おとぎ話の末裔   作:C&Y

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寮監先生&人外生徒の明日はどっちだ、賢者の石編。
R15と残酷描写は、予防処置と寮監先生の苦行成分でできております。

今回も、ろくでなしな主人公ですが、お許しください。


グレイブス氏からの手紙と賢者の石 ⑦

 さて、お昼までもうちょっと、寒い通路を歩き回る気はない。

 大きい人のワンワンとは滅多に接触しない匂いなのだ。

 女の人で、生徒じゃない。

 そして見慣れた人でもない。

 となると、外部からの客か、ワンワンとか森番のお家の方へ出てこない人だ。

 園丁の人でもない。

 そうなると事務系の職員さんとなる。

 んで、女性。

 若い女性になると数名だ。

 ホグワーツで大人の若い女性ってのは限られてるし、行動範囲も決まってる。

 男子の多い場所には入りこまないし、多くが既婚者で良識内の行動を求められるから、そうそう徘徊もしない。

 うん、ごめん、良識は欠片もないと自覚はある。

 うん、うん、ごめんね。

 と、ここにはいない眉間のシワの人に念を送る。

 まぁ届いたら困るので、てきとーにスマソとしておく。

 そんな誠意の欠片もない思考ながら、ある程度、予想はできていた。

 まぁ考えるまでもないし、何も謎はない。

 クィレル先生の補助教員の人って、今、どーしてるのかなーである。

 心のどこかで、あんな物体を頭に飼ってて、誰も気づかねーの?という素朴な疑問と。

 身近にいた奴も汚染されてたら、嫌だなぁって。

 まぁ、こんな考えは、ヒゲとペッタリも考えているだろう。

 だから、今回はお顔拝見なだけ。

 補助教員は教授達が集まる職員室とは別にお部屋がある。

 事務作業、資料作成、テストの添削などなど、お手伝いをしたりする職員さんだ。

 メインの授業は教授達がして、その補助・補講を受け持つ助教授の位置にいる。

 じゃぁ寮監先生の場合?

 忙しい時だけ、他の先生の補助教員を借りている。

 だから、魔法薬学に関しては、いない。

 死相が浮かぶ原因である。

 自分ですべてを処理したい、仕事を囲い込む駄目社員あるあるである。

 理由はあるんだろうけど、せめて下準備ぐらいは信頼できる人を雇ったほうが、いや、雇えないのかな?

 寮監先生の薬品系の取扱品は、癒者レベルの人でやっと手を出せる。

 なんで知ってるか?

 ほらーぼーっと歌ってる時とか、お喋りしてるからね。

 つまり知識ゼロだと自分の手を溶かす事になる。

 絶対さわるなよ、これ、まえふりじゃねーからな!である。

 押すなよ押すなよ!のお約束ではない。

 ならテスト添削で、となるとこれもまた、最終学年なんぞになれば、人任せにはできない。

 というより授業が実践だから、添削、採点も目を通しておかないと、指導できない。

 うん、もう一人教授雇った方がいいわーである。

 つまりパワハラカリスマ上司とブラック上等有能部下が下手に噛み合うと、この惨状に。

 そこに自分の研究やら、怪しげな事や、ワイの迷惑が降りかかるわけで、もうすぐ天国の門が見えてしまうかも知れない。

 これで名誉職で、給料底辺だったりしたら暴れていいと思う。

 むしろ、何でこんな職場にいるの?

 薄暗い人間関係の柵とか?

 

『そりゃぁ死んでもいいなんて考えてる男が教師をしてるのよ?』

 

 …

 やめよう、キラキラロマンティッククリスマスの時期に考える事柄ではない。

 ここは仮にもハリー・ポッター、中身は知らんがファンタジー世界のはずだ。

 それかもっとイチャイチャ、本能全開の人間関係かも知れないだろ?

 と、欠片もそんな海外ドラマみたいな、ドキドキアダルティックな要素は無い。

 頭に化物が生えちゃうホラーならあるけど。

 話がそれたが、そんな職員さんで、時々、お庭とか廊下で出会うと、とっても変な匂いのする人がいるらしい。

 ワンワン的に、ちょっとやべぇ感じ。

 もちろん、ターゲッティングしてみたのは、妥当な相手。

 頭に冬虫夏草ならぬ、謎の物体Xを育てていたクィレル先生の補助教員である。

 怪しさ抜群だ!

 おまけにヒゲとペッタリは、気がついていないと言うより、泳がせて育ててる可能性さえある。

 そーれーがーがまんならねーんだよー!!

 すていすてい。

 しかし、女性相手に蛮族プレイは無効。

 しっかりとした観察をしていきたい所存である。

 休暇前に、お顔ぐらいは確認しておきたいよね?

 女性なので、ちゅうちゅうできないのが辛いのだ。

 そもそも野郎をちゅうちゅうしたくないですぅ。

 前世の業が深かったんだろうか?

 今、おつまみで齧ってるのは、干物のような吾輩氏である。

 もっと柔らかくておいちぃのでいいんじゃね、ワイ?

『私、悪い子が好きなの、それも大人ね』

 そうだった..不健全担当の私は、オコチャマな味付けが嫌いだった。

 趣味じゃないけど、コイツなら喰っていいよね、という謎の倫理観と疑惑の選別理由がある、らしいのだ。

 クィレルは、汚染されてて食わないってのはわかるよ。

 でも、他の男の、そう成人男性は、いくらでもいるのだ。

 教師にも職員にもね。

 だって、最高学年は十七過ぎるわけで、魔法界でいう成人なんだよ。

 体格だって食べてもいいはず...

 ごめん、ひでぇ、自分でもドン引きの話題だな。

 感覚として、ご飯が美味しいんだよね。

 どんだけ人外なんだよ。

 もっとキラキラ乙女になれよ、私。である。

 未だに、なぜ吾輩氏かは謎である。

 まぁおかげで、全寮制パブリックスクールメイドな学校で、見境無く少年たちや職員さん達をチュウチュウしないですんでいる。

 もししてたら、討伐されてた。

 魔物と認定したら、あのヒゲとペッタリは、容赦なく捕獲してオークションにだすぐらいはする。

 教育者(笑)としても、いまいち怪しくなってきている奴らの信用は低い。

 と、おバカちんな事を考えているが、私は真面目だ。

 否、私は正気だ。

 真面目に、全力でバカをやっている。

 じーんせーは、いーちどーきりー!

 ワイ、なんだかんだ言って、子供だしねー。

 今回は静かに静かに移動だ。

 目立たないようにと、こそこそ通路の端っこを歩く。

 

「んで、なにやってんの?俺達も毎日エンジョイしてるけど、姫には負けるな」

 

「だよね。ねぇいつも思うけど、姫、それまったく隠れてないよ?」

 

 双子の兄ちゃんズに捕まる。あー

 

「なになに、スネイプ先生に内緒?」

 

「それは駄目だぞー」

 

 ちょっと見るだけ、美人の補助教員のオネーサンチェック。

 

「..なんだろー弟と同じニオイがするんだよなー。こう美人可愛いより、アホ残念?」

 

「やっぱ属性はロンと同じだよな。気がついてるのスリザリン女子ぐらいか?」

 

 廊下の隅、事務員さんがいるだろう職員室を見る。

 隠れているようで、全く隠れてないデカい兄ちゃんズと、ワイ。

 膝を抱えて廊下の柱の影にいる。

 

「正直に兄ちゃん達に言ってみな。ホグワーツ情報は表も裏も知ってるぞぅ」

 

「姫さーまた騒ぎになるよ?って俺達が言うことじゃねーけど」

 

 カキカキ...で、メモ書きを渡す。

 

「まじかーえーっと、これマクゴナガル先生に言っとくべき?」

 

「フレッド、俺に聞くなよ。えーと、つまり姫の方が?」

 

「ありえねぇが、そう考えると腑に落ちる」

 

「いやいや、兄貴、まて、違う、そーいう話じゃないだろ?」

 

 美人な成人女性という噂が気になる。

 クィレル先生がいない今、彼女達のどちらかが回される可能性がある。

 もちろん、魔法薬学の教授のところへ!

 それはイケナイ。

 という、嘘八百のフザケた事を書いた。

 んで、待つこと暫し、食事が始まる時間が近くなる。

 彼らも大広間に来る事もあるし、この補助教員がたまる教室で取る事もある。

 と、目的の女性二人が連れ立って喋りながら出てきた。

 特に変わった事のない女性二人に見える。

 似てる。

 どっちも栗毛、背格好も似てる。

 眼鏡の女性と少し痩せてる感じの女性。

 服装は、まぁ目立ったところのない魔法使いって感じ。

 特徴がないのが特徴?

 

「あの二人?」

 

「正直、美人に見えるか兄貴?」

 

「弟よ、美人は飽きるなんてのは嘘だ。

 美人がいるとな、他が全部おなじに見えるだけだ。

 が、アレはない。

 家の母さんと同じファッションセンスだ。

 俺はお付き合いしたくない。」

 

「冗談にならないよ、兄貴。

 毛糸のソックスが片足ずつ色違い毛玉付き..まぁ補助教員が、美人とか幻想だよな。

 それでも俺達の美の基準がオカシクなってるのは確かだろ、なぁ」

 

「俺は最近、スリザリンのパーキンソンを見るとホッとするんだぜ。」

 

「レイブンクローのさ、彼女、可愛いんだよな?自信がなくなってきたな」

 

「一周回って、皆、可愛いんだよ」

 

「それな」

 

「って姫、満足したか、鏡みてごらん?」

 

「そうそう、鏡みれば答えがあるから」

 

 チェック完了。

 お名前は、後で事務の人に聞こう。

 吾輩氏に聞くと藪蛇になるしな。

 うむ、ご飯にするかなー。

 兄ちゃんズ、余計なことするなよなー。

 ともかく、女の戦いに口出すなよー、ごはんごはん〜

 冬休みは雪だるまじゃなくて、雪像作ろうよー。

 

「おっ満足したみたいだぞ。なぁジョージ、人間て面白いよな」

 

「人間じゃなくて、人間の関係性さ。で、何か気がついた?」

 

「多分なー、姫のご乱心の理由もちょっとわかった感じ?やっぱ、姫の側にいれば面白いんじゃね?」

 

「巻き込まれたくない気もするぜ、この間の発火事件。

 スネイプ、犯人わかったら殺すぞ。冗談じゃなく。

 そもそも姫にチョッカイかけるだけで、殺害リスト入りじゃね?」

 

「燃えてる姫に飛びついて助けてたしな。

 その後も何も発言しなかったろ、アレはマジだ。

 姫のダメージの確認しながら、何か呪文を使い始めたの見ただろ。」

 

「無言じゃねぇけど、呟きが小さくてわからなかったけどな」

 

「あれ、多分、痕跡を追う奴じゃなくて、同じ魔法を使ったやつに返す奴だぜ。

 闇じゃねぇけど、防衛術最終でも習わない高等魔術だ。

 闇祓いが使ってる反撃魔法だな。

 近くに攻撃した奴がいれば、そのまま強攻撃になるんだぜ。

 それも本気だろう倍がけの威力だ。悪戯の代償が消し炭とは怖すぎだろ?」

 

「ホントかよ...まぁ何かしてるとは思ったし、無表情が怖いのは覚えてる。

 理由をつけて殺す気だったって事?やべぇ」

 

「それがわかってマクゴナガル先生が追跡の魔法、校長に言って許可もらったんだよ。

 卒業間近の奴と先生達はわかったはずだぜ。

 闇祓いが現場で使うトリッキーな魔術だ。

 殺しに来るなら、逆に即死させてやるっていう反撃呪文だぞ。

 

 スネイプはマジだった。

 奴に調べさせたら血の雨が降るってわかったんだろ。

 幸い姫のダメージ確認を先にしてたから、呪文発動の途中で止められた。

 マクゴナガル先生も必死だったろうさ。

 姫を医務室へ連れて行けと命じて、奴をその場から出したんだよ。」

 

「何でそんなに詳しいんだよ、兄貴」

 

「複合魔法を調べてたんだよ。面白いじゃん」

 

「あー複合、確かにな。解析と反射は確実に入ってるもんなぁ」

 

「生で反転攻撃を見たいとは今なら思うけどさ。ビビったぞ。コイツ、殺す気だわって」

 

「殺人でアズカバン行き?」

 

「どうだか。攻撃を受けた生徒を守る為に反撃した。って建前は作れる。

 たとえ、いたずらしたのが生徒だったとしてもな。

 それに攻撃を受けたのが姫だ。

 まず、純血貴族たちは、こういうさ、貴種の女性を背後から攻撃魔術で殺そうとした。

 スネイプは、それを守ろうとして犯人を殺したってね。

 アズカバンには行かないさ。」

 

「犯人が純血でもか?」

 

「グリフィンドールの純血で、こんなバカな事をする奴がいると思うか?」

 

「いねーなぁ。ロンだってしないぞ。

 女性の、それも無防備な背中を燃やす?

 ぞっとするし、母さんが激怒した後、泣くわ」

 

「つまりマグル出身か、半純血だよ。裁判にもならない」

 

「バカな奴が、ハリーの妨害したのがスリザリンだからだろって、ポロって口にするし。」

 

「俺さ、ああいうの、面白くなくて嫌なんだよなぁ。

 魔法追跡の光がさ、グリフィンドールの観客席に向き始めた途端、解散。だしな。

 笑えないじゃん、あれ、きっと誰がやったかわかったんだぜ。」

 

「まぁそれ、指摘するとヤバそうだしな。校長もわかってるだろうし」

 

「噂通り、姫、本当に姫なんだろうなー、純血の古い奴らあたりに護衛依頼されてるかもな。

 でも、いろいろ変な事がわかってきただろ。

 ホグワーツもさ、思ったより面白い場所じゃね?

 秘密を抱えてる人間がいっぱいだし、親が闇の陣営とかだけじゃなくてさ、何か、変な感じがするっていうかさ。」

 

「さっきのもか?」

 

「父さんや母さんの言ってる世界ってのは、小さいって感じないか?」

 

「そんなに変だったのか、さっきの?」

 

「なぁ姫が気にしてる、あの女たち、調べようぜ。」

 

「ふーん...、休みの間、あの二人も帰るんじゃないか?つーか、どこが変だった?服装以外」

 

「顔」

 

「冗談?」

 

「冗談じゃなく、俺達みたいな双子じゃねぇのに、妙に似てなかったか?仮面みたいだったろ」

 

「おっ、あぁ...そういや、不自然だったな」

 

「ホグズミードから通いかどうかだけでも調べとこうぜ」

 

「了解、まぁ悪戯の合間にな」

 

 ***

 

 そいでクリスマスが来た。

 

 実は、クリスマスに向けて、頑張っていた事がクリスマスカードだ。

 まず、クリスマスカードを選ぶ。

 相手にあわせる必要があるんで、まずは、誰に送るかなーと数を大凡に決める。

 恩師、友達、知り合い。

 私の場合、家族、親族に送るあてがないので、それは無し。

 

 まず、きっちりきっぱり関わりある先生方に送る。

 感覚はジャパンの年賀状とか新年のメールみたいなものだ。

 やや豪華で大きめのカードを送る。デザインは同じ。

 次に、同じ寮の先輩方、キラキラデザインにして大きさは中間かな。

 そいで同じ寮の同級生、小さめだけど、女の子と男の子デザイン違いで。

 他には、他寮だけど、喋ったり何かと関わりのある人達へ、小さめでこれも違うデザインを確保。

 さらにさらにだ、この中から、特に関わりのある人へは、個人個人別デザインを購入。

 そしてカードを送って無くて、もらっちゃった人へのお返し用のカードも買う。

 で、最後。

 

 嫌だけど顔を見たことも無い強火担の方々への気持ちのこもらないカード。

 それと保護をして下さった理事会のメンバーにも送る。

 

 ね、凄い量でしょ。

 ただ、ジャパンの年賀状と違うのは、内容がシンプルな事。

 宛名と差し出人に、一言メッセージだ。

 

 To 寮監先生へ

 〜よきクリスマスでありますよーに〜

 From 子猿

 

 こんな感じ。

 あとは個人宛か家族宛か。

 ウィーズリーご家族様へって感じ。

 友達夫婦とかの場合は、自分と関係性の近しい人からお名前を書く。

 とか、まぁ考えればそれほど奇異じゃないルールだよね。

 

 で、家族ぐるみだったら、その御家族の名前を全部入れる。

 また、家族がわからない場合は、送る相手の名前&ご家族様。

 んで、カードが書けたら、それを封筒に入れて送るって事になる。

 当然、封筒も購入するわけで、宛名と中身を間違えないようにする。

 んで、ご近所だったり、寮の残留組だったら、手渡しもする。

 

 封筒には、名前、住所、ポストコード。

 マグルの世界の郵便では、これが重要。

 

 でも魔法界の梟便は、けっこう適当でも送れる。

 名前と大体の居場所。

 そして梟専用オヤツ、これが重要である。

 

 まぁ名前や敬称にも、相手や立場によって作法があるって話。

 カードや封筒の材質もかえなきゃならない。

 

 でも、もともとガサツな上に、常識もない。

 それでも感謝を表す事を惜しむのは、自分の為にならない。

 そう自分のためね。

 身寄りもなく、魔物のような私だもの。

 若年のうちから、社会に馴染む努力は怠れない。

 うん、だいぶ蛮族プレイしてるけどね。

 

 校長先生には見開きで、駒鳥が枝にとまってる絵柄。

 上質紙で、そこに慎重に文字を入れた。

 言葉?

 よきクリスマスを〜だよ。

 積み上げられた枚数を前に、げんなりしながらだもの。

 

 同じ寮生には、色違いのリースの絵柄。

 お友達には、ツリーとキラキラ星。

 先生方にも伝統的なツリーとトナカイ。

 

 一番お世話になってる寮監先生には、冬の森に集う動物達のカードだ。

 トナカイ、うさぎ、リス、狐、鹿、鳥。

 真ん中に小さなツリーの絵だよ。

 

 楽しそうでしょ。

 それをクリスマス前まで、時間があったら自室で書いてた。

 手が痛い。

 そんなカード書きだけど、もうひとつクリスマスプレゼントについてだ。

 何処まで、誰に送るかって事。

 魔法界の知り合いは、ホグワーツの人だけだ。

 マグル界の知り合いは、叔母さん以外いない。

 近所の人だって、記憶から無くなってる。

 学校関係者にプレゼントっていいのかな?

 と少し悩んだ。

 

 悩んだが、考えてみれば、そういう部分はゆるゆるだった事を思い出す。

 箒を送ってる姿とか、個人的に何かをどうぞと渡す姿、更に依怙贔屓上等という。

 送ろう。

 って決まると、今度は、どこの誰まで送るかになる。

 

 誰がなんと言おうと、教授先生方には、相手が気にならない程度の物を送る。

 例えば、マグル界で人気のお菓子のセットとか、紅茶の茶葉セットだ。

 なんとなく、御歳暮の感覚である。

 

 じゃぁお友達には?

 これも悩む。

 私自身は財産があるけど、その事はオフレコ。

 つまり私が自由にできる範囲のプレゼントで、まぁ許容できるモノである。

 相手はお金持ちの子弟が殆どという事もある。

 誤解のない、ご挨拶で。

 となると、男の子にはカードだけで、物は却下になる。

 誤解ってのは、与えてはいけないからだ。

 

 自惚れではない。

 事実である。

 休み明けの談話室のお菓子を充実させる位だ。

 女の子には手のひらサイズのローズバームを包装して送る事に。

 香水とか好みもあるからね、バームで肌の荒れとかに使ってほしい。

 寮監先生にもクッキー詰め合わせを送った。

 食事がとれなくて死にかけたら食べてほしいなぁってね。

 

 そいで当日、我が部屋にプレゼントが置かれていた。

 これが魔法界である。

 プライベート空間に、こっそり妖精さん達が配達してくれる。

 もしくは梟による爆撃だ。

 きっと配慮してくれてるんだろうけど、感覚的にマグルの私、げんなりする。

 使用人を使うような人達なら、当然なんだろうけどね。

 それも私の感覚に引っかからないというのが、ちょっと不安。

 寝てる間って無防備だよね。

 魔法的なプロテクトもあるんだろうけど、未だ、そこまでの...防衛術ってそれやん。

 

 ああああ(>ω<)

 

 後悔するつもりはない。

 頭部に謎物体で既にヤバい人から教わるのはありえない。

 そして防御系は確か五、六年生ぐらいからだったはずだ。

 気を取り直して、素晴らしいクリスマス。

 美しきお城に雪景色、そしてプレゼントだ。

 

 そうデカい箱が多い。

 もう、嫌な予感しかしないのは、なぜ?

 プレゼントが大きくて、ワクワクしない私の気持ちをわかってくれる人はいるかなー。

 ともかく、友達からのプレゼントや、ホグワーツ関係のカードを取り分ける。

 先生方からも来てるよ。

 皆さん気を使ってくれて、生活用品が多い。

 ハンカチとか石鹸ね。

 予想通りな相手、友達からのカード、よかった嬉しいって、素直に喜べたりする。

 寮監先生からも、シンプルだけど可愛いウサギの絵柄のクリスマスカードが来たよ。

 

 それから例の魔女っ子イチオシのハイランド魔女シリーズ新刊。

 ハイランド魔女によるマグル伝承探訪の旅。

 なんぞ?と思って開いてみる。

 マグル界の化粧品を探求する旅だった!

 いつもの通り、彼氏への恨み言と共に、最新のマグル界の自然派化粧品の内容と魔法界で手作りしてみた!な、魔女っ子女子の話であった。

 楽しい、さすが寮監先生。

 これは机に置いて、夜に読もう。

 

 他にもお友達からもらった、クリスタルの文鎮とか、金のキラキラ栞とか、楽しい品を机にならべる。

 ここまではヨシ、である。

 校長先生からは、金のリンゴ型の小物入れをもらった。蓋をあけるとキャンディが入っていた。

 甘党さんだね。

 とかね。

 

 問題は、積み上がる見るからに大きくて、開きたくない箱だ。

 

 休暇中なので私服に着替える。

 マクゴナガル先生が選んでくれた、中世風ガウンドレスを着た。

 紺色にフレア袖、魔女スタイルともいえる。

 スクエアーネックだけど、冬なので中に薄手のブラウスを着込んでいる。

 

 コスプレ?

 まぁ実は、校長のリクエストでもある。

 お歌をうたって欲しいそうな。

 ちゃんと首輪はしている。

 手袋もね。

 

 鏡の中にいるのは、相変わらずの白っぽい幽霊だ。

 少しは魔女っぽいかな?

 杖を抜くと、背後の山となっている箱を部屋から運び出した。

 浮遊の呪文はできるようになったよ。

 魔女っ子が様になってきたぞ。

 

 談話室には誰もいない。

 スリザリンの子達は、良家の子が多いからね。問題なく帰宅できる。

 プレゼントを暖炉前に落とすと、時間を見てからローブは必要か少し悩む。

 と、予想通り、寮監先生が様子を見に来た。

 

 メリークリスマス!

 で、体勢を整えて。

 

「何だ?」

 

 いや、ハグを。

 

「...メリークリスマス」

 

 ほら、ハグを。

 シカトかよ!

 と思うが、しょうが無いので近寄って、ぎゅっとハグしてからの、グイッと首を引き寄せる。

 そいで頬をよせてKiss、ミッション終了。

 

 まぁ普通だぞ?

 キスだって頬にも触れてないぞ。

 セクハラじゃないからな?

 

 って、なんで女の子の方が、スケベオヤジの役どころなの?

 寮監先生は乙女なの?

 むしろ、クリスマスの朝に挨拶しないとか、どんだけ不仲なんだよ説。

 

 まぁ、嫌なんだろうけどね。

 害虫は近寄るな、ヤメロって奴だ。

 わかってるってー。

 そんなこんなで、すでに疲労している風の寮監先生に、更なる疲労の原因を指差す。

 

 きちゃった、強火担からの奴。

 怖くて見れない。

 

 で、寮監先生の目が据わる。

 そいで杖を取り出し、プレゼントに向ける。

 あら不思議、3つの山になったぞ?

 

「差出人不明、不明魔力、差出人署名有り」

 

 で、更に杖を振る。

 

「呪い、何某かの魔術痕跡あり、不明品、その他」

 

 で、2つの箱のみ、手元に引き寄せる。

 

「古参魔法族、いずれも魔法界の癒療分野の家系で、現在は主だった活動は無いが、悪い噂はない。

 箱と中身は、ざっと走査した感じでは、仕込みは見当たらない。

 ここからは、開封し物品を調べる事になる。

 開封するが、よろしいかな?」

 

 オケ、というか、残りは?

 

「塵ならいいが、不穏な品もあるので、校長と協議する。」

 

 うわー、キラキラロマンティッククリスマスは、やっぱり存在しなかったようだ。

 そいで開封。

 即座に、寮監先生に怒りの表情が浮かぶ。

 可燃魔法を唱えるのをこらえると、箱の蓋を閉じた。

 

 花嫁衣装、それも何か、古風で、怨念こもってそうだね。

 ワイ、来年、やっと十二歳よ。

 外見は成人しそうだけどな。

 

「私に言うな」

 

 歯を食いしばっての反論に、私も苦笑いだ。

 唸りながらって。

 

 もう一つ開く。

 何故か、また、花嫁衣装だ。

 これも古風で、プレゼントで購入したというより、思い出の渡せなかった因縁の呪いの品っぽい。

 だって、レースとか少し古いからね〜怖い!

 

「これも、校長と調べてからになる。」

 

 いらない。

 お返事というか、お返し?

 普通のクリスマスカードでいい?

 それともコメント必要?

 

「それも校長に見せてからだ」

 

 寮監先生は謎の空間から麻の大きな袋を取り出すと、プレゼント(仮)を回収。

 サンタのプレゼント袋のようになったそれを、再び消した。

 気を取り直して、プレゼントのお礼を言う。

 ファンレターまた、書くんだ。

 

「図書館司書のマダム・ピンスにも礼を伝えてくれ。取り寄せに手を貸してもらった」

 

 うれしいですっ!

 と、そんな会話をしつつ、そのまま大広間へと向かった。

 楽しいクリスマスの食事だ。

 居残り組も帰らなかった先生方も、楽しそうに言葉を交わしご馳走を食べた。

 その日は特に問題はおきなかったよ。

 夜まではね。

 ご馳走を食べて、魔法界らしいクラッカーに驚き、おそろいのセーターを着たウィーズリー兄弟とハリー君を見る事になった。

 先生方も楽しそうだったし、この世界には、苦しみも悲しみも存在しないんだって信じられそうだった。

 食事の方も粗方片付いた後は、校長先生のリクエストで歌った。

 今回はアカペラじゃなくて妖精さんの音楽つき。

 I will follow himとかね。

 映画バージョンで、神様へ向けてのソウルな感じで歌ってみた。

 あと、All I want for Christmas is you お約束から古典の普通のクリスマスの歌までね。

 

 拍手と感謝をもらった。

 うれしかったよ。

 やっぱり、ボイスレッスン受けて、海を渡るしかないね。

 とか考えてるのがわかったのか、吾輩氏から、お小言の念が飛んできたのは言うまでもない。

 

 で、午後から雪投げ、雪だるま、雪像作りをした。

 実に、普通の子供のクリスマスだった。

 たぶん、日没まではね。

 

 

 何かが潜む夜の時。(From dusk till dawn夕暮れから夜明けまで)

 長い冬の時間が始まった。

 

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