
もちろん、ゲスい性格の子もいるしね。
そこは人間だもん。
でも表立って剛腕を振るっちゃうのは滅多にいない。
これも、いるにはいる、の注意書きはあるよ。
まぁそれどころじゃない現実が大きくあるから目立たない。
お家からの期待もあろうし、そもそも勉強して良い成績を求められている子も多い。
そんな暇ねーんだよ、である。
血縁関係、婚約関係、利害関係。
卒業後の先まで考えてる子もいるしね。
なるべく繋がりあって、どんなに悪縁だと思っても切る事は少ないんだよ。
これがまぁ氏族を背負う教育って奴。
でだ、何が言いたいのか。
スリザリンは窮屈そうだって思うだろうけど、その分、仲間内には寛容なんだ。
その仲間も、寮全体を含んでいる。
けど、マグル出身者は排除されるんだろ?
なんて思われるけど、排除されるのは、無能で利害関係を理解できないアホだ。
純血だろうと、立場も何もかも弁えない、脊髄反射で行動するようなヤツのほうが排除される。
純血主義者でマグル嫌いでもだ。
そしてね、スリザリンと違って、自分たちは優しい。
と、いうスタンスの他の寮の方が、仲間内の争い事や喧嘩、虐めが横行してるように見える。
まぁ私から見るとだよ。
他の寮は自由で楽しそうだけど、もっと雑多な出自の子が混じってるってのもある。
両親ともマグルとかね。
スリザリンにもマグル出身者はいるけど、それはそれなりに考えて、純血貴族の子と仲良くしたりもする。
相手がマグル嫌いでなければね。
実際、純血主義者の家の子もいるから、格差はあるんだよね。
まぁ、それでもスリザリンに来る子でマグルだからと表立ってイジメる事は、無いとはいわないけど少ない。
事業でマグルを雇ってる家もあるしね。
歴史を踏まえて言えば、グリンデルバルド氏を想起する言動は控えるのが普通だ。
マグルはシネ、マグルは家畜論、魔法族による統治万歳、まぁ魔法族を守ろうってのは悪くない。
マグルと比べれば魔法族は少ないからね。
つまり純血主義であれど、マグル誹謗は控えるっていう建前で振る舞う。
そして先輩方の中の、半純血、つまり混血の先輩だったり、マグル出身の先輩が新入生のフォローをするのがスリザリンだったりする。
スリザリンだと虐められるよ!は、間違い。
むしろ他の寮の方が拗れると酷い。
そして、仲良し三人組のハリー君達は、今、喧嘩をしていた。
癖毛の女の子とね。
ハリー君とウィーズリー弟君は、男の子で一人はクィディッチの選手だ。
ましてハリー君は注目される男の子。
そこにいた女の子は、浮いていた。
両親がマグルで、頭が良くて。
男の子二人と友達だったけど、じゃぁ女の子の付き合いは?
彼女は、頑張ってる。
けど、頑張ってるってのは、強がりでもある。
言動は攻撃的で、受けてはキャッチできない。
そこにきて、ハリー君の相方のウィーズリー弟と口論になった。
うん、彼女はここ最近、教室でも浮いてる。
食事の時もだ。
誰かフォローしないの?
している様子が無いんだよ。
彼女が大丈夫とばかりに強気の発言を繰り返してるのも一因。
同室の子とも、なんとなく距離があるし、彼女と授業時、組む子が中々決まらない。
そしてスリザリンとの口論してる時に発揮される無神経な発言が、ウィーズリー弟君から、連発。
時と場合による、彼の何とも間の悪いオモロ発言が、彼女にぶっ刺さるのが、関係のない私でもわかる。
食事時だと、双子の兄達が、心配そうにしていたりする。
それでも彼女は頑固に、まぁ猫ちゃんなら、やんのかステップを踏む。
野次馬的には、頑張れ、だけど。
そろそろ嘘でもいいから、相手に向かってストレートに泣いてやればいいのに。
被害者ですーって、男女平等な立場を粉々にして、男子がー酷いんですーって。
そうすりゃ、双子の兄ちゃんも弟を張り飛ばせるんだけどね。
でもきっと彼女は、マグル的な常識。
つまり女だからーとか、泣いたりして同情誘っちゃうとかいう、姑息な事はしない。
そーいうの嫌ですって感じ。
ワイなら、最初から姑息に立ち回るんじゃがのぅ。
まぁそういう姑息な女子だと、ハリー君やウィーズリー弟君と、友達にはなれんのだろう。
そう、なんだかんだいって、友達同士だから辛いんだよね。
頑張れ、仲直りなんて、結構簡単だよ。
で、問題はだ。
そこで教師も問題なしと判断する事なんだよね。
自立心?とか、勇気とか、良くわかんねー理想をぶち込んでくるからね。
スリザリンの寮監先生だったら面倒くさいので、監督生じゃなくて純血トップの血筋に、どーにかしろよって言う。
さすが、スリザリン。
まぁ寮監先生が動く前に、スリザリンだったら先輩がストップをかける。
取り持つし、言動への注意もする。
そりゃ礼儀作法も注意してくれるし、勉強のフォローもしてくれるんだよ!凄いでしょ。
そしてグリフィンドール。
愛と勇気と、なんだかわからねー考えの結果。
気がついたら、食事の時に彼女がいない。
今日は甘ったるいご馳走いっぱいなのになー、まぁ、私もバックレたい。
かぼちゃのジュースに甘味だらけの狂気のメニュー。
誰が考えてんだよ。
妖精さんか?
今度、妖精さんがいる厨房を探し出して、駄目だししてやろうかな。
ワイのオヤツも、甘み抑えめにしろよ、肥満と成人病にする気なの?
まぁ肥満どころか痩せすぎ判定だけどな。
せめて甘くないお菓子プリーズ!
「何を見ている?」
ここ最近、この人も忙しそうだった。
子供でも人間関係って拗れると面倒だなーって。
暇だったので、グリフィンドールのゴシップを追ってましたー。
それに寮監先生はシカトして、首輪の調整に戻った。
大広間はハロウィン仕様である。
邪魔にならんように端っこで、首輪への複雑な署名というか寮監先生の魔力を馴染ませていた。
下手に教授室とかでやるほうが、如何わしいと注意が入った。ひでぇ。
先生、ご飯食べてる?
なんか、いつにもまして疲れてるよ?
「この匂いで食欲がわくか?」
同意するしか無い。
まぁ、私も子供であるが、味覚は甘党ではない。
そろそろ妖精さんのお菓子の差し入れは止めてほしい。
まぁ残すと取り巻き二人組が喜んで引き取ってくれるんだが。
マルフォイ君のお説教は効いていない。
そしてワイの餌付けは着々と進み、彼らのハリー君弄りの情報は筒抜けだ!
「何をやっているんだ」
吾輩氏の署名魔力を馴染ませる間、ぼへーっと大広間を眺める。
実は、吾輩氏、夜回りのルートが複数、複雑で広範囲になっている。
なんで知ってるかって?
寝不足ですねーの会話から、夜回り増えてるねー。
で、悪ガキどもからの情報提供で補足だ。
どうやら、何かを警戒している模様。
そして削れる睡眠時間。
相変わらずのブラックだね。
「目を見ろ」
ほい、手を。
覗き込む。
眠そうだ。
大丈夫?
「徹夜ではない」
うーん、せめて果物、水分ね。
後は...
「目の振れは無い。吐き気は?」
ドーピングも程々に。
『答えはわかってる。
でも、確信はない。
嫌な予感。
嫌な事
でも、本当はわかっている。
私はとても我儘だ。
これは白い魔女の忠告だ。
叔母の時も、
命の選択の時間だ。
今日ではない。
だが、この選択から始まる。
お前の匂いのある物を渡しておけ。
身代わりだ。
叔母にも渡したのを覚えているか?』
「意識が飛んだな、どうした?」
この首輪、マジで、何か仕込まれてる?
「呪いは無い。
調べたがルーンに仕込みもない。
道具として、分解はしていないが。
何をしている?」
鼓動が痛い。
冷や汗。
指が震える。
手を解き、髪を結んでいたリボン、薄いローズ色のを解く。
「何を?」
広がる髪を無視して、細かく震える手で彼の手首を掴んだ。
ぐるぐると巻き付け、左手に結ぶ。
「どういうつもりだ?」
身代わり。
これで、暫くは大丈夫。
「意味がわからん」
ほどこうとする手を押さえる。
あの時と同じ感覚が来た。
マズイモノが、来る。
マーガレットの時と、同じだ。
まじないが必要だ。
気休めでいい。
身代わりの品だ。
白い魔女の目眩ましだ。
「白い魔女、どんな意味だ?」
わからない、彼女がそう言った。
瞳を覗き込む。
お互いの底を探る。
私はマジだ。
根拠ゼロなのに。
マズイ何かが、いつか来る。
今日ではないが、遠くもない。
背中に冷や汗が流れる。
これは、マジだ。
警戒警報って奴だよ、先生。
寮監先生は、解こうとする手を止めた。
ほどいてもいいけど、ポケットに入れといてね。
『今日は殉教者を慰撫する日だ。』
気持ちわりぃ。
なんだこれ、私のはずなのに。
多分、これ、マジだ。
「クソがっ、呪い破りに確認したはずなんだが」
着けたばかりの、それにかかる指を止める。
必要なんでしょ、首輪。
これも、そうじゃない?
校長の背を見る。
私達は、壁沿いの背後にいる。
でも、きっと校長は、この作用を知っている。
寮監先生、これ、私の中にいるナニカを留める道具。
遊ばせて留めるって言っていたよね。
これ、遊ばせて、使うって事じゃね?
唸る寮監先生。
それ、持っておいてね。
叔母さんを飛ばしたように、ヤバい時に、どうにかしてくれるよ。
多分、知らんけど...
「何に気がついた?」
うーん、そっちは何を隠してるの?
「お前には関係の無い事だ」
うん、じゃぁ言わない。
「戻れるか?」
信頼感ゼロの人間関係あざーっす。
まぁこちらも話さないという事を受け入れてくれただけ、マシだろう。
そいで調整が終わり、食事となった。
耳の奥がジリジリする。
同じパターンを認知し、彼女がダイスを振れという。
警戒警報だ。
あのアパルトマンで感じた、怖い事を何処かで認めた?
何処で?
このホグワーツで同質の事はあっただろうか?
ニオイがした。
だが、初めてではない。
では、何がマズイんだ?
死骸のニオイ、死のニオイ、恐怖の残滓。
幾度か、似たニオイを嗅いだ。
けれど、それは私には関係の無い物語だ。
と、私は処理してきた。
私の物語では無いって、私には関わりが無いと。
だが、何かが違ってしまった。
食事を前にして、拳で額を叩く。
何か、何を、私にさせたいのか?
気持ち悪い、気持ち悪い。
思い出せない。
忘れている。
見落としだ。
思い出さないと。
「葵、大丈夫、医務室へ行く?」
囲む少女たち。
なるほど。
私の物語ではない。
だが、私という異物を受け入れてくれた人達の物語である。
このような怪物を、人として扱ってくれる人達の、物語、現実だ。
あぁ舐めた事を考えてたら駄目だ。
ここはおとぎ話の世界ではない。
マーガレットの時を忘れたのか?
嫌な物、嫌な大人、嫌なもの全て、
壊して、踏み潰して、取り除くのが一番だ。
大丈夫、甘い匂いに酔った。
乱れていた気持ちを纏める。
そうだ。
嫌なこと、ろくでもない事があるなら、先に潰せば良い。
そのための、私。
化物の私だ。
「トロールが、地下室に...お知らせしなくては、と」
騒然となる広間、これではない。
トロール?
トロールか。
違う。
死人の匂いだ。
墓場の、土の下から這い出してきた輩の、匂い。
ご立派な賢者の物語ではない。
怪物どものお話だ。
校長は、寮監先生に目配せをした。
避難の列とは離れ、その背が地下とは逆の方向へと消えるのを見送る。
私は考える。
誰かの物語、その流れが壊れるのは、駄目なこと?
それでこの世界は終わるの?
私は、今は薄く隠れる匂いに目を向けた。
すべてが希薄で、授業でも追えず、私はどうでもいいと考えていた。
さぁ賽子を握れ。
校長先生に訴える背中。
時々、匂う。
それは、見逃してもいいモノか?
我が身に関わりがないか?
子らと共にいてよいものか?
「ちょっとまって、ハーマイオニーだ!」
ハリー少年の声が、やけに耳朶に響いた。
「トロールの事、知らないよ」
「わかった、だけど気が付かれないようにしなきゃ」
二人は流れから外れていく。
『どっちに向かう?』
私、私は校長先生の姿を見る。
「葵、早く、寮に戻るわよって、やだ、外れてる、さっき先生に付けてもらったばかりの筈じゃ」
ダイスロールの時間だ。
***
目の前のテーブルには、食器、燭台、水で満たされたピッチャーと片付け前の物が残っている。
順次、妖精さんが緊急事態で片付けているんだろう、消えていく。
ヒャッハー!
ダイスロールの出目は、蛮族プレイだ!
ワイ、女の子、そいでシリアスが嫌い、うほっ!
果物籠が目に入った。
寮監先生に、果物をあげたいなり。
ビタミンが圧倒的にたりていないなり。
彼はカルシウムも足りていないが、手っ取り早い血糖値も上げられる果物がががっ!
うふっ、可愛らしくワイ、小首を傾げる。
そいでリンゴとマーコットちゃんを両手に持った。
「何してるの?」
うん、これは良きフルーツである。
そして前世の私、子供の頃はリトルリーグに所属していたのである。
おんにゃのこだったけどにゃ。
中学はバスケット。
高校は女子サッカー。
そいで大学は、まーどうでもいい。
そう、このマーコットは実によい握り心地。
ふりかぶって〜
びゅん、バシュ!
「えっ?」
二投目、今度はアンダースローで、おうっイケてるぜぃ!
ごすっ
「ぎゃー、何をするのー!!」
ターバンが吹き飛んだ。
それでも奴は頭部を隠しやがった。
慄く校長。
何かを訴えるように、こちらに手を伸ばすが、ワイ、輝く笑顔で果物籠から球体の物を両手に握る。
蛮族プレイじゃ、ヒャッハー!
ワイな、理想とか、正義とか、どーでもええねん。
現実を犠牲にする理想論者は、教育者だろうと敵だ!
子供の敵なんだよー!
キモい生き物は許さねぇんだよっ!
「やめなさーい!!」
引き止める手を振り払う。
そして、ついでに解禁。
『いやぁああああああぁーはははははぁ!ギャハっはははぁあああー!!』
はたから見れば、発狂状態のワイ。
『キャハハ、アハハ、キャハハハ』
震える笑いに魔力を乗せる。
久方ぶりの言葉をご披露だ。
『ちかーよっちゃ、だめーぇ』
力いっぱい叫んで、スッキリ!
取り押さえようとした誰かが膝をつく。
他にも気分が悪くなったのか、耐えられずに倒れる者もいた。
ごめんよー、もうちょっと我慢してねー!
避難行動してた子供たちも慌てて霧散した。
笑いではなく、ハミングに切り替える。
歌にも乗せられるし、今回は全力だ。
ふふっららら、ふふっふふららら〜
校長を見たまま笑う。
ピッチャーを手に取る。
彼は杖を取り出した。
ピッチャーを持つワイ。
杖を構える校長。
逃げようとするターバン野郎。
「止めなさい」
『なぜ?』
「声を出してはならん」
『なぜ?』
「こちらこそ、問おう。どうしてこのような事を?」
『うそつき』
思うより、相手は慄き、杖先をそらした。
私は、男相手には負けないわ。
この男の、後悔と苦しみを抉ってやればいいの。
ほら、愚かな自分を思いださせてやればいいの。
私にはわかるもの、女を死なせた男のニオイガスルワ。
ヒトデナシのニオイよ。
『うそつき』
首を傾げて目を見てご覧なさい。
私には、勝てないわ。
暴力じゃないもの。
ふふっ
私は、ピッチャーを持ち、近寄った。
皆、私から離れていく。
校長は、杖をおろした。
『うそつき、うそつきは、きーらーいー』
主導権を奪え、さぁ、私の目を見ろ。
薄い目の色が私を見返す。
ここまできて校長は、やっと私の意図を理解した。
私の与えるモノに屈服しろ。
足元に這う男の頭部に、ピッチャーの中身をぶちまける。
ただの、水だよ。
ほら、濡れるだけさ。
私を、見るんだ。
ほら、甘いお菓子をあげる。
「...あぁ、逃げようと、した、んです」
次の瞬間、男は白目を剥いて倒れた。
クィレルの頭部から、ズルリとソレは生え伸びた。
「なんと、これは」
ハリー・ポッターって、どんな話だっけ?
SAN値チェック必要な話?
***
大広間、立入禁止。
先生方、トロール対処。
そいでワイの傍らには鬼の形相の寮監先生。
ワイの腕を握っておられる。
つまりそうしてないと、皆、不安らしい。
そりゃそうだ。
いきなり発狂状態で叫んで、校長先生に向かっていったあげく、教師に水をぶちまけた訳だしね。
まぁ並べると退学案件である。
おまけに、校長は椅子に座って、手で顔を覆ったままだ。
色々熟考してるのもあるんだけどね。
どうやら、うそつき発言の攻撃が、予想以上に決まったらしい。
何故か怒られるかわりに、ごめんねと謝られた。
で、許さん!と答えておいた。
そしたら、校長が無言になって、しおしおになった訳なんだけど。
でも何だか、嬉しそうだったので、放置。
許さないほうが嬉しいとか、お年寄りはわからない。
そしたら寮監先生が走ってきて、拳骨。
今に至る。
寮監先生は周囲から状況を聞いて唸っている。
ワイは、のりのりでスイング。
ChristopherのBadを歌い続けている。
君は悪い子だろ〜って、自虐で歌う。
こういう曲調って、魔法界には無いらしい。
懐かしぃ、けど、ここでは懐かしくない歌である。
誰も止めない。
マクゴナガル先生がいたら、破廉恥ですって怒られる曲だよねー。
でもね、この異物の成長を止める為に歌ってるからね。
教師の後頭部に生えた黒いトゲトゲした木に、苦悶の表情を浮かべた人面疽がある。
マダム・ポンフリー、クィレル氏本体は衰弱状態とのお話。
そして闇祓い待ち。
大いなる物語と、校長の計画、終了のお知らせである。
校長さ〜何か考えがあるのかと思って、見てたけどさ〜
こう、何?色々あるんだろーけどさー
子供を危険に晒すとかさーありえないと思うのー
もーねーぷんぷんなのー
今後、ワイの周りで不審物あったら、問答無用で攻撃しゅるの〜!!
男相手なら、吸い尽くせると確信したなりよ〜!!
ターバン野郎、ちょっと吸ってやったら、正体あらわしてやんの〜ざまぁ!!
子供でいっぱいの学校に、不審者忍ばせんなよなー教育者よぅー!!
ご立派すぎて反吐がでらぁ!!
「...何と言っておる?」
「大方が罵倒ですな」
んで、この有り様に、トロールの後始末をしていた教師たちが合流。
「何事があったのですか、誰か説明を、アルバス、何が?」
ワイ、マクゴナガル先生の問いかけに歌を止める。
瞬間、メキメキと木が成長。
「歌え」
ハミングに切り替える。
「ドヴワティーヌが、クィレルを果物で攻撃したそうです。
後頭部にいきなり果物を投げつけ、その後、発語、喋り続け、攻撃を加えました」
「攻撃、どういう事かね?」
フリットウィック先生の問いに、寮監先生が淡々と返した。
「今までお知らせしていませんが、元々、彼女は言葉に血の力が乗る家系。
事故により発語のコントロールが難しくなっており、歌だけは正常に口にできるため、指導をしてまいりました。
多分、貴方の授業では、歌とハミングを応用しているでしょう。
そして彼女の本来の発語の力は、相手の自由を奪う形となります。
今も簡単な単語を喋らせれば、力ある囁きとなるでしょう。
魔力そのものが相手の抗魔力を上回れば、自由を奪えるという強力な能力です。
この為、魔道具にて抑制と管理をしていましたが、今回は、それを自ら外し、クィレルに向けて攻撃をした次第です。」
「それとこの状況は、どういう繋がりなのですか?」
「校長」
呼ばれて顔を覆っていた手を下ろす校長。
お疲れ様ー
許してねーから~
そんな校長は私を見ると、溜め息をつき、苦笑いした。
「クィレル教授の現状に気がついたのじゃろう。
我々が何も手をくださないと感じ、危険があると判断したうえで、皆の前で攻撃したんじゃ。
彼の現状が如何程に、生徒たちに危険かを知らしめる為にの。
そもそも守りを固めたところで、異物を入れる事自体間違いであるとな。」
「彼の、この状態は?」
それに校長は私を見つめたまま、続けた。
「儂の予想とは違ったが、セブルス、そちらは?」
「侵入の痕跡があります。ソレ、以外の何者かが挑んだ事は確かです」
「少し、考えを改めねばな。」
「何かわかっているのですね?」
「わからぬ、と言いたいところじゃが。ほれ、その異物の根本の顔は見覚えがあるじゃろう?」
うん?
人面疽に知り合いはいないなぁ?
まぁ私は記憶が無いけどね。んで、誰なんだろう、有名人?
「ヴォルデモートじゃよ」
皆、言葉を失い、それを凝視する。
苦悶の表情を浮かべる顔を。
「生きて」
「霊体と思われる。このような姿になっておるとは」
「この木のような物は」
「不明じゃ。
ヴォルデモートの、この状態も何とも言えん。
闇祓いを呼んだ。
この木のようなモノに封印を施さねばならぬ。
何を糧に成長をするか。
トロールの件も含めて、今夜は少し忙しくなろう。
子供たちはそれぞれ、自寮からでぬようにと。
明るくなるまでは城内を巡回し、不審な事柄が無いかも調べる必要があろう。
それから」
私を指し示し、集まった者達に微笑んだ。
「闇祓いがくるまでの間、彼女には歌ってもらうことになろう。
成長を阻害するであろう歌声じゃ。
こんな形で、声を聞くことになろうとはな。」
リクエストを聞くよ。
虐めたからね。
「何と言っておる?」
「リクエストを聞くと。
水分をとらせても?」
「あぁ儂の方でも抑える。何を歌ってもらおうかのぅ」
「その、スネイプ先生と会話をしているようですが」
との、多分、シニストラ先生の問いが聞こえた。
そういえば、隠してはいなかったな。
「あぁ、魔力の質が近い者とは話せるのじゃ」
呼吸をするように嘘をつく校長に、私は溜め息をついた。
「目を」
目を合わせ、漏れ出すモノが無いかを確認される。
その間、水を渡されるワイ。
皆、校長を取り囲んでの話し合いで、こちらを見てはいない。
「どうして、こんな事を」
うそつき。
うそつきに従って利用されて、ゴミ箱にぽい。
「信用ならないと?」
予定をあわせるなら、言ってもらわないとね。
それに、首輪をしたのは校長。
私がそうしたのは、遊びだした私。
そして、校長は少し、間違った。
アレが何かわからないけど、想定より不味い。
私の中の私が言う。
危険警戒。
校長も気がついて、最後には止めなかった。
校長も、今は、困惑している。
「どうやって首輪を外した?」
私の中の私は、男には負けない。
首輪をして?
「無意味だろう」
そーでもないよ。
ほら、吾輩氏、いつもの私になるからさ。
ほら、首輪をして、はやく、我慢できなくて、また、悪戯しちゃうぞ。
「その言い方を、私以外ではするなよ。
すぐには無理だ。
無理やり外したろう、それに一度調べねばつけさせられぬ。
魔眼だけ注意すればよかろう。
微量だが、力が漏れている。
目を閉じるか、床を見ていろ」
皆に嫌われちゃったかなぁ。
怖がらせちゃった。
「気にするのか?」
そりゃぁー気にするよ。
可愛い女の子に怖いとか言われると凹む。
それに勉強の時に避けられたら、さみちぃ。
「大丈夫だろう。そこの化物の正体を暴いただけだ」
攻撃しちゃったし。
誰か倒れてたよね。
「不用意に近寄った男が、悶絶しただけだ。
女生徒はすぐに下がった。」
見てたの?
「報告を受けた」
そっかー、トラウマ与えちゃったなぁ。
「まぁ正常に機能するか、マダム・ポンフリーに相談させぬと問題だな、男の場合。このまま歌に入っても大丈夫か?」
寮監先生、マネジャーだね。
うん、大丈夫。
何かリクエストがあれば、校長先生の好きなのを歌うよ。
「校長、用意ができました。
何か歌ってほしいものがあるか、聞いています」
それに話し合う内に顔色を戻した校長が、ほんのりと笑った。
「あれじゃ、クリスティーヌの歌じゃ。女性パートだけになるだろうが、あれが聞きたいのじゃ」
よかろう、歌って進ぜよう。
なんちゃって、では歌いますぞ。
その他には?
「その他には?と」
「そうじゃのぅ愛の歌なら何でもじゃ」
リクエスト頂きました。
で、歌った。
闇祓いの人達が来るまで、校長と一緒に異形の木の前で単独リサイタルをした。
夢の中に来ちゃう、黒衣の不審者の歌から始まり、寮監先生の好きなラインナップのバラードを歌った。
後片付けと見張りをしていた先生たちも、徐々に平静に戻ってきたのか、時々、拍手をくれた。
私は歌いながら、考えていた。
これは誰の物語なのだろう?
それともやはり、物語なんて言う筋書きは無いのだろうかと。
そして、この目の前の黒い木は、どうみても悪夢のような造形である。
ファンタジーにホラーとかグロが紛れたようである。
黒い異形の木。
木って表現したけど、動物みたいにも見えた。