R15と残酷描写は、予防処置と寮監先生の苦行でできています。
炎上するのはローブじゃなかったりする。
人面疽と謎生物、そしてクィレル先生は回収されていった。
早くも今年度の闇の魔法に対する防衛術の先生が消えた。
大変だ、卒業試験に挑む学年の死活問題を生んでしまった。
まぁ脳に瞳ができちゃうような、闇生物が繁殖するよりいいよね。
と、適当な言い訳を自分に言い聞かせている。
まぁなんだ...
蛮族スタイルの一年?女子による果物攻撃&生命力ちゅうちゅうで討伐。
自分でも、ちょっと嫌だなぁ。
寮監先生の忠告を無視した形でもある。
ワイこそが討伐対象の謎生物なのにね。
...ぶーめらん。
茶化したけど、クィレル先生は一応生存。
しかし、頭部にいらっしゃった謎寄生生物。
遊星からの物体X系と闇の帝王?らしき人面疽の謎はそのままだった。
まぁワイに情報が来るわけもなし。
来ても困る。
そいで、新しき先生が赴任するまで、他の先生が持ち回りで授業をするそうだ。
んで、吾輩氏、我にお任せをと名乗り出たが却下。
皆で仲良く受け持とうねーって言われたらしい。
それ以来、何となく不機嫌。
呪いがかかってるとか、不穏な防衛術の授業だが、実は寮監先生的には受け持ちたいらしい。
トップクラスの実力がある魔法薬学の教授なのに?
まぁ、人間、いろいろあるんだねー。
もうね面倒くさい事考えてるの丸わかり!!
とか、余計な事を考えながら、職員室の前で立ち止まる。
思考はまったくアホな事だけなのに、その姿をしょんもりしてると勘違いされたようで。
「元々、防衛術の先生って一年持たないから、貴女がションボリすることは無いわよ。
あぁそれから、教授のご迷惑にならないようにするのよ」
ありがとうマミー、送ってくれて。
と、ダフネちゃんから慰められた。
そう、スリザリン的に、ワイのご乱心事件は、好意的に受け取られていた。
許容範囲、お前、元からオカシイしなっ!である。
クィレル先生に何かエライものが取り憑いちゃってて、それを感じて発狂した事に、ふんわり適当に収まっている。
うん確かに、だいたいあってる...ところがツライ。
発狂=蛮族プレイ=いつもどおりじゃね?
アタオカという評価は変わらずなのであった。
そいでワイの声、お歌が歌える事、ちょっと怪我の余波で、言葉がおかしくなってるってのは元々伝わってたから、声による魔力放出が攻撃みたいになっちゃったって。
つまりお咎めなしであった。
減点?
減点するなら、怪しんだまま採用した校長のヒゲを毟る!って、主張した。
色々計画してたのーってんなら、情報よこせよゴラァ!
魔法界の英雄のヒゲをむしったらぁーって。
どうせ、頭の中身、読んでるんでしょ?
それか、ワイ、退学でいいよ。
退学して、アメリカのショービジネスで歌って暮らすんだー!!
本格的にボイスレッスン、ハリウッドで受ける。
みゅうーじかるでる。
わい、あめりかんどりぃむ、するー!!
そいで寮監先生スカウトしてマネジャーにするぅ。
で、この思念。
ぶっ壊れた首輪が遠隔で吾輩氏の脳にダイレクトアタック。
これ翌日の大広間での話。
校長のお隣でシュンってしながら、反省のお座り。
その体で頭の中で罵ってたら、ダッシュで走り込んできた寮監先生に無言で殴られた。
ゴインって音するぐらい、本気の拳骨である。
広間にいるギャラリーから、悲鳴と他の先生から非難の声があがった。
まぁ当然の反応。
馬鹿が加速して、更に馬鹿になる事確実だ!
ぼーりょくーはんたーい!
「マグル界の、…何だ?
誘拐されて殺されたいのか?
…この、誰も貴様を怒らないと思うなよ!
その厄介な体質で寝言を言うんじゃない!
…
…
…言ってる側から校長に絡むな…話を聞かんかー!!」
この怒声とヘラッと笑っているワイを見て、皆、あーってなった。
どっちが悪いか一目瞭然。
そいで、寮監先生とのパスが首輪の不具合で、遠距離でも届いちゃったみたいだねー。って校長が朗らかさんに呟いたもんだから。
ワイ、悪くないもーん!
うそつきー!
って言い返したら、キレた。
「この大馬鹿者、反省せんかーっ!!
校長も、このお調子者から減点してよろしいですぞー!」
そいでこの後、ワイが嘘泣きして謝るまで許してもらえなかった。
ウソ泣きだってわかってたみたいだけどね。
ストレスマックスで振り切れちゃったらしくて、前代未聞のスリザリンに減点要求。
拳骨を食らう姿は、多くの生徒に目撃されているので、ワイの発狂に対する風当たりは中和された。
「まぁまぁ、加点をせぬ分、減点もせぬよ。」
んで、時々、お歌を歌えば許してくれるって。
私は許さんがなっ!
それにグリフィンドール三人の、トロール討伐事件もあったしね。
ワイの発狂も、避難の最後の頃だし、どちらかといえば、グリフィンドールの三人の大冒険に話題が流れた。
いつもの印象操作である。
大人的には、クィレル氏の人面疽、ヴォルデモートじゃね?の方が有耶無耶にしたい話だ。
ちなみに先生方が集まった時は、生徒は我一匹なりよ。
だから、頭部の人面疽云々はもれていない。
頭部の化物は、広まっちゃったけどね。
そいでハリー君達は仲直りができた。
三人は友達にもどり、癖毛の彼女のまわりにも女の子の友達も戻ってきているようだった。
ワイ?
介護ヘルパーが複数つくようになった。
寮監先生激怒している姿から、放逐しちゃだめだよっていう暗黙の何かが流れたようだ。
まぁええや、カワエェ子がいると心がルンルンなのよ。
その思考は中年オヤジの如くですな、ドゥフフフ!
「その異様な思考を垂れ流すのをヤメロ」
どうせ、寝不足で聞いてないでしょ~。
首輪への寮監先生の署名、魔道具調整。
ワイの状態確認も兼ねている。
そいで発狂後、この充填作業は職員室となった。
事故っても先生方が誰かいれば、取り押さえられるだろうって。
ワイ、魔物確定な。
そんな職員室に現在いるのが、バーベッジ先生だ。
マグル学の先生で、寮監先生より年上かな。
そいでいつも通りのやり取りをしているこっちを、不思議そうに眺めている。
たぶん、会話をしているのは、この間、明らかになっているが、どうみても、喋っているのは寮監先生だけなので、見てるとオモロイのだろう。
何かリクエストあれば、歌いますよ〜。
「どうした急に」
多分、マグル学の先生だから、マグルの歌に興味があるんですよ。
ほら、すんごい視線。
微笑み返すと、先生が小さく手を振ってきた。
かわえぇね、先生。
「チャリティー、リクエストはあるかと言っている」
振り返りもせずに、寮監先生が声をかけると、
「あら、歌ってくれるの?じゃぁ知ってるかしら、貴方が生まれる前の頃の歌よ。
I've never been to me アメリカの歌ね」
わぁ、ジャパンの昔?の結婚披露宴の歌だー。
たぶん、Charlene バージョンなら歌えるかな。
んで、フルで歌ってみた。
この歌詞ってさ、案外、比喩が多いんだ。
メロディラインはロマンチックなんだけど、内容は、幸せって何?っていう感じ。
そもそも時代背景やアメリカのヒットだって知らないと、歌詞の意味がね。
つまり、これをリクエストしてくれたって事は、この世界にはマリリン・モンローはいたのね。
「モンローとは?」
アメリカの女優。
美人でセクシーで、皆に愛されてたんだけど、彼女の欲しい愛とか幸せが実生活で手に入らずに、消えちゃった。
事件か事故か自殺か、私には分からない。
公式見解は、どれだったかなー。
で、実は、この間、むりくり首輪をパージした後ろ部分、あれをなおしてもらっている。
魔力伝導する文字が欠けてしまったらしい。
現在、その文字を魔導銀?という錬金素材で、吾輩氏の魔力を通しながら修復している。
欠けちゃったところを描き足しているのだ。
ジャパンで言う金継ぎみたいなのだよ。
そしてだ。
これがね、バーベッジ先生がいらっしゃる理由でもある。
描いた補修部分にワイの魔力を通しつつ、作業せにゃ詰まるらしい。
描くと同時に通し続ける。
描くのが先生の魔力、通すのがワイの魔力。
血管つまらんようにしながら、血管つくってるみたいな感じかな。
んで、本来は専用の大掛かりな魔道具修復器具が必要になるんだけど、それ、すでに本格錬金装置。
そんなの用意できないので、手っ取り早く抱っことなった。
接触してワイの魔力の変化をみつつ、魔道具装着して動かしながらの作用だ。
実に面倒くさくて真面目な作業なんじゃが...。
つまり、ワイ、寮監先生のお膝にイン。
寮監先生は背後で、道具を面倒そうに使ってちっちゃい刻み文字を修復中。
絵面が問題だった。
キャバクラー!!
んで、ジャパンのマグルの夜のお仕事的概念を伝えると。
「減点したい...このジレンマを誰かにわかってほしい時がくるとは」
声に出てるよー。
教授室で当初、道具もあるしやろうかなって話だったけど、お膝に長時間座っての作業になるんじゃねっ?って校長先生がはたと気づいた。
でも校長的には、大丈夫っしょーって思ったらしいのだけれど、その前に、不具合を見ましょうと、解散前、あの晩だけど、お膝に素直に乗る図を見て、マクゴナガル先生が、今度は発狂したようになった。
アレはマジで怖かった。
目がね、瞳孔開いてたよ。
「それはこっちのセリフだ」
妥協案。
教職員が集まる部屋で、第三者同席で作業しましょう。
お膝に乗る時は、ロングスカートに履き替えるか、キュロットにしませう。
それでも破廉恥、どうしたらーって先生が鳩尾押さえながら言ってたけどね。
んで、梟通販が煌めいたね。
そろそろ気温も下がってきたから、冬物のロング系の衣服は調達済みである。
なのに、下着とタイツのラインナップだけ、エロになるんだよ。
魔法界、中世下着かエロ下着しかねーのかよ!!
「やめろ、接触中は具体的な絵が伝わる」
セクハラだった。
さすがに、少女の身で成人男性へのセクハラは終わっている。
反省だ。
と、脳内会話をしているが、次のリクエストはカーペンターズメドレーに入っていた。
バーベッジ先生は、70年代アメリカンヒットがお好みっぽい。
と、先生が作業の手を止めた。
「ポッター、何の用だ?」
見れば少し扉が開いており、ハリー少年がいた。
ワイも黙る。
「本を、返してもらえたらと思って」
寮監先生、ガラス玉のような目で少年を見た。
この間、ワイは黙って動かず、ただただ、奇妙な空気を感じていた。
ハリー君は、何かを見ている。
吾輩氏の感情は、どれがベストであるのか考えているようだった。
怒りを見せるには、きっかけが見当たらない。
フックをかける場所がないといった感じか。
エキセントリックで感情的に振る舞うきっかけが見つからないんだろう。
ワイのせいやな。
そしてハリー君の視線は、吾輩氏の左手に向いていた。
彼の袖口には、私の渡したリボンが包帯のように巻かれている。
「戻れ、ポッター」
彼は何かを言いかけたが、結局は何も言わずに戻っていった。
ちなみに私がいることで、シリアスな場面が台無しになった。
理由は考えるまでもない。
女の子を膝に抱っこしてる吾輩氏の絵面の惨状を。
それを敢えて指摘しない空気の読める少年。
バーベッジ先生は、葛藤しているはずだ。
あのー笑かしに来てんの?とか、ツッコんでいいのん!とか。
お笑いにするには鋭いツッコミポイント、今ここですぞっ!炸裂しないと!
ねっ、寮監先生。
「そんな訳あるか」
まーねー、マジな話、本って?
「図書館の本だ。外への持ち出しは禁止だ。
ホグワーツの図書は、様々な制限の魔法がかかっている。
正規の手続きの後に借り出しても、扱いを間違えると、重い罰がある。
奴は、校外、校舎外に持ち出していた。」
減点はした?
「あぁ」
減点はしたけど、外に持ち出した事によるペナルティの方が重いんだろうなぁ。
そこで説明したり、こんな所に来るくらいなら宿題していなさい。とか言わないのが吾輩氏のチャームポイントである。
確実に、ハリー君は、吾輩氏が意地悪したと思っただろう。
もう、何と言うか、笑うしか無い。
どんな本?
「明日の」
あぁ、クィディッチの本かぁ。
「興味がないのか?箒の授業では問題ないと」
ホグワーツの備品の箒は呪われていると思うの。
「定期的にメンテナンスに出しているが?」
多分、妙な癖が付いてるし、女子的にあれはねーな。
「聞かんでおこう。それよりも...」
で、寮監先生は何かを言いかけて、私の顔を見ると口を閉じた。
さっきのハリー君と同じだ。
全校生徒観に行くんですか?
寒そう。
「一人にならなければ、見に行かずともよい」
つまり、応援に行くしか無い。
***
競技場はお城の芝生を下った先にある。
競技場は巨大で、座席が高くとられていた。
まぁ空中のスポーツだものね。
ピッチの両端に先端にリングがある三本の柱がある。
未だにルールが良くわからないけど、まぁ見てる分には解説も入るし勝敗もわかるだろう。
スリザリンとグリフィンドールの対決で、日頃からバチバチだから、盛り上がっている。
盛り上がると言うか、興奮してる。
私としては、一人になるんじゃないよっていう指示に従っているだけで、クィディッチに一喜一憂する感覚がない。
魔法界では、このクィディッチは、一大イベントだし、寮杯得点が入るチャンスだ。
日頃の小競り合いの集大成って感じかな。
だもんで、何となく、私は一歩引いている。
このスポーツ自体に興味がないのもあるけど、肩入れする事を躊躇っているからだ。
八方美人も良くないけどね。
どこが勝利しても良いし、自分の寮が一番じゃなくても、何も思わない。
屈託なく楽しむには、私は子供の時間を失ってしまっている。
事件がなかったら、叔母さんも家にいて。
ここに入学していたら、楽しめたのか。
そんな感傷もあったけど、こんな地雷原みたいな場所で子供のままでいるなんて、怖くて無理だ。
そして子供だったら、嘘を本当と信じていたら。
私はスリザリンにもいなくて、ホグワーツにもいなかっただろう。
もっと怖くて絶望的で、こんな優しい風の吹く場所にはいなかっただろう。
ただ、この勝敗に意味や意義を見出している人達は、魔法界では多数派だ。
だから、下手な事は言えない。
まぁ喋れなくてよかった。
適当に笑いながら、皆と一緒にスリザリン生の間に紛れる。
で、予想通りって言えば、予想通りだけど、事件が起きた。
何度も言うけど、学校行事、事件起きすぎ問題。
ジャパンの漫画じゃないんだよ。
毎日、事件が起きて名探偵が出しゃばる狂気の世界とか、いらんのよ。
制御不能になる箒。
ざわつく客席。
襲いかかる競技用具。
それでも戦う選手&ハリー君。
見上げるワイでさえ、怖いしヒヤヒヤ。
そんな感じで観客席について、皆と一緒に、どうなるのー寒いーって観戦してるところまで記憶がある。
そいで気がついたら、保健室のベッドの上だった。
あれ、貧血?
倒れたの?
すげーよ、クィディッチ。
そんなにワイ、嫌いなスポーツだったの?
拒絶反応とか?
やっぱ、ボールは友達のサッカーとかでいいんじゃないの?
「気が付きましたね、息苦しさはありませんか?」
マダム・ポンフリーの顔が目の前にある。
何があったの?
と、聞こうとして、メモ帳が無い。
杖は、枕元にホルダーごとあるけど、小物類がなくなっていた。
身振りでわかったのだろう、校医先生が話しかけてくる。
「試合中に、発火の魔法をかけた者が居たようです。
貴女は、その被害を受けて失神。
試合は、グリフィンドールの勝利で終了し、直後に貴女は此処へ」
で、ワイが気がついたのを受けて、ベッドまわりのカーテンを開けると、マクゴナガル先生が入ってきた。
「ドヴワティーヌ嬢、何があったか、覚えていますか?」
何も覚えてないです。
試合が始まって、ハリー君の箒がおかしくなった。
その後、覚えてないです。
慌てて起き上がる。
差し出されるメモ帳と筆記具は、マグル式である。
試合は無事に終わりましたか?
「観戦中、貴女のローブに火がついたのです。
気がついた周囲の者達が消し止めましたが、貴女自身はその時、気を失ったようです。
周囲に火の気はありませんでしたし、その場には不審な人物も魔法の痕跡もありません。
そこで、普段は使わぬ魔術の使用の許可を校長から頂き、貴女の周りで使われた魔法の痕跡を調べました。
ですが痕跡は皆無。
火の気もない、目撃者もいない。
そこで範囲を広げました。
スリザリンの観戦席の殆どをです。
すると、小さな炎を着火させる魔法の痕跡がありました。
観客席の背後、貴女から遠い場所でしたが、使われていました。
そこで更に、痕跡を追う魔法、使用者の足跡を追いました。
ホグワーツに外部から不審者が入り込んでいてはなりませんから。」
説明をぼんやりと聞きながら、あまりよくない流れだなぁと漠然と思った。
正義とか勇気、公平である事を重んじる人って、グレーを許さない。
厳しい表情のこの人は、犯人を特定しないと追及は止められないだろう、いや、特定はできてるのか。
「痕跡はグリフィンドールの観客席方向に続いていました。
勝負に勝ったとしても、これで得点は無意味になりました。」
犯人は、わかってるのかぁ。
「私は、情けないです」
どうしたのですか?
「ローブや衣服は燃えましたが、幸いにも貴女自身は無傷。
髪も燃えた様子はありません。
ただ、それを確認した者達の誰かが、自分から火を放ったんじゃないかと。
そこからスリザリンとグリフィンドールでの騒ぎが始まってしまって。
しかたなく、貴女を医務室にとどめていた」
だから、怪我は無いはずですよ。
と、言うマダム・ポンフリーの言葉で想像がついた。
日頃の行いの賜物の噂だから、しょうが無いですよ。
「いいえ、悔しい限りです。
勝利の意義も失せました。」
ダルいだけで燃えた記憶も無い。
というか、火炙り体験かぁ。
色々な考えがよぎる。
寮監先生、怒ってました?
「えぇ、まぁ」
マクゴナガル先生のお顔が暗い。
いつも迷惑ばっかりで、ごめんなさい。
「いいえ、私の方こそ、何も」
じゃぁ一つだけ、聞いていいですか?
「はい、私で答えられることであれば」
犯人がグリフィンドールの生徒だから庇っているのですか?
「いいえ、証拠が無いからです」
グリフィンドールの子かぁ。
まぁ小さなボヤを作れる子、理由、理由は何だ?
先生、約束してほしいです。
『ユルサナイ』
二回目、同じような事があったら、また、マクゴナガル先生に判断してもらいたい。
理由も知りたいですしね。
だから、今回の事は事故です。
「ドヴワティーヌ嬢」
その子をよく見てあげてください。
にっこりと笑う。
『ユルスノカエ』
許すというより、考える時間が欲しい。
先生、寮に戻ってもいいですか?
「送っていきます」
騒ぎと言うか険悪な雰囲気が続いているんですか?
「いいえ、校長先生が収めて、城の中、それぞれの寮などで過ごしていますよ」
なら、大丈夫です。
図書室によったりして、戻ります。
マクゴナガル先生は、私を一人にしたくないと言葉を募ろうとした。
私は首輪と手袋を指さし、抑制が効いていると伝えた。
私が何とも情けない表情を珍しく表に出していたからだろう。
それ以上、彼女は何も言わなかった。
焼け焦げたローブと制服は処分だ。
寮から持ってきてもらった、私服を纏い、保健室を後にした。
冬用の厚手のズボンにセーターだ。
私の趣味は、女の子らしい服装が嫌いだ。
私の外見は、いかにも女性らしい装いが似合うだろう。
細い線ながら曲線を描き、胸が大きく、手足や首が長い。
モデル体型ではない。
華奢でバランスが悪い女っぽさのあるスタイルだ。
本来の、素の私はスポーツが好きで、ガサツで、本当は、走ったり球技をしたりするのが得意だ。
男だったら、ボクシングとか格闘技をしただろうって思う。
けど、そんなのは無意味で、今の私は、たぶん、人間でさえない。
あの誕生日から、虫の擬態のように変容している。
私は、嫌な生き物だ。
私は怖がりな少女だし、がさつな女の部分もあるし、化物を飼っている。
そしてどの私も、どこかで幸せな世界を夢見ている。
叶わないともわかっていた。
そう、叶わないと、確信している。
この世は、少しもおかしくないし、少しも優しくないし、欠片も愛なんて無い。
私は、敢えて人の気配の無い方へと突き進んだ。
城は複雑怪奇で、形を変え、無数の部屋や階段を移動し、そして常に動いている。
だから、本当に願えば、人の気配の無い、尖塔なんて場所にたどり着ける。
時々、ゴーストが遠くから心配そうに見てくるが、私は少し一人で考えたかった。
常に私は一人じゃないからね。
人格の分裂はしていないと思う。
虐待も受けていないし、恐怖の体験も、多分、事件の時が初めてだ。
この分裂、前世と称する人格も、少女の私も、化物の私も、同じだと知っているし、統合するまでもない。
ただ何故、記憶の欠落があるかは、今日の出来事で推論する事ができた。
私は、化物、白い魔女という記憶、血の記憶によって様々な能力がある。
それはヴィーラの血であり、ジャパンの妖魔の血の事でもある。
業が深い血筋で、家系の女がそれなんだろう。
その血が、守りを与えた相手の身代わりを背負う。
そして制限がある。
お守りと考えればいい。
家内安全。
安産祈願。
病気平癒とか厄除け、開運、いろいろだ。
そして例えば、寮監先生には、やべぇナニカからの攻撃。
やべぇナニカとは何だ?になる。
つまり効果範囲。
ワイのお守り、迎撃プログラムは、こう判断した。
やべぇナニカってのは、多分、命の危機に瀕する出来事を和らげる。
そりゃぁこんなお粗末なリボンだもの、それぐらいでいいよね。ってな具合。
だから、ボヤにしかならない魔法攻撃は、やべぇのかって考える?
やべぇってほどじゃないけどさーボヤでも怪我したら命に影響あんじゃね?
そいで、ねー術者の人ー、これどうする?まぁいつもどおりぃ転送しとくかー、解決解決。
んで、ぽい。
ワイ、火だるま。
ワイの杖の御狐様、自動防御。
九尾狐デザイン、炎系魔術の属性対応。
無礼者ー!
ワイの衣服だけ燃える。
身代わりの守り以上の何かを受け止めると自動で、こっちに送ってくるのが基本使用。
つまり身代わりの守りとは、私が身代わりになるって意味だ。
だから、叔母さんの時、私は死んでみせたのだ。
死ぬ事象、苦しみ、血、すべてを先払いだ。
更にワイの意識消失。
これ、守りの魔法の基本代償。
ワイの魔力&記憶。
叔母さんを飛ばした時、記憶が消えたのも、これだ。
今回の実証実験は成功だ。
たぶん、今回の火だるま事件は、寮監先生が攻撃を受けたんだ。
そいで、ワイの身代わりの魔法が一部発動、で、これだ。
失神ぐらいで済んだのは、その程度って事。
なら、本格的な守りの何かを作れたらどうなるんだろう?
私の全部を使えば、運命まで変えられるかも知れない。
だが、断る!
やーだよ、やだやだ!
私は私のモノなんだよー。
私は誰かを生かす為に死ぬ気はないんだー!
精々、怪我が和らいだり、今日みたいに、事故が防げれば十分さー!
塔は西側のようで、回廊からは美しい景色が見える。
ホグワーツ城から北西、校門があって道は美しい丘を下り木立に消えている。
グラウンド方向には、クィディッチの競技場があって、その更に向こうには箒置き場のある建物がある。
高い位置だから、少し霞んで見える。
綺麗だねー
学校は高い塀にぐるりと囲まれている。
緑にあふれているけど、用務員の人や働く人達のお陰で、校庭も道もとても綺麗だ。
園丁もたくさんいるんだろうし、妖精さんも働いてるんだろうね。
このお城はぐるっと大きな池に囲まれてる。
大きな森、立入禁止の森は東方向から覆い尽くしている。
温室や森番の小屋、暴れ柳なんかは、こちらからは見えない。
裏手になるからね。
この景色から見える西部方向の山の向こうに、村があるんだ。
冷たい風が回廊の外から吹き込んでくる。
叔母さんは無事だろうか?
私は、このままどうなるんだろうか?
誰もいない、夕陽が綺麗だ。
うん、まぁ私は子供だ。
少しはくじけてもいいよね。
歌を歌おう。
本気でさ、訓練してさ、マグルの世界で挑戦したっていいんじゃないかな?
自由でさ、もっとずっと自由でいてもいいんだよね。
何か歌おう、元気出せよ、自分ってね。
有名な80年代のヒット曲が浮かぶ。
SWEET CHILD O’MINE
大好きだった歌だ。
この世界に、GunsのAXLRoseは存在するのかな?
いたらいーなー!
この歌を聞いた時、明日を信じられるような気がしたんだ。
明日が来るのが、楽しくて嬉しいような気持ちが、わいてくるような気がしたんだ。
あーぁ、自己憐憫って嫌いだ。
もっとワイルドに行こうぜっ!
私はそのまま塔を降りると、そのままハミングしつつ、久しぶりというか、初めての一人お散歩を決行することにした。
まぁ怒られるのを先延ばししているとも言える。
何故、怒られるのか?
そりゃぁねー、お守りって私が燃えてたら、駄目じゃん。
そういう危険物を渡してくるんじゃねーという寮監先生の顔が浮かんでいたりする。
そしてまっすぐ寮に帰らない、ひとりでフラフラで、更に加点だ。
かーえーりーたーくーなーいー
こういうお助けアイテム、吾輩氏、一番嫌いでしょ?
私だって知らんかったんだよー生贄アイテムだって。
また、拳骨だろうなぁ、ふぃー。
所詮シリアスはシリアルぐらいの私だった。