残酷描写とR15は、寮監先生の苦行成分でできています。
たっ倒れた〜!の巻(>ω<)
「何の儀式?」
食卓につくと、ファーレイさんとお友だちの先輩が聞いてきた。
当然の質問だよね。
健康チェック。
余分に垂れ流される魔力を吸収させてる。
校長先生から、一日二回魔石に吸わせるように渡された。
忘れないように、食事の前に寮監先生がチェック。
寮監先生のお言葉は、つまり変な魔力が出てないかどうか。
と、カキカキして見せる。
「なるほどね。ちょっとドキドキしちゃった」
「私も、ふたりで見つめ合って、スネイプ先生だけ喋るから何事かと」
儀式とは言い得て妙。
何の苦行かと思う表情だけど、ちょっとした実証実験をしたいといったら、許可してくれた。
怒りながら許可とか、寮監先生って、面白いですよね。
「...面白い。確かに真面目な方だけど、おもしろ...そうなのかしら、アテネ?」
「いや、先生どっちかっていうと厳し目だけど」
「そ、そうよね。実験、魔法薬学の実験なの? 入学前から偉いわね」
うっ、善意の笑顔に良心が軋む。
反省して、子供らしく先輩方の今日の予定なんかを聞く。
ご飯?
今日もイギリス的、朝ごはんだったよ。
ともかく水分はとるようにした。
あと、バランスを考えないとね。
偏ってるんだよ。
果物もビタミン取れそうなと、野菜も欲しい。
そんなこんなで、大広間で食事。
この時に、全体的な連絡事項とかが告げられる。
ふくろう便とかもまとめて届くし、朝は何かと騒々しい。
校長先生のご挨拶や、副校長先生の今日の注意事項。
各教科の先生の連絡、事務のお話、学校の連絡事項が次々と言い渡される。
寄宿学校らしい朝の風景だ。
今日の私の一日は午前中が自主学習。
午後がホグワーツ案内。
後半が、学習習熟度確認。
って感じ。
ちなみに現在、イースター明けである。
もうすぐ試験期間で、スポーツ杯があるとか。
クィディッチ?
で、7月で修了式。
夏休み。
今季、夏休みは、ホグワーツで私は過ごすことになっている。
そもそもその為に早期に入寮してる。
で、8月に入学用意、9月に入学って事。
クリスマス休暇までは、私はホグワーツから帰る事は無い。
それまでに叔母さんが発見できれば、連絡が来る。
そもそも叔母さんは、魔法界とマグルをつなぐ行政府で働いていたんだしね。
レモンティーで口を潤しながら、ちょいちょい考えてしまう。
やっぱり、勉強とか色々、集中して過ごさないと気持ちが落ち着かないや。
寮に戻ったら、談話室でお昼になるまで自習。
教科書に目を通してみる。
疑問を書き出しておく。
何が不安か、わからないかも明らかにする。
読めない、理解できない物もわけておくと、指示されていた。
ちなみに、スリザリン寮生は、実に結束が固く、何も喋れない私を気遣ってか、いつも周りを囲んでくれる。
おかげで、他寮の生徒とは全く会話していない。
背も妙に高くて可愛げも無いというのに、ちゃんと子供扱いだ。
感謝しきりなのである。
今度マグルの品で珍しき物品があれば、お土産にお渡ししたいものだ。
そういえば、有名菓子店のクッキーを談話室に置いておくのもありか。
オバサンくさい?
前世含めれば、オバサンですがな。
とかセルフで突っ込みを入れながら寮に戻り、皆さんとお別れして談話室のよき位置に腰を落ち着ける。
ヒエラルキーの高そうな貴族のお子様達に、勉強したり座ったりして良い場所って何処ですかい? と聞いてからだ。
そしたら足腰冷やさないように、こっちの暖炉の近くがいいよとか、またも優しいお言葉をいただく。
なんだろう、天使しかいないの?
私だけ邪悪なの?
って気持ちに。
まぁそれはそれとして、授業に行かれる皆様を送り出すと、異次元の世界の教科書を手に取るのであった。
***
先ずは、必修科目である。
変身術、呪文学、魔法薬学、闇の魔術に対する防衛術、薬草学、天文学、魔法史だ。
では変身術から〜
物体を構造から変化させる魔法体系。
んと、つまり化学だろうか。
正確な呪文と構造の把握から成り立ち、高度になれば、創造と消失、つまり作り出し消す事もできるようになる。
修練と努力、才能が必要な、高等魔術分野。
物品創造から生物の創造まで、神の領域とも言える技能が含まれる。
読んで心がくじける。
これでワクワクできるのは、魔法界育ちか、ファンタジーと現実を混同できる子供までだ。
だが、これが実現可能な世界なのである。
むしろ明確に分子構造を理解している現代人なら、習得が早いかも...しれない。
読めるし、呪文も覚えられるけど、実践は杖がね、アレだし。魔力はあっても魔法は使ったことが無い。
で、羊皮紙に、魔法の実践したことないので、変身術の実践が不安と書く。
次に呪文学
呪文の学問じゃなくて、エンチャント魔法の事。
対象を変化させるのではなく、対象の働きに作用する魔法。
簡単に言うなら、色を変えたり、物を浮かせたりするって感じかな?
物体にも生物にも使える。
気分を良くするとか、幅広い呪文が含まれる。
継続効果と一時的な効果に分かれる。
これもよくつかう魔法らしい。
基本中の基本。
ファンタジーゲーム的な付与系魔法の事だよね。
呪文学じゃなくてCharm。
お守りなんかも作れそうだな。
暗記力と正確なスペル習得、イケそうな気がする。
それで実技ができるかは、謎だけど。
魔法薬学
文字通り、薬学であり調合調剤、化学だ。
これは楽しいかもしれない。
薬草やら見知った名前もあるし、これでマグルの世界の薬とは隔絶した効能の物を作り出せるなんて、ファンタジー否、芸術だ。
これは是非にも習得したい。
これ、将来に絶対に役立つでしょ。
魔女らしい、魔女には必須の技能じゃないかな。
魔法の杖で、理由のわからないファンタジーを生み出すより、ポーション作り出せる方が、ワクワクするわ。
手順さえ守れば、結果が出る。
実証実験を重ねて、確かな手技によって薬ができる。
これは好きになれそう。
っていうか、読み込まなきゃ。
これ、マグルの世界に戻っても、役立つわ。
闇の魔術に対する防衛術
うん、駄目だ。
これ、ファンタジーキャラクターノートみたい。
何だか、萎えた。
これ、現実にこの中身の魔物とかいるんだ.
これ、読み込むと自分にダメージが入りそう。
もしかして自分も、この分類なの?
闇の魔術、闇の生物、闇のチャームから身を守る方法。
攻撃とか決闘とかの項目もあるね。
防御方法は習得、できるかなぁ。
これはアカン。
えっと、実技も理論も不安である。と、羊皮紙に記入。
んで薬草学
書籍は、植物の図鑑、博物学、魔法界独特の植生とかが載っている。
実技中心なのか、採取方法、保存方法、それから繁殖、株分けとか植物の育成方法や、初歩的な知識が載ってる。
多分、今見てる書籍は一年生用だから、初心者向けなんだろうね。
この植物を利用してお薬を作るって事になるんだろうね。
これも魔女としては必須なイメージ。
そもそも私の中で、魔女って言うとケルトの魔女のイメージになる。
知恵とか霊感、お薬を鍋をかき回してつくる。
薬草、お薬、護符、変身。
魔女ってそんな感じ。
草木や花、植物を育てる事を覚えるのは良いことだし、別に魔法って感じもしないから、これは大丈夫かな?
天文学
ちょっと困惑する。
マグルの天文学と別物かと言うと、そうでもない。
実際の天文学と同様に、宇宙の構造や天体の動きを研究する学問だ。
ただ、内容は、そこに神秘なお話や理論が入り込んでる。
占いや宇宙論が同列に扱われていた。
違いを受け入れたうえで、どれだけ消化できるかだよね。
そもそも自分自身も謎生物に分類されそうな現在、宇宙の流星から、謎パワーとか謎の生命の鱗が輝くとかあっても、肯定するしか無い。
羊皮紙に、マグル界とのギャップが辛いと記入。
最後に魔法史
うん、これファンタジーな事を除けば、普通に歴史の教科書だ。
年号と名前、出来事を暗記できれば良いやつだ。
ファンタジーな内容だけど、案外いける。
そして魔法界を知らないからこそ、読んでおいた方がいいかも。
欠片も興味ないけど。
羊皮紙に、魔法史に興味をもつにはどうしたらいいのだろうか? とカキカキ。
と、以上、一年生の必須科目だ。
不安なのは実技になる。
9月までに教科書を読み込むことと、必要な補助資料を探す事。
たぶん、教科書だけだと、私のように基礎が無い者には補足資料が必要だ。
ある程度の覚書、羊皮紙に慣れる事。
羊皮紙ってどうやって纏めて置くんだろう。
綴用の板とかあるのかな。
バインダーみたいに?
これもカキカキ。
あと、必須科目のその他の項目に、飛行訓練ってあるらしい。
魔女って飛ぶんだ〜。
箒で飛ぶんだ〜。
羊皮紙に記入。
高所恐怖症で飛べないと思う。
そもそも箒の何処に乗るのでしょうか?
浮遊力とか体を乗せる見えないエアクッションとかあるんでしょうか?
まぁ答えは魔法的不思議パワーなんだろうけどね。
魔法界の魔女っ子達は、ワクワクするんだろうか?
***
「教科書とか重い荷物をどうやって教室移動の時、持ち歩いているか?
だいたいは午前と午後で二コマぐらいだから、専用の鞄にいれている子もいるし、手で持って移動する子もいるわね。
でも重さとか嵩張るのが嫌なら、身につける拡張鞄とか、いろいろ方法はあるわね」
お昼になって戻ってきた皆と、再びの食事。
水に柑橘類を絞った物を飲みながら、先輩方へ聞いてみた。
「そもそも必要な道具は、その授業の教室に近いロッカーを利用するから、あまり心配しなくても大丈夫よ」
おぉ、なるほど。
「寮の談話室に戻って宿題をする時は持ち帰るし、予習や復習の為に教科書やノートは運ぶけど。
ホグワーツの授業は、科目の曜日が決まっているから、持ち物は選別できるわ。
特に、一年生の時は、必修科目だけだから、それほど苦労しないし忘れないはずよ。
ただ、カリキュラムは進級すると個人個人違うから、忘れ物など間違いがないように、自分で気をつけなくてはね。
それか同じ選択授業の友達をつくって、お互いに抜けが無いようにするのもいいわよ。
9月になったら、同じ学年の子が入ってくるから楽しみにしてなさいね」
ありがとうございます、天使。
こんな具合いで、天使がいっぱいだ。
癒やされる。
食事後、歯磨きして、服装チェックして、午前中に書き込んだ勉強についての感想&質問疑問の羊皮紙を用意。
談話室でおりこうさんに待つ。
午後の授業に出かけていく、お兄さんお姉さんに挨拶をしながら見送る。
ちなみに、念話はやっぱり通らない。
そいで暫くすると、黒衣の吾輩氏登場。
「準備はいいかな、ホグワーツ内部の案内と周辺の簡単な説明をする。
ついてきなさい」
はい、先生。
羊皮紙はひとまず、ポケットへ。
案内が終わったら、個別面談だってさ。
***
まぁ寮監先生の相変わらず効率重視の説明は端折るよ。
偉い魔法使いサラザール・スリザリンのお話。
地下ダンジョンにある魔法薬学教室。
スネイプ先生の研究室。
同じく地下に位置するハッフルパフの寮の方向やら、生徒には教えない厨房への入り方。
私は怪我の養生もあるから、時間外でも食事の提供を願えるそうだ。
そいで厨房には屋敷しもべというイキモノがいて、いろいろな家事を担当しているらしい。
何、詳しく知りたい!
と、思ったが、寮監先生の本日のご機嫌は、突き抜けて悪そうなので、ひたすら無になって後をついて歩いている。
一階の玄関ホールを抜けて、それぞれの塔の方向、移動階段、方向がわからなくなった時の対処法。
絵画の位置、図書室、授業が行われているだろう教室には近寄らず、大凡の方向と位置、階層を説明していった。
まぁ、一人で移動する事はないからね、なんとなくこっちだって感じで覚えておけばいいってさ。
わからなくなった時は?
で、そこで思い出したらしい寮監先生は説明を一旦中断すると、懐から小さな笛を取り出した。
小さな陶器らしい小鳥型の笛である。
白い握り込めるほどの笛で、小鳥の頭に薄桃色の花のマークがあった。
「監督生から緊急を知らせる笛を持たせて欲しいとの訴えがあった。
これを吹けば、近くにいる何かが来るだろう」
何か...。
受け取ってみると、陶器ではなく軽いプラスチックに似た割れそうもない品だった。
「吹いてみろ」
んで、吹く。
ぽぴ〜っと間抜けな音がする。
まぁ何も来ないよね。
で、高をくくっていたら、めっちゃ来た。
メッチャ、鳥が来た。
それも半ギレ状態の梟が数羽だ。
「忙しい中を呼びつけられれば、怒るであろうな」
と、いいつつ、ポケットから何やら渡している。
オヤツ的ナニカらしい。
「このように、近場からナニカが来て、状況によっては何とかなるかもしれない」
かもしれない...
しょっぱい表情で見つめるが、寮監先生はマジだった。
マジで瞳孔が開いてる。
やばい、四徹に突入してるな。
今日も寝不足気味ですね。
睡眠時間を削るアクシデントでも?
わかりました。
ともかく、早めに案内を終了していただいて大丈夫です。
出歩きませんし、利用するとしたら図書室だけです。
早く個別面談して、先生、仮眠しましょう。
「妙な気を使うな、まだまだいける」
ほら、口調が崩れてますって。
***
寮監先生の研究室は、品質管理の為か、低温に保たれていた。
薄暗いのも、多分、素材への影響を考えているんだろうね。
書類の棚、薬品の鍵のかかった棚、道具の並ぶ棚、標本だな、たぶん、素材を見極めるために置かれた灯りも寒々しい。
机の側に置かれた長椅子と机にも、多分、書籍と論文が山になってる。適当によけると、そこに腰をおろした。
暖炉は使った様子がない。
奥の扉は私室だろうね。
さすがに、ここで寝起きはしてないだろう。
というか寝てないんだった。
駄目だろ。
と、私の書いた羊皮紙を片手に、目を通す寮監先生。
杖を一振。
暖炉に火が入った。
おぅ、魔法使いだ。
あれ、私もか?
「プライマリー・スクールでの成績は良かったとあったが、生活記憶はあるか?」
十一歳までの記憶がごっそり抜けていますが、生活には困っていません。
魔法には面食らってますが。
「だろうな。
年齢よりも上の思考だ。
どのような暮らしであったかわからぬが、自立した生活だったと思われる」
親がいませんでしたし、たぶん、叔母と二人で頑張っていたのでしょう。
まぁ事故である意味、別人になってしまいましたし。
子供という認識もありません。
「だろうな。
話していると、吾輩と同年代かと思う部分さえある」
前世プラスしたら、オバチャンだもんね。(内緒)
「さて、学習面では、やはり実践部分が不安とあるが、これはマグル出身者の子供には当たり前の話だ。
杖を新調し、本格的な授業で学び始めれば済むことでもある。
だが、お前の場合は、話が変わる。
ともかく、魔力のコントロールと会話や伝言の魔法を先に習得せねばならない。
授業を受けるに、発語の問題はクリアしておくべきだ」
ご尤もです。
「杖の購入は週末、手の空いた者と向かう事になる。それまでは教科書などを予習し、羊皮紙になれる練習などを重ねることだ」
了解です。
ありがとうございます。
じゃぁ早速、寮に戻りますね。
「まて、今、簡単な課題を渡しておく。
羊皮紙に均等に文字を書くため、特に反復すべき単語を選んでおいた」
で、渡される課題。
単語ドリルみたいなものだね。
呪文だ。
練習必須だね、ありがとう寮監先生。
完璧主義者の責任感バリ高だね。
もう、十分なんで、仮眠してくださいね。
「まだまだ大丈夫だ」
大丈夫じゃない顔色ですよ。
それにマジで思考が死にかけてる。
暖炉に火をいれたなら、ここも少し温いですから。
ホラふらついてますよ。
過労死する前に寝るんですよ!
で、ツッコミと挨拶代わりに、軽く腕に触れた。
ドサッ。
え?
...
えぇ!
倒れた。
やばい、倒れた。
死んだ?
死んでる?
死んでない?
長椅子に倒れた相手の鼻と口元に手を翳す。
イキシテルー!
やべぇ、こっちの息が止まる。
先生!
揺らしちゃ駄目だ。
えっと、えっと
先生?
呼び掛けて、マジで声をかけようとして、歯を食いしばる。
声は駄目だ。
意識、繋がってるはずだ。
感覚として、なんとなく、寝てるだけの気がする。
痛みとか、相手の意識、気分を感じ取れない。
けど、苦しい感じはない、はず。
これ、私が悪いのか?
軽く触れただけなんだけど?
寝てる?
失神?
わからない。
どうしよう。
時間、まだ、夕飯の時間でもない。
先生、今日は午後の授業無いからって話だった。
ご飯までは大丈夫なはず。
頸動脈に指を乗せる。
普通なら気がつくところだけど.脈はしっかりしてる。
失神、寝てる?
どっちだ。
普通に寝落ち、か?
脳溢血とか、他にやばい病気じゃないよね?
いびき出てないし、顔色.もともと悪くてわからん。
誰かを呼ぶ?
誰を?
保険医先生?
他の教師?
床とか長椅子の硬い部分に倒れなかったからセーフだよね。
打撲は無いと思うんだ。
軽く触れただけなんだけど。
もうもう、どうすりゃいいんだ!
横向きに倒れてるけど、頭、息が吸いやすい方向に変えて。
足元は床に落ちてるけど、高くしたほうがいいのか?
わからねー!!
マジ、自分、無能!!!
暖炉は大丈夫、寒くないけど温かさもほんのりだけど、大丈夫なんだろうか?
と、ひとしきりオロオロしたが、デスクの椅子にひざ掛けを発見。
そっとかけてから、暫し考える。
もし、病気で失神だったらまずい。
ただの寝落ちなら?
正しい判断→人を呼ぶ。
誰を?
私は笛を吹いた。
相当、狼狽えていたんだと思う。
ぴろ〜
***
結論から言うと、梟は来なかった。
そして先生は、失神に近い寝落ちだった。
で、謎の笛が呼び出したのは。
「まだ、確定ではないが、母君の血筋が強いようじゃ」
校長先生召喚!
笛が呼ぶナニカ、次は何が呼び出されるんだろう、ある意味、期待。
とかフザケてみたけど、本当に助かった。
まぁ助けてって時に吹くと、的確にナニカを出現させる魔笛である。
魔法の道具って本当に怖い。
そいで、校長先生、あわあわしている私を落ち着かせると、状況を確認。
寮監先生を診察と言うか魔法的サーチをして、寝てるようじゃのぅとのんびりと笑った。
それから、告げられたのは、先生を寝落ちさせたのは、私だろうって事。
「大急ぎで東洋の血と魔法について研究している人物にわたりをつけてな。
お主の状態を話したのじゃよ」
自分、討伐されるんすか?
ずばり聞いてみる。
校長先生に聞くのが一番だ。
一度、死にかけてるし、もうお腹いっぱいだぜ、ベイベー。
寮監先生、死んでないなら、もーいいや。
「我々魔法族が考える悪魔や魔物とは違う血のようじゃ。
研究者が実際お主を確認した訳ではないので確証は無いがの。
じゃが、ちいっとばかり癖がある。
あぁ、わかりました。
悪魔祓い案件ですね。
それとも魔法界だと闇祓いか?
叔母さんの事件も闇祓いって人達が引き継いだみたいだし。
つーか、私って人間じゃなかったの?
「人間じゃよ、安心せい。
まぁ簡単に言えばのぅ。
大凡が男の精気を吸って蔓延るそうじゃ」
討伐対象じゃん!!
で、何故か笑う校長先生。
「昔話の話の中での事じゃよ。
それも権力者の寵妃となった者が話じゃ。
栄枯盛衰、後に生き残った方が書いた文献じゃ、敗者は悪しざまに書かれるものよ。
つまり魅了をもって時の権力者に取り入り、争いを招いたモノじゃな。
力あるモノであり多くの獣を従え、人間の権力者の男を従えた。
王家の血に入り込んだが、最後は討伐された。
祟る故に、ジャパンでは神として祀っているそうじゃ」
あ〜それは記憶の中にありますな、そういった東アジア圏にある伝承ですな。
だがしかし!
そんなだいそれた生き物のつもりはないのですがっ!!
「もちろん、それは伝承の中の話じゃと心得ておるよ。
今では、ほんの残り香じゃろう。
だが今でも権力者の血筋、貴族の血に現れるそうじゃ。
ただ、お主の場合、ヴィーラの血も混じり、力が強く蘇った。
濃く表に出たのではないかという話じゃ。
魔法族としての魔力もあるため、血に交じる能力を魔力を糧に発現しておる。
殺されかかったのが引き金とも考えられよう」
どうすれば、よいのでしょうか。
訓練すれば、どうにかなりますか?
別段、男の精気を吸って何かをしたくありません。
むしろ男が嫌いです。
「...ほほぅ。
今、詳しくお主に該当する能力を洗い出してもらっておる。
後々、その研究者と対面して診断してもらうのも考えているところじゃ。
力とは管理し、使ってこそのものじゃしのぅ」
寮監先生を昏倒させたのは、どんな力ですか?
「あぁそれかの」
で。校長先生は、本当におかしそうに笑った。
「ドヴワティーヌ嬢の思いやりの結果じゃの」
思いやり?
「家畜が弱っておると判断し、寝るように少し吸い取ったのじゃろう」
吸い取った。
吸い取った?
吸い、とったぁ?
何を?
ナニをか?
いや、家畜発言はいかんでしょう、教育者!!
「獲物の精気を吸う質をももっておるのは、はじめからわかっておった。
名を呼ばれると、若干、吸われる感覚がしたのでの。
その時だけ、お主の虹彩が獣のように変化しておる。
そうそうに研究者に相談したのもその為じゃ」
獣要素あるんだ。
もう、やだなー。
「研究者によれば、吸い殺すのは稀。
気に入った獲物を飼う傾向が多いそうじゃ。
なんじゃかの其奴、いや研究者なんじゃが、一度飼われてみたいといいだしての。
お主に合わせるのは止めにしたんじゃ」
不安だ。
いやほんと、私、普通に暮らしたいし、魔女ならポーション作成して売って食べていきたいなーなんて考えてたのに。
叔母さん見つかったら、あらためてコミュニケーションはかるつもりだったのになー。
むしろ、私がフェードアウトしたほうがいいんじゃね?
いやほんと、寮監先生、巻き込まれすぎ。
ヒール体質にトラブル体質。
何、主人公なの?
つーか、本当にもうしわけないわー。
いや、寮監先生に寝てほしかったのは本当。
寝不足で死にそうなんて、この若さで駄目だろうって。
んで、すや〜っと寝る人を見る。
「お主に責任は無いのじゃよ。そもそも、誰かがお主の生活を脅かし、ご家族が行方知れずが元じゃ」
責任あるよ。
昏倒させるとか、知らんでも駄目じゃん。
「ずっとセブルスを誂いながら、体調を案じておったろう?」
校長先生、わざと念話が聞こえないふりをしてたんですね。
「そりゃそうじゃ。おもしろいからの。
まぁそれだけではないんじゃ。
お主の念話とやらが通じているわけではない。
こうして話しかけているのは緊急じゃったからだ。
魔法を介しているんじゃよ。
開心術と魔力反応でお主の語りをひろって、返しておるだけじゃ」
恨みがましい視線を感じたのか、校長は真面目な顔を取り繕うと続けた。
「後で、隠蔽と遮断の道具も渡そう。
研究者に相談ついでに、魅了を封じ事故を防ぐ道具を供出させた。
使用感、効果などを後で報告せねばならん。
あくまでも無意識に漏れる力のみをカットする道具だと覚えておくように」
声を出したら、結局は駄目って事ですか?
「すでにある程度はコントロールしているじゃろ?
学生には使っておらんし、教員にもじゃ。
使っているのは、ほれ、そこに倒れている男にだけじゃ」
寮監先生には先に提案しているんですが、同条件の被検体に同じように会話を試みる実証実験をしたいと考えております。
寮監先生曰く、新学期に彼より若い大人の男で、教師が戻ってくるそうですね。
私の思考を読んでいるのは本当らしく、校長先生はブッと吹き出した。
「コミュニケーション能力が高いのう、この捻くれ者との会話を継続させるセンスには脱帽じゃ。
何が興味を引くのか本能的に理解しているようだのぅ」
私の脳内では、雌カマキリではなく女郎蜘蛛が浮かんだ。
「なぜ、蜘蛛なんじゃ?」
ジャパンの伝承で、女に化けた蜘蛛の妖怪の話を聞いた事があります。
「ほぅ、今現れている人格のほうじゃな、では動物の妖魔は知識にあるかのぅ、どうじゃ?」
うん、心をよまれてるんだろうな〜。
んで、狐、犬、狸、鶴と想像していく。
「極東の島国は不思議じゃのぅ」
私にすれば、この世界すべてが不思議だよ。
まぁ寝ている寮監先生を眺めつつ、起きたら怒られるんだろうなぁと思った。