R15と残酷描写タグは、グロ成分添加&寮監先生の苦行成分でできております。
ラブは無いけどグロはある。(>ω<)ノお許しを!
実は、最終兵器ともよべる品を、二人は手に入れていた。
フィルチの没収棚から拝借した、忍びの地図だ。
ホグワーツ全域を網羅している地図で、隠し部屋や隠し通路が表示され、それと同時に人物の現在位置と動きまでわかる。
まぁ例外はある。
同姓同名は区別しないし、全域としたが表示されない場所も多かった。
それでもだ、完璧ではないが、とんでもない代物だ。
二人は手にした後、お互いにルールを決めた。
犯罪にはつかわない。
誰かの秘密を知っても、それを言いふらさない。
そしてこの地図の事も、二人の秘密だ。
親兄弟、誰にも知らせない。
もし、この事を破る時は、お互いに相手に伝え、それが妥当か話し合うとした。
誰だって、全ての物事の正しさの判断なんて一人でできるものではない。
これは卒業生のイタズラ仕掛人が作成した物で、これを使えば見回りや出会いたくない人物を避けられる。
ただし、何かの法則で、その表示が消える事もあるので、油断はならないが。
彼らは寮の部屋で、この地図を広げた。
注意するべきは、フィルチや深夜に出歩く自分たちのような者と夜回りの教師だ。
監督生のパーシーは定位置にいる。
弟とハリーも寮内だ。
他の部分はどうかと見れば、教職員の位置も問題は無い。
まぁ一部、問題だらけの名前を見たが、二人は何も言わずに、そこは避けた。
例の彼女が、スリザリンの寮監の部屋にいたとしても、見なかった事にする。
もう、何をどう考えていいのか、彼女の場合は棚上げにしていた。
魔法薬学教授を観察すれば、嫌味や陰湿さよりも付け入る隙の無い冷徹さがわかる。
授業で嫌味な言い回しをほざいている時の方が人間味を残していた。
嫌味さえ出なくなったが最後、あの姫が燃えた時のように、恐ろしい本性が現れる。
付け入る隙など無い、躊躇いも容赦もない冷徹な大人がだ。
校長はそんな男に彼女を渡した。
つまりそういう事だ。
何ら問題は無い。
証明完了、考えるだけ無駄だ。
おとぎ話のお姫様が怪物に捧げられても、彼らは英雄ではないのである。
そして案外、そのお姫様が、怪物の皮を剥いで串焼きにしかねないイイ性格なのだから心配無用だ。
人間、知らなければ心は穏やかなのである。悟った。
「校長の名前があるな」
「あぁ、まぁ帰ってきてたんだろう」
他の教師や監督生、フィルチなどを辿る。
騒ぎになっている四階の部屋。
興味はあるが、どうみても見張りが常駐しているので断念だ。
例の三首の怪物の部屋だ。
出入りしている名があるが、教師達と名が重なるところを見ると、見張りに違いない。
知らない名前だが、校長が手配した警備だろうか。
彼ら二人が目指すのは、職員棟、それも事務職員棟近くの資料倉庫だ。
二人は深夜を回る頃、そっと寮を抜け出した。
弟も何やらゴソゴソといつまでも動き回っているので、中々、出発できなかったのだ。
実は、地図を広げてから少し、問題が起きていた。
目的の資料室に、ずっと観察中の補助教員の名前があるのだ。
じゃぁホグズミードに帰っていった二人は、誰だ?
門を出るまで確認している。
戻ってきた?
そんなバカな。
じゃぁこの部屋にある名前は何だ?
夕方に開いた時、地図上で補助教員や職員たちが帰っていくのを確認した。
事務室も補助教員用職員室も空っぽだ。
夜勤はハグリッドの事件後、まぁどんな事件は伏せられて、やべぇ代物をハグリッドが掴まされたらしいという噂のみだったが、その事件後に夜勤は中止となっていた。
ホグズミードの夜間の外出が未だに制限されているので、早めに帰宅させるのだ。
だから、二人も彼女達が家に帰るのを確認している。
ところがだ、動き回るロンがおとなしくベッドに入るのを待っている間、この地図の表記に異常が出た。
資料部屋の所に、二人の名前が徐々に浮かび上がってきたのだ。
そう、徐々にだ。
この忍びの地図は、名前が浮かぶ。
当人が動けば、その名前も移動する仕組みだ。
こうして浮かび上がり、文字が濃くなったあげく、資料室に居座る名前。
忍びの地図の、不具合だろうか?
そもそもが抜けが多く、名前の判別も実は雑だ。
ちょっと不安になったが、その確認も兼ねて、資料室に忍び込む事は決まりとなった。
***
忍びの地図は部屋に隠した。
もしも捕まった時、取り上げられる事のリスクを考えてだ。
フィルチの巡回ルートは把握しているし、寮を出る時に例の四階の方へ向かうのを確認している。
今回は抜け道などを経由せず、いつも通りの忍び歩きだ。
肖像画や騒ぎ立てるゴーストを避け、静かな夜を歩く。
ホグワーツは歴史が古く、様々な仕掛けが施されており、静寂をたたえた夜が訪れようと物音が激しい。
時折、勝手に組み変わる階段やあちこちの部屋の音に、ゴーストの囁き。
城の外、水音に葉擦れの音、たくさんの生き物の気配もある。
既に夏の前触れの香りさえし、通り過ぎる風も少し騒がしい。
グリフィンドール塔からの階段を過ぎ、フィルチが図書館方向へ曲がるのを確認する。
四階の部屋に表示された名前の人物は、ここからでは確認できない。
その人物は部屋を出入りしている、が、この四階の部屋も表示はその部屋のみで、その先は表示されていない。
この人物が出入りし名前の表示が消える事から、四階の非表示部屋であると推測しただけだが。
二人は四階の部屋、他の塔へと続く階段との間にある入口には向かわずに、そのまま通路を図書室方向とは逆に折れた。
資料室は職員棟方向だが、向かう通路は別だ。
リスクを最小限にする為に、職員棟前の通路に向かわず、資料室の裏を回る形での侵入を試みる。
位置関係はこうだ。
補助教員の部屋と事務員の部屋が並んで通路左側にある。
その対面、右側に資料を保管する部屋が並んでいた。
通路は手前で分かれ、右手側の資料室の裏を通っている。
補助教員が仕事をしていたのは、奥の部屋である。
その裏に回り込む細い通路へと入った。
窓もなく通路は暗く湿った石畳である。
こちら側は装飾もなく、その細い通路の先は、城の外側に回る回廊へと続いていた。
空気の流れはあるし、昼間ならば特に何も思うことは無い。
今は?勿論、今も怖気付いてはいない。
少し背後が気になって、背筋がゾワゾワするだけだ。
いつも通り二人は気配を殺すように先を急いだ。
だが、薄暗がりに足を踏み入れた二人は、すぐさま気がついた。
変なニオイがする?
こういった違和感は、見逃さない。
兄弟は足をぴたりと止めた。
マスクはしていない。
首元に下げていた。
嫌な臭いだ。
生臭い、塵の臭いである。
二人は辺りを見回した。
空気は流れているし、掃除も行き届いている。
と、ジョージが先に気がついた。
頭上を指差す。
天井付近の、部屋のある石壁には穴がある。
空気を通す穴だ。
そこから臭いが漏れているのだ。
二人は思った。
どっちの部屋だ?
二人はマスクを引き上げた。
知らない臭気だった。
嗅いだことのない異臭である。
幅広の回廊に続く通路には出ずに、回り込むようにして曲がる通路を更に辿る。
まずは奥の部屋の扉を探さねばならない。
と、探すまでもなく、細長い扉が、回り込んだ先に発見できた。
手をかける。
やはり鍵がかかっていた。
ここで解錠呪文をかけたいところだが、痕跡を杖に残したくない。
そしてそもそも職員棟の部屋の鍵は複製済みである。
ただし、どれがどれだかは不明である為、十数本ある鍵束を試すことになる。
一人は見張りに、一人はしゃがみ込んだまま鍵を試す。静かにだ。
地図を犯罪に使わないとしたが、他の部分では、既にグレーどころかレッドゾーンである。
まぁ不審な出来事を確かめる為なので、2人の中ではセーフだ。
そうしてやっと鍵の一つがヒット。
二人は資料室の中に滑り込んだ。
中は暗く冷たく、臭かった。
扉は室内の後方にある、補助の小さな出入り口の扉だったようである。
目の前にはうず高く箱が積まれ、埃をかぶった羊皮紙や巻物、様々な物が積み上がっていた。
足の踏み場もない有り様だが、机や棚の隙間がある。
しゃがみ込んでなら進めそうだった。
つまり先程通り抜けた扉は普段は使われていない。
足跡を残さないように、何も物が落ちていない床を選んで進む。
自分達の息を聞きながら、二人は改めてマスクをしてきた事に感謝した。
酷い悪臭だ。
これを吸い込むのには勇気がいる。
二人は這い進みながら、この悪臭が何であるのか、考えていた。
最初に浮かんだのが、生ごみだ。
家庭菜園に肥料として撒くため、食べ物の残りを発酵させている木箱、コンポストの中身。
誤ってぶち撒け母親に怒られた、あの生ゴミのような臭いに近い。
だがもっとかび臭くて生臭い感じもする。
魚の腐った汁だろうか?
2つの部屋と考えていたが、この資料室兼書類保管の二部屋は続き部屋で仕切りの壁は取り払われていた。
この入り込んだ奥側の部屋は、保管用の棚や作業机、持ち込まれた箱が積みあげられ、視界は非常に悪い。
更に、羊皮紙の傷みを軽減するためか、部屋には暖炉などの設備が無い。
通気孔は天井付近に設置されているが、採光部分は、対面の職員棟側の大きな窓なのだけだが、それも分厚い遮光カーテンで遮られていた。
つまり真っ暗である。
ただ、侵入した部屋の方は、ろくろく管理もしていなかったようで、カーテンは薄く開いていたし、暗闇に目が慣れれば見えないこともない。
ここまで来て、二人は悩んだ。
灯りをつけるか否かだ。
魔法で極小の淡い光りを出せない事も無い。
薄く開いているカーテンを閉めてしまえば、外からは何もわからないだろう。
二人は目を見交わした。
灯り、どうする?
やめとこ。
やっぱり?
うん。
目で交信したが、二人とも、どこかでしくじったな、と感じていた。
確認したら、撤退したほうがいいよな。
と、何も目にする前から、考えていた。
室内の中ほどまで進み、今は机下の隙間に二人で挟まる。
生臭いニオイの中に、血生臭さが増えていた。
何より、自分たち以外の、何かの息遣いがするのだ。
確認したいが、確認しないほうが、生存本能として正解な気がする。
さすがのお気楽な考え方を持ち込もうとしても、ここがホグワーツだとしても、わかる。
これは、駄目なんじゃないかなー?
それでも二人は机の下から動き出した。
今のところ、自分たちの存在には気づかれていない。
何に?
大きな棚を迂回して、隣の部屋が見える位置を探す。
かがみ込み這いながら、臭気が増すと共に妙な音も聞こえる事に気がついた。
止まれ。
先を進んでいた兄を弟が掴んで止める。
上。
天井を何かが覆っている。
まだ、隣の部屋との境目は越えていない。
向かう部屋から天井に何かが伸びていた。
木の根のようなナニカだ。
思わず弟の腕をとって、部屋の端に寄る。
背中は本棚らしき部分にぶち当たった。
ミッシリと何かが生え伸びていた。
それだけではない。
その根は動いていた。
隣の部屋を伺う。
暗くて影ばかりだ。
でも音がした。
ホグワーツが奏でるいつもの音ではない。
水音、ネチャネチャという妙に湿った音が聞こえた。
ズルズル?
ピチャピチャ?
何かを言おうとした兄の口を弟が手で塞いだ。
マスクをずらすと、弟は声を出さずに口を動かした。
どうする?
ここまで来たんだぞ?
いやいや。
確認だけ?
いやいや。
うん、撤退。
うんうん。
二人は撤退を選んだ。
そっと棚から身を離し、ゆっくりともと来た場所へと戻ろうとした。
ただ、人間は間違えるものだ。
慎重にしていたつもりでも、ポケットに入れ戻した鍵束が、微かに音をたてたりすることもある。
音がして慌てて、かがみ込んでいたのを忘れ、机に頭をぶつける事もある。
更に散らかっていた紙に手をついて、滑ったりすることもあるだろう。
魔法族でもニンゲンダモノ。
アクシデントのドミノだ!
二人が気がついたときには、両手両足は、黒い肉の根に絡みつかれて、宙吊りだ。
行きたくなかった隣の部屋の、確認したかった全貌も見える。
不幸中の幸いは、マスクをしていたからか、臭いも防げたし、異形の肉の根が顔に巻き付いたり、口内に侵入したりしなかったことだ。
マスクしててよかったねー。
と、後日言われたが、その時はそれどころではない。
兄弟は、恥も外聞もなく絶叫するのだった。
***
ルンルンと杖を手に歩く。
四階に到着〜。
と、扉の所に人がいた。
ビシッとした男の人である。
誰ぞ?
で、言うまでもなく仕込みだ。
来るであろう寄生したナニカを待っている、捕獲要員であろう。
闇祓いの人で、うん、目が淀んでる。
大丈夫なの?
で、憎々しげな風情で、セウェルスを睨んでいる所をみるに、異形だろうが遊星からの物体Xだろうが大丈夫、筋金入りの暴力要員らしい。
敵、ならばシネ、の人だ。
たのもしー
でも、学びやにそんなハードでボイルドな人いていいの?
あぁそういえば、ワイの隣の眉間にしわ寄せてる人も、同じ属性だった。
こんばんはー
ワイには笑顔、セウェルスにはメンチをきる、ヤンキーと化す闇祓い氏。
オモロイねー。
元?死喰い人はシねとか思ってそうだ。
じゃぁ、我々もスタンバイ。
フワフワちゃん、大丈夫だった?
今度虐められたら、ワイが燃やすからな?
うんうん、寝ちゃってごめんね?
良いんだよ、こんな所に勝手に連れて来るのが、そもそもの間違いだよ。
うんうん。
「意思疎通が本当にできるんだな」
「興奮させると邪魔だ、あれに抑えさせる」
で、待つ事、数十分。
誰も来ない。
そいでフィルチさんが一巡目が終わりましたと顔を出す。
ごくろーさまー
と、その時だ。
絹を引き裂く悲鳴というより、あんぎゃーという声が聞こえた。
「そこにいろ、陽動だとマズイ」
言い置いてセウェルスがダッシュ。
闇祓いの人が苦い顔で杖を抜いたままスタンバイ。
「お前さんも、ここにいなさい」
と、フィルチさんに言われるも、ワイは大丈夫〜とフワフワちゃんに待てをさせて、セウェルスの後をゆっくりと追った。
ギャーギャー騒ぐ少年たちの声から、まぁ死なないのがわかったからだ。
で、職員棟の例の資料室と言う名の軟禁部屋が巣になっていた。
この光景、なんだっけ?
リトル・ショップ・オブ・ホラーズ?
まぁ、そんな楽しげではない。
開かれた扉から見えるのは、残骸から生え伸びる根だ。
細い指、それから…
「それ以上は見るな」
『..大丈夫、子供は寝たわ』
木・枝・根
いずれ花が咲くとか?
地獄の花だろうか?
あり得る話だ。
ただし、転がるのは卵だ。
何だかウニョっている。
卵が2つ。
卵の下部にあった枝から根がニョキッと生えてて、アレが走り出したら、私も叫ぶかも。
見事に、グロい。
というか、職員が帰宅時は、一度施錠する為確認しているはずだ。
六時間程度で、産卵して活動を始めるのか?
よくわからん。
疑問だらけだ。
生贄の儀式→女・喰われる→再誕→木・神の因子と喰われた女が合体した謎生物→謎生物の殆どが失敗→神の因子を残そうと木は枝を分離→枝・寄生体は男に入り込む→女が子を宿し神の因子を持った何かを産む→バイオハザード(卵から神の因子をもった何かが人間を喰ってはびこる)
再誕→成功→単体繁殖する神の因子を持った何かが生まれる→バイオハザード
木から直接生まれた場合と枝経由で生まれた場合は、違う?
んで、今回。
クィレル氏(男性)→イレギュラー個体の木。男にくっついちゃったよ?
補助教員(女性)→二人とも死亡し、卵を残す。女性で枝が入ると卵じゃなくて何かが生まれるんじゃね?
卵を残したとすると、枝による肉体変化ではなく、誰かが中間に存在するか、クィレル氏があくまでもイレギュラー個体で原則を越えた?
そもそも卵を腹に抱えてからどれほどで生まれる?
うーん、魔女子さんの情報も、なんとなく迷走してるんだよね。
やっぱり、魔女子さん自身の記憶って、死ぬまでの蓄積だから正解とも限らんのか?
つーか、ハリー・ポッターって、謎の宗教団体が、永遠の命とか言って異形を地上に蔓延らせる話なんだっけ?
違うよね。
愛と勇気と少年少女の話だよね。(推定)
決して、男に寄生して、異形を女に産ませる話じゃないよね?(これは確信)
木が直接産ませる為に女を探し、枝が男を探すのは、そういう理由。
だからクィレル先生の場合は、イレギュラー。
二人の場合は、念の為監視していたのも、そう言う前提だった。
卵が出現したということは、男がいると考えたほうが理屈は通る。
クィレル氏は再誕した帝王に寄生されていただけだしな。
まぁ他に寄生された男がいたら、人間松明するんだけどなー!
視線をそらすと卵が移動しそうで、吐き気が上がってくるのを堪えながら茶化す。
「葵・ドヴワティーヌ、火を付ける前に報告と確認だ」
いや、思考筒抜けだからって、謎生物よりこっちに釘をささんでも〜
それに敵を見たら、即座に着火だよぅ。
「却下!」
セウェルスが少年二人に防護の魔法をかけてから、根をカット。
バーベキュー始めてていい?
「止めろ、現場保存だ」
だって、動いてるし。
で、ぎゃーぴー騒いでる双子を浮遊させたまま彼は引き寄せ、廊下に捨てた。
いやぁ扱いが雑い。
それでも腰の抜けた双子は、ひきつけたように声をもらすだけだ。
まぁそうだよね。
どう見ても、あれ死体から発生してるものね。
おまけに卵が2つだ。
さらに部屋はそこから生え伸びた木の根のようなモノが蠢いて覆っている。
「あの、補助教員、確かに、帰っていったのに」
「これ、なに、これ」
言われて、視界の隅で髪の毛を確認。
これはアカン。
さすがの魔女子さん人格を召喚しても、気持ち悪いし、酷い。
大丈夫?
さすがにこれは
「問題ない」
大人だろうと男だろうと、我慢はよくない。
「君こそ、見るな」
そうもいかない。
遠因であれ、私の存在が一因ならば、私にも責任があるといえよう。
違うかな?
「ふんっ、絶対に違う。クソのような世の中だとして、女子供に何を背負わせようか」
私が男だったら言ってみたい台詞だ。
そして絶対の安心感、頼りたい大人だ。
まぁそいでも無理すんなだぜ。
それにここまで原型がないと、逆に衝撃は少ない。
魔女子さんならね。
ただ、臭いが酷い。
アンモニア臭と味噌のような塩っ気のある油臭さ。
そこに血と若干の腐臭のコンビネーション。
吐く。
まぁ、吐きそうだけど、SAN値は大丈夫さ。
問題の二人、なんだろうか?
「keep..,sealed...,Close it,...chain..Interference..」
セウェルスが呪文を呟く。
呟きの内容はよく聞こえないが、部屋は薄く透けた黒い膜に覆われた。
「早急に対処を」
そして白い鹿が杖先から現れ、跳ねるようにして何処かへ走り去った。
見事な手並みだ。
白い鹿、牝鹿の魔法ってあるんだね。
「校長を呼んだ」
焼いちゃだめ?
ガイ・フォークス・ナイトは?
「ウィーズリー兄弟。その場を動かず指示を待て。
ドヴワティーヌ、双子には触るな、癒療検査が終わるまでは接触は厳禁だ。」
「あれ、あれは」
「室内は固定化の魔法をかけた。
生物の活動も固定するので、安心しろ。
身体的異常はあるか?」
で、二人、助かったことを改めて理解したのか、相手の体をペタペタすると泣き出した。
多少の打撲以外は、特に異常は今のところ無いようだ。
興奮状態なので、後から痛いところが見つかりそうだね。
「どういった経緯で、こうなったのか、簡潔に述べよ」
次々と杖を振り、周囲の確認を続ける彼の姿を双子は呆然と眺めている。
衝撃に頭がぼやけていそうだ。
「どうしてここに来た」
繰り返された質問に、やっと答えが返る。
「あの補助教員、二人が気になった、からです」
「何故だ?」
双子は顔を見合わせた。
それから兄のほうが、恐る恐るといった風に言う。
「あの二人、双子じゃないのに、同じ、顔に見えたから、です。
同じ顔で、口を隠して。
ちらっと見たら、歯が無くて、二人ともですよ。
そんな事あるのかって、どんどん気になって。
どっちも服装までそっくりになって」
無表情の男に、彼らは気後れしたのか口を閉じた。
同じ顔。
歯が無い。
これ重要情報、じゃない?
違和感て、これだ。
似ているんじゃない、同じに見えた。
化粧とかで似てる感じになってるかと思ったけど、ちょっと違う可能性もある。
儀式を通した木ではなく、枝による繁殖は、知識としては不完全だ。
なにしろ、現物を私が見た訳では無い。
「それは答えではない。
なぜ、この室内を調べようと考えた?
愚昧な偽りを、その口から出せば後悔するぞ」
睨み据えられて、二人は、なんとも言えない表情を浮かべた。
「興味を惹かれ、ろくでもない遊び半分で忍んできたか。
馬鹿どもめ。
いらぬ好奇心で、貴様らは死ぬところだった。」
温度の無い視線に、二人は下を向いた。
「この後、癒療検査、闇祓いによる事情聴取がある。
未成年でありホグワーツ生徒故、寮監の監督の元となる。
罰則などは、その後、状況を鑑みて与える。
今後、貴様らの行動は大幅に制限される事を肝に銘じておけ」
頷く双子。
セウェルスを見上げ、怒られながらもホッとしているようだ。
そりゃそうだ。
こんな非日常の後に、いつも通りの男がいる。
誰だって、安心しちゃう先生だ。
まぁそれよりもだ。
四階の賢者の石に固執していた筈なのに、なぜ、ここで産卵?
いや、産卵ではないのか、保たなかったのか?
フワフワちゃんが攻略できたけど、それどころじゃなくなった?
「他に述べておくことはあるか?」
腰を抜かしたまま廊下に座り込んでいた双子は、セウェルスを見上げ考え込んだ。
そして二人は何事か話し合うと、再び兄が口を開いた。
「二人のどちらかが付き合っていた男がいたんです。
名前までは突き止められなくて、その男がいなくなって、きっと事務職員だと思うんです」
それだー!
闇の帝王&寄生先の女性→生贄→再誕失敗→帝王が頑張って変な具合に生き残る→クィレル先生男なのに木を宿す→枝が事務員の男に寄生→補助教員の女性に宿る→卵誕生→バイオハザード
問題は、何故、今夜、卵がでてきちゃったのん?
相変わらず謎がいっぱいだ。
男、男ね〜
それ、枝が入った黄昏教団員の可能性があるなぁ。
……
……
……
見かけないとは、逃げた?
いや、確か、魔女子さん、卵を孕ませると、死んじゃうような話をしてたような。
つーか、教団員?
それとも死喰い人?
むむっ、合体進化してないよねー?
でもさ、そもそも監視してた二人なんだから、男の存在だって知ってたはず?
あれー?
「ドヴワティーヌ、その話はまだ聞いたことが無い。後で話せ。
それからウィーズリー兄弟、今後、気になること、異常に気付いた場合は、寮監に先に報告しろ。
また、お前達の寮監では不具合がある場合は、他の教師に先に告げるのだ。
世には様々な不条理が存在している。
ホグワーツだとて、それは変わりがないのだ。」
確認を終えた職員室を施錠の魔法で封印すると、セウェルスは回廊方向に不審者がいないかと歩いていった。
まぁ数歩離れた程度だ。
それでも双子は息を吐き、力を抜いてうなだれた。
だから、女の戦いに口を挟んじゃダメっていったでしょ?
「それ、違う。絶対違うよ」
「何だよ、あれ、闇の儀式かよ」
「ひでぇよ」
セウェルス、一応、どういう感じの危険があるのか、話してもいいかな?
校長の考えもあるだろうけど、この子達、絶対に、やめないと思うよ。
夜歩き。
それに振り返ると、少し考え込む。
秘密主義でも限度があるし、リスク管理をするとしても、既に闇の陣営の方で異常事態がおきてそうだ。
まして帝王(笑)は、戻って来る可能性は無い。
代わりに何かが台頭して、このようなバイオハザードになっている。
寧ろ意味がわからない宗教集団が誕生してそうなんだよね。
「校長の判断が先だ」
そっかー
「だが、概要だけは伝えて良い。周囲を一周する。何かあったら呼べ」
ぼんやりと見送る二人の前にしゃがむ。
二人の衣服は正体不明の液体で真っ黒だ。
本当にバイオハザードである。
「嫌味、言われなかったな。叱られたけど」
「あれがどういう事なのか、知ってるの?」
面倒な要素を抜くと、まぁヒゲならば、こんな風に言うかな?
始まりは、クィレル先生が病気になった。
空気感染はしないけど、ちょっと心配な病気だった。
旅の間に何かもらったって話だね。
魔法省の人達が調べてる。
だから、一番近しい仕事仲間の補助教員二人に何か変化が無いか観察中だった。
何もしていないし、変化の無い人を調べる事はできないしね。
それで冬にホグズミードでも同じような人が出た。
感染してる可能性が高くなった。
だから、二人を隔離して仕事をさせていた。
でも先生方も、変化が見当たらなくて困ってた。
そして今回。
ここに早く到着したのはたまたま。
四階は貴重品を保管してて立入禁止。
でも、泥棒が狙ってる疑いがあるから、先生と闇祓いの人が巡回してたの。
私はいつも通り、勝手なことをしそうだったから、一緒にいただけ。
「あれが、病気?」
「魔法生物じゃないのか」
原因不明、病気って言ったけど調べてるところ。
キモチワルイから焼きたいんだけど、調べるまでは駄目っぽい。
だから、お兄ちゃん達もさ、少し夜遊び控えてよ。
双子は考え込んだ。
どんな結論になるのかな。
こんな無惨な物は、生きててそうそうお目にはかからない。
正直、魔女子さんを部分召喚してる感じだよ。
マグルの戦争や魔女狩り時代の、一番酷い時代の感覚が無いと無理。
そうそう異端審問が横行した時代、火炙りが平気になる呪文が開発されたんだ。
でもね、燃えないで偽装がバレると、今度はもっとバイオレンスな死に様になるんだよ。
火炙り大丈夫で、魔女じゃない判定とか、あれ嘘だし。
どっちにしろコロスって話。
そんな魔法界は、グロ耐性アリなのか?
常識がわからない。
でも、カウンセリングが必要なのは変わらんだろう。
思春期にグロは、将来が不安だ。
でも、この学校、カウンセラーって誰になるんだ?
問題が山積みだな。
大人、ホグワーツの大人、セウェルスが本当に有能すぎるのも問題。
情報を隠匿し過ぎなんだよ。
それも一極集中。
ヒゲ、まぁヒゲも混乱してるのか?
ここまで育っても、直前までニオイの違和感しかないのがなぁ。
それに害意が中で育つと、校長も把握できない?
この辺りは、聞かなきゃなぁ。
もう、この学校、焼却消毒すればいいのにぃ。
こう、なんかナチュラルにガイ・フォークス・ナイトで、間違って着火しちゃいました的な呪文ないかな。
暴発しましたーとか、コントロールに失敗しましたーホグワーツ火の海、みたいな?
「ドヴワティーヌ、仕置きされたくなくば、くだらない事を考えるなよ。
例え、それが最善でも、君がしてはならない。今はな」
今はね。
なるほど。
その手の呪文あるんだー
そいで今夜の騒ぎは終わった?
終わったのは終わった。
でもほら、少年少女大冒険とか、どうなったかの顛末は、また別なのであった。