実際の出来事や原作とはまったく関係ありません。
と、明記しちゃうのでした。
R15成分は、エロではなく、残酷描写と社会的倫理がヤバメなのでついています。
ラブがない(>ω<)ノ
クリスマス休暇は二週間。
スリザリンの残留は私だけだ。
マクゴナガル先生が一緒に過ごしましょうと言ってくれたけど、皆と食事もできるしね。
それに残留している他の寮の子とも、昼間は課題をしたり遊んだりと、別に寂しくはない。
それにある意味、私には一人になる時間が必要だった。
今年の出来事、三月の誕生日から始まった、私達、の生活について。
私は葵・ドヴワティーヌである。
目覚めた時は、成人したジャパンの女性の記憶があった。
この女性は実にお喋りで、騒がしい。
実は、彼女のお喋りの殆どは、子供の私を隠す為でもある。
子供の、怖がりの私だ。
自分の事なんだけどね。
ずっとお喋りを続けているのは、幸せの記憶、家族の記憶が消えた私を憐れんでいるからだ。
もちろん、それは子供の私自身の選択で、悲しいけれど後悔はしていない。
それでもだ。
隙間を埋めた彼女、大人の私は常に、記憶にある楽しいことで、子供の私をあやしているのだ。
あと、もうひとつ。
このジャパンの女性も、容姿に恵まれていた。
そしてその容姿のお陰で、楽しい事よりも辛い事が多かった。
男の人に騙された事。
仕事をしても正当に評価されなかった事。
なにより、育った家庭が、よくなかった事だ。
彼女の死因は過労死だけど、それはお家に帰りたくなかったのもある。
だから、十一歳の葵の暮らしを守る、子供の心を守ろうと頑張っているのだ。
幸せになって欲しい。
そしてなによりも幸せになりたい、ってね。
最後に、血の力、化物の私だ。
大人の私は、大人の男の人に期待をしていなかった。
子供の私は、大人の男の人が怖かった。
化物の私は、男は獲物で、敵だった。
大人の私は期待をしていなかったけど、男の人を許していた。
同じ人間だもの、間違いは誰でも犯すし、男だからって全部が全部、誠意を溝にすてる訳じゃないってね。
ある意味、彼女は理性的。
子供の私は、多分、男の人というだけで、少し怖がっていた。
でも、それで王子様を信じていない訳じゃない。
生まれた時から、自分の力を知って、ちょっとだけ幻滅しちゃっただけ、自分と男という生き物にね。
それでも、欠片でも、優しくて、誠実で、欲望だけの男じゃない、人もいるはずだってね。
まぁ女の子だもの。
世界はまだ、輝いているのよ。
ただ、怖い実例を知ってしまった。
愛や夢よりも先に、殺されるより、怖いことをね。
そして化物の私。
たぶん、ろくな死に方をしていない、女達の記憶。
塵みたいな記憶。
そして知識。
厄介な事に、知識は、私から切り離せないし、何よりも生きる為にも必要だ。
だって化け物なのは、本当なんだもの。
小さな女の子が、公園に行った帰り道が怖いのよ。
それに紹介される友達の父親が怖いのよ。
ねぇ、会う男、会う男、どちらかなのよ。
駄目になっていくか、敵になるか。
いつもいつも、下水の蓋を見上げてる感じよ。
下水の流れの中で、明るい場所を見ているの。
丸い白い空を見ている。
いつ塞がれるかわからない。
棺桶の蓋と同じようにね。
自分を守る為に、私は悪い子で、化物じゃないといけなかった。
でも、嫌ってる訳じゃない。
私は化物だけど、オブスキュラスでもない。
もともと、だもの。
そんなバランスが悪い、この3つの私は、別に分裂しているわけではない。
同化しているので、その時々で、それぞれが対処している。
人生にね。
ただ、血の力の対価で、記憶が消えてしまったから、どうしても完全には、馴染まない。
血の力にしても、心の安定にしてもね。
私自身の力の情報も、わからない。
家族の事もね。
ただ、この間の発火事件。
それに賽子、血の力を使う鍵は、何となく血の力が何かという輪郭を教えてくれた。
血の、魔法。
私の場合は、身代わりであり、生贄だ。
もう少し検証すれば、私自身や記憶をすり減らさずに、使えるようになるかもしれない。
白い魔女、ルーン系統の魔法だろう。
発語、歌、声というのも、ヴィーラや妖魔の血筋だからというだけではない。
更に、私の血筋は、ほぼ潰えているので、私自身の血、そのものを利用、価値を見出している人がいるという事だ。
ある程度の権力者の庇護下にいなければ、あまり良い人生は送れないだろう。
そして夢も希望も無い話だが、私自身が化物である事を認め、妥協して生きる事が無難だ。
もちろん、ここまでの考えは、魔法界に生まれた貴重な血筋の少女への、無駄で無意味な正しい話だ。
葵・ドヴワティーヌは、正気で真面目に、思うのだ。
過労死した彼女も、叔母を助けたいと願った子供も、火あぶりになった魔女もだ。
生きているんだから、自由にしていいんじゃね?
例えば?
シンプルに、正直な感想。
空気なんぞ、読んでやらねーからな。
何がファンタジーで、魔法だ。
全然、現実とかわらねーじゃねーか!
つきあってられねぇーんだよ、男、シね。
おっぱいが大きいからって、ガン見してくんな、ばーかばーか!
私は正気だ!
そう、ファンタジー世界でも、男はおっぱいが好きだし、シリアスに構えて、何か事件が起きても、だいたいはおっぱいで解決できる...は、言い過ぎだけど、それほど人間は変わらない。
悩むのは無駄ってのだけは、本当。
思考し、打開策を考えるのは生産的だけどね。
夜になったお城で、私はちょっと笑った。
マクゴナガル先生が言った通り、ひとりでいるのが、あまり良くなかったかも知れない。
まず、着替える事にした。
下着はもう、諦めた。
この世界の下着は、エロ仕様しかない。
白いセット下着はロマン溢れるレースとリボンだ。
バカじゃねーの。
と、思いながらガーターで厚手のストッキングを留める。
薄い肌着を着込み、インナーは白のハイネック、下はグレーの厚手のズボン。
編み上げの靴に、セーターもグレーだ。
手袋はしてる。
首輪もしてる。
髪の毛は、一つにして三つ編み。
これでも寒いかな?
短めのローブ、燃やされたのより薄いやつを着る。
杖フォルダーを装備して、ハンカチだけはポケットに。
洗面も終えているので、改めてローズのバームだけを少し唇に塗る。
これでよし。
何が?
もちろん、いつも通り、正気を疑うホグワーツ探索だ。
だって、自己憐憫と反省が嫌いなんだもの。
***
ホグワーツの内部は、ゴーストや絵画、それにフィルチさんに、先生の誰かが見回りをしている。
外は大きな人や、わんわん、それに私の知らない生き物がみている。
城内は、知らない仕掛けも多いし、夜に徘徊するのはおすすめしない。
迷子どころか、階段から落下して、ゴーストの仲間入り、なんて事にもなりかねない。
もちろん、単にフラフラしたいわけじゃない。
目的地は、あのクィレル先生の補助教員だった女性の机だ。
補助教員室の、机の中を漁りたいのである。
わーい、たんけん、たんけん!
退学も夢じゃないね。
とかフカシながら、ステップ。
最初に気をつけなければならないのは、フィルチさん&猫様である。
怒られると、猫様が寮に入るまで送ってくれる。
だから、出会っちゃったら、冒険は終了。
次に、ゴーストの方々。
これも出会っちゃったら、寮までエスコートされちゃう。
次に、一番、見つかると面倒なのが、ヒゲ&ペッタリの二人。
どちらに会ってもお調べとお叱りがセットである。
逃げても無駄だ。
最後に、案外、一番見つかってはいけないのが、生徒だ。
そこで堂々と通路を歩く。
堂々としているのが一番、疑われなかったりする。
もちろん、巡回する人達の足音に耳を澄ませ、灯りはもっていない。
うすぐらーい通路を、息を潜め、足音を立てぬように、なぜかランウェイのように歩く。
そして当初の目的を忘れて、徐々にステップを踏み、スイング&指を鳴らす。
最近はお気に入りのR&Bグルーブでスイング!
気分はゴージャスにクラブで歌って踊る感じ。
ステップ&スイングして、指を鳴らしてターン!
とか、アホをやってると、クリスマスで美しい雪の世界が窓から見える。
窓から、灯りが...
灯りが無いはずの方向に灯りが見えた。
雪の日に、松明をもって集まるって、何のイベント?
木々の間はよく見えないが、けっこうな灯りの数だ。
窓辺に寄って、眺める。
そーいうのイベントなん?
魔の森ではなく、校門の方向で丘を下った先の北の方かな。
あっちって何も無いんだよね。
村の人がクリスマスイベント?
不思議だなー。
って見てたら、2つの灯りがこっちに近づいてくる。
うん、校門は閉鎖されてる。
雪だしね、夜は誰も入ってこないし、入れないよ?
緊急じゃなければね。
で、多分、松明を掲げた人が、校門の所にたどり着いた。
そいでインターバル。
暫くして、フィルチさんと大きな人が慌てて走っていく。
なんだろう。
どっちにしろ、寮にいないと、マズイようだ。
私は探検を中断して、寮に戻った。
***
この時代の音楽プレイヤーって、確か、CDプレイヤーとかだよね。
携帯型もダウンロードじゃなくて、MDは、まだだったかな?
わからんけど、音楽ライフを追求するにも、マグル製品は、こっち側にもってくると役に立たなくなるんだって。
レコード音源ならいけるのか?
蓄音機?
盲点だよね、そりゃぁ羊皮紙世界になるわけだよ。
魔力が満ちた世界でゴーストがいる。
家電が狂っちゃうのは当然だ。
アストラル体、精神体というエネルギーが動き回ってるんだものね。
つまりダンサブルにお部屋で踊るにも、音源は無い。
レコードか生演奏だ。
歌のリクエスト、歌ってくれと言われる訳だよね。
...
...
...
...
うん、怖い。
わかってるわ。
談話室の暖炉の前で、少し、不安になる。
不安の理由を考える。
雪の中の松明。
村人は探し物をしてるんじゃないかなって。
雪の日に一生懸命になるのは、人間がいなくなったとか?
村を焼け、魔女を探せ!
ふふっ、今の私は、まだ焼かれた事は無い。
あぁハー子さんに放火されたけど、倒れちゃったしね。
落ち着いて。
大丈夫、いつもの私、少しだけ怖がりの私が混じってる。
松明、探す人、雪の中。
可能性。
断片が見えるわ。
私の知らない知識が告げる。
気をつけろってね。
ホグワーツは安全よ。
「ドヴワティーヌ嬢」
まだね。
振り返る。
今日は厚手の黒いローブだ。
きっと同じ形の同じ服をたくさんもっている。
そして今日はすべて厚手。
誰か、いなくなった?
私の言葉に、寮監先生は片眉をあげた。
あたり。
「なぜ、そう思った」
今、私を多く占めているのは、血の力をもっている私。
私を壊すような気配がするの。
見に行きたい。
ホグワーツの外で、誰か、死んだんでしょ?
見たら、少し説明できるかも。
化物の私の昔話よ。
それに呼んでるから、貴方が呼びに来た。
「マフラーは?」
厚手のマフラーは無い。
部屋にあったストールを巻く。
フード付きのローブだから、そのまま頭を覆う。
暖炉の前に立つ背中に問う。
生徒、じゃないよね?
「否」
誰だかわかってるの?
力が少し抜ける。
でも言い渋る気配。
あぁ、わからないのね、見分けがつかない?
「あぁ」
でも、私を呼んだ。
嫌な感じ。
寮から出る。
人影はない。
子供たちは?
「点呼をとっている」
校長先生は、何と?
「君が見ての答えが知りたい」
闇祓いは?
「まだだ、村人がいる」
寮監先生、どうしてお名前、呼ばないか、わかるー?
「そうだな。力のコントロールの為か。他の教師もだろう?」
いいえ。
私、ちゃんと他の人は名前を呼んでるわ。
でも先生も、分けてるわよね。
寒々しい廊下を進む。
静かで、雪が音を吸ってしまっていた。
私の事は、家の名前で呼ぶの。
きっと、私がオブスキュラスを飼っているのかもしれない。
それとも血の呪いで、狂うかもしれない。
そうね、私を殺す時に、躊躇わないように、するために。
まぁ、そうよね。
私、化物ですもの。
私もね、寮監先生を、役職で呼ぶようにしているの。
なぜだかわかる?
この世に私を繋ぐ艀こそ、私を殺すからよ。
だから、殺されて、埋められる時、名前を呼びたくない。
助けて、許して、なんてね。
...
なんて、言わないよー、しめっぽい女ってきらいー!
私は、私を助けるし、私を立て直すのは、誰か、ではない。
まぁ魔女子まじょこさんは、長い間、チュウチュウ寄生虫ムーブで生きてきて、ちっとも楽しいことも嬉しいことも無い、なんて感じてたんだろうねーぜいたくー。
そうぜいたくーなんだよ。
そのムーブ、嘘だよね。
化物の私、絶対に、政治とか権力をチュウチュウしてたでしょ。
だから、火あぶりなんだよー。
弱いフリ?
怖いよねー。
「手を」
左手を差し出され、雪の積もる道に踏み出す。
利き手を自由にしなければならない程、危険なのだろうか。
手を引かれながら、私は喉の痛くなるような冷気の中を進む。
雪は青白く、夜を照らす。
暗いようで明るく、今の私は、既視感に浸る。
いつかどこかで、同じように手を引かれた。
いつかどこかで、その手が私を絞殺した。
いつかどこかで、泣きながら私を埋めた。
...
うまく息ができないような気がしたけれど、それは気の所為だよ、あんぽんたん!!
今は主導権を与えてるけどさー、そのヤンデレな感じ、キモイー。
そう言うのは惨めだし、男に何を期待してるの、馬鹿じゃない?
人生を選び、男を支配するんでしょ?
恐れるのは、選べない事だよ。
誰かじゃない、自分が自分の主じゃない。
何度も言うぞ?
自分に酔う奴の悲劇のヒロインぶりって、男にベタベタな媚を売る女より笑っちゃう。
ねぇ、化け物のくせに生きるのが、怖いの?
なに、このメンヘラ女。
煩悩まかせに、大人の男をたらしこんで
ロリコンの烙印を背負わせるぐらいしろよー
もう、この子ったら、
欲求不満なんでしょ!
やーだわー男を操る?
それ以前だわー、やっぱり、海を渡って楽しくやろうよ。
ショー・ビジネスで一旗揚げようよ。
ほら、ちょっと楽しいこと考えてみてよ。
寂しく雪に埋まった場所で、健全に暮らし過ぎなのよ。
血迷って寮監先生、しゃぶっちゃうぐらい、欲求不満なんでしょ?
ほら、いめーじ、いめーじ。
おいちぃ美少女美少年ハーレムをば...
なに、魔女子さん、アダルティな大人じゃないと嫌?
ふひひっ
ほら、煩悩は世界に巣食うのだよ。
間違った救うね、救う。
イケメンで渋いオッサンを侍らせようぜー!
不謹慎!
はいはい、ちょっと後ろに下がるよー、メンヘラムーブすんなよー!
林の中、膝下まで積もってる雪に人影が多数。
その中にダンブルドアの姿があった。
松明で照らされた雪の吹きだまりに、黒い物と布、そして化け物の私の記憶にある、景色が広がっていた。
誰も何も言わない。
けれど、場違いだという空気が、囲む人々から読み取れた。
「連れてきた。凍える前に済ませてくれ」
それを見た時、私達は、ちょっと笑った。
オーケーオッケー
だめだ、これ、シリアス。
それも最悪。
ヤヴァい、これ、シヌ。
私じゃなくて、この人達、ヤバい。
これ、ヤバい。
メンヘラムーブもオコチャマも、ここからは、別ゲーだよ。
生存競争のね。
注意!!
だよ。
さぁ、ちょっとばかり、要領のいい私。
バカで無神経で、許している私に任せなさい。
知識だけ置いて、黙るんだ。
ちょっとばかり、運が無いのが不安だけどね。
ちっちゃい私も、恨みがましいジメジメした私も、さぁ気持ちを切り替えろ。
生き残って、叔母さんと一緒に暮らすんでしょ?
私達、幸せにならなきゃね。
それからさーハリー・ポッターってさー、やっぱりSAN値チェック必要な話なの?
ねぇ、寮監先生、これさぁー
「わかるのか?」
知識としてはね。
予想は六割妥当なライン。
「何と?」
「これが何かを説明できるそうです」
校長先生の見解は?
「先にお前の、その六割の予想を言え」
暗い瞳を見上げる。
雪をたたえた梢を背に、寮監先生は、私を見ていた。
彼は珍しく、孤島に心を預けてはおらず、私を見ていた。
だから、私は楽しくなった。
楽しくて、きちんと教えてあげる事にした。
大昔からある、頭のオカシイマグルの生贄の儀式。
「マグルが執り行う、邪教の儀式だと言っています」
「詳しく」
集まっている人達に聞かれても大丈夫?
「仲間だ」
仲間、何の、仲間なんだろう?
まーいーかー
血の力が覚えてるお話ね。
彼らはマグルの間では、大昔からいる。
頭のオカシイ集いなんだけど、ある神を崇めている。
よくある話よね。
ただ、魔女狩りが激しくなった一端も、この集団が一因かもしれない。
そうね、魔法界の歴史書には出てくるかもだよ。
「我々の歴史書にも記載があるはずだと言っています。
魔女狩りの原因ともなっている集団かと」
ひとつは、彼らは魔女を生贄にするのを好んだ。
つまり魔女狩りをするマグルの中にいた。
質が悪い奴らでね、マッチポンプ、儀式の残骸を魔女の行いにした。
この目の前にある残骸、この何かが残ってるのも特徴。
「この痕跡を魔女の行いとして、魔女狩りを激化させ、捕らえた魔女を生贄にするという行いを続けていた」
あと、奴らのやり口の特徴。
生贄を生きたまま、儀式で捧げるの。
結果として、儀式で死んじゃうんだけどね。
「どういう意味だ?」
生贄としたけど、実際は、神にお願いしているだけ。
どうか助けてって。
生贄として、食わせるけど、殺すつもりはない。
「神に助けを求めただけで、生贄を殺すつもりはなかった。
殺人犯の言い訳のようだが」
意味がわからないよね。
見上げる瞳に、疑念が揺れる。
そうだよね、気持ち悪いよね。
魔法使いの世界でも、これは無いよ。
「どうした?」
「続きを」
生贄には二種類。
さらってきた女、魔女は当然だ。
だが、自ら志願した魔女の場合もある。
「自ら望んで生贄になる女もいると」
そう、魔女の中にも信じてる輩がいる。
この神様の力がほしいってね。
この儀式で呼ぶ神様はね、ほんとうかどうかは知らないけど、たくさんの恩恵があるんだ。
「儀式によって得る、神からの恩恵とは?」
若さと永遠の命。
「叶うと?」
これで生きてたら叶ってたんじゃないの?
「どういう意味だ?」
化物になれば、人間じゃなくなればいいんだもの。
これが闇の人達と似てるけど似てないところね。
化物になりたいとは、思ってないでしょ?
***
「マグルの邪教の集団だと、信じるのか?」
集まった人々の中から、大柄な影が問う。
「マグルを含む、だ。
彼女は、白い魔女と名乗った。
白い魔女とはヴォルヴァ、スカンディナビアの魔女、知識を貯める者を指す。
杖を運ぶ者といえば、分かる者もいるじゃろうか。
簡単に言えば、人生を繰り返し知識を貯める魔女だ。」
「それが何だと言っていた?」
「可能性の話じゃ」
彼は、元、人間の残骸が抱えていた品を、慎重に引き出した。
肉と骨、そして異形の黒い木に覆われたソレが抱えていた、女物のバックだ。
小さなそれを開くと、女性が持つであろう細々とした品が入っている。
つい先程、バーで飲んでた風の女の持ち物。
その中身は特に奇異な物は見当たらない。
ただ、その避妊具などが挟まれて小さな内ポケットには、半分に折りたたまれた、マグルの写真が挟まっていた。
「彼女の血の力は、いわば、その繰り返しの知識の集大成じゃろう。
己を守る力、知識を守る力じゃ。
それを利用する男は権力を得るが、大方の女は死んでしまう。
彼女の血筋を嫁がせぬ、マグルに与えるなとは、そういう意味じゃな。」
慎重に指で挟むと、それを開く。
家族写真だろうか、何かの記念に撮られた物だろう。
松明を掲げる弟へ、彼は写真を見るために差し出す。
正装した親と子、三人の写真だ。
母親は椅子に座り、子供を膝に乗せている。
その椅子の背に片手を置いた父親。
写真の裏を見る。
日付は六年前。
依頼主への返却不要の文字。
美しい東洋人の母親。
ろうたけた姿は一種独特で、黒目がちの顔立ちに、長い首筋や華奢な肩のラインが娘に受け継がれている。
そして父親。
穏やかな風貌の男だ。
あの娘の父親には見えない。
つまり、男の血には出ないのだろう。
だが、その膝に乗る娘の色合いは、この父親から受け継がれたとわかる。
薄い銀色の入った金髪に、少し色味が暗めの肌。
なによりもその瞳の色は、不思議な琥珀色をベースに、滲み溢れだすように緑や青を含んでいた。
そしてその穏やかな表情。
口元だけは嘲笑にも見えるそれは、娘の顔にもよく浮かぶものだ。
何か楽しい事をつねに喋りだしそうな、それだ。
そんな親子の記念写真を、兄と弟は見つめた。
「どういうこった?これは誰だ」
「なるほど」
「自分だけわかってりゃぁいいって風は、いい加減やめろ。迷惑なんだよ」
「いつも、すまぬな。」
「余所者を見張れと言われていたが、これは度を越す話だ。
何が起きてる。村の者も、不安になっているぞ。」
「儂も、少し困惑しておるよ。
あぁ、そろそろ闇祓いが来る。
少し、我々は軌道を修正せねばならん。
触れた者はおらぬな?」
「あぁ、ちょっとした隙だった。
ほんの少しの時間だった。
まかれたと気がついてから、雪の足跡をすぐにおった。
数分の差だ。
誰も触っていない。
それにわかってるだろう、飛翔して何かをするにしても、本人の分しか痕跡が残っていない。
魔法の痕跡もだ。
目的もわからん。
ホグワーツに来るつもりだったのか、それとも誰かと会うつもりだったか」
「たった一人で、ここまで歩いてきたとなる。
被害者自らが、たった一人。
この辺りの地理も知らぬ、女が、雪の日にじゃ。
呼び出されたと考えるのが妥当じゃろう」
異物となった遺骸の周りには、黒い油で魔法陣が描かれていた。
当初は、それが炎をあげており、中心にあったモノには誰も気がついていなかった。
そして目にしても、それが何であるのかはわからない。
ドロリとした黒い液体に、骨と癒着した肉の塊、渦を巻くように黒い枝のような獣の四肢のような物が絡みついている。
それが人間だと分かるのは、その肉と骨を抱えた枝の中心に女の顔があったからだ。
女の苦悶の顔が見えている。
そこからよくよく見れば、人間の体を大きな手で引き絞って丸めた肉団子のようになっていると、想像できた。
悍ましさは、計り知れない。
彼女を呼んだのは、あのクィレルの頭部に生えている木と同質である。と、見て取ったからだ。
女が抱えていた写真を見て、ダンブルドアは、予想外でもあり、当然のような気もしていた。
「スネイプに見張らせてるのか?」
「他に誰を置ける」
「魔法族云々ではない、闇の生物でもいるんじゃないか?
そもそもこの、黒い奴はどこから来たんだ」
「問い合わせは各方面に出している。
彼女が言う通り、魔法史を注意深く読む必要もな」
「どうすりゃいいんだよ、こんなもん。」
「あぁ、きっと利用しようとした輩も同じ事を言っておるじゃろうのぅ」
***
ねー寮監先生、ねーってばー
聞こえないふりすんなー。
もうしょうがないなぁ。
お願いがあるんだ。
夜の見回り、一緒に行きたいのー。
あのね、あのね、冬休みの間だけ。
「何故だ?」
およっ、駄目だって言わないんだね。
あれ、ホグワーツに既に入り込んでると思うよ。
クィレル先生のオシャレ装備になってたしね。
でも、冬虫夏草とかもさ、何が条件で生えちゃうのか、調べないと。
怖くて夜しか寝れないよ。
「菌類、生物であると?」
オカルティックホラーとかファンタジーより、どー見ても、あれ遊星からの物体Xだよ。
「何だソレは?」
誰がとか、目的とか抜かすとさ。
害獣が入り込んだってだけじゃん。
得体の知れない魔法陣。
生贄なのか、何かわからないハムになっちゃった人間とか。
闇の勢力?
それともマグルの怪しい集団?
そーいう難しい理由とか原因は、ヒゲが考えればいいんじゃね?
で、寮暮らしでホグワーツ根城の人間は何をするか?
狼とか野犬が入り込んだら、マグルなら猟銃で仕留めるだけだよ。
違う?
「違わんな」
帰り道、繋いだ手をブンブン振りながら歩く。
言わなかったけど。
遊星からの物体Xだと、三年で人類滅亡である。
まぁアレが、それだとは考えていない。
そんなの南極基地で戦っていてくれ。
ハリー・ポッターな世界の冬の景色で、エイリアンと戦うとかは無い。
ただ、ちょっと魔女子さんの記憶と、私の好きなラヴクラフトの世界は、とても似ているのだ。
茶化して遊星からの物体Xとか言ったけど、その物体Xもラヴクラフトの世界と関わりが無いわけでもない。
そして魔女子さんの記憶の、変な儀式をしてる集団も、内容的に似ていた。
おいおいおいぃ!ってなる。
もう、そうなったらファンタジーで燃やし尽くすとしても終わらない話だ。
マグルとか魔法族とか、設定も燃え尽きて人類滅亡シナリオである。
そんなテーブルトークRPGの卓にはつきたくないのだ。
私はロマンと夢に生きる魔法少女(笑)なのだから。
まぁ同じ人類滅亡だとしても、魔女子さんが想定しているのは、違うけどね。
ただ、原産は同じかも知れない、と、慄いていたりも。
アレ、木に見えるし、他の人も、木と認識してる。
人間は、これは木、だなってね。
じゃぁ木で、何某かの儀式で、ああして現物を残すのは?
と、考えると、魔女子さんは、思い当たる。
うん、感染はしないけど、信者が密かに増えてたら嫌だな。
こう、抜き打ち持ち物検査とかしたほうがいいんじゃね?
つーか、怪しい職員の職員室周りをあさりたいー!!
そいで考える。
ポクポクチーン!!
と、いう事で、夜のデートをしたいのであーる!
聞いてない。
お約束だね、聞いてないよ。
寮監先生は、少し気が抜けたような表情で、ホグワーツ城を眺めていた。
しょうがないので、繋いだ手をブンブンした。
大丈夫?
「君の言う通りだ。答えはシンプルが一番、だ」
大丈夫じゃなさそうだな。
ちょうどいいや、補助要員さんの机を漁ってから帰ろう。
寮監先生が立会ならいいよね。