おとぎ話の末裔   作:C&Y

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寮監先生&人外生徒の明日はどっちだ、賢者の石編。
R15と残酷描写は、予防処置と寮監先生の苦行成分でできております。
たぶん、きっと愛はある、はず…


グレイブス氏からの手紙と賢者の石 ⑱

深夜だと言うのに、祭りが再び開催。

 

双子は密かにマンゴの特別療養棟に一旦収容。

そいで闇祓いさん達招集。

マンゴからも特別に人を集め、魔法省からはマッドな人達もやってきた。

わくわくドキドキで、またも卵を回収していった。

ぶちまけられたヤベェ代物もなんのその、もうワクワクだにょぅ〜って感じだった。

あの爺さんたち、大丈夫?

すでに寄生されてないよね?

そいで、ヒゲとぺったりは、得体の知れない団体と何やら話こんで、色々動いていた。

闇祓いはホグワーツに入れないとか、当初の予定も瓦解した。

 

ワイ?

マンゴの癒者の人に、ついでに診察されたところで、ぺったり…じゃなくてセウェルスの所に戻された。ワイの能力が既に知れ渡っている様子。

危険物はオマエが管理しろって感じ。

預けられた方も、私を放置するのも不安だったのか、教職員室の方へと場を移して、色々と投げられる書類にペンを入れている。

今夜も眠れないぞ!

 

「先に寮へ送りたいが、今しばらく待て」

 

私はいいんだよ。

貴方の睡眠不足だよ。

 

「君に叩き起こされるまで仮眠をとっていた」

 

そうだったー!

 

流石に薄ら寒いモノを見た後なので、おとなしく側に座っている。

たくさんの人が窓越しに見えるが、あのニオイが喉奥まで入り込んでいるような気がした。

 

「何を考えている?

この後、眠れないようなら薬を出す。

不安な事があるなら、言っておけ」

 

せめて燃やして終わらせてあげたかったなってね。

 

「様子を見ようとしたのは、我々だ。

君に何ができる?

犬がニオイを感知した時すでに、寄生が進んでいた可能性がある」

 

そうかなー

 

「その証拠に、あのニワトコの木の近くにあった土には、腐食性の細菌が繁殖していた。

つまり歯が抜けた時には、ほぼ変化は完了していた。

犬が気がついた頃には、知能も判断力も落ちていたはずだ」

 

ど、どういう話?

 

「歯が先に抜けたのだろう。

歯茎から異物として抜けた可能性もある。

体液が酸性に傾いて、本来なら内臓や血管も壊れていただろう。

だが、それを上回る何かが起きた。

体液、それも尋常ではない酸性に傾いた状態だろう。

仮にあの女たちに噛まれた場合、感染した状態になっていたかも知れない。

まぁその噛む歯が無くなっていたようだが。

病気と君が双子に説明したのは間違いではないのかもしれない。

マンゴの人間を呼んだのも、そのためだ。

今のところ、感染するのは特殊な状況のみだ。

君が落ちた歯を見て、異常としたのも間違いではなかった。

それにニワトコの効能を求めるにしても木に齧りつくようでは正気ではなかろう。

効能ではなく、神聖による拒絶反応だと言っても、今なら信じる者もいよう。

学術的根拠は無いが、研究者どもが喜びそうだ」

 

冗談にならない話だと、嫌な感じが広がる。

 

ニワトコに助けを求めるぐらいの魔の存在なのかもしれないが、寄生するそれは、病気であり疫学生物学的にも人間に対する侵略者であると。

 

校長もリスクは知ってたんだね。

 

「今後、中に入れる事は無い」

 

結局、寮に戻れたのは明け方。

午前中の授業は中止。

大広間で食事をした後に、校長先生のお言葉。

副職員棟の資料室が老朽化にて崩落。

現在、事故調査と修復により一部立ち入れない場所ができた為、午前中の授業は中止。

各寮にて待機とする。

外部業者が入るため、寮から出ないようにとのお達し。

そしてウィーズリー双子が深夜に徘徊してて、その事故に巻き込まれたんで、今朝は癒者による処置を受けている。

夜間の寮外への無断での徘徊など、今回は特に生徒が入り込む必要のない場所への侵入と言うことで、減点と双子には奉仕活動が科される事も伝えられた。

 

概ね、双子が何かして、騒ぎが起きてる事で理解が広まる。

まぁ教職員には情報共有がなされたらしく、顔色が悪い。

ただ良い面もある。

一応、異物とされる人間は排除された。

ホグワーツからはね。

他に枝が忍んでなければの話だけど。

んで、この魔の寄生生命体騒ぎの余波は、魔法界に波及した。

良くも悪くも、過去の争いとは違うフェーズに入ったんだと思う。

それでも魔法族は、奇妙で恐ろしい事には慣れていた。

グロテスクな出来事も、マグルの大量破壊兵器に比べれば闇の生物は魔法で封じることができるわけだしね。

害獣ならば殺せば良いし、そんなものよりも人間同士の争いは、もっと残酷で人の心を壊す。

 

だから今回の騒ぎは、人の争いが絡まなければ良いと考えるだけなのかもしれない。

闇の帝王の残存勢力が、外道な方法に手を出したとか、新たな闇の帝王みたいな存在が出てないか。

 

まぁ身内を疑うなら、寄生されて無いよね?より死喰い人じゃないよね?の方が嫌って話。

分からないでもないけど、私的には寄生虫の方が嫌なんだけどね。

これは穿った見方で、大方の大人達にとっての魔法界、人生なんてのは何が潜んでいるか分からない。と、知ってるって話。

最高も最低も、このおもちゃ箱には詰まってて、ハッピーエンドなんてのはお願いしても手に入らない。

だから信じられない出来事でも、なるようにしかならないと、諦められるわけだ。

 

そんな中、屋敷しもべ妖精さんが、とうとう私の前に姿をあらわした。

ガイ・フォークス・ナイトできなくて、寝不足で寮に戻ったら、お菓子の用意をしてくれてた。

パヤパヤの髪の毛を生やした、奇妙な子だった。

寝不足と落ち込んだ気持ちで、ぼ〜っとしてたらね、いたのだよ。

女の子かな?

 

そのタオルかわいいね、雛菊の刺繍だー

それに、

あんがとー、甘さ控えめ干し果物とミルクティーだ〜。

 

と、頭の中で言ったら、

 

どーいたしましてーおじょーさまー

 

お返事もらっちゃったー!

 

ワイ、また人間レベル下がり魔物レベルがあがった、テレッテッテー!

妖精さんとも、アタマの中で、お話できゆよぅ〜

 

でも大丈夫、屋敷しもべ妖精さんは、ちゃんと言葉を喋るんだお。

 

んで、ちょびっと話す。

どうやら、屋敷しもべ妖精さんも、ヤバイニオイは理解してて、絶対に近寄らない様にしてるんだそうだ。

今回も卵が出現するまでは、よくわからないジャミングが入ってて、人間なのか違うのかは判別できなかったらしい。

んで、校長に報告して、何か異常があったら近寄らない。

 

つまりヒゲだけは、確実に異物に気がついていた。

 

推測できる事は、たぶん、自分のテリトリーで解決できると踏んでいたか、調べるためだろうか。

セウェルスも言っていた、彼ら、魔法族の力のある人間の異物に対する反応が違うんだって話がこれだよね。

未知を知ろうとするのが魔法使いだろうし、それが当たり前の姿なんだよね。

だからこそ、魔法、なんてモノが現実に使えている。

けれど、セウェルスや私のように、軸足が魔法使いよりも違う所にあると、この考えにならない。

セウェルスは、彼が大切にしている人の子供が生きていく事だろうか。

つまり子供が普通に暮らせる世界である。

真っ当な大人の、親の考えだよね。

あんな代物は、調べる必要どころか、殺せるなら殺しちゃえよって話になる。

だって、あんな代物調べるってことは利用するって事で、決して害を調べて対処するなんて真っ当な方向に行くとは思えない。

そんな真っ当な人間だったら魔法使いにならない。

まぁ真っ当な人もいるんだろうけどね。

究極、真っ当じゃない元?死喰い人を雇ってる人も、仲間にしている人も、彼のまわりにいる人間で、その信頼に値する人物は一人もいなかった。

まぁそんな聖人はいないって彼は思った訳だ。

私も殆ど同じ意見。

あんなもの、調べる必要ある?

女を生贄にすると出てくる生き物だよ?

調べてどうすんだよ。

意味なんて、変わらんよ?

あれ、悪いモノだね。はい、終了だよ。

汚物は焼却だーっ!

で、魔法族らしい魔法族である校長先生はだ。

それだけの力があるんだろうけど、私というイレギュラーが存在するように、何事も、予定通りになるとは限らない。

子供たちが暮らす場所でもある。

やっぱ、ヒゲを引っこ抜くしかねぇな。

 

まぁ私自身も、もっと早く行動すべきだった。

後悔してるんだよ、これでもね。

 

悲しいとか救えなかったとかじゃないよ。

 

私の縄張りで、よくもやってくれたな。

つまり結構、腹が立ってるし、ストレス。

燃やしたい。

そう、とてもとても、ケダモノは不満だ。

反省はするけど、自分の力不足に腹が立つ。

もっと大人になりたいなぁ、そいでこう、魔法的に封印?

セウェルスがやったあの、こう閉じ込める奴とかね。

 

まぁ、本当に反省しなくちゃいけないのは、ヒゲとぺったりだけどなっ!

 

そいで、四階のお部屋どころではない騒ぎによって、魔法省の一番偉い人がちょっとおかしくなったらしい。

闇の帝王なんて復活しないさ!あははは〜ってしてたのはいいんだけど。

闇の帝王(笑)が復活しねぇ〜かどうかは、横に置いといて。

それ以上に、ヤバゲなマグルの宗教汚染が広がり始めてるっていうのは、現物を見せられて納得したらしい。

 

もうやだーおうちかえりゅー!

 

幼女のようになったかは、知らんが、今、スンゴイ揉めているらしい。

闇の帝王復活論派と否定論派で政治権力闘争してたら、それどころじゃねぇヤベェ話が出てきちゃった。

純血の方々にも徐々に、なんかヤベェんじゃねっていうお話がまわりはじめた。

ホグワーツ理事連、純血氏族だもん。

そいで報道機関は、主な純血家と闇祓い長官から報道規制圧力がかかったらしい。

まぁ時間の問題だよね、マスコミって権力で抑えられるのは、独裁国家だけだよ。

これ魔法界に公になったら、どうなんの?

そいで両陣営、こんどは闇の陣営残党がヤベェ何かを持ち込んだとか、そうじゃねぇとか再びの争い再燃。

でもね、持ち込んだのは誰にしろ、ヤベェ卵でてきたしね、争ってていいの?

っていう中道派が数を増やしてきたらしい。

大変だね。

何か、吾輩氏的にはメシウマらしくて、ざまぁ馬鹿なブタが鳴いてやがるって感じだった。

最近、アケスケになっているよ、先生。

まぁそんな感じで、補助教員とか事務員の働いてる場所が一時封鎖になった。

そいで数日後、夕ご飯の後だよ。

 

ヒゲとぺったりが、なにやら再びゴソゴソ密談している姿と遭遇。

教授室に呼び出されたから、来てみればこれだ。

ちらっと見えたのは、職員リストに個人情報だ。

よくない事を企んでいるらしい。

職員補充のお話し合いではないだろう。

マクゴナガル先生を抜いた密談は、良心と常識が無い時だ。

 

また、変なの蔓延らせたら、ヒゲを毟るぞー!

ってじーっと校長を観察してたら、お招きを受けた。

 

「今宵な、少し無粋な催しがあっての」

 

 

***

 

四階の部屋の奥に来ていた。

先生方が敷いたトラップを迂回する通路があるんだよね。

校長だと直通で奥まで来れるらしい。

そしてあの、鏡だ。

 

校長に腕をとられて進んだ先は、この部屋に備え付けられた両開きの大きな収納の中だった。

棚の扉は目の細かな格子になっており、室内が良く見えた。

そしてその収納の前には…

 

クィレル先生だった。

本物?

 

「本物に見えれば重畳」

 

違うのん?

 

「今は薬で体を変えている状態じゃ。

中身は闇祓いに協力してもらっておる。

つまり、あの二人も、このような状態だったと考えられる。」

 

誰もわからなかった?

 

「儂も含めてじゃな。

校長権限は万能ではないのじゃよ。

外部の干渉や城の妖精、ゴースト、人物画等の管理はできるが、情報も真偽まで分からぬ。

まぁ言い訳になるが、儂の目算違いであった。

すまぬ。」

 

と、罵る前に謝罪をされた。ちぇっ

 

「あの二人、長らく生かされてはいた。

そしてそれはあの部屋以外でだろう。

持ち込まれたのは、最近のはずだ。」

 

どういう事?

と、言うか、聞いていいの?

 

「君の叔母君の行方が、まだ、分からない事への詫びもあるし、知識提供の礼も含む。

つまりな、これからもドヴワティーヌ嬢、君には迷惑をかけることとなろう。」

 

ヒゲっ!

 

「すまんのぅ。

で、詫びもかねての、これからちょっとした舞台が始まるからの、特等席でながめてもらおうかと思っての。

これで残りも釣れるはずじゃ」

 

程なくして、誰かが部屋にやってきた。

 

男と少年だ。

男は、多分、職員だ。

あの二人と付き合っていた男だろうか?わからん。

部屋奥の壁際に佇むクィレル(偽)先生を見て、少年は…

 

ねぇ校長、また、しくじった?

それとも仕込み?

 

睨むも、本心はわからない微笑みだ。

 

「えっ、何で先生がいるんですか?僕は、スネイプだとばかり」

「確かに、セブルスはまさにそんなタイプに見える。

彼が育ちすぎたコウモリのように飛び回ってくれたのは、とても役にたった。

誰も他の異常には目を向けないだろう。

 

…クソっ、何が嫌われ者の教師だ…美人な女子生徒を連れ回しやがって、一日中、臭い犬の側に張り付いてる俺って何なんだよ。泣けてくるわ」

 

…うん、中身誰だか、何となくわかる。

メンチ切ってた闇祓い氏だ。

もちろん、最後の方は呟きである。

 

雑音は聞こえていない、よかった、シリアスがまた、ぶっ壊れそうだ。

って、ハリー君、何で来ちゃうの?

これ、職員に化けてる奴がいないかの踏み絵なのに。

また素直に、愛と正義と何だかややこしい大人の思惑に引っ掛かったの?

 

「でも、スネイプは僕を殺そうとした!」

「少なくとも彼は殺そうとしたんじゃない。反対呪文を唱えていただけだ、そうだろう?」

 

で、ハリー君を囚えている男に話しかけた。

それまで黙っていた男が、口を開いた。

 

「所詮、子供だ。

物事の本質はわからないだろう。

オマエを殺す事は第一の目的ではない。

我々の望みは別にあるが、オマエの死が、この世界では必要な禊のようであるからだ。

あの教師が邪魔をしなければ、オマエを殺し、更に仲間を増やせたものを。」

 

「スネイプが僕を救おうとしていた?」

 

少年の驚愕に、闇祓い氏が小さく溜め息をついた。

 

「その通り、彼がなぜ、次の試合の審判を買って出たと思うかね?

二度と同じ事がおきないように。

憎まれ役を買って出たわけだ。無駄な事を。

 

…いいよな、それでも美人な子がさ、ニコニコしながら手を繋いでくれんだぜ。

2度見しちゃったよ。何だよ恋人繋ぎだぜアレ、大丈夫なのかよ。

つーか羨ましい。

俺なんてクソ犬の見張りか、化物の追跡だぜ?

帰ったって、書類仕事にキタねぇ野郎どもと訓練三昧、パブで女の子ナンパする時間も無いんだぞ。

今日も残業、あー何だよ、それなら俺だって教師になりてぇよ。…涙で目がかすみそうだぜ」

 

だから、呟きが校長とワイに聞こえてるから。

ここに潜んでるの、校長だけだと思ってんの?

 

大丈夫だよ、お兄さん。

恋人繋ぎじゃなくて、猿が逃げないように必死で掴んでるんだよ。

セウェルスは順調に過労死ラインを踏みながら踊ってるよ。

リア充じゃなくて、女神信者だもの。

 

いや、校長、思考を読みながら目を覆わんでも。

今、シリアスね。

ハリー君、ピンチだから。

つーか、この闇祓い氏、笑かしにきてんの?

吹き出したらどーしてくれんだよ、つーか少年を早く助けろよ。

燃やすぞ。

 

「すまぬが、あと少し我慢しておくれ」

 

ヒゲ、ヒゲを三つ編みにするぞ!

 

「それで済むなら」

 

いいのかよ!

という、茶番を他所に、ハリー君達の話が進む。

闇祓い氏が指をパチっとならした。

縄がどこからともなく現れて、ハリー君の身体に巻き付いた。

 

「ポッター、君は色々な所に首を突っ込みすぎる。」

 

とか言いつつ、こちらに回収。ないーす!

 

「ハロウィーンの時も、あんなふうにウロチョロして、トロールに遭遇して生きていたのは奇跡なんだぞ」

 

普通の説教になってますよ、闇祓い氏。

 

「さぁポッター、そこで待っていろ。

クィレル、この鏡なのだな?」

 

「あぁ賢者の石はそこだ。他の連中はどうした?」

 

「ホグズミードの奴は死んじまったし、こっちに残ってたのも俺だけだ。

余計な邪魔ばかりはいりやがる。

彼奴等、帝王だなんだと崇めているが、所詮人間止まりの存在に頼ろうとはバカな奴らだ。

その帝王とやらも再誕できず、仕方なく貴様に植えたというのに、崩落し意識さえ残せぬとは、情けない。」

 

闇祓い氏の言葉に、男は鏡の前に立った。

 

「石は、見えるぞ。

儀式で母体に使う、そう、そうすれば永遠の世界が。

だが、石がとれない。

どうしてだ?」

 

闇祓い氏が、隣に引き寄せたハリー君をそっと後ろに押しやる。

ワイ、扉をガバっ開けて、一瞬で引き込む。

せーふせーふ、マジックなりよー。

 

で、抱きしめてハリー君の口を塞ぐ。

暴れようとして、眼の前に校長先生をとらえたのか、動きが止まった。

 

その後は、あっという間だよ。

闇祓い氏や他の潜んでた人達が、男を拘束し連行。

薄暗い部屋に残ったのは、ハリー君とワイ、校長先生だけだ。

最後に闇祓い氏が手を振って出ていった。

ワイを発見した時、顔が赤くなってたね。

本当に知らなかったみたいだね。

ばいばーい!仕事頑張ってねー!

 

校長先生は椅子とテーブルを出すと、部屋に灯りを浮かべた。

少しほこりっぽい部屋で、ハリー君は俯いている。

 

この部屋に忍び込もうとして、ウィーズリー弟君が協力したらしい。

ハー子さんとネビル君は止めた。

それじゃなくても今は先生方も大変忙しい、迷惑じゃない?ってね。

でもウィーズリー弟君は、双子のお兄ちゃんが入院したのは、きっとセウェルスの所為で、賢者の石を狙ってるからだっていう極論に到達。

とめるネビル君を魔法で昏倒させちゃったそう、あの少年も不幸体質だ。

こんどオヤツを分けてあげよう。

しかたなくハー子さんは、怪我がないようにと付き添った。

そいで途中で出会った事務員の男が、何故か協力的で途中まで手伝ってくれて、まぁ、あとはね、あんな感じ。

ウィーズリー弟とハー子さんは無事だけど、事務員の男に多少怪我を負わされたそうだ。

もう、さぁやっぱりヒゲとぺったりには、お仕置きしなきゃね。

子供が危険な目にあうなんて、学校内ではあっちゃダメなんだぞ。

 

「すまなんだ」

 

校長の詫びの言葉に、ぎょっとして彼は顔をあげた。

誰に向けての詫びかは不明だけど、まぁゆるさないからなっ!

 

私の表情と校長の表情を見て、彼は、へにゃっと眉を下げた。

いろいろ、自分の行動の拙さにやっと思い至ったようだ。

 

ハリー君は人生のしょっぱい部分を知ってしまった。

大人ってずるぃ〜のである。

 

「ずっとスネイプが、賢者の石を狙っていると思っていました」

 

校長が何も言わんので、先にメモ書きを飛ばした。

 

スネイプ先生だよ、ハリー君。

彼は先生だ。

君が思うより、実に先生らしい先生だ。

彼が自分で自覚しているより、先生らしい先生だ。

少なくとも、君には嫌味をいう大人げない人だけど、君を殺そうとする人間ではない。

 

「でも、僕は彼に憎まれている」

 

そうなの?

で、校長を睨む。

嘘言ったら、ここで叫びだすぞ。

魔道具全部パージして、大声だすよ。

脅しじゃなくて、実行する。

 

「君の父親と彼は同窓生だ。

そして君の母親とは幼馴染じゃ。

何があったとしても、君を殺そうとはしない」

 

驚愕の事実に、ハリー君は言葉を失った。

 

何に驚いたんだろう、あの老けぐあいに?

いや、身なり整えたら、十分イケるよ。

まぁそんな話じゃないよね。

ママと幼馴染とか、昔話を知りたいけど、聞き出せる雰囲気じゃないもんね。

淀んだ目になった経緯もあるだろうし、ママの死因というか、きっと両親の死因のナニカに関わっているんだろう。部外者はこれ以上何も言えん。

 

「君を脅しているように見えたんだ。」

 

ん、ワイ?

苦笑してしまう。

吾輩氏の悪役ロールがなぁ。

 

脅されていないよ。

先生は、一生懸命、私のバカを抑え込もうとしてるんだよ。

私が傷つかないようにね。

素直じゃないから、意地悪してるように見えちゃうんだよ。

 

と、オブラートに包む。

嘘じゃないもん。

 

「ヴォルデモートの事を考えると、傷が痛むんです。

そしてスネイプ、先生を見ると、痛いんです。

だから、奴が」

 

エビデンスが無いと何とも言えないけど、帝王(笑)に傷が関係あるとして、トラブルの近くにセウェルスが守ろうとスタンバイするからじゃないの?

つまり攻撃側と守備側が一緒にいる場面で傷が痛むって感じ?

どうよ?

 

「たぶん、そうじゃろうのぅ」

 

私と校長の無言のやり取りに、ハリー君は言った。

 

「あの、何で彼女が?」

 

校長を見た。

詫びとかじゃない。

変化があったなら、その先を見据えねばならない。

そういう話だよね。

 

「彼女がマグルの生活を送っていたのは、君は知っているかね?」

「はい」

「彼女は誕生日の日に、不審な集団に襲われた。

家族である叔母は行方知れず、彼女は逃げる途中で事故にあい記憶がない。

そこでホグワーツで引き取った。

魔女であるし、血筋は皆が噂しているように、古い氏族の末だ。

援助したいと申し出る者も数限りなくいる。

ただ、ひとつ困ったことがある。

不審な集団、マグル混じりの魔法使い達は、彼女のような魔女を狙うんじゃ。

儀式とやらに使って殺す為にの。

初めは闇の輩であろうかと疑った。

じゃから、このホグワーツで一等闇の力に対抗できる先生に預けた」

 

うん、その方向の説明だと納得しやすいね。

嘘でもないし真実でもない。

 

「賢者の石を欲しがっているのは、ヴォルデモート卿とその仲間じゃがの。

彼女の命を欲しがっている者共も、賢者の石がほしいようなんじゃ。

先程の男がどちらの者かはわからない。

じゃからの、スネイプ先生に彼女を預けているんじゃよ。

彼女の魔力とも繋がっておるし、闇の魔術に抵抗できる大人じゃからな」

「僕は」

 

ハリー君は、考えるように言った。

 

「例のあの人は」

「ハリー、恐れて名前を呼ばぬのはいけない。恐れを大きくしてしまうからの」

「ヴォルデモートは、僕を殺そうとした。

理由は誰も教えてくれない。

きっと知っても、両親はかえらないから。

僕の代わりに両親は死んだ、から。

スネイプは、僕を守っていた。

じゃぁ、それは…

両親を殺したのが僕だから、だから」

「それは違う。

先ずは最初のヴォルデモートの事じゃな。

ヴォルデモートは愛に護られた者を恐れている。

愛を理解できないからこそじゃ。

君の両親は愛を残し、君を護った。

君から奪ったのは、愛を理解できぬ愚かな魂だ。

そしてスネイプ先生が君に辛く当たるのは、君の父親と犬猿の仲であったからだ。

だが、それでも君を守る為に尽くすのは、君の父親に命を救われた事があるからなんじゃ」

 

女神論は省略かよ。

まぁプライバシーだしね。

つーか、やっぱりドロドロドロ沼の香りがする。

ワイ、聞きたくない。

 

「スネイプは」

「スネイプ先生じゃよ、ハリー…もし君が」

『誘導しないで、この子は、子供なの』

 

指パッチン。にっこり笑顔。

魔女子さん、不意に表に浮かぶと指を鳴らした。

 

脅しじゃないよ、ヒゲ。

ほら、魔女子さんまでご立腹ででてきちゃった。

 

怒ってないわ、心配してるだけよ。

 

嫌な匂いがする。

今、また何かを仕込もうとしたでしょ?

使いやすい子供だから?

同じ事をあの人にもしてるんでしょ?

罪悪感を利用して、貴方の言う愛の力で?

私ね、愛にはとってもお世話になってるの。

都合の良い愛にね。

高邁な魔法使いの人、目上の者に何を言うかって怒る?

なら、私は貴方よりずっと昔から、愛に焼かれて殺され続けてきたわよ。

おヒゲのお爺ちゃんだって、私にしたら、お子ちゃまよ。

だからねぇ…

そうね、少なくとも私の前で子供を利用しないで。

痛みは成長に必要だ?

いいえ、誰かから痛みをもらう必要なんて無いの。

だって生きてるだけで、十分、苦しくて痛いんですもの。

 

ダンブルドア校長は、私と目を合わせると、瞬きをゆっくりとした。

自覚はあるのか、無意識なのか。

 

あ~ワイも言っとく~

あのさ、今から彼に言う言葉ってさ、彼のご両親が納得するような話にしてよ。

彼を何に育てたいのかは知らんけどね。

 

彼はさ、寂しいって言ってんだよ。

両親に繋がる事は全部知りたいけど、知ったら怖い事ばっかりなんじゃないかって。

 

似てるからって、同じじゃないんだよ。

 

何を重ねているのか知らないけれど、もうお終い。

校長先生なら言うだろう、偽善を見せてよ。

 

 

そんな私の言葉は賢者に届いたのだろうか。

ちょっとだけでも、心の中の何かに触れる事ができたのかもしれない。

 

だから、数瞬の事。

過った事。

 

私にはわからないけれど、多分、必要な事も重要な事も、そして無駄な何かも押しやられた。

 

私の、私達の厄介な怒りを感じ取ったのかな。

子供に何をさせるのか?という道理を曲げる拒絶を読んだのかもね。

 

 

「…彼は、君の母親の幼馴染でもある。

人には色々な面がある。

そりの合わない相手だからといって、それが相手のすべてではない。

教師も人間であるからじゃ」

 

みつあみで許そうっと。

よかった、偉大な魔法使いのヒゲをファイヤ~しなくて済んだぞぃ!

 

「…例えばじゃ、彼と君の父上の関係は、君とスリザリンのミスター・マルフォイと同じじゃ。想像できたかな?」

「はい」

「そしてな、君の父上の行いを、彼は決して許せなかった。大人になってもじゃな」

「でも、父が助けた?」

「結果としてじゃ。お互いの立場を五分五分にしていたいと思う気持ちが今も残っている。

じゃが、君の父上は死んでしまった。

彼は考えた、ならば君を助けなければと。

納得できない事は多かろう。

だが、人間とはそうした矛盾を抱えているものだ。

ハリー、そんな君に、また、無理を言わねばならん。

少しだけお願いがあるんじゃ。」

 

『お願いよ、子供に何かをさせないで』

 

「はい、なんでしょうか」

「…ヴォルデモートの脅威は消え失せてはいない。

そして新たな闇も広がりを見せている。

君一人ではない、彼女もそうだが多くの人が様々な苦しみを抱えて生きておる。

じゃがな、それだけに人生を奪われてはならんのじゃ。

君が一番に考える事は、君を愛した両親の為にも、その身を大切に扱うことじゃ。

そしてこのホグワーツにおいて、十分に学び、友をつくり、嘗ての両親のように学生時代を楽しんでほしいのじゃよ。

そしてな、人間とはどういうものか、大切な事をゆっくりと学んでほしい」

 

そうして茶番は終わった。

ショートカット通路を通り、ハリー君はガックリして帰っていった。

迎えに来たのは、顔色を白くしたマクゴナガル先生だ。

減点加点無し、今夜の事はナイショねって言って帰した。

んでも、お説教だね。

それに明日の昼前には、ナイショの話が何処まで広がっているのやら。

悪者は、全然知らんオッサンだったし、闇の帝王(笑)とも対決するようなバイオレンスもなかった。

知ったのは、自分の嫌いな先生と父親が仲が悪かった上に、母親の幼馴染だったけど、話しかけることができそうにない。

 

こまったなー。

 

おまけに賢者の石事件も不完全燃焼。

私達のせいで、実務面の話も現実の何かも、そして彼が誘導したかった考えも、全部、棚上げだ。

 

こまったなー。

 

でも、ここ学校ね。

お勉強して友達つくって、成長する場所ね。

思想教育して、ナニカにするところじゃないねん。

で、ワイ達の邪魔によって、彼は…

 

愛の話でケムに巻かれた少年は、今回、何を学んだんだろう。

まぁ物事は見たままではないって事かな?

 

ワイも疲れた。

ただただ、闇祓い氏のボヤキと、ヒゲの茶番劇を見ただけなのに。

 

薄暗い中で、校長は溜め息をついた。

 

「そうじゃ、茶番じゃった。」

 

あの言い回しもわざと?

 

「どれかの?」

 

ハリー君のパパは、マルフォイ君のようにセウェルスをイジメていた?って私には聞こえたけど。

多分、ハリー君は逆だと思ってる。

 

ヒゲの話術マジックだと、ハリーパパは、ハリー君と同じ立場だとは言っていない。

状況は似てるねって話。

 

校長は魔法で茶器を出すと、お茶の用意を始めた。

無言は肯定に同じ。

 

セウェルスは、多分、思うより憎しみは残っていないですよ。

時は流れたと言っていました。

 

「そうかの」

 

女神の推し活で忙しいですしね。

 

「推し活とは?」

 

ハリー君のママに、愛を捧げる為の活動です。

 

校長が停止した。

ワイの目を見て止まる。

 

「それを君に言うたのか?」

 

雑談ついでに、子供に血迷うことはないという安心材料として。

彼の目を見つめると深淵が覗けますよ。

ホグワーツにはカウンセラーを常駐させた方がいいと思うんですが。

そうそう双子もカウンセリングしないとねー。

 

校長の眉が下がる。

 

愛を理由に部下を働かせすぎると、アタマがおかしくなって枝に寄生されますからね。

ハグリッドに言ったら、顔を覆ってました。

 

校長は、室内の中央に置かれ、月の光りを浴びる鏡に目をやった。

 

賢者の石は?

 

「破壊した」

 

何に使うんです?

 

それには微笑みが返る。

 

「君はあの鏡に何を見たかね?」

 

術による記憶の抹消が深いのか、人の気配はしますが、私以外は映りませんでした。

いつもどおりの私が、大人になって、小馬鹿にした感じで苛ついていました。

 

それに校長は笑った。

 

「儂は、過去が見えた。失った過去がの、微笑んでいた」

 

何度も何度も見てないよね?

『馬鹿な事を』

 

私の言葉に、校長はハッとしたように再び目を合わせた。

薄い瞳の色を見つめて、この人ってどんな人なのかなぁと思った。

私は校長先生を知っているけど、彼を知らない。

だから、まったく的外れかもしれない事かもだけど。

 

見ちゃだめだよ。

あれは良くないモノ。

自分で言ってたでしょ?

偉大な魔法使いでも、見てはならない。

 

ハリー君にも言ったんでしょ?

もう、見ちゃダメだって。

なら、貴方も見ちゃダメ。

死んだ人とお話したいとか、会いたいとか思っちゃダメ!

叱られたいの?

 

じっと目を見つめる。

 

「…そうじゃの、叱られたかったんじゃ…な」

 

ヒゲを三つ編みにしてあげる事にした。

小さなリボン付き。

リボンは彼が自ら提供。

カワイイのが好きだよね。

 

今度、バカな事をしそうになったら、踏みとどまるんだぞ、ヒゲ!

 

 

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