R18 は、予防処置と寮監先生の苦行成分でできております。
啓蒙ポイントが高いと、なんとなくアレだなぁとわかる題名です。
そしてロックハート先生がマイフェイバリットオシです。
ハーマイオニーといっしょに先生をオシ(物理)ます。
きっと啓蒙がたかまってもロックハート先生ならやってくれるはずです!(きっとだいじょうぶだよー)
という秘密の部屋編です。
ぬるい目で許してください。
7月が終わる。
まぁ帰ってきてからお土産を配りまくった。
お休みの先生にはふくろう便。
学校内にいる人には手渡し。
屋敷しもべ妖精さんのところに色々。
ともかくおめぇら、脂っこい味付けとクソ甘い味付けはヤメロや!
という意味もこめて、料理本と様々な食材を投げた。
ワイの旅行カバンは無限大なのである。
校長のところは、例の葛籠をドドーンと置いて、更にケーキの直送便も飛ばしてあるから楽しんでくれている事だろう。
そんな私の旅行後の夏休みと言えばだ。
監督の先生が、今まで個人的に関わった事のないハッフルパフのスプラウト先生だった。
薬草学ではお世話になっているが、それ以外ではあまり接触がない。
実際、薬草学と魔法薬学の先生は頻繁にやり取りをしているし、マダム・ポンフリーとも頻回に交流している先生だから、接触がゼロな訳では無い。
ただ、どうしてもスリザリンの寮監先生預かりの私とは、あまり言葉を交わす事がなかった。
キライってことじゃないよ。
そうそうマクゴナガル先生とスプラウト先生は仲良しだよ。
真面目で勤勉で、とても教師らしい人って印象。
殆どを温室ですごしてるから、余計に会わないのかな。
実はグリフィンドールの子とかも手伝いにいってるから、スリザリンである私は遠慮してたのもある。
ん?
遠慮なんてしてんのかよ?
してるんだぜ、これでもさー。
って感じだけど、まぁ特に普通の交流だけど、お土産に、寮監先生といっしょに採取した薬草類を渡したら喜んでくれた。ちゃんと基本をまもって根っこと土も保護して、根こそぎじゃなくて一部分だけそっと採取してきたよ。
他には各寮にお菓子をばらまいた。
もうお菓子をばらまくサンタ状態ね。
残留してる子もいるから、たべてねーってね。
気にならないのか?
まぁ気になるよ。
グリンデルバルド氏の手紙も、葛籠いっぱいの資料もね。
ダーリンには例の素材系の葛籠は渡したよ。
検疫的にどうかと思うから、専門家でどうにかしてーってね。
本はまだ、届いていない。
ホグワーツに特別室が必要な本ばっかりで、司書先生が言うには許可が降りても禁書室よりも厳重な特別室を設置しなければ受け入れられないって。
まぁ確かにね。
間違って開いて発狂するレベルだもんね。
ただし、抗魔力にすぐれた人なら平気。
校長とか寮監先生ならね。
でも生徒はまずい。
だから、個人蔵書として寮監先生のみに貸してあげようと思ったけど、さすがに魔法省からダメ出しがでてるみたい。ちなみに、購入は許可がおりた。
私だからじゃなくて、購入できるイギリス国籍の魔法族がいたら、手に入れたい物ばっかりだったから。
それだけ貴重だし、手に入れたくてもできないレベルの本ってわけ。
少なくともホグワーツで管理できるなら、それだけでも本当に必要になった時、手に取れるという事が重要って意味だね。
つまり、イギリスには残っていない。公式にはね。
話はそれたけど、オーストリア旅行の本当の意味を知りたいのはある。
けど、実際、知って意味があるのか?
いや、ちょっと怖くなったんだよ、正直なところさ。
シリアスに考えると、いや~私ってつくづく気持ちの悪い生き物って自覚するわけ。
だから意味をシリアスなカットで見たくないって気持ちが、つまり鈍った甘い気持ちが出ちゃったんだ。
楽しすぎたのもある。
一人じゃなかったからね。
グリンデルバルド氏からも、お土産をもらってさ。まぁそれだって裏にはシリアスな、別の思惑があるんだろうけど。
そもそも寮監先生は必要な情報を得たかった、だけなんだしね。私は浮かれて楽しんだけど、現実は忘れてないよって。
でさ、正気な部分は思うわけ。
勉強になるな〜とかは確かに〜。
得るものはあったとは認める〜。
弾丸ツアーは楽しかったし、贅沢だったね。
楽しい事はいっぱいあった。
寮監先生と一緒だった〜。
優しくしてもらったし、お土産や可愛い小物も買ってもらっちゃった〜。
いろいろお話できた〜。
……
少しでも幸せを味わうと、贅沢になるんだね。
知りたくないし知りたい。
マーガレット、無事でいてね。
ほら、ほぼ初対面状態だからね。
そう、これね。
楽しかった、思い出できたー!
忘れたくないなー!
こわくなっちゃった。
じゃぁどうする?
どうもしないのだ。
ダーリンが言った通り、自分ができる事をするだけである。
シリアスに怖がっても、テストはあるし、努力は無駄じゃない。
私が忘れても、誰かは私を覚えてくれるよ。きっとね。
課題は、羊皮紙チャレンジ。
美しき文字で美しき挿絵を描きつつ、チロル地方で採取した植物についての詳細なレポートを仕上げるというものだ。
これで8月の末まで潰れると思うでしょ?
残念でござる。
ワイの完全記憶により、挿絵は資料を見ずとも採取したまんま、美しく描けるのである!
もちろん、画伯である。
うまくはない、うまくはないが、記憶どおりに写真のように再現する事は可能、我、完全勝利!
そいで手を抜くこと、遊ぶ時間を確保する為に全力を尽くす時、ワイのチョウノウリョクが輝くのであった!
ぺかー
んで、地味な作業するワイ。
まず、アルプスチロルの動植物図鑑、上下巻の分厚い図鑑を速読。
脳髄焼き切れるまで記憶。
それを三日。
記憶して寝る、記憶して寝る。
次に、採取して保存してた植物を仕分ける。
黙々と仕分ける。
これ、地下教室、出入り許してもらって、薄暗ーい中で2日かかった。
そいで下処理して、保存と加工するやつにわけて、後は寮監先生が夏休み終わって帰ってきたら加工をならうとして、全部保存の箱にポイっとする。
これに一日。
大体一週間で下準備完了。
そこから図書室で、机の一角を占拠して、そこから羊皮紙チャレンジ。
薬草以外のお花から始めて、一日五種類。
夏の限られた期間内だったから、数は多くない。
挿絵は色をつけるところまで。
記憶した資料の内容を絞り込んで書き込む。
それを一週間。
出来上がった物を確認してから、オーストリアでメジャーな薬草についてのレポートをまとめる。
イギリスの同じ系統の薬草との違いについてだ。
これに五日。
7月が終わる。
ちなみに、夏一杯と考えて置いていった宿題はこれで終了した。
ワイ完全勝利。
目がシバシバする。
手が痛い。
けど、7月で片付けたった!
羊皮紙の束をまとめて、寮監先生の机に置いておく。
ノルマは達成した。
ワイは自由やー!!!
あっそぶぞぅ、たんけんたんけんたんけん!!!
「猿、止まれ」
今、STAYって聞こえたんじゃが。
STAYってわんわんとか、動物向けコマンドなんじゃが?
人間には別の単語なんじゃが?
ウキウキで昼ご飯に向かう我一匹。
振り返ると、黒衣の不審者が眉間にシワをよせて立っていた。
わ〜い、おかえりなさい、ダーリン!
ダッシュしてハグしようとしたら、顔を掴まれた。
それは違うと思うんよ。
婚約者にしろ猿にしろ、扱いがしょっぺぇ。
「そっちこそ、その呼びかけをヤメロ」
は〜い
セウェルス、おかえりー!
めんどうくせぇ大人のお付き合いお疲れ様〜!
「……子供らしい言動をすると君は病気になるのかね?」
いやぁ、ちょっと真面目すぎてさ〜
ノルマが終わったのでヒゲのヒゲを編み込みにしてやろうかなって。
気分、あげあげうぇい!(死語)
「暇つぶしに校長の所へ行くな。今は、例の土産で忙しい」
外出から帰ってきたばかりのようで、そのまま地下へ一緒に向かう。
旅行以来だ。
顔色は、お察しだねぇ。
食事は、これから?
「一緒に広間に行く」
夏休みはどうしたの?
教授室のソファーに腰掛けて、着替えに向かう背中に問う。
疲れてるねぇ。
そんな疲れているダーリンに、更なる疲れる話をしないとならないんだよねー、へへっ。
足を止めたかと思ったら振り返る吾輩氏。
ぐりんっ
わぁー夏に馴染まない目の下のクマ。
歯軋り混じりで名を呼ばれた。
そういや、彼は中々正確な発音でアオイって呼んでくれる。
ん?
いや、そんな話す前から怒ってる?
「怒っていないが?」
いや、それ怒ってるよね。
「何をした、いや、何かしたんだな」
いや、してないって。
外出着を脱ぐのをやめて、黒いオーラを放ちながらダーリンが戻ってきた。
「それで?」
仁王立ちで見下されてもね。
私はポシェットに手を伸ばした。
あぁ杖ホルダーにお財布下げてたでしょ?
今回お買い上げした本の卸業者さんから、小物入れ拡張つきちっちゃなポシェットを貰ったんだ。
これもアルソック付きでね、スリをしようとすると相手の手が無くなっちゃう機能付き。
それにおサイフを入れてる。小物も入っちゃう便利機能。
外見は小さな暖かなブラウン色のポシェット。
赤い刺繍もオシャレさんである。
そこからお手紙を取り出す。
差出人は、ハーマイオニー・グレンジャー嬢だよ。
「読んでいいのかね」
読んでもらったほうがいいと思ったんだ。
校長じゃなく貴方にね。
内容はこんな感じ。
夏休みに入って、勉強がはかどるーマグルの大学の勉強もついでにしちゃった。それからアメリカの大学もよさそうよーでも、まぁ先に魔女にならなきゃねーという勉強の鬼らしいとんでも挨拶。
そいでマグルの歯医者さんであるパパの所には、今のところ変な歯抜けの人は来てないって事。
もし妙な患者が来たら、治療しないで魔法族の司法に報告するわって報告。
あと、夏のフェス、野外コンサートで、やっぱり行方不明者が出たらしい。
若い、ハイティーンの少年少女。
家出だとか言われてるけど、二人は友達で恋人でもなんでもないし、家出する理由がないって話。
両親とも話し合って、夜間の外出は家族で控えている事。
まぁこれも不穏だ。
最後に、ハリー君と連絡がつかない。
電話をしたら切られた。
ウィーズリー弟君の手紙も返事が来ない。
大丈夫だろうかって話だ。
ハー子さん、不穏だし、一応連絡しておく、夏中連絡不能だったら、福祉事務所に連絡するかもって締めくくられていた。
手紙を読み切ってから、ダーリンは丁寧に畳んでこちらに返してくる。
何の反応もない。
まぁなんとなく伝わるものはある。
困惑だ。
本当の困惑である。
でしゃばるのはアレだけど、問題は子供という弱い立場の人間の話だ。
ホグワーツの教師として、確認が必要だよね?
私の言葉に、彼はハッとしたようだ。
そう、教師としてなら、いいんじゃね?って話。
長期休暇中に、他寮とはいえ、他の生徒からの申し出があったので、家庭訪問しても、不自然じゃないよね?
返事がない。
う〜ん。
校長は忙しいんだ。
7月中に顔を見ておこう。
お昼ご飯食べたら、ちょっと見に行こう。
「まさか君もか?」
ひとりで行くより、言い訳がたつんじゃないかな。
私を引率しているって事で、ついでにね。
たまたまだよ。
着替えるのは後にして、血糖値上げて、準備しよう。
***
食事に現れたセウェルスに、慄く居残り組。
何でじゃ?
スプラウト先生に挨拶をすると、食事をとって一度外出してから、夏は残留に混じると伝えている。
聞いてる生徒達の顔に緊張がはしる。
そっかー癒やしの波動をだしてる先生と、マイナスイオンを吹き消すストレスオーラの寮監先生では、夏の雰囲気が掻き消えるという。
で、ワイの買い物の引率という単語に、更に慄く居残り組。
ここでマクゴナガル先生だと倫理の時間になるが、スプラウト先生は流石である。
行き先を聞いて、ついでにお買い物を頼まれた。
やっぱり大凡の性格って寮の傾向を否定はできない。
なんというか、人間という生き物に対してのスタンスというのが、でかい人って感じる。
「人の人生で許されない事は、本当は少しよ。
その少しのルールを守れるなら、私は口をださない。
それにミネルバには怒られそうだけど、今更よね」
如何にも古風な御婦人の中身は、非常にドライ。
ちょっとやそっとの事じゃ驚かないのであろう。
というか、本質を見抜いてるって感じかな。
寮監先生は、子供を搾取しない。
私は、臆病な子供である。
そして今更よね、二人で旅行してるんだもの、である。
それよりもと買い物のご指示をいただく。
そんな食事を終えると、ホグズミード経由で外出となる。
服装はやっぱりマグルファッションだろう。
ハリー君の住所は、住宅地だ。
隠蔽の魔法ありでも、服装はきちんとしよう。
あぁスリザリンは例のごとく私だけである。
夏休みのホグワーツ居残り組は、グリフィンドールはゼロで、ハッフルパフとレイブンクローから数人だ。
家庭の事情と言っても、皆、それほど深刻ではない。
もうひとり弟妹が生まれそうだから〜とか、家の建て替えだとか。
祖父母が体を壊して、そのかわりに事業の手伝いに親が奔走してるとかである。
学校で過ごしたほうがいいだろうって配慮の子たちだ。
話を聞いてみれば、それほど困った状況ではない。
手紙のやり取りもできているしね。
本日は明るい色合いのワンピース。
気温は珍しく高めなので、ミュールサンダルにカーディガン。
髪はアップスタイル。
そして殺意バリ高タリスマンを装備して終了。
来年は十三歳。
そう言えば婚約者だったなぁと、迎えに来た人を見上げる。
「方便で使った関係だ。」
いやぁダーリン、それ無理だし、慰謝料請求しちゃうぞ。
まぁ慰謝料は冗談だけど、実際、婚約者のフリは継続なんでしょ?
苦々しい表情をいただきました。
玄関ホールを抜けて、ホグズミードへと向かう。
「学校内で吹聴するなよ」
しないよ。
でも、婚約者はいる事にしていい?
許婚がいるんだ〜って。
「なぜだ?」
不思議そうに問われる。
こっちの方が不思議なんだけど。
村への道をたどりながら、お互いに首をかしげた。
「婚約者なんぞがいたんでは、相手が見つからないではないか」
セウェルスの?
「君のだ」
おぉ。
思わず唸る。
根本的な事を忘れているようだ。
条件をあげるよ。
「条件?」
理想じゃなくて、条件だよ。
愛を掲げても、現実は乗り越えられないからね。
まずは、
抗魔力が高い。
血の呪いを恐れない。
自分の身を守れる。
子供を見捨てない。
身内を人質に取られても抵抗できる。
逃げられない時は、私を殺せる。
誰かいるかな。
こんな男、いないよね。
「いるだろう、いくらでも。
君を殺さずに、守れるものだっている。
私のような弱い人間ばかりではない。
価値ある者は確かにいる。」
優しいね、優しくて酷い事を言うね。
価値ある者ってなんだよ、それ。
まさか正しい人達のことじゃないよね?
正しい人ってさ、私を人だなんて見てないんだよ。
私は幸せな何でも持ってる奴で、男を食い物にしてるって決めつけるんだよ。
正しい人はさ、私を嫌うんだよ。
「君自身は、まだ出会っていない。
わかってるだろ?
正しい道を歩む者は弱さを認めない。だが、存在に価値を認めれば一番に考えを改める。
そこは狡猾に立ちまわれ、君はその正しい側にいられる人だ。」
かもね。
「君の多くを埋めているのは過去だ。
それはアオイと言う人間ではない。
今を生きているのは、まだ何も始まっていない君だ。
君の人生だ。
まだ、失っていない。
自分からあきらめるな。」
だといいね。
貴方も正しい人、なんだね。
なんて、嫌味は言わないよ。
正しい教師の言葉にたしなめられて、少し心が落ち着いた。
村にたどり着く頃、陽は中空に輝いていた。
人影はまばらだ。
冬以来、余所者を警戒しているからか、歩いていると村人の視線が突き刺さる。
それでもセウェルスと私だとわかると、追跡は緩んだ。
「時間はある。君の嫌がる言葉だが、事実だ。君には時間がある」
そうかもね、そうかも。
んで、私がハグの姿勢をとると、盛大なため息が返った。
ぎゅっと抱きついて、肩越しの空を見上げた。
それまでは謎の婚約者でいてよ、ダーリン。
「馬鹿が」
そして彼は魔法を使った。
***
その住所にたどり着くのは簡単だった。
高級住宅地と言うほどでもなく、治安もそこそこいい場所である。
塵も散乱してないし、緑の芝生もそれぞれ刈り込んであって綺麗だ。
そして困惑する魔法族の男と、炎天下で庭の手入れをしている少年。
二人の視線がかち合ったまま動きを止めていた。
「今日が何の日かしってるぜ〜お前の誕生日なんだろ?」
子供の声だ。
生け垣の向こうで見えない。
つまり、こちらで固まる黒衣の不審者は見えていないらしい。
そして少年の声に、ハリー君は途端に表情を無くした。
「そりゃよかった、やっと曜日がわかるようになったんだな」
聞いたこともないような辛辣な言葉で彼は言い返した。
「カード1枚も来なかったのか、あの変な学校で、友達の一人もできなかったのかよぅ」
うむ、酷く幼稚ないじめ方だ。
でもハリー君にとって、今、言われたくない言葉だ。
「おい、さぼるなよ。生け垣の次は、芝生、窓拭き、それから」
私は恐る恐るセウェルスの顔を見た。
表情がない。
これは、まずい。
あぁ、うん。
「お前の母親の所に戻って、アイスでも食べてなよ」
「ふん、さぼってるようなら、パパに言ってお前を放り出してやるからな。」
「だから、やってるだろう、うるさいな」
「ママー、こいつまた、さぼってるよー!ママー」
少年もセウェルスも無表情だ。
そいでママ召喚。
「いい加減におし!」
ハリー君めがけて、泡だらけの何かが飛んでくる。
いや、鈍器?
唖然としていると、反射的に鈍器をキャッチする魔法族。
体を庇ってしゃがむハリー君。
窓から投げたママは固まり、囃し立てていた少年が驚いて口を開いていた。
あ〜、それフライパンだよね。
それも鉄のフライパンだぜ。
それから?
断固として家に魔法族を入れまいとする、フライパンの人。
ワイは隠蔽かけられたままだったから、そっと近寄って家の中に侵入。
すんごい隠蔽でさ、認識阻害つーより透明人間レベル。いやーマグル界ではおとなしいもんよーワイ。
多分、割れ物叩き割っても誰も気が付かないんじゃねってね。もちろん、私を知ってれば見える機能だよ。だから、ハリー君からは死角を選んでるよー。
そいで、お邪魔しますぅ〜……
とても綺麗な普通の家庭の姿。
虐待なんてなさそうな明るい間取り。
んで、さっそくアニマルセンサー。
二階だね、うん。
ギシギシ言う階段をあがる。
端っこ北側の小さな部屋の方に向かう。
扉を開けて、おやおや、妙な気配もするなー。
でも真っ白なフクロウにご挨拶。
うんうん、何?
閉じ込められっぱなし?
そりゃぁひどいねぇ。
うんうん、それよりもあの子が虐められてる?
うんうん、大丈夫、先生呼んだし。
荷物どこだかわかる?
あ〜階段下の物置?
じゃぁハリー君と行こうか。
うん?
あぁ何かいそうだね。
でもいいんじゃない?
出てこないんだもの。
うん、私が見えていない?
あぁじゃぁ会ったこと無い誰かだね。じゃぁ籠を持つよ。
うん、私が触れると効果範囲に入るんだ。
そうなんだよねぇ、セウェルスって優秀なんだよ。
見かけによらないよね、ん?
君のあの子に意地悪してる?
まぁたしかにね、でも、痛いことはしないでしょ。
と、フクロウコミュニケーションをとっていると、階下では魔法族VSフライパンの人の口喧嘩というか、フライパンの人の罵りが大きくなっていた。
さて、ハリー君の荷物がある場所には鍵がかかっている。
残念だ。
未成年は魔法が使えない。
では、魔法以外の手段ならいいんじゃね?となる。
扉の蝶番に焼き入れちゃったらオッケーじゃん。
ワイの魔法の杖というか、ちょっと自己主張強めの火属性アイテムさん。
このくらい軽いよね〜
うひょーバーナー
こりゃぁお仕置きだ確実だー!
バレないようにしなきゃ、まぁワイの魔力は使ってないよ。
何を使ってるか?
謎パワーだよー
強いて言うなら、愛じゃよアイっ!
バレたら、ヒゲが悪いんですって真顔で言おうそうしよう。
と、いう蛮族プレイを強行。
ワイの杖、宿ってるお狐様が生き生きしてるんよ。どうも燃やすの大好きらしくて。
なんかね〜ジャパンの、古い町を火の海にしたったことあるんよーってメッセがねー
そういう呪物の素材?
金属の持ち手がそれなんだってー
簪?
元はそれだったらしいよー
火事になったらあの人に会えるーってメンヘラ魔女の持ち物だったらしい……
怖っ
なんつーか、呪物まんまやん。
まぁそれも昔、今は楽しー事が好きなよいコだよー
焼き焼き、で、子供のために謎エイリアンみたいなのも焼くぞーだって。
イケイケ焼き焼きパーリィなのねん。
ほら、真面目にし過ぎてたワイもね、パーリィパーリィィェーィ!イャッフー!
謎のテンションで蝶番を焼き切るワイ。
傍目には狂人プレイまんま。
フクロウさんには若干ドン引きされたが、泥棒よろしく蝶番の方を杖の加熱効果で切断である。
よく開かないから、鍵側も切断、うぇ~い!
とか、アホノリで陽気にフクロウさんの嘴をチョイ。
アホの子なのね〜と言うお言葉をもらう。
そいで荷物を、マイ収納へとポイポイ。
蛮族と言うより山賊プレイ終了。
よいしょと扉をたてかける。
このくらい許してね。
子供に鉄の鈍器投げる相手だし、あっそうか、溶接して再びくっつければいーかー。
ふひっ!
んで、開かずの収納を作る。
うん、フクロウちゃん、もっとやれ?
焼き切るのはアウトだけど、あーそうだよね。こんな場所が生活空間とか、まーうん。
フクロウの籠をもって、玄関先に堂々と進む。
おぉハリー君をしょうもない罵りで虐めてたのは、丸っこい男の子だ。
なんとなく理解。
まぁ口を出すことはしない。
幸せなんだろうし口出しはしない。
そいでセウェルスに罵倒を続けるフライパンの人を見る。
苦労したんだろうね。
部外者からすると、自己消化できない八つ当たり。そして今の不平不満もまるっと投げつけてきてる。
大変だね。
責める相手がいなくなったら、フライパンの人はどうなるんだろう。
そして何と何と、彼女が女神の姉だった。
似てないらしい。
似て無くてよかったんじゃない。
ハリー君の後ろに立つ。
彼は俯き、そして同じくセウェルスも黙ってる。
無用な争いを聞かせたくないのもあるけれど、フライパンの人をこれ以上興奮させたくないようだ。
それでも相手は、そんな配慮ができるような精神状態ではないらしい。
聞こえる罵声は、妹を違う生き物に変えたという魔法と魔法族への憎しみだった。
過去の話、これまでの苦労、押し付けられた普通じゃない子供。
非常識なことばかり。
養育費さえ無しで押し付けられた。
平和な結婚生活が荒らされた。
まぁこんな感じだ。
でも、彼らはハリー君を家に置いた。
どうもヒゲや魔法族が強要したようだ。
きっと理由があるのだろう。
彼のためという理由が何かあるのだろう。
でも、ヒデェ話だ。
セウェルスは、黙って罵倒を受けていた。
女神の家族だ。
だが、彼女の子供が受けるべき仕打ちではない。
もう少し良い関係だと思っていたのかもしれない。
んで、興奮したフライパンさんは、言った。
「あの子を生まれそこないといってしまった。
後悔をずっとしなきゃならない。
なんでこんな苦しまなきゃならないのよ。
私は悪くないのに。
まんまと騙せて、さぞや嬉しいでしょうね。
あの時も、アンタは喜んでいた。
知ってるわ。
アンタ達は私達から妹を奪った。
知ってるのよ、妹と私を仲違いさせたかったんでしょ。
邪魔だったのよね。
それなのに、あの子を守ってくれなかった。
あの子が死んだのは」
『セウェルス!』
私の声に、皆が振り向いた。
魔力を乗せた言葉は、護符の隠蔽を上回るようだね。
ならばよし!
さぁ、帰ろう帰ろう!
『ごきげんよう、皆さん。
そこの人、この子がいらないなら、もらっていくわ。
そこの男も、私のものよ。
そうそう虐めないでちょうだい。
大丈夫よ、もう、貴女の人生の苦しみは、貴女自身のものよ。
誰のせいにもしなくていいの。
貴女の苦しみは、貴女のものよ。
よかったわね。
ほら、ハリー・ポッターいらっしゃい。
お家に帰りましょう。
ホグワーツが貴方のお家よ。』
誰も何も言わない。
変だなぁ。
怒らないの?
まぁいいや。
ハリー君にフクロウを渡す。
『君の荷物は入れてあるよ。教科書とか魔法関係さえあればいいよね。
セウェルス、ほら、スプラウト先生の買い物して帰るよー』
何で皆、無言なんだよ。
従兄弟にあたるだろう少年が、半開きの口からアイスをたらしている。
血糖値爆上がりの食生活ってのも、虐待なんだよね。
まぁ、両親そろってる家庭の子に介入する気はないのである。
ワイはしょせん猿である。
生け垣をかってたのか、ハサミを下に置かせると、ハリー君の手を引いて道路に出る。
間抜けにフライパンを持っている魔法族に、フライパンを下に置くように言って、こっちも手を引く。
両手に魔法族やね。
つーか何で、彼らは無言なんよ。
「君の言動と行動で忘れがちだが、君は人類の分類では、美女だ。」
えっ、そう思ってくれてんの、ダーリンが?
「私の中では、君は野生の猿以下だが」
知ってたー。
わかってたー、あげといておとすんだよねー。
「何といっているんですか、先生」
「ペチュニアと息子が何で黙って通したのかと不思議がっている」
「そりゃ、びっくりして言葉が出なかったんでしょう、ですよね。先生」
「あぁ、慣れていて忘れているが、君は、真夏に雪だるまが勝手に歩いているような存在だ。」
「言いたいこと、わかりますけど。それもちょっと」
「初見のマグルが許容できる範囲を越えている。まぁ幽霊屋敷で本物に会えば、誰でも驚くだろう」
頭上越しに普通の会話が通り過ぎる。
嫌味も何も無い、下町言葉で少年とおいちゃんが喋ってる図だ。
きっと色々ありすぎて二人ともキャパオーバーなんだろう。
『あそこのパーラー入ろうよ、暑くてシヌ』
違和感ありまくりの三人で席につく。
『なんでも注文するがよい、妾はお金持ちなりよ〜』
「子供に誰が払わせるか。両替してあるのか?」
『子鬼店長さんの不思議お財布は、両替機能付き』
「ブルジョアめ」
ハリー君は未だに状況がつかめていない。
なので、ハー子さんの手紙を渡す。
その間に、注文しまくる。
もちろん、ハリー君に食べさせる為だ。
ランチプレートに甘いパンケーキ、水分は多めに頼む。
ともかく成長期男子がガリガリとかアカンねんよ。
「皆、心配してくれてたんですね。
手紙も来ないし、こちらからも連絡できなくて」
どゆこと?
「ウィーズリー達からもか?」
「はい」
それは変だよね。
たぶん、他の人もハリー君に手紙をだしてるはずだ。
夏季休暇中に友達の多い彼に、元気してるーとか誕生日カードを忘れるわけがない。
先に来た水分を各々とる。
セウェルスは相変わらずカフェイン。
私は、酸っぱい系柑橘類フレイバー水。
ハリー君は牛乳だぜぃ。
ともかく食べさせていると、ダーリンの眉間にシワがより始めた。
多分、この状況をどう打開するかと考えているのだろう。
『夏の予定ってあった?』
私の質問に、ハリー君はもぐもぐしながら答えた。
ちらっと怖い顔になってる先生にビビりながら、まぁあんな場面で叔母さんに二人で罵られたので緊張はしていない。
「ロンのところに遊びに来いって誘われてて、その手紙を楽しみにしてたんです。
けど、もしかしたら都合が悪くなったのかなって」
それはないよね?
「それはない。
ウィーズリーはお前を誘うはずだ。
グレンジャーもそうだが、あのウィーズリーの家が、そんな態度をお前に取るわけがなかろう」
やっと口調が下町のおいちゃん口調から、何とか格好つけに戻ろうとしてるぞ。
「黙っていろ」
うぇい。
「どうして」
ハリー君は言いかけて、黙った。
それに答えるクオリティが無いのが、ダーリンである。
『彼は先生だからさ、ハリー・ポッター。
これでも彼は忙しい身だ。
けれど、こんな私の世話を焼いて買い出しに付き合う。
そして生徒から困ってる様子の手紙を見せられれば、休みを潰して様子を見に来る。
罵倒されるであろう相手のところにもね。仕事、だからさ』
お互いの気持ちの着地点としては、このくらい?
「ウィーズリーかグレンジャーに連絡を取る。それで都合が悪いようなら、ホグワーツに直行だ。
生徒の間は、アオイと同じ扱いで寮ぐらしでもよかろう。
ホグワーツを卒業すれば、就職先なども選ぶ事もできよう。
どうしても馴染めなければ、マグルの大学などで学び直すと言う選択肢もできる。
ともかく、グリフィンドール寮監と話し合い、校長へと許可をとる事をすすめる。」
そいで連絡をしてくる、動くなよと言いつつ電話ボックスへ。この時代、まだ電話ボックスなんよ。
もちろん魔法的連絡手段を使ってるんだけどね。
そいで食べてるハリー君と目が合う。
「君の言った通りだった」
何の話?
「スネイプ、先生は、知り合いで、昔、母さん達と」
『ひとけのない場所で、彼にママの話を聞きなよ。きっと話すよ。
ママの話だけなら、きっと喋るよ。
ただし、一つだけテクニックが必要』
「テクニック?」
『彼に話させるんだ。
話の糸口だけ作る。
余計な質問はさける。
君のママの話題に絞る。都合が悪いこと、知られたくないことは、どうせ話さない。
だから、相手に話をさせて聞き出すんだ。君は相槌をするだけ。
そして誰にも見られないのがいーかなー』
「そんなこと考えながら話してるの?」
『私?違うよ。
私は君じゃないから、彼の隙間を埋める感じでマシンガントークさ。
時々あきれて脱力してるよ』
「君、こんなふうにずっと喋るといいのに」
『君とセウェルスだけなら、魔力に当てられても大丈夫なんだけどね。気分、悪くない?』
「特には、それにさっきまでの方が最悪だった。お金は払うよ」
『存分に食べるのだ。支払いは、このブルジョワの妾が払うなり。
ただし、彼の言動や態度を多めに見てくれると、妾は嬉しいのだ』
「その」
『君にだけ、教えよう。
妾はもしかしなくても、ブルジョワというか富豪。
彼の側にいないと誘拐案件。
気にせず、存分に食べる。
彼にも食べさせたい、痩せすぎ』
「あのさ、僕も君みたいに、ホグワーツで暮らしたい。さっきスネイプ、先生が、その」
『少なくとも、鈍器が飛び交う家はアウト。
魔法的に何か理由があるなら校長先生に聞こう。
そいでも、フライパンの、人のところは無いよ。彼女も気の毒だ。』
それにハリー君は、私をじっと見た。
「僕は、そんな風に思えないよ」
『思えたら解脱して神だよ。
それが普通、ごめんね、誤解するような言い回しだった。』
「分かるように教えてくれる?」
『そうだね。
あぁセウェルスは、時間がかかりそうだね。
君がそのプレートを食べきるまで、おしゃべりするか。
君の叔母さんは、嫌なことから逃げようとして、逆に囚われてる。
きっと幸せになった自分を信じられないんだ。
旦那と子供を手に入れて、幸せじゃない原因を探してる。いつもいつもね。わかるかな』
「少し」
『幸せなはずなのに、毎日、辛い。
そんなわけない。
じゃぁ原因は?
彼女は、彼女の家族は原因を自分たち以外に求めた。
だってそうじゃないと、まるで自分達は元から不幸みたいじゃないか!ってね。
別に君じゃなくてもいいのさ。
そもそも君は、大切な妹の子供だ。
幸せな人間だったら、大切にしたはずだ。
バカだよな。
君をターゲットにした時から、彼女は答えが出ちゃったんだ。』
「よく、わからない」
『自分の取り返しのつかない失敗を、君に八つ当たりするたびに思い出すんだ。
君を怒鳴ったりした後、彼女は昔を思い出すんだ。間違いをね。
そして彼女は迷路へと入り込んだんだ。
気の毒だよね。
君がいなくなったら幸せになると思うかい?』
「邪魔者がいなくなったし、清々するんじゃない?」
『断言するよ。
彼らはやっぱり不平不満を垂れ流して、幸せになれない原因を探し続けるんだ。
そしてあのフライパンさんはね、君が消えて安堵したはずなのに、今度は自分の人生の苦しみを直視しなくちゃならない。
かわいそうにね、誰かのせいにしたくても、幸せ家族だ、誰のせいにもできない。
鏡にうつる自分を罵るしか無いね。
ハリー・ポッター、彼らは弱いんだ。正しい人は弱いんだよ。』
それにハリー君は、小さく笑うと肩をすくめた。
「よくわからないけど、僕も君のように強くなりたいな。」
冗談良しなよ、弱虫だから屁理屈こね回すんだぜ。
『君は、十分強いよ。
あんな人間の家で育ってグレなかっただけでブラボーだよ。
私なら、矯正施設入りしてたよ。
相手の頭かち割って。
私が親なら、君は自慢の子供だよ〜』
「同級生でしょ。いや、頭かち割るって、本当に君って、夏の雪だるまだね」
と、アイスクリームサンデーが来た。
もりもりフルーツも乗ってるスペシャルだ。
まぁシリアスは終わり。
二人でもりもり食べた。
その間、セウェルスだけがシリアスに誰かと話していた。
まぁヒゲだろうなー