R15と残酷描写タグは、予防処置と寮監先生の苦行成分でできております。
ピーターはどこにいるのかな?
そりゃぁアニマルセンサーのついてる誰かさんを恐れて隠れています。
ドビーはどこにいるのかな?
そりゃぁアニマルセンサーのついてる誰かさんを恐れて隠れています。
アニマルセンサーというより、もろ猛獣分類の獣は、小動物からすると恐怖です。
屋敷しもべ妖精さんが、彼女の前に中々姿を表さない、馬が彼女に怯えるのと同じ理由だったりします。
きっとオオカミさんも犬さんも、彼女がアニマルだとすぐに気がつくかもしれませんね。
それも化け物系アニマル。
けっして美しい女性分類にはならないという喜劇、いえ悲劇。
しょんな〜ワイ、無害だにょ〜(嘘)
アップルパイだ。
それも田舎風ぎっしり林檎が敷き詰められている、美味しい奴だ。
食べる前からわかる。
これは美味しい奴だ。
その一切れが目の前に供される。
アイスクリームも添えられた。
これは素晴らしいですぞ。
でも、ワイは、飼い主のマテをちゃんと守れる猿である。
「……」
わかってるよぅ、毒見サーチしてからでしょ。
すすめられたお皿を手に取り、サクッと切れ目を入れ、そいでフォークに乗せる。
はい、あ〜ん。
極寒の視線を受け止めつつ、差し出す。
ほれ、毒見。
嫌なら、このまま食べるぞぃ。
「……」
よし、食べた。
紅茶も、はい。
うん、飲んだ。
失礼ながら、誰かが毒見をした後じゃないと、食べられないんです。
ごめんなさい。
怒られちゃうんです。
と、いうメモ書きを飛ばした。
ウィーズリーママは、すごく真面目に頷いた。
そう、笑ってくれたほうが、気が楽なことってあるよね。
これは中々に手強いなぁ。
「貴方も大変ね」
「……」
労られるダーリン。
果たしてそれは、性悪な生徒に対する教師への同情なのか、護衛する男の社会的体面への憐れみなのかは不明である。
ざわつくギャラリー。
「貴方達、いいかげんにしなさいっ!」
ママ、目をぐるっと回しながら、振り返る。
効果がない。というか、引っ込んでから、そっとまた覗く。
コント?
「あーんって」
「見た?」
「羨ましいんだけど」
「パーシー、彼女にやってもらったことある?」
「つーか、何でスネイプ、地獄の風景じゃん」
「ねぇ、怒られるよ?」
「お前らいいかげんにしろ、聞こえるだろ」
「お兄ちゃんたち、恥ずかしいから止めてくれる?」
「なんだよ、見たがってたのお前だろ?お姫様が見たいって」
「あの黒い人、先生なの?」
「……セブルス、ごめんなさい。」
「毒見だ、愚か者ども、散れ!」
御夫人へのエクスキューズを省いて、いつも通りの恫喝。
まぁ礼儀はあっちがなってないからね。
ママも眉を下げている。
覗き見していた少年たちの顔が引っ込んだ。
「ねぇ皆わかってるでしょ、彼女、本当にいたずら好きだって」
ハリー君の声。
丸聞こえだったりする。
どうなってんの、ここの家の間取り。
風通し良すぎね?
それともワイがアニマルイヤーだから?
「……」
大人二人も聞こえてそうだ。
すかさず天気の話題を振るママン。
「今日は風が強いようですな」
ママンの笑顔が引きつるから、嫌味はヤメレ。
まぁ、それでも漏れ聞こえる子供たちの話し声。
「相手があれだぞ?」
「毒見だよ」
「毒見であ〜んはないよ」
「弟よ、あれが現実だ。いくらオッサンでも、陰険教師でも、モテるモテ無いは別の話なんだよ。
それが現実、僻んでも結果は同じだ。」
注意しようとしていたママの口が閉じた。
えっ、モテる?
謎の論旨にママの目が点だ。
ヒンヤリとした空気が隣から感じられまするぞ!
見やれば、ダーリンの眉間のシワが。
今日は穏便にするんだよね?
「ポッターがさっそく馴染んでいるようで、何より。さすがウィーズリーですな」
「学校でも同じ、なのね?」
「灰色のロバの戯言よりはマシですな」
どういう意味?
言われたママンが項垂れた。
「黄色い熊のお話は知ってるかしら?」
私の顔を見て、彼女は苦笑いした。
「これは失礼を。まぁ希望はあるという程度の意味だ。
くだらぬ言葉を聞き、思わず嫌味が出てしまいました。」
嫌味、なるほど。
「君ならば知っていそうだが。
マグルの児童小説に出てくるロバの言葉に、これ以上悪くはならぬという有名な台詞がある。
諦めるには早く、最悪ではないが最低だ。ぐらいの意味だろうか。」
熊のプーさんね、はいはい。
「おかしーじゃん、何であんな美人がさー陰険嫌味の事さー好きなんだよぅ」
「えっ、お兄ちゃん、黒い人、えっ?オジサンでしょ?」
「……」
うわぁ。
ワイは、無心でアイスと一緒にアップルパイを食す事にした。
「そんな可愛い末っ子達に、新たなる知識を授けよーと思う。この世の真理の一つをだ。」
「まぁ心理だけど、大した話じゃないけどな。
実はな〜、校内女子アンケートをしたんだぁ。
男前好感度ランキング、女の子に聞いてみました〜!!
夏前にちょっくら楽しいぃお遊びね。」
「そしたらな、地下ダンジョンの主もエントリー。
すげぇ悪夢、びっくりだろ?」
「何やってんだよ、馬鹿だろ」
「好感度アンケート、美人ランキング作ったら吊し上げられたからさー。
フレッドと作ったんだよ、メンズで。女子限定生徒意識調査アンケートってな奴」
「そしたら教師にも投票する女子がいて、教師好感度ナンバーワン誰だと思うよ。」
「なんだよ、気持ち悪い。嫌われ者ランキングだろ?」
「勘違いすんなよ、好感度だ。
別に付き合いたいとかそういう話じゃなくてさー。」
「校長?」
「いや、校長は別枠。
フリットウィック先生がダントツ。
良い先生で、女子的にキュートだってさ。
そして次が、黒衣の不審者。
こっちは数は少ないけどガチトーンで怖すぎた。」
「えっ、陰険で意地悪でキモいって?」
「弟よ、このアンケートはな15歳以上からだ。君たちオコチャマではない。
そしてその質問用紙には、自由に何でも書いていい欄がある。
んで、点数とか好き嫌いとかチェックしてるけど、実際は、この欄が重要だ。」
「誰にも言えない、とか、他所の寮で気になってる奴とか。
日頃から気になる相手の名前を書いてもいいし、クソゴミで不快ってのも書いていい。」
「じゃぁ」
「早まるな。
好感度調査と銘打ってるのに、キライな奴を書くってのは、もうすげぇ嫌われてるって事だ。
そしてな、そこに教師の名前を書くってのは、だいぶリスキーだ。
俺達に知られる前提、相手に知られてもいいって事になる。つまり?」
「つまり?って匿名だろ」
「フリットウィック先生にはイタズラするなよっていう圧力だ。
そして黒衣の不審者の名前をだすからには、やっぱり圧だ。」
「悪戯の標的に?」
「弟よ、こんな風に書かれている場合は、どうすればいいと思う?
厳しいけど、真摯でいい先生。
影があって、ドキドキしちゃう。
個人的に、一番いい先生だと思いまーす!
まぁ聞けよ。
俺達だって忖度ありじゃね?ってなったわけよ」
「選択肢が少ないからじゃん、気持ち悪い話をするなよぅ」
「侮ってもらっちゃこまるぜ、弟よ。
俺達のレポートに抜かりはない。
もともと教師を入れてないアンケートだぞ。
そこにわざわざエントリーしてきたんだ。
生徒同士で楽しむ、俺達が回してきたオフザケだ」
「真面目に答えないにしても、バレた時の保険に先生の名前は挙げないもんだ。」
「嫌がらせ?」
「そうじゃないんだなー無記名としながら、誰が書いたか想像つくお遊びだぞ」
ダーリンモテモテ?
よかったね、やっぱり頭皮のお手入れは重要だよ。
って念を飛ばしたら、ワイのお皿にアップルパイをもう一切れ乗せた。
彼の分だ。
口封じらしい。
そうとう苛ついたらしく、彼はウィーズリーママにアイコンタクトを試みる。
しかしそのママといえば、自分の額に手をおいて俯いていた。
真面目な話をしたいが、ちょっとだけ息子たちの話の先が気になるという葛藤だろうか。
「ミセス・ウィーズリー、モリー、聞こえていますかな?」
ママが、ちょっとまってという具合に、人差し指を上げた。
わかってる、失礼なのは重々承知。
でも気になるの、つづきが。
って感じかな。
生徒の保護者の家で、その家の子供をひっぱたいてもいいかなー?
って考えてそうなダーリン。
立ち上がって兄ちゃんズを殴りに行かないでほしいなぁ。
ママ、きっと好奇心というより、ダーリンの子供からの評価を知りたがってそうだ。
オフザケでもね。
きっとさぁ、自信無くしてるんだよ。
ハリー君、ガリガリだったのを目にしてさぁ。
って伝えたら、今度はダーリンが片手で目を覆った。
「そうそう、誰が書いたかわかるのはお互い様だ。
相手だって俺達に読ませる為のネタだ。
それで再度、個人個人に詳細インタビューを決行」
「何やってんだよ、お前達」
「パーシーだって知りたいだろ?
実はスリザリン女子は抜かしてる。
ぶっ殺されそうで聞けなかった。
あそこ婚約者いる率高いしね。」
「んで、聞いたらさ。
なんつーかマジで好感度に尖ってたんだよ。
アレがだぜ?
俺達もインタビューした後、すんごい疲れた。」
「メンタルが削れた。
成績優秀な女の子が多かったし、可愛かったのがねぇ」
「それな〜。聞いてる内に、誰の話かわからなくなってきて」
「うん、姫が一緒に過ごすようになってから、特に好感度があがったらしくて。相乗効果かな?」
「人間だったなーって奴じゃねぇの?」
「いや、少数意見を中々言い出せなかっただけかもよ。
自分は良いとおもうよ〜と、軽く言える相手じゃないじゃん。
スリザリンのアレだぞ?」
「なるほど、そこに姫だ。
姫の遠慮のなさと優しい雰囲気があればさ、口に出しても許されるって訳か」
「そーかぁ?
付け入る隙がない所がいい?
試験前の勉強のフォロー、嫌味の分だけ成績があがった、好き。
辛辣な言葉での細かな指導が癖になる、おかげで苦手教科が無くなった、神。
是非にもと助手を申し出たら断られた、素敵。
こんな感じのばっかりだぜ、意味不明すぎねぇ?」
「女って謎だよな。今度、アンケート回すから見てみろよ。
スリザリン女子以外の殆どが回答してる。
ちなみに評判悪いランキングもあるぜ。
好感度なのに、おどろおどろしい文句が並んで、チビリそうになった。
こっちは生徒の名前だけだったなぁ」
「えっ、それ怖いんだけど」
「面白いぜ、予想以上に心が折れる内容だぞ。」
「何でスネイプなんだよぅ」
「モテ力って奴は別なんだよ、弟よ〜!
ある意味、お前にもチャンスはあるって事さ〜顔じゃないって証明されただろ?」
「もちろん他人事ならだぞ。
友人止まりにしとかないと地獄を見るって誰でもわかるぞ?
娯楽としては最高だけどな」
「だな」
「え〜どうしてスネイプなんだよぅ。彼女もさぁ、ずっと手を繋いでんの、なんで?気持ち悪くないのかよぅ」
「ロン、大丈夫か?
スネイプは彼女がイタズラしないように押さえてるだけだぞ?」
「違うだろ、美人の手を握ってるんだぞ?」
「ロン、気持ち悪いよ。お姫様だってロンよりは、いいんじゃないの?」
「ジニー、生意気だぞ、アレだぞ、どうみても気持ち悪いだろ?」
「怖そうだけど、気持ち悪くは見えないよ?オシャレだし、オジサンだけどパパより若いじゃん」
「えぇ〜?」
「……」
ウィーズリーの一番下の弟君は、魔力量はあるのに抗魔力になると駄目みたいだよ。
抑制の魔道具つけててあんな感じだから、接触も名前の把握も避けてる。
間違ったら、犬にしちゃわないと普通にストーカーになっちゃいそうだもん。
つーかイヨイヨおかしくなったら、犬にして一度コントロール下に置いてから、校長に差し出すね。
本当にグリフィンドールに行かなくてよかった。
何?
「……似た事例を思い出してな」
似た事例?
「他人の空似だが、奴に似ている」
だから誰?
「昔、彼女にちょっかいを」
ヤメレ、それ女神関連、今ここでその話はアカン!!
「ウィーズリー夫人」
そいで紅茶のおかわりがサーブされた。
違う、お茶を催促したわけではない。
ポンコツどもめ!
「あぁハリー、弟は信じたくないだけさ。なぁ兄弟。」
「俺達とは手を繋がないだろうが、教授とは繋ぐ。
何故か?
簡単な理由だろ。
安心できるからさ。」
「そうそう。
弟は、美人の外側だけが気になっちまってるが、よく見ればわかる。
皆、ふざけて囃し立てるけど、それほど本気でもない。
彼女の状況だって、うっすらと皆わかってる。
困っている女性を守るのは、男として当然だ。俺達だってわかってるさ」
「すこしホッとした。
彼女に今日は助けられたし。
話してみると、ずっと気安いしね。」
「ある意味、ロンは大物だよ。
俺達は最初から、彼女を別枠だとしてるからなぁ。」
「ちょっと心配だよな。こいつ将来女に騙されそう」
「…これが彼女の言ってた抗魔力の差かぁ。ちなみに、僕の悪口とか無い?」
「大丈夫だ、ハリー。君はモテ枠に入っているよ!」
「嬉しくないなぁ」
なんとも言えない空気をありがとう、ウィーズリーブラザーズ&ちらちら見える可愛い女の子&ハリー君。
そしてポンコツ達も正気にかえる。
「……ホグワーツでの矯正にも、限界があるのですが」
「ごめんなさいね、こら、貴方達、アーサーが帰ってきたら叱ってもらいますからね。
畑の世話をしてらっしゃい!
それからロナルド!
先生に失礼なことばかり、何をすればいいかわかってる?
それからジニーご挨拶を」
「ごっごめんなさい」
「こっこんにちは」
可愛いなぁ。
ははっ、聞こえてることに気が付かなかったのは、彼と末っ子の妹ちゃんだけのようだ。
ハリー君が手を振っている。
よかった、落ち着けそうだねぇ。
手を振り返していると、ウィーズリーママと目があった。
「学校の人間では対応できないと思ったら、いろいろな人に相談しなさいね。」
ありがとうございます。
「で、経緯をもう一度、お願いできるかしら。
ハリー君本人の話は聞いたわ。
ちょっと信じられない生活状況だったようね。
馬鹿だったわ。
本当に、見えていた事をきちんと判断していなかった。
私も反省しているわ。」
空気を入れ替えようとしているが、そんな努力はママの唇の端が引きつっている限り無駄だ。
絶妙なお笑いポイントと共に、セウェルスの教師評価が真っ当なのだとわかったようだ。
ある意味、双子はセウェルスが良い先生なんだぜ、スリザリンなのに〜って言ってくれた訳だ。
兄ちゃんズ、ありがとう、何かお土産残ってたかなぁ。
寮には配ったけど、ここんち大家族だしな。
ハリー君もここで暫く過ごすんだから、何かお土産置いてくかなぁ。
ミニポシェットに何か入ってたかなー?
「それと今更だけど、息子たちを助けてくれてありがとうございます。アーサーからも改めてお礼に一度伺うわ。」
「教師としての職務の範疇ですな。それにアレは公にはできない話です。加えて言うなら学校側の手落ちでもある。こちらこそ謝罪に遅れました。」
「わかってるわ、それでもよ。アーサーも言っていたけれど、危うい状況だった。
目立った動きをするなと言われたから、知らぬふりをしたけれどね。
お嬢さんにもお礼を言うわ。」
何もしていないですよ。
それからアップルパイ最高です。
「ありがとう、レシピいるかしら?」
いりまっす!!
という会話の後、セウェルスはウィーズリーママに、ハリー君の家庭の話に戻る。
ハリー君とマグルの親族が、同居によってお互いに疲弊している。
その状況報告を受けて、校長もホグワーツでの養育に切り替えると判断した。
時々は、安全が確保された家庭にホームステイしつつ、私と同じような処遇で卒業まで過ごす事になりそうだとね。
「安全ね」
「今後は副校長も含めて彼の生活を整えていく事になるでしょう。今夏はこちらで預かっていただき、生活面での不安を取り除く方向で準備を考えております。」
「結構、で、どうしてこのような状況になったのでしょうか。
当初は、彼の安全を優先し、血縁者の中で養育する事が最善だという話でしたが。」
「認識の食い違いがあったようですな」
「認識の違い?」
セウェルスは、ゆっくりと考えるように返した。
「親の視点を忘れておりました。
もしくは人としての当たり前、心の動きでしょうか。
校長も私も、そうした普通を知りません。
憎まれる事は当たり前、感じる情緒も無い。
教育者であろうと親には向かず、この有り様という訳ですな」
「あぁ」
「彼の伯母は、吾輩が知る過去のままでした。
魔法族を憎むままでした。
彼女の中では、吾輩は略奪者であり、人非人。
驚くほど、同じでした。
そこに彼、血のつながった甥も同じ意味付けをされていたようで。
校長も吾輩も、わかっていて理解できていなかった。」
「異常が異常とわからなかったと?」
「言い訳ですが。
吾輩も校長も、子に必要なのは形のみと思う輩、確かに人非人でしょうな。
闇の勢力からの危険が無くば、それで良しと。
それにどこかで、血の繋がりを校長も吾輩も過信していたのでしょうな。
時が経てば、甥を受け入れるだろうと。
あのリリー・エバンズの息子ですから。」
「過信?血の繋がりは大切な事ではなくて」
「それはこちらの押し付けに過ぎません。
と、吾輩の言う言葉ではありませんな。
頼る相手の無い魔法族の子供。
魔法族を恐れるマグルの親族。
不審と恐れを抱えたまま共に暮らす。
橋渡しをする者がいない場合、双方にとって、それは想像を絶する辛い生活になる。
自分も味わった地獄です。
なのに考えることを投げ出した。
親を失った赤子の事を、問題は片付いたとばかりに考えから外す、許される話ではない。
そう、わかっていた話です。
なのに吾輩はそこで思考を止め、終わりにした訳ですな」
「私達もよ。」
「吾輩は彼にあわせる顔が無い。
そして貴方がたも、それをお望みだった。」
「えぇ確かに。貴方の介入は、よくないと考えていましたね。
そして私達も、ある意味、見ぬふりをした。
予想外でした。
貴方自身が迎えにいくなんてね」
「ついででした。用がありましたので」
「それでもよ。
動いたのは貴方です。
貴方を責める筋合いは無い。
選んだのは私達も同じですものね。
貴方が考えを変えるきっかけは、何かあったのかしら?」
彼女の言葉に、再び彼は少し考え込んだ。
「過去を眺めている時間は終わりました。
入学式で彼を見、授業で少々言葉を投げ合い、ふっと気がついたのです。
ホグワーツにいると忘れてしまいそうになりますが、人は親になり、赤子は育ち、亡くした人よりも年上になる。
天啓を受けたわけではありませんが、空からヤコブの梯子が降りるさまを見たような心持ちがしました。
過去、ではない未来の姿を、リリーの子に見たのでしょう。」
「失礼だけど、驚いたわ」
「義務を果たさねばならないと感じました。
善い人間にはなれませんが、恥を知らぬ輩ではない。
もちろん、大言壮語を言うほど、グリフィンドール的な戯言は吐けませんが。
まぁ信じられないでしょうがね。」
女神への推し活だもんね。
「それからアオイ、そろそろ終わりにしろ、夕食が入らなくなるぞ」
二切れ目乗せたのダーリンじゃん、りーふーじーん!
じゃ〜あ~ん。
「やめなさい」
美味しいよ、酸っぱい感じ。
甘々じゃないの。
「さっき毒見しただろう」
ロンドンでご飯する?
「わかった」
やりぃ!
そいでもダーリン、私と違って水分ばっかりでしょ、ほら。
「……」
シナモン、少し多め?
「レシピをもらったら、まさか作る気か?」
そりゃぁ~作るでしょ。
ワイ、魔法薬もお料理も極める所存。
同じ分類だと思ってる。
ダーリンもそうだけど、調合と料理はアレンジじゃなくて正確性の世界でしょ。
ワイは、美しき文字も好きだけど、美しき精密な世界も好きなんじゃよー
「それはいいが校長を被検体にするなよ」
先回りされた、だと?
ちなみにダーリン、甘さが控えめなリンゴの風味だったらイケる?
「それなら」
ふへへぇ。
等といつものやり取りをしていたら、ふっとため息が聞こえた。
「子どもたちから、聞こえてくる話が全部違うから、どんな事になっているかと思えば、ちょっと安心しましたよ。」
それにセウェルスは片眉をあげた。
「想像がつきますな。まぁわざとの部分があります。
本来は許しがたいものでしょうが、未然にトラブルを避けるためです」
「どれが建前なのかしら」
「本人に聞いてください」
どうやら、私の事もこの人は虐待されてないか心配らしい。
真っ当すぎて、溶けそうだよ。
『逆、被害者は彼』
指差して笑う。
それにウィーズリーママは肩をすくめた。
庇護が必要ないなら干渉しない。
あっぱれなほど、自立心を尊重するようだ。
「スリザリンの子ねぇ」
『ありがとうございます。彼との、関係、どのように、お聞きで、すか?』
「関係?師弟ではなくて?」
『そのとおり、それ以上でも以下でもない。噂は噂、です』
真偽はわからんが、純血情報網から完全に落ちてそうだね。
それともダーリンのような嘘つきさん?
「すべてはダンブルドアの指示です。何か聞こえてくるようでしたら、彼に問い質すことをおすすめします。」
「なるほど、何かあるのね」
それから今後の事、アーサー・ウィーズリーが何やら仕事のトラブルで迎えに来れなかった事などの話題に流れた。
そろそろお暇するかとなって、私はやっと放流。
まぁ最後にハリー君達に挨拶してこい。その間に騎士団関係の話をするのか〜って運びに。
彼らは裏庭で遊んでいた。
自然に生え伸びる庭木に花壇、どれもこれも夏の美しさと生命力にあふれていた。
そいで子供たちは、小さな灰色の何かを振り回して投げていた。
どこまで飛ばせるのか競っているらしい。
子供らしい遊び、なんだろうけど、投げてるのは小人だ。
灰色の何か、啓蒙高そうな気持ちのわるい小さな生き物である。
人形には見えるが、薄汚れて土まみれのじゃがいもみたいな頭部をした何かだ。
ケケケッとか言ってる。
「あ〜姫だ〜。庭小人退治中だよ、参加する?」
おぉ、害虫妖精か何かかな?
「お姫様はしないよね?」
初めまして可愛い子ちゃん!
ちっちゃい、かわいい、そいでウィーズリー家の遺伝子が凝縮された色合いである。
にへへっと二人で笑い合う。
どうやら、抗魔力値がずば抜けて高いかもかも。
家族の中では一番、魔力が高くなりそうだよ。
ウムウム。
実に可愛いウィーズリーの末っ子ちゃんと握手して彼女の隣に並ぶ。
害虫妖精ねぇ〜
しゃべる何かをジッと見つめる。
一匹と目があう。
造形がグロい。
何か、別ゲー。
つーか、この世界、なにげにグロいのよね。
あの木と枝もそうだけど。
やっぱ啓蒙高い何かがあるのかいな?
と、見つめ合うキモいオッサン小人とワイ。
すると追いかけ回してた少年たちをそっちのけで、全部が全部、グリっとこっちを見た。
「おい、ヤバいか?姫の方を向いたぞ?」
「あぁ彼女、動物と喋れるから、こいつらも?」
動物みたいな精神構造の感じがしないなぁ。
もっと、何か虫みたい。
本当に何か個体認識が低いね。
まぁご挨拶しとくか。
ワイな、アニマル。
お前ら頭まるかじりなっ!
で、念を飛ばしてみる。
『この畑から出ておいき、わかってるね?
妾の目に触れるでない。
わかっているね?さもなくば』
まぁ物理で行くよ、セウェルス召喚しちゃうし。って感じで見つめたら、害虫妖精がワラワラと走って畑から逃走。
うむ、ワイの縄張りマーキングしとくかな。
「うわぁ姫、なにげにすげぇ」
ワンワンのように、ニオイをつけるわけじゃないよ。
そんな女子としての人生を終わらせる行為は間違ってもしない。
アニマルはアニマルでも、ワイ、女子ね。
んで、
庭木をポンポン。
囲いをポンポン。
その辺の煉瓦の壁をポンポン。
「お姫様、何してるの?」
害虫こない、おまじないね
「すごい!」
いーなー、妹欲しいー!ぎゅー!!
「姫、ナチュラルに家の妹誘拐しないで」
「ロンなら、やるから」
「僕で良ければ、ぜひにっ!」
「ロン、気持ち悪い。近寄らないでよ、お姫様が汚れる」
「その言葉のチョイスはちょっと、ささるなぁ」
「パーシー、刺さるんじゃなくて、シヌから。
いいよなー彼女持ちは余裕でさ〜」
「夕飯食べてきなよ」
彼とロンドンでご飯。
「……これがさ、どこまでが冗談で、何処までがマジな感じかわからないのが、姫のクオリティなんだよな」
「僕の感じでは、本当だと思うよ。スネイプが疲れてるから、引き上げてご飯を食べさせたいんじゃない?」
と、ハリー君の話を聞いたウィーズリー兄弟たちが慄く。
そんな大した話じゃないでしょ。
君たちは彼を何だと思ってんだよ?
「外出から帰ってすぐに、僕の状況を知って訪ねてくれたんだ。」
「あ〜そういう」
「だから、彼女はずっと気にしてるんだよ、そうだよね?」
バスの中での会話、小声だったけど聞こえちゃってたかな?
まぁそうなんだけどね。
ここは彼が言う通り、かつては敵対していた陣営の人たちの家だ。
さすがに今日は色々ありすぎてる。
特に、ハリー君のところでの会話が、後をひいている。
まぁ私としては、楽しいな、疲れたし寝るかな〜ぐらいの軽い感じで今日を終わらせられたらいいなってぐらいだ。
「姫は前半は旅行だったんでしょ?」
うん、ありがとう弟君。
君が抗魔力高かったら友達になりたい一番のタイプだ。
大雑把で失言も多いけど、人の心の機微を必ず汲み取れるし、汲み取らんでいいところは避けてくれる。鈍くて鋭い稀有なタイプだ。
オーストリア弾丸ツアー。
「弾丸?」
ホグワーツ魔法薬学教授の案内で、アルプス・チロルの薬草植物を採取。
私の知己を訪ねる超特急連続付き添い姿現し&長距離ポートキー実験史跡巡りの旅。
耐久レースともいう。
んでね、ワイ、長距離ポート移動だと失神する始末。
マグルの寝台特急にのったよ〜
帰ってきたら、採取した植物の課題を出された〜
今日までかかっちった〜
「ツッコミどころありすぎだなぁ」
「羨ましいような、羨ましくないような」
そこで取りだしたるウィーンのおみやげのお菓子である。
ワイの無限大旅行鞄ではないけれど、拡張ポシェットに忍ばせておいた名物茶菓子を配る。
「おぉ、これ知ってる。お姫様、マグルのお姫様チョコ」
有名なシシーのチョコだよー
うんうん、可愛い女の子には、可愛いお菓子をプレゼント。
兄ちゃんたちにもお腹にたまりそうなクッキー詰め合わせと飴ちゃんの瓶。
気分は親戚の婆ちゃんだ。
あぁ夏の一日は駆け足だね。
セウェルスはどうしたかな?
テラスから深刻そうな表情が見えた。
あぁ何か悪い情報かな。
まぁいいか。
ハリー君の笑顔、楽しい兄弟たち、友人の姿。
そんな楽しげなお家から、日が沈む前にお暇をした。
ウィーズリーパパとは、会えずじまいだった。
何があったんだろうね?