R15と残酷描写タグは、予防処置と寮監先生の苦行成分でできております。
寮監先生の何が苦行なのか、楽しんでいただけたら嬉しいです。(゚∀゚)アヒャ
ちなみに主人公が語りかけている相手は、マーガレット(叔母さん)です。
食事が終わり、冷静になると、どどーんと落ち込んだ。
あやまると嫌がられるのを知ってるから、もう言わんが。
ワイのせいで、悪役ロールをさせてしまった。
地面にめり込む感じで落ち込む。
かといって、ヨーロッパの眷属を従えるつもりもない。
ワイな、できる事とできない事は知ってるんよ。
でもなー、矢面にたたせるのもなぁ。
「考え違いをするな。
君の側にいる者は、何も言わずとも排除対象だ。
ホグワーツの教師であり、ダンブルドアに命じられた私だからこその、先程の冗談だ。
そして私個人としてはだ。
もともと狙われている。
君も知っている通り、闇祓いにも、後ろ暗い繋がりのある者にも、多くの魔法族にも狙われている。
言葉や態度に出さぬのは、ダンブルドアの庇護下にあるからだ。故に、今更、なのだよ」
ワイは、私は奥歯を噛んだ。
うむ、わかった。
うん、わかったよ。
ゴインっと隣りの肩に頭をあてる。
ホグワーツの、地下に潜んでいた人を引っ張りだしちゃったんだから、責任は取るのだ。
ヒゲの政治的にも、この人は、本来は目立っちゃ駄目な立ち位置の人なんだよね。
それをだ、これはねぇよ。
考えるに、地下教室、魔法薬学教授にしたのも政治、だったと推測してる。
目立たない事が死喰い人には当然だった。
お家再興を言葉にしたけど、彼が躊躇うのは、立ち位置が、表に出ない人なんだよね。
名前が出る。
それだけで、いろいろ問題なのに。
文句あるなら、喧嘩をかってやらぁ、かかってこいやバカ犬がっ!
これはねぇや。
女神と女神の息子、ごめんよ。
そうそう女神の旦那さん、ちらっと大きな人から話題を引っ張り出してみたけど、けっこうやんちゃだったね。
やんちゃなお坊ちゃま。
予想通りのハイソなお坊ちゃまだった。
いや、文句ないよ。
そうじゃないの。
ポッターの財産管理どうなってんの?
グリンゴッツの会計監査どうなってんの?
つーか保護者ー!!
ハリー君、どう見ても虐待児ね。
ちょっとどころじゃねぇのよ。
ヒゲのヒゲがファイヤーする事確実だね。
夏休み後半は、それに費やすつもり。
もちろん、ダーリンの課題もしなきゃだけど。
うん、ちょっと落ち着いてきた。
ワイは、迷惑をかけて、かけっぱなしで逃げるような恩知らずではない。
増やす。
これは増やさねばならぬ。
ダーリンが言う、賢い犬を作るしかあるまい。
もちろん、はぁはぁしない奴。
そいで、ダーリンに貢ぐのである。
でっかい研究室と最新の設備をぶっこむ。
ヒゲに相談だ。
マジでキメた。
ある意味、迷惑だろうが、決めちゃったもんね。
そいでお薬三昧させるのー日光あびさせるのー!
「余計な事を考えるなよ、猿」
おぅ、閉じてるつもりが伝わっていたようだ。
デコピンのように額を弾かれた、いてぇ。
「すいませーん、そこでイチャイチャしてる怖い人、作業再開しますんでー、いやぁ睨まないでくださいよぅ。こわっ、暇人上司、こわっ、特別手当くださいねー」
「うん、暇人だから、眠くなっちゃったね、うんうん。何も聞こえないね」
検閲で並べられる品々に職員さんが絶望しつつ、目録を作成。
ワイへの貢物だと知れると、更に絶望したらしく目を押さえている。
それでも手早く書類と記録映像を作り上げていく。
その間、オモテナシというか連盟の偉い人とセウェルスは色々小難しい話を続けていた。
暇である。
今後の旅程はどうなってんのかな?
ウィーンでお買い物したい。
お土産、買いたいなー。
「ヌルメンガードでの対面が早く終わったのもあるが、迎えがたどり着いていない。
連盟で用意されていた馬車で麓の駅に向かい、マグルの交通機関を利用する案がある。
ただ、魔法省からの出迎えが、穏当ではある。
すでにここへ至る手段が、彼らの顔を潰しているからな。
まぁ君からの不興を買っている彼らだ、どう扱おうと文句は言うまい。」
トンクス姉さん達が向かってる?
「たぶん、人員変更した所で君の機嫌は直らないだろうと考えているはずだ。だが」
だが?
「彼らは今頃、やっとウィーンを出る頃だ」
ん?
「転移魔法陣でここに至ったが、時間にズレがでる。
跳躍系の術式は、このズレのコントロールが難しい。
距離が長くなればなるほど、アンカーの位置指定に安定性を求める。そうなればズレ幅が広がる。
このズレを説明するには、想像しやすい言葉が浮かばぬ。
弾道計算、いや、投擲を考えろ。遠くの場所に投げる場合、直球直線では投げまい?」
うーん、先生ーわかるような、わからないような〜?
「マグルの物理で説明できるだろうか。
ブロック宇宙に対しての、位置指定跳躍だ。」
あ〜SF映画であるある〜!
過去・現在・未来は、全部存在してるってやつだ。
「連続した同一空間に存在しているのが我々だ。
では、魔法族の姿現しを考えると、指定点は確定済みの時空になる。
行き過ぎた時間の、確定した場所だ。
姿現しと魔法陣の構造や手段は違えど、考え方の大枠は同じだ。
その同じ機序で、我々は城塞にたどり着いた。
過去という確定時間を指定しながら、同一時刻の別の点にたどり着いた訳だ。
これは現在より前に観測された、記憶された空間を指定点にしている為、認識上では過去であり存在は現在の点に跳躍できる訳だな。
だが、この一見正しいように見える構造だが、大掛かりな古代魔法陣になると、矛盾を矛盾として処理する。」
ん?
えっと理論的にはズレないんじゃない?
「我々の時間はズレないし、矛盾でもない。
認識だけが過去の確定点を利用しているだけだからだ。
だが、空間跳躍を確定空間へ指定している事も確かで、長距離跳躍の安定した場所へと指定するならば、秒のズレではなくもっと確実な固定点を指定する。
もちろん年単位ではない。
そしてあの古代魔法陣の一番の特異性とは、矛盾の相殺にある。」
今、とんでも理論が脳裏によぎったよ。
つまり跳んだ人間はコンマの世界のズレで存在が移動したと感じる。
距離を跳んだって認識。
でも実際は距離ではなく、時間を跳んでもいる。
アンカーとして確実に存在している時間へ向かって跳んでいるって考えだ。
時間の逆行とも言える。
跳んだ人はコンマの差で移動終了するわけだ。
ズレぐらいでね。
それは確実に安定している時間を選んでいる事になる。
距離ではなく時間ね。
この距離と時間。
距離が長くなるほど、時間のズレも大きくなるって事を彼は言ってる訳だ。
安定した場所を選ぶのに、明確に存在していた過去を指定している。
なんとなくじゃなくて、ここのこの時間ねって。
そして実際に跳ぶ場合、確実に時間がズレる。
けれど私達は、跳んだ同時刻に、コンマぐらいのズレで出現した。
同時に二箇所に存在する事をしていない。
ましゃか、魔法陣を正しいとして、世の時間を少し遅めたりしないよね?
「惜しい、我々の時間を加速させた、だ。」
ん?
また、とんでも理論。
損益通算みたいな事をしたと?
遅れる分を早めておいた?そんなましゃか〜
「庭園からというのは、魔法陣の準備段階であったのだろう。
読み取っているうちに気がついた。
庭園側から入った時点で加速がかかり始めている。
書類処理、会話、君の歌、魔法陣の起動までで二時間以上の滞在だ。
だが我々の体感までもが加速処理をされていたようで、三十分位だったか?
その無駄な労力に頭が下がる。」
えーっと、記憶もなの?
「矛盾相殺が主眼の魔法陣だ。
それ故、莫大な魔力を消費している。
多人数で大掛かりになるのもそれが理由だ。
この処理部分をカットしてしまえば、もっとローコストになるだろう。
緊急避難時の安定性だけを重視すれば、多少、時間がズレた所で事故はおきない。」
パラドックスで消滅とか、大丈夫?
「緊急避難場所を確定しておけばいいだけの話だ。
それに全部をカットする事も無い。
そこを研究すればいいだけの話だ。
ともかく、このお陰で我々の迎えは来ていないと言うわけだ。
時間がズレたわけではない。
我々のウィーンでの手続き時間が早々に終わっただけだ。
魔法陣のズレと揺り戻しでの矛盾が相殺され、加速が終わる。
時間は統一され、我々がここに着いたのは、揺れ幅なしの状態である。
1時間半は確実に先に、ここに到着していた訳だ。
つまり本来は数時間、あの場にいたであろうと闇祓いたちは考えていた。
実際、加速された時間では二時間ぐらいは費やされていたであろう。
そうして転移が知らされた闇祓い達は、問い合わせと事実確認をし、自分たちがどう動くかを判断するだけで多くの無駄な時間を費やした。」
「宮仕えとは中々に大変な事だね、教授。
我々の方も問い合わせには、いちいち確認と、がんばって時間をかけているよ。真摯にね」
と、連盟の偉い人が言う。
いや、それ足止めしたってだけじゃん。
「そして昼時をやっと過ぎたこの時間帯、まさか我々がこのように素早く退去をしたとも考えていない。」
どうして?
滞在するのは確定じゃなかったでしょ?
まぁ二三日足止めされると思ってたのは確かだけど。
「相手の状態がわからぬ話だったからな、ただ、君の健康状態に相手が配慮をしてくれた面もある。
引き止められる可能性の方が大きかったのは確かだ。
昔の縁を確認しただけ、なのでこちらとしては、退去を早めてもらったのも事実だ。」
あぁ、これも記録されてるんだった。
余計な事は言っちゃ駄目ね。
「問題は、君の体調と、彼らのメンツだな」
私は大丈夫だよ?
「あの魔法陣での意識消失は、予定外だ。本来、一番、安全で安定している移動になる。
だが、君はどうも移動関連に体内魔力が乱れるようだ。
ヌルメンガードでの滞在がよろしくない事を相手が理解したのも、その不安定さからだ。
やはり成人まではホグワーツにとどまるべきだろう。」
この後、パリ、イギリス間が問題かぁ。
「最初から寝かせておく事を考えている。」
ダーリンの薬で?
「そうだ。その方が乱れないだろう。彼らが追いつく事ができれば付き添いも良かろう。」
トンクス姉さんか。うん、いいよ。
って言ったら、ダーリンが笑った。
うわぁ、人でなしの笑顔〜
「追いつけたならばだ。
行き違いもいい薬になるだろう。
その間に、多少は掃除も進むのではないかね?」
「ご配慮、感謝しまーす」
お土産をバシバシ撮影していた職員さんが、気の抜けた声で返した。
どういう事?
「気にする事は無い。ウィーンでは、さて……」
一緒だぞ、帰りは無事にお家に戻るまで一緒だぞ?
おい、目をそらすんじゃない。
はなれないからなー!
「善処しよう」
「四時間弱でウィーンだ。駅まで馬車で送るからね。
そこから買い物、三時間ぐらいかな。夕食をレストランでとって、国立劇場といきたいところだけど、今回はおすすめしない。申し訳ないけどね。」
「状況は理解しています。
アオイ、買い物と食事だけになるが、いいだろうか?」
何をおっしゃる、ウィーンに行かなくてもいいんだぞ!
そう伝えたら、ダーリンが笑った。
普通の笑いだ。
「子供が気を使うな」
何か、泣きたくなった。
***
お着替えした。
ダーリンがバスルームとなっている一室に、いろいろ魔法的安全地帯をつくってくれる。
「盗撮、覗き見?
ははは、虹彩に呪いが焼き付けられて、痛みにのたうつ事になろう。
君の首飾りの細かなダイアひとつひとつに、特別な呪をしこませてある。
あぁ冗談だ。うむ、楽しい冗談であろう?
写真などの映像の場合は、もっと楽しい事がおきるぞ。
ん、あぁもちろん、冗談だ。」
ヒールプレイなのか、本当なのかは不明。
啓蒙高いよね、この人。
んで、カジュアルな格好である。
もちろん、マクゴナガル先生プレゼンツ、カジュアルである。
相変わらずのお嬢さま装備だった。
薄い刺繍入りの、おしゃれな上着。
もちろん、ワンピースね。
コルセット無いだけで、すんごい楽だよ。
そいで中々にシルエットが可愛い。
チロリアンな感じだよ。
髪の毛はきちんとあみあみして頭部に巻く。
そういえば、ダーリンさぁ、ワイのリボン、外してるでしょ。
扉の向こうにいるだろう、ダーリンに呼びかける。
「君の護符を巻いて、見せて歩くわけにもいくまい」
攻撃を受けて、どう反応するかのチャンスだったじゃん。
「それで君が傷つきでもしたら、どうなると思う。私に死ねと?」
そうじゃないよ。
そうじゃない。
魔法以外の何かにも対応するのか、知りたいのもあるし。
心配だからだよ。
きっと反動は小さいはずだ。
嫌がるようなことにはならないよ。
帰ったら、ちゃんとつけてね。
「校内ではつける」
校外にでるときもさ。
今度のクリスマスは、この貴方にもらった腕輪で試そう。
「駄目だ」
そう言うと思ったよ。
わかった。
じゃぁ今年のクリスマスは、楽しみにしててね。
「これ以上はいらん」
はい、おまたせー。
マクゴナガル先生監修、お嬢さま装備であるぞー。
かわいいだろうー拝み倒すがよいー!
んで、睨み下ろされる。
うわ〜無反応。
まぁそうだよね。
んで、少し襟元を直されて、髪の毛もちょいちょいされる。
自然と後ろを向く。
ちょいちょい。
うむ、よろしいっていう服装チェックが終わる。
ちなみにダーリンも普通のマグルの服装にチェンジ。
ブラックジーンズだぜ!
そいでブラックなシャツにブラックなジャケット。
ポニーテールなんだぞ!
写真、写真をとらねば!!
くそ〜骨格がモデルなんだよ。
手足がなげぇ、おまけに指も長い。
猫背の印象あるけど、姿勢よくすると、本当に威圧感がね。
やっぱり偽装だよね。
軟弱雰囲気演出の上に、陰険で嫌味とか、もう、あらゆる意味でしょっぱい味付け。
プライドバリ高の男が猫背の訳ないんだよ。
あ〜写真撮りたい。
「人相風体を無用な形で残すな、危機感を持て」
いーなーってだけだよ。
記憶に焼き付けるからいーけどさ。
ただ、もしもさ、記憶を落っことした場合の保険が欲しいって思っただけだよ。
忘れたくないし、忘れないでって。
「誰が忘れると?」
まぁ自分から消しちゃう場合もあるでしょ。
魔法界ってそういうとこあるじゃない?
それに私の呪いは、大切なことほど力が大きく出ると思うしね。
無くしてもわからないってのは、怖いんだよなぁ。
とは言わずに、外に出た。
そいで馬車だ。
めっちゃ観光馬車だ。
お馬と目が合う。
逸らされた。
相変わらずのお馬とは相性が悪いようである。
「お嬢さんのお土産は、いちおうそのままもたせてますけど、後からダメ出しが出る事もありますんで、その時は一ヶ月以内に連絡します。
まぁ行き先が偉大な魔法使いの本拠地ですんで、大丈夫だとは思います。
魔法的なスキャンは通っていますが、それでも保護者の方の許可がおりてから、お嬢さんの手に渡るという順番を必ず守ってくださいね。
では、お引き止めした事、職務とは言えお詫び申し上げます。
あと、ここでの会話についてのご不興ご不快な事がございましたら、連盟本部のそこの暇人宛にお願いします。
国際魔法連盟スペイン魔法組合といえば、わかりますので。」
「君ね、最後にバラさないでくれる?
いちおうフランス系ではあるんだよ。それからセビリア兄弟団が正式名称だよ。
ここは中立の魔法族を置くのが基本なんだ。
だから、この優秀で口ばかり達者な若造も、中立国の魔法族だ。
あぁ引き止めてすまないね、お嬢さん、それから教授、また、いつかどこかで」
馬車に御者はいない。
いつもの魔法的なにかなのだろう。
ダーリンがいつも通り安全確認後に乗り込む。
すると窓から見えるすべてが、霧に埋もれた。
側にいたであろう職員二人も見えない。
音もだ。
「セビリア兄弟団は、あのアルカサルの王城と共にある古い魔法族だ。
確かに、生半な輩では排除できない。
君の一族がおとぎ話となるように、彼らもおとぎ話になっている。
血腥い闘争の歴史を持つ、古い魔法族だ。
彼らは血の繋がりも魔法族らしく濃いので、一人を害せば、どこに飛び火するかもわからないと言われている。
故に、あの場所の監視役を管理しているのだろう。」
魔法族的夏期講習は内容が濃いね。
「マグル出身の魔法族が中々に馴染めないのは、魔法族は数が少ない割に、長い歴史の中にあるからだ。
つまり仲間意識と血の繋がりが複雑すぎる。逃げ場がない」
それに満足しやすいってのもあるよね。
仲間同士だと安心する?
「そうだ。
新しさや異物、違いを認める事を極端に嫌うのは、恐れてもいるのだ。
迫害された歴史もある」
だからといって、誰かを同じ目に遭わせたり、身内同士で殺し合うのは愚の骨頂だよね。
生産性がゼロだよ。
「その通り」
お互いにため息をつく。
なんつー夏休みだよ。
ウィーンに、ワイの過激派わいてるの?
「やはり魔法省に、馬鹿がいるようだ」
情報が漏れてる?
「支部での騒ぎも、それが要因のひとつだろう」
泣き真似してもいいよ。
「忠告しておこう。
その手の誘導は、回数制限がある。
多用してはならぬし、危険だ。
君は、君の生活を守る方向で努力しろ。」
うん、それは理解してる。
でもね。
「考え方を整理しろ。
まず、君は叔母と自分との生活を取り戻したいと考えている、違うか?」
違わないよ。
「これからどのような事があっても、君がすべきことは、大して変わらない。
勉学をしホグワーツを卒業する事だ。
私達が協力しあうのは、生活を守る為だ。
君は叔母との暮らしを取り戻し、暮らしていく為。
私は彼女の子供が暮らしていく為だ。
シンプルに考えればな」
うん。
「異形の事が始まりだとしても、行き着く先は、それだ。
君ができることは、決して頭のオカシナ輩への対処ではない。
君が君として生きる事だ。
大人の欲にまみれた動きは、邪魔になれば排除する程度に意識していればいい。
関わらないスタンスが一番だ。
話はここで終わりだ。」
うん?
で、ダーリンを見つめる。
あ〜また、記録されてるんだねぇ。
プライバシーゼロなんだもんなぁ。
これも彼が早く帰りたいと考える理由か。
でも宿泊ゼロでウィーンにとんぼ返りだよ、考えてみたら、初期のダーリンの旅程に近い。
なるほどねぇ。
なんて考えていると、妙に明るい場所に突き抜けた。
***
そいでダイジェストね。
チロルの山々、観光名所弾丸トレッキングね。
アルプスのお花ぐらいあげとく?
アルペンローゼとか、ブラウアー・アイゼンフート、ライムプリメル、そうそうエーデルワイスね。
観光地らしい場所に来たなーって思ったら、日当たりの良い斜面に転移。
慣れさせる為とかほざいてたけど、視界に貴重な薬草を見つけたんだと思う。
そこからは弾丸トレッキングアルプス編に突入。
観光客とか登山客とかみかける、どこだかわからぬ登山装備してないとアカン場所を巡った。
わーお花
わー雪だ
わーロープウェイ
わー湖
わー機関車だー
所要時間1時間ちょっとで、山の薬草コンプリートしてると思うよ。
ダーリンが充実してペカペカ輝いてた。
「君を連れての近距離連続姿現しは完全にマスターした。」
つまり?
「君の意識は問題ではなく繋がりがあるかぎり、君をバラけさせる事は無い。」
はぁ、どうも?
「連盟の監視は外れた」
あぁなるほどー
そいでやっと普通の列車に乗る。
ウィーンまで二時間だった。
ちなみに、アルプス近辺だけはお水がきれいなので、お水が飲める場所が設置されてたりする。
もちろん、飲んでいいですよの場所だけだけどね。
昔懐かしい車体の列車に収まる。
観光客はいるけど、混んではいない。
ここまできてやっと夏らしい空気だ。
お山は寒かった。
流れていく景色は、夏色だ。
絵葉書は買った。
帰れるのは嬉しい。
けど、なんだか寂しいなぁ。
「一週間かからずに戻れるとはな」
ダーリンは戻ったら大人の付き合いで夏が終了?
私の物言いに、彼は勘弁してくれという風に指を振った。
そして隠蔽と遮音の魔法を使う。
「マルフォイ家は、純血としては重要な立場だ。
休み明けから追々、純血家系のパワーバランスを教えよう」
それ必要?
「必須だ。
死喰い人や闇の帝王について学ぶうえで、その理由や行動の原動力を知っていれば理解しやすいだろう。
今回、グリンデルバルドの伝言を校長がどう考えるかにもよるがな。」
ヒゲは全部を語らないから、困るよね。
「知らぬほうがいいこともある。
知らねば漏らす事も無い」
なるほどね〜
ヒゲらしいや。
それでもさ〜よくないと思うんよねぇ。
ワンマン体質って、事故ると全滅するんだよ。
「ワンマンとは?」
経営者が全部決める体制だよ。
良い面は、トップが天才なら、即座に問題対処できる。
責任も、まっとうなトップなら、我にあり!って背負ってくれる。
ヒゲも、今日面会したじいちゃんも、カリスマ経営者だし、人が集まるよね。
そいで悪い面ね。
部下がね、イエスマンになるんよ。
我が君がいっちばーん!っていう宗教めいた体質になる。
んで、革新的な事、意見がゼロになる。
我が君が一番なんだから、他の雑魚の意見は無しな!
そいでトップが死ぬと、全部終わる。
まさに帝王と死喰い人ね。
思い当たるでしょ?
ヒゲも、最近、あぶない。
「...」
グリンデルバルドと帝王への恐怖の中身の違いって、これがあるからじゃないの?
帝王、配下の思考能力を低下させてるでしょ、わざとかな?
そいでグリンデルバルドは、配下を喜ばせるのがうまい。
どっちが危険かって言うと、政治的にはじいちゃんで、治安的には帝王ね。
まぁその帝王、おわっちゃったからね〜。
残された死喰い人が怖いってのもある。
だって、帝王大好き集団でしょ?
だいたい教祖が亡くなると、その後は内部抗争だもの。
「...」
あっ、ダーリンも帝王信者?
そんな訳ねーだろの視線。
まぁそうだよね。
って言ったら、何故か顎を掴まれた。
なんぞ?
向かい側に座るダーリンは、顎をつかむとしみじみと左右に動かす。
右、左。
ワイの顔を眺める。
でっかいため息つきながら。
なに?
「ペラペラと回る口だが、あれに似ているのか、それとも誰に似たのか」
そりゃもう、残念という表情である。
悪口ですかい?
「発語問題を解決していいのだろうかと、常々悩んでいる。」
およ?
ちゅまり、実は、喋らせる事は可能でおじゃると?
「今回も喋れていたろう。限定的ではあるがな」
はいはいはいはい!
じゃべりたいでーっす!
「……」
ぺいっと顎から手が離れる。
えぇ〜
ウィーンについた後の事も話す?
事務手続きをすべく、ルプレヒト教会に最初に向かう。
時間かかるかなーって思ってたら、観光して普通に歩き回って、ダーリンがサインして終了。
どうもね、帰ってきましたよーでいいらしい。
職員さんが、にっこり笑顔でお見送りだけだった。
それも観光客と一緒なんだぜ。
それから普通にお買い物して、普通にご飯食べて、普通に夜行列車乗って、パリに帰ったよ?
端折るな?
本当に、普通だったんだよ。
普通にエナメル細工のお店に入ると、何故かダーリンが色々買ってくれた。
小物とか、ブローチとか、ピンキーリングとかね。
ホイホイホイって感じ。
目線が向いたもの、殆ど買ってくれそうになったんで、目を閉じたら、レストランに行こうってなった。
お仕置きの前触れ?って慄くような待遇でしょ。
細い路地の老舗って感じのレストランで肉料理とか、こう渋めの雰囲気だったけど、すんごい美味しかった。
観光客が少なめの薄暗い店内の、そりゃもうお子様お断りな雰囲気だったよ。
そいで後は、まぁ普通に土産物屋によって、古書店行く?ってなったら、ダーリンがいらんっていい出した。
貸してる本の続きが読みたい、読み返したいと力説。
しょうがないなぁ〜で、ウィーンの伝統的なケーキショップで、ヒゲに魔法的直送をすべく買い込む。
大量に買って、ついでにトルテを食す。
今日はすごい量を食べた。
体重が心配と言ったら、もっと食えと言われた。
ダーリンはふくよかなタイプが好きなようだ。
まぁ冗談だよー
そんな感じだよ。
普通でしょ?
列車のコンパートメントに落ち着く頃には、疲れてそのまま寝ちゃったしね。
目新しいこと?
無いよ。
いつも通り、この線から侵略してくんなよ猿っていうやり取りも変わらずだよ。
うん、変わったこと?
パリについてもさ、闇祓いたちが追いついてこなかった事かなぁ。
そいでパリからイギリスへ向かうのも、パリに逗留しないでポートで移動。
お薬は、檸檬味だった。
何のお薬って、ほら、毎回昏倒するから、先に眠りなさいって渡された。
ちょっと酸っぱくて美味しかったよ。
す〜って眠くなって、す〜って起こされて、不快感ゼロ。
すごいねぇって本心で褒めたら、珍しく彼がちょっと嬉しそうだった。
やっぱりお薬そのものが好きなんだよね、この人。
そいで行きと違うと言えば、イギリスについて、起こされてから長距離の姿現しを試したこともかな〜。
弾丸ツアーだよね、2日は短縮したもん。
「あぁ、だが、これで君を抱えて逃げられる事が証明できた。」
ホグズミードの入口で、私を抱きしめたまま彼は笑い、旅は終わった。