R15は、予防措置と寮監先生の苦行成分でできています。
そこに愛はあるんか?
見えないけどね。
新学期が始まった。
雪に雨が混じる。
春前は、だいたいが雨だ。
少年たちはクィディッチに励み、今年卒業の先輩方は進路の事でざわついている。
生徒達が戻って来ると、休暇の間にあった出来事が幻のように感じた。
ただ、例の補助教員の女性二人は、授業から外された。
クィレル教授の穴を埋めるのではなく、彼女たちは数十年前からの卒業生の進路結果資料の纏めをする為に、一室に押し込められている。
大変に重要な資料の編纂を、校長直々に命じられた彼女たちは、無事に隔離された訳だ。
捕まえて調べればいいのに。
「それも一つの手だ。だが、見分ける手がかりを探したいのもある。」
監視はついている?
「当然だ」
図書室での私語は厳禁だ。
彼は呟き、私は無言である。
司書のマダムは、鷹のように目を光らせている。
例のハイランド魔女シリーズのお礼は言ってあるよ。
ファンレターは送付済みである。
新しい彼氏って、やっぱりヒモ体質なのは何故なんだろう。
よっぽどイケメン子犬系?
んで、何で私がここにいるのか?
彼の偽装である。
放課後の空き時間。
私に教えている風で、クィディッチルールの本を確認中だ。
まじめだよねー
今度の試合、妨害が入らないように監視するからって、審判役に手をあげた。
そいで、ルール本で抜け確認。
ワイ、一ミリも興味ないけど、私が(これ重要)本を確認しているって風。
大人って大変だね。
「言ってろ」
因みに犯人の目星は?
箒を、呪った?
気絶して、よく覚えてない。
まぁ私が見ても、わからないけどね。
彼は本に目を落としたまま、私のメモにサラサラと文字を書いた。
因みに、私のボールペンでね。
種類・闇
見た限り
強度・ジンクス
強度には、ヘックス、カースがある
カウンター可能・ヘックスまで、最強はカース
解析・ジンクス軽いいたずら・インペディメンタ、動きの妨害
カウンター・カースを行う
中空に視線を向けていた為、地上の術者を特定できず
と、書いてから、文面をグリグリとインクで埋め消した。
審判なら上空から見れると?
「そうだ」
こんなに有能なのに、犯人と思われちゃうとは。
まぁ、そういうロールで動いてるから、責任は本人にもある。
そもそもハリー君は、何で狙われているの?
で、メモ書き。
帝王に死を齎す子供だからだ。
いやーちょっと、ごめんね。
ワラかさんといて。
帝王(笑)、謎生物と合体して、人間社会に復帰するのはむずかしーよーなー。
「残党勢力は残っている」
頬杖をつく吾輩氏。
こちらを見て、本を置く。
ちなみに書架のある、奥まった小テーブルにいる。
司書先生が時々見回りに何故か来る。
もう、考えてること、さすがに分かる。
セウェルス氏よ、君はどれだけ信用ないのよ。
「ほっとけ」
まぁ、司書先生も同じとは言わないけど、実情を知らない。
帝王(笑)の残党は、帝王のあの状態なんて知らないしね。
霊体?
人面疽?
寄生生命との謎合体?
ともかく、意思疎通以前の問題。
今、きっと魔法界の研究所でイジられてるんだろーなー。
でも、死んだ?って思ってるんでしょ、元々。
「いや、不明だ」
虚の予言・Voidprophecy
対象・不明
記録球・無光化
残響観測・ハリー・ポッター
備考・消失
さらさらとメモ書きに書き込まれる。
なんですか、これ?
校長と私が指針としていた物の現在の状態
それが失われた
クィレルが運び出された後だ。
黒く塗りつぶすのも駄目だったのか、メモは破り取られた。
「借り出していくか」
数冊、適当な本を纏め、ルールブックを間に挟み、カウンターへ向かった。
まとめ買いの小さなメモ書きも数に限りがある。
そろそろキラキラ文字呪文を習得してもいいが、あれはあれで使い勝手が微妙。
書いて消せるマジックペンの小ボードを首から下げようとしたら、パンジーちゃんに反対された。
なんだか、大興奮で嫌がられた。
アンタ、ぜっったいくだらない嘘書いて、笑わせに来るにきまってんのー!!
皆に見えるように書いてる姿が、予想できるんだからー、むきぃー!
だったかな。
確かに。
手のひらサイズの小メモと違って、結構な大きさのボードを首から下げたら、そりゃもうはしゃぐだろう。
罰ゲームばりに、色々、書いて首から下げちゃったりするだろう。
うん、面白いよね。
絶対にやるなー!!
って言われると、体をはってやりたくなるのが、ぷろふぇっしょなるなのだよぅ。
なんて、アホな事を考えてたら、突然、足が動かなくなって床に倒れた。
ゴンッってモロに床に叩きつけられる。
いったー!!
「何をしている!」
カウンターで、本の貸出手続きをしていたセウェルス、言う度に違和感ー、が慌てて抱き起こしてくれた。
両足が動かないねー。
マジで痛い。
声が出ちゃいそうだぞぃ。
あー、口に血が回るぅ。
「血を飲み込むな、吐け」
乙女的にヤダ。
「ほら、飲むと吐き気が出るぞ」
で、口元にハンカチをあてられる。
やだなーそのハンカチ頂戴、洗っとくぅ。
しかしハンカチは吾輩氏のポケットへ。
何かの呪いとか実験に使わないでね。
「使うか、馬鹿者が」
と、その間に、解除呪文が唱えられる。
足の自由がもどったぞー。
はぁ痛かった、膝も打ってる。
んで、改めて周りを見回す。
眼の前には、両手を中途半端にこちらに差し出して固まるネビル君。
うん、助けてくれようとしたんだね、ありがとー。
そいで図書室の入口側の死角に、マルフォイ君。
あー犯人は君ね、杖を構えたまま、凍りついてる。
ぼへーっと取り巻き二人はしているように見えるが、実は彼らは彼らで、ちゃんと考えているんで、ワイを抱え起こした吾輩氏を見て、冷や汗をかいているだろう。
やべぇよ、やべぇよって声が聞こえるよーだ。
セウェルス、単純な間違い。
子ども同士の、小競り合いの間に踏み込んだだけ。
んで、吾輩氏、私をゆっくりと立たせると、私の鼻に手を当てた。
「この場にいる者は動くな」
おどろおどろしい、声だぁ。
美声なんだけどね、もう怖い。
「応急処置だ」
で、簡単な治療呪文。
おぉ、鈍い痛みになったぞぅ。
ありがとう、ほんと、息が詰まるぐらい痛かった。
車の下敷きになって以来だよ。
確認の為に掴まれていた、顎を掴む手を軽く叩く。
と、覗き込んでいた瞳の奥にスイッチが入るのが見えた。
氷点下な表情になる。
あぁ、先生、ほどほどに〜
叩きつけた鼻がね、実は流血大惨事だった。
咄嗟に手をつけなかったんだよね。
頬も少し打って痛い。
何事かと出てきた司書先生に、私は渡された。
鼻血まみれとか、ちょっと鏡見たい。
鼻ぺちゃになってたら、笑えるぅ。
美人(自称)とかになったら、初対面で女の子に逃げられなくなるかなぁ。
まぁ魅了の魔力が問題なんだけどね。
女の子とか猫ちゃんだと威嚇とか威圧感になるみたいだって、最近わかった。
魔力コントロールの訓練して、やっとこう、流れが何となく見えるようになったらまぁ。
そりゃぁ猫ちゃんにいやがられるわーって、ハンカチありがとう、ございます。
マダム・ピンスにもハンカチを使わせちゃった。
そいでそこからは、悪役ロールのターン。
といっても、その背中は面倒くさいと言っている。
最近、何となくわかるのである。
相変わらず、心は閉じている。
けれど匙加減、あぁ、本心は知らんが、今、こう感じてる?
極小・イラ
極小・面倒
極小・何か手順を考えてる?
残り・眠い
で、これが表層にある。
本心は、まぁいつも通り何処かに旅立ってる。
すごいよね、これこそ本当のProfessionalだよねー。
で、ロールは、ちょこっと面倒だけど本心も混じっているよ、で振る舞ってるね。
ハリー君が絡まなくても、減点はする。
ネビル君は、助けなかった事で減点。
いや、助けるどころか、彼、不意打ちで同じ事されそうになってただけじゃん。
そいで、マルフォイ君は、私に謝罪と共に、お家に手紙を出すように命じられた。
ネビル君だけ、減点って、またー。
念の為、医務室に向かいながら言うと、吾輩氏、溜息。
「減点だけでは、ドラコの罰にはならん」
どういう事?
「父親、一族の頭領から、君には重々配慮しておけと命じられているだろう。
それがこの失態だ。
認められたい相手に、己の失態報告。
生半可な自己弁護をすれば、私への確認が来た時に、更なるペナルティが与えられ、失望されるだろう。
さらに母親が知れば、長い手紙が届き、家に帰れば説教と教育が待っているだろう」
うん、でもネビル君だけに減点はないよー。
「人生は理不尽なものだ」
要するに、グリフィンドールが嫌いなのね。
しょうもない大人である。
ハー子さん、ワイ、弁明できねーや。
何でグリフィンドールが嫌いなのか聞いてもいい?
いや、その顔、怖い。
「人生は理不尽なものだ」
わかった、何も言わんでいーや。
大体は、わかった。
女神周辺事情ね。
聞くと、SAN値が削られる奴ね。
で、そんなクィディッチ試合前のあれこれ。
医務室に行った後の数日間は、いつもどおりだった。
そう、いつも通り魔法薬学の合同授業は荒れ、吾輩氏のじゃっかんやる気のない悪役ロールを見せられる。
たぶん、今はグリフィンドールが嫌いなんだよ、ってだけの行動だ。
つまり不要なエキセントリック話術が消えて、マジ、おめぇら嫌いってだけになった。
まぁ大人げねぇ可愛い感じになっている。
わかる?
心身ともに、お互いに抉られるようなやり取りじゃなくて、まぁ、念の為、距離感とっとこう。
それにグリフィンドール嫌いだしな、って感じ。
依怙贔屓はするけど、減点は必要な場面だけである。
そして嫌味は相変わらずだが、人間的に駄目だろってのが無い。
推測するに、彼らの計画が瓦解した。
原因は言うまでもなく、ハリー・ポッターに存在しない私の所為だろう。
たぶんね。
ハリー君自身へ影響がある事。
まぁ順当に考えれば、闇の帝王である。
あの時、賽子を振るとは、運命、人生の進路を選んだ事になったのかもしれない。
私だけでなく、私を取り巻く人間のね。
それはクィレル氏、ハリー君、それこそ闇の帝王?もだ。
残滓らしき人面疽?が、今現在弱体化と言うより、存在が謎な事になっている。
アレが、人として復活?
復活するとしたら、闇の帝王なんていうアイデンティティが残ってるとは思えない。
むしろ、エイリアンVSプレデターな世界になると思う。
つまり、これまでの想定する脅威から、すんごく違う何かが発生して、この有り様。
何となく、誰かに謝ったほうがいい?
って感じちゃう。
闇の帝王さんは、魔法界の魔法族の、人だ。
けど、私が持ち込んだつもりは無いんだけど、私と一緒に紛れ込んだ要素は、どう考えても人間じゃない。
魔女子さん曰く、マグルに昔から蔓延ってたっていうけど、その神様?
どう考えても、魔法生物とかじゃなくて、得体のしれない地球外生命体って言ったほうがいい分類。
ジャンル違いだと思うのよ。
闇の帝王には、きっと七面倒臭い倒し方とか色々あるんだろうけどさ。
でも、あの頭部に寄生してたのは、違う。
ともかく焼き焼きしていーんじゃね?
って感じである。
人間の犯罪者じゃなくて、あれ、どうみても人類を冒涜する侵略者である。
焼こう、焼くべき、焼きましょう!の、汚物は消毒じゃ~だ。
と、なると今までの路線をどうするかで、大人達は困惑している。
当然だよね。
もしくは、別の選択を模索し始めた。
まぁある程度、私には情報開示してくれるだろうけど、それは木に関してだけだろう。
ハリー君の事は、また別だ。
スタンスはかわらん。
まぁ、これ、全部推測。
そして私としては、枝が伸びなきゃどうでもいいし、子供たちに何事もなければ、他はどうでもいい。
闇の帝王(笑)にしても、帝王に見える複製だ。
(笑)をつけてるのは、馬鹿にしてるからじゃないんだよ。
まぁスタンスはいつもフザケてるけどね。
本物で偽物ね。
生きてないけど、死んでないって奴。
だって、細胞レベルで侵食されて変化、私は複製と言ったけど、別物に生まれ変わってる状態だ。
どうしてあぁなったかはわからない。
予想としてはだ、クィレル氏、マグル学の先生だったけど、お休みとって何やら冒険してたらしい。
そいで復帰はDADA、吾輩氏がなりたい防衛術の教授になった。
つまり冬虫夏草みたいに寄生されたのは、その冒険の旅の間である。
冒険の旅の間に、木を産む儀式に遭遇した。
不運どころじゃない。
『黄昏教団だったかしら、再誕の儀式ね。
そういう儀式があるって、調べに行ったんじゃないの?
彼、防衛術の先生になりたかったんでしょう?』
サラッと新事実を脳内に入れ込む魔女子さん。
やめてー!!
まぁ聞かなかった事にして、その再誕の儀式とやらにクィレル氏は遭遇した。
『再誕の儀式は、99%失敗するものよ。
そして生まれ落ちた木の殆どが、母体が死ねば終了。』
エイリアン設定で考えるワイ。
ちゅまり?
えいりあ〜ん→エイリアンと人間の遺伝子を混ぜて、子供をつくる。
ふぁんたじぃ→謎の神に生贄の女を食わせて、神の子をつくる。
えいりあ〜ん→子供の殆どは、環境に適応できずに死ぬ。
ふぁんたじぃ→神の何かと混ざると、人間の魂が死ぬ。
えいりあ〜ん&ふぁんたじぃの結果
再誕失敗
→生まれて死ぬ直前、最後の抵抗で身を分裂させた寄生虫(枝)をばらまく。
→人間の男に寄生
→男から女へ
→子供誕生
→子供=木
→木=人間の遺伝子を取り込んだ異形爆誕!
→人類滅亡
再誕成功
→その母体から、望んだ子供(木)が生まれる。
→子供=木=人間の遺伝子を取り込んだ異形爆誕!
→人類滅亡
健康体で生まれた子供は、托卵の過程を省略、先祖返りの純正エイリアンを産む。
つまり完璧な苗床で、この世界で完全な神とされたナニカを産む。
どうしろと?
『寄生、繁殖方法とは別に人間を養分として成長もするわね。
前にも言ったかしら。
枝が寄生しやすいのは、子供よ。
妊娠中なんて最悪ね。
だから、見かけたら焼かないと駄目よ。
次に男ね。
健康な男ほど枝を好むわね。
この健康なっていうのは、体の方よ。
頭の中身は傷んでる方がいいみたいよ。
死にたいなんて考えてるような魂。
歪んだ心も対象ね。
子供以外だと、屑ほど狙われるわ。
不思議よね。
ただし、木に選ばれるのは女だけよ』
ぎゃー!!
ヌルっと情報寄こすな、やだっー!
つまりエイリアン設定だと科学技術で、謎生物と合体研究して、いらん生物を爆誕させてる状況。
そしてファンタジーな世界だと、謎生物を神とした、アホな教団がマジカルパワーで、いらん生物を爆誕させようとしている?
あほがーっ!
『そうなるわね。貴女の考え方、とってもしっくりくるわ。
彼奴等、謎生物よね。』
宇宙産か異界産か。
あんまかわらねぇような気がする。
でもさ、それで言うと、何で、木がクィレル氏の頭部に存在してたん?
失敗作で、本来はチョロっと枝を産んで死滅でしょ。
たまたまかどうかは知らんが、行き合わせたクィレル氏に寄生するのは枝で、木じゃない。
けど、あれさー木だったよね?
雄でもオッケーなん?
クィレル氏に同化じゃなくて、養分として生存をしようとしてたから?
でも木は、偽装しない...
おーまいがー
ひらめいた事柄に、ワイ、呆然。
生贄役の女に、たまたま余計な闇の帝王が取り憑いてた、説。
それを儀式で使っちゃった?
いや、帝王、永遠の命とか、願ってたりした?
でも、でも、ましゃかねーそんなー…
そもそもが闇の帝王、なかなか死なない何かだったから、再誕しちゃった。
けど生贄の女は死ぬし、闇の帝王、男?だし。
けど死ぬに死ねなくて、でも、闇の帝王も瀕死というより、別の生き物になってるわけで…えーとえっと
助けてーどらえもーんセウェルスぅ!!
んで、緊急召喚ならぬ、吾輩氏にワイの考えを伝える。
吾輩氏、更に血の気を失うと校長に報告。
校長、めまいを起こして、座り込む。←いまココ、new!
「確定、になるのかのぅ」
再び校長、お顔を両手で覆って座り込む。
闇の帝王の危険度が下がっただけでいいんじゃないの?
だって、もう、別人というより別生物で、別の、魂残ってんの?
「だからこそ、の手紙だったのでは?」
それに校長は顔をあげた。
キラキラと輝く瞳。
おっ、謎の復活。
「新たに、か」
「きっとそうでしょう」
つまり?
どらえもんならぬ、セウェルスを見上げる。
「夏季休暇の予定が確定したな」
夏休み?
「オーストリアの夏は、爽やかで過ごしやすいそうじゃのぅ。」
「ヌルメンガード城が爽やかだったとは聞いたことがありませんが?」
ぬる、何?
「それまでに、こちらのゴタゴタの目処をある程度つけねばなりません。」
すげぇ嫌そうですが、どーいう話で?
「君に来た手紙を覚えているか」
知らん人からの招待状ですね。遠方の強火担かと?
「校長、どの程度までよろしいか?」
「セブルスの判断でよい。
ふふっ、いや、人生とは面白いものよ」
笑いながら、校長は椅子に倒れるように座り込んだ。
そしてまた、顔を片手で覆っている。
大ダメージという感じ。
こっちは何が何やらだ。
「我々、校長と私は、予言にて今までの指針を決めてきた。
魔法界での予言、預言者と呼ばれる者の言葉は重い。
神託と思えばよい。
しかし、予言は確定世界を言い当てているのではない。
故に、慎重に立ち回る事が必要だ。
我々は、闇の勢力に対して、ある予言を与えられた。
そしてそれに沿って対抗措置を考え、動いてきた。
だが、嘗ての予言が変化し、破棄にいたったと認めた。
未来は再び霧に包まれたとの判断に至った。
ここまでで、質問は?」
戦争が再び起きないようにって、動いていた。
でも、あの木が、原因たる帝王を変えてしまった。
だから、予言、未来も変化した?
「簡単に言えば、そうだ。
そこで重要度が上がるのが、君への招待状だ。
本来であれば、君の血筋に興味を示しただけと判断する所だ。
だが、我々の予言が閉ざされた今、あの招待状の意味が変わった。
パーシバル・グレイブス、この名の人物の生死は不明。
死亡したと考えられる。
ある人物によって成り代わられると同時にだ」
昏い瞳から、きらめく瞳に目を移す。
つまり?
「グレイブスという名で、我々が思い浮かべる男は一人じゃ。
そして招かれた先に、その男はいる。彼は、預言者じゃ。」
新たな予言の確認?
「そうだ。新たな予言、我々が関わりがある、そう、今後の指針になるだろう予言が見えたのだろう。
君への招待状も予言に含まれるのだろう。」
***
とは言え、本分は学生であるし、それぞれに役目もある。
ましてや、ハリー君が、闇の帝王(笑)以外からも狙われているのは明白。
おまけに、エイリアン…じゃなくて謎生物の冬虫夏草、なんて呼べばいいのかわからん、木から生まれた枝に寄生されてる疑惑の女性二人もいる。
盛りだくさんのホグワーツである。
クィディッチの試合もあるしね。
だからだろう、ハリー君をさりげなく見守る事になるんだけどねー。
あからさまにセウェルスが不審者なんだよ。
見守ってるだろうに、ハリー君&ウィーズリー弟&ハー子さん達が、そりゃもう警戒してる。
コント?
まぁ色々あるんだろうけど、笑えるし、泣ける。
きっと女神の事があるから、仲良くする事はできないと思ってるのかな?
でも、あの様子だと、本気で嫌いみたいだしな。
まぁ大人げなくて、可愛いなぁ。
なんて思ってるのは、私だけである。
そいで試合当日、盛大にハリー君は勝った。
きっとグリフィンドール的には、セウェルスを出し抜いて、勝利したと盛り上がっているだろう。
校長も褒め称えている、が、なんというか、微妙。
だって、エキセントリックムーブかまして、不服そうな顔をするはずの、セウェルスが、スンッ。
むしろ害虫はどこだと、そっちのほうが気になっているようだった。
スリザリンが負けて悔しい演技が、あぁ演技って言っちゃった。
彼は演技ではなくて、スリザリンびいきだし、グリフィンドールが嫌いだけど、それ以上に、前回の妨害行為の犯人を知りたいのだ。
そしてハリー君が勝利したって、別段、いーのである。
ムカつく、とか思ってるけどね。
大人ってたいへんだにゃー。
で、私もさり気なくピッチや観客席を眺めていた。
ほぼ、全校生徒と職員が揃っていた。
例の二人はどこだろう?
見張りはついてる。
彼女たちに枝が入り込んでいるとして、どこまで侵略されているのか。
繁殖したり増やしたりしてないよね?
そっち方向で考えてるようだったら、蛮族プレイ再び&放火魔になるよ。
と、観客席から降りていく背中。
あれって補助教員の女性の一人かな?
見送る?
なにか、フラフラしてるなぁ。
で、振り返った。
彼女は寒さから、マフラーと手袋、帽子にマスクをしていた。
通り過ぎる人に話しかけられたんだろう。
で、手を振って歩いていく。
ふらふら。
うん、何だろう。
何が気になったんだろう?
まぁ、背中から何か飛び出してる訳でもないので、見送った。
どうやったら、見分けられるのかなぁ。
なんて見送ってたら、もう一人いた。
職員の男性と話してる。
こちらもマフラーと帽子に手袋。
マスクだね。
似てるんだよなぁ。
ファッションと言うか全体的に。
二人とも、なのか、一人だけなのか。
そもそも枝は入り込んでいないのか?
でも、なんとなく、怪しげだと私は感じている。
ファング君も、感じてる。
ワンワンは正義。
まぁ、そんなこんなで、試合終了後、大きい人のワンワンに会いに来た。
紳士なファング君にである。
げんきだったかーい!
ガシッと抱きあう我と一匹。
べろべろご挨拶。
相変わらずくちゃいぞ、で、最近どーよ?
うんうん、寒かった?
うんうん、森の奥は相変わらず?
うんうん、でも最近北東の方に、嫌な匂いの奴が来る?
何しに?
木をあぐあぐ食べて、げーげーしてる?
おぅ、こども?
うん、子供たちじゃない。
大人?
そうかー、そいつ女、男?
ニオイが変でわからない?
おぉぅ、あぶないから、近寄っちゃ駄目だよ。
うんうん、そっかー
ちょっと卵が食べたい?
うんうん、大きい人が夜に?
うんうん、そっかー
遊びに行って酔っ払って帰ってくるから心配。
いーこだねーいーこいーこ
でもね、大人じゃん?
街に行くの解禁になったからね。
うん、一緒に行きたい?
まぁそうーだよねーうんうん
ちなみに、どのへんでゲーゲーしてたん?
あんないしゅる〜って?
ありがとー
***
エルダーフラワーの木だ。
和名で言えば、セイヨウニワトコである。
有名な薬用ハーブであるし、神話や逸話だらけの木だ。
今の時期では花は咲いていないが、根や茎、葉、幹、どれもこれも利用できる有能さだ。
香りも好きな人は好きだろう。
その群生地の地面が、真っ黒になっていた。
ちょうど雨や雪の影響がない部分だったのか、剥き出しの硬い地面が黒くなっている。
焼けているというよりも、グズグズの泥になっている。
不自然極まりないし、ファング君の言う、吐いていた場所である。
酔っぱらいのゲロが、地面を腐らせるなんて無い。
で、案内してくれたワンワンの耳が動く。
ちょっ、まてや、ガチホラーはやめなさい。
私の攻撃力は、円グラフにすると、トンデモなく尖りすぎて、無いようなもんだ。
人間の男でゲイじゃなければ、なんとかなると思うけど、な。
なんて、ワンワンにしがみつき、ワンワンは私にひっつきながら、茂みの揺れを見ていると。
「馬鹿が、何で単独行動をとる。その犬が役に立つと思うのか?」
お怒りの吾輩氏に、我と一匹、半泣きで縋り付く。
獣臭かったらしく、離れろっ!って振り払われた。
ひどいよねーふぁんぐぅ。
「何で、よりにもよって、こんな場所に」
嫌なニオイの人間が、ここまできて、そのニワトコ、齧っては吐いていたって聞いて。
このどす黒い土、何ですかね?
「ニワトコの効能効果は知っているか?」
利尿作用、炎症を抑える作用、解熱、内臓の働きの強化。
それぞれの部位と部位の組み合わせによって、多種多様な薬効が認められている。
代表的な利用は、花の部分を風邪薬として、葉の部分を打撲などの外用に使用します。
「よろしい。ニワトコは生の種子や部位などによっては毒性がある、そこの馬鹿犬が食わんように教えておけ」
この木の種、ヤバヤバだって。
うん、おりこー、食べないよー
うんうん。
これを食べてげーげーする。
そりゃ、生で口にしたら、吐くよね。
って思ったんだけど、そもそも何で?っていう。
そいで地面真っ黒だし。
で、一番、疑問だったのは、結局、ハリー君を狙ってる輩がいるのは理解した。
じゃぁ、あの木は、何で、ここに来たの?
おんなじ勢力?
黒い地面を見る背中に問う。
まぁ考えられるのは、私と、私の叔母さんを探しに来た?
化物担当は、私の方で、ハリー君は別口の帝王の残党。
これが妥当かな?
振り返った顔を見る。
相変わらず、何も読めない。
本当の心は見えない。
「最悪なパターンは別にある。
寄生物と残党が同勢力の場合。
共闘しているか、もしくは寄生されているか、だ。
この話題は、私と君の間だけにしろ。
誰にも知られるな」
どうして?
「もう一つ、別の目的が考えられるからだ。」
そう言って、彼は包帯のように巻かれたリボンを指さした。
「今、ホグワーツは守りを固めている。
それを奪いたい者がいる。
例の予言が生きていれば、残党は奪いに来るだろう。
そしてある意味、クィレルに入り込んでいたモノも欲しがるはずだ。」
守り?
何かをここで守っている?
「君が、私に与えたこれが、通行証代わりとなると知られるのは不味い」
あー舎弟フリーパスか。
あの奥って隠し部屋というか、隠し金庫みたいなものか。
なんつーか、ホグワーツ、普通に学校運営しろよ。
子供にトラウマ魔道具見せたり、凶悪な魔獣を金庫番にしたり、子供が事故って死んだらどうすんだよ。
くそがーっ!!
「耳が痛い」
闇の帝王(笑)と残党が欲しがるモノ。
そしてあの木も知ったら欲しがるモノ。
何だろう?
あの木が欲しがるもの?
生贄になってもいいって、魔女が願ったのは、永遠の若さと命。
だったら、その辺の、罰当たりアイテム?
反魂香とか?
「それは何だ?」
チャイニーズの伝説の御香。
焚くと煙の中に亡くなった人の姿が見えるの。
まぁ一時の夢で、あまりよろしくないアイテムね。
ただし、死後三日以内だよ。
そいで何を隠してるの?
「賢者の石だ」
うん、ここで何って返せばいい?
賢者の石って、ファンタジーアイテムなのは理解しているよ。
でも、あれ究極の錬金素材で、確か、金が作れる奴で、だから?
「戻るぞ」
うぇーっす。
ねぇ、ファング君、どう思う?
馬鹿に話したのが無駄だったって顔されたよ。
うんうん、大丈夫、ご飯食べれば、元気でる?
やさしーねー
誰かと大違いだねー
ゆるしてあげようって?
そうだよね、人生って理不尽なんだよ〜
「私を敵に回したくなかったら、黙っていろ」
やだ、悪役ロール、かっちょいい!
で、ホイッと引き寄せられ抱えられる。
そうすると、隠れて聞き耳を立てている姿が梢から見えた。
なるほど、悪役ロールしないとだめだったのね。
しょうがないので、運ばれることにした。
すかさずスコージファイをしてくるところが笑える。
犬臭かったようだ。
ふぁんぐーかえるよー!