R15と残酷描写タグは、予防処置と寮監先生の苦行成分でできております。
そこに愛はあるんか?
私は古い映画や音楽が好きだ。
従兄弟がその年代だったのが元だね。
遊びに行くと、そんな過去の映画や書籍、歌なんかのポップカルチャーを教えてくれた。
漫画なんかもそうだね。
だから女の子の見るような定番が抜けてる。
私の母親は五人兄弟の末っ子で、従兄弟は私の父親ぐらいの年代になる。
私、日本人だった誰かさんは、その兄が大好きだった。
運動神経が良くて、頭も回る、まぁ理想の兄だった。
でも彼は、事故で体が少し不自由になってから、駄目になった。
周りと諍いを起こして、お酒や薬に浸って、あっという間に、同じ……になった。
けれど、酔ったり薬でどうにもならない時でも、私には優しかった。
私達は、友達だった。
年齢も性別も越えてね。
周りから見ると変、だったけどね。
だから、耐えられない事があると、二人で遊びに行ったりもした。
私にだけは優しくて、それでいてどこか、冷たい人間で。
似ていたし、多分、親子だったら良かったねって、どこかで思っていた。
まぁあんなロクデナシが親だったら、やっぱり反発して同じ事になってただろうけどね。
彼は、私に何でも話してくれた。
なんでもだ。
正気なんてとうの昔に無くなっているのに、実に会話すると面白くてね。
それでいて時々混じる本音は苦しくてさ。
欲しかった夢、欲しかった未来、別れてしまった彼女の事。
きっと私には言えたんだろう。
私自身が、打ちのめされた子供だったからだ。
あぁ彼は彼なりに生きていたよ、私が死んだ頃にも元気にゴロツキやってた。
社会的には更に・・ロクデナシになっていたわけだね。
きっとまた、私の死も銭の種にしてくれたと思う。
泣いただろうか?
いや、あの人は泣かない。
笑うだろう。
お前、馬鹿だなぁって。
じゃぁ俺がその分、存分に苦しめてやるよ。
お前の分まで、お前をイジメたやつを、生き地獄に落としてやらぁ!!
だんだんわかってきた?
私は真面目に生きていた。
けれど、一方で、そんなどーしよーもない従兄弟と、やぁやぁと顔を合わせれば、わーわー楽しく遊んでいた訳よ。
例の事件、滅多刺しにされても生き残っちゃった奴にも、嫌がらせと称して犯罪行為を繰り返しているような男とね。
やったぁ、銭になるぅってね。
はいはい、そうなの。
私の家族親族、世間で言う犯罪者家系、その筋の一族だったりする。
まさか、あの男も、私がそのような家系だって知らんかっただろう、ふひっ。
そりゃぁお嬢さま学校出身の帰国子女だもんね。
見た目もね、鏡を見ると浮かぶんよ、これ。
今の私とは真逆の色合いなのに、似てるんだなぁ。
黒目がちの、なんとも見た目だけは弱々しい女でね。
こう独特の目をしてる。
女っぽい女って奴。
仕事も真面目で、想像つかないよね。
ヤツからしたら、真面目でシゴデキなんて呼ばれちゃってるイイ気になってる生意気女。
いやぁ、こう客観視するとさ〜他人の目線になるとわかるけど、すんごい僻まれてたんだよね。
つまり仕事もアレよりできて、金もある女だった。
マウントとってるつもりはなかったけど、それが許せねぇ小さい男に当たったのが運の尽きね。
この糞女をどうやってどん底に叩き落してやろうかってさ、相手のゲスな考えが、今ならスケスケ。
見る目なかったんだよ、私。
恋人だと思ってたの、私だけでさ。
私の味方だって思ってたのは、私だけだった。
お金だけはある、生意気女。
そこに愛はなかったんだなぁって。
もちろん、嘘つき野郎に慈悲はない。
でもね、私もダメだった。
素の自分を認める事ができなかった。
本性を見せない関係じゃぁ手を取り合う事もね、できない。
見せられないって、つまり私も信じてはいなかったってことでさ。
まぁ相手が屑だったのは本当なんだけど。
それでもね。
暴力耐性ありで倫理観がユルイって自覚あるから、厳しくしてたんよ。
私の中身は見せられないってね。
自分も、親兄弟と同じく、駄目な人間の部類だってわかってた。
嘘も平気でつける。
人を簡単に切る。
でもね、そういうのはいけない。
今では理解してる。
私をハッピーにするためにも。
誰かに何かを求めるなら、正直に、ね。
隠すのが優しさ?
正解はない、よ。
ただ、私の場合、それでうまくはいかなかったって話。
だからアニマルと私、今生はフリーダム。
残念、真面目にはならんの!
まぁ要点は、私は真っ白な人じゃなくても、まぁ許せちゃうってことでさ。
セウェルスに馴染むのも、魔法族に驚いても、人間は変わらねぇなぁで済むのも、これが理由かな?
魔女子さんのバイオレンスな人生にも通じてるけど、人間嫌いにまではならない理由だよ。
閑話休題。
そう、彼女はハッピーメイカー、自分の機嫌を取るのがうまい人間だった。
男に裏切られようと、家族に酷い扱いをされてもね。
だからこそ、子供は守られるべきだって思うんだよ。
どんなに世の中が理不尽でもね。
そんな私は、守られなかった子供、だった。
でも、彼女はあしらって、自分でなんとかしてきた。
もちろん、最後は自殺みたいな形だったけど、それでも嫌がらせしてた奴も巻き添えだ。ざまぁ。
今世は、彼女にとってはボーナスステージだって思ってる。
美しさ、トラブル、嫌な現実、そして物語だというズレた認識。
全部含めてだよ、これはボーナスステージ。
サポートに男まで用意されてるんだぞ、なにそれ天国?
そんな私がインストールされたんだから、葵ちゃんを幸せにしちゃうのが当然でしょ?
忘れちゃったけど、叔母さんは、葵ちゃんを真っ当に育ててくれた。
真っ当な人間になるように、愛してくれていた。
葵ちゃんは、家族に愛を返そうとした。
それって怖くて悲しいけれど、素晴らしい愛があったってことでしょ?
私が欲しかった、私、ううん、もう手に入れているってわけ。
もう幸せってわけよ。
ボーナス貰ったんだから、葵ちゃんの人生はキラキラするべきでしょ?
他人事みたいに言うな、自分の事だろ?
わかってるよ、わかってる。
忘れているけど、私は葵だ。
成分比率は葵フレーバーぐらいだけどね。
まぁ私、アニマルは葵だし、魔女子さんでもある。
本当は葵だけど、忘れちゃったから、私が埋めてる。
そして私はアニマルでもあってだ……ややこしい。
ややこしい私は、ハッピークレイジーな獣とリンクしてる。
これがお姫様、魔女子さんとは違う部分ってわけ。
私とアニマルチームと、葵ちゃんと魔女子さんのお姫様チームね。
純粋で自己犠牲をものともしない、とても美しいお姫様と犯罪者気質の雑なアニマル。
合議して、今回ボーナスステージだし、サバイバルシフトでいーんじゃね?
本性丸出しで?
ワイ、アニマルでよくね?
ほら、シリアスが消えたぜ。
ふふっ
シリアス?
聞いてよ、ねぇ。
電波飛ばしちゃうよ、兄貴、がんばって社会に迷惑かけながら長生きしろよー!!
何か幻の電波キャッチ、兄貴、酒瓶片手にゆすったりたかっちゃったりしてるぜ、うぇい!っていうクズ電波。
まぁそこは男女差別しまくりで、ターゲット男にしろよなぁ!!
うむ、すっきり。(子供と正しい大人は真似してはいけません)
はい、思考整理終了ね。
そいでこの店、懐かしー匂いがするの。
古物商っぽくて、いろいろ胡散臭い商売してる感じ。
何でも買い取るよ、ヤバメのものでも不明品でもね。
その従兄弟、兄貴の商売がこれだった。
盗品もオッケー、何でも買います売りますね。
それでいて証拠提供や情報も売ってたのよ、お上にね。
中々ずる賢い人でね。
お上も、目溢ししながら皆仲良しねーっていう、懐かしき香り。
ビビるというより、あ〜ってなった。
葵ちゃんならびっくり。
魔女子さんは、品揃えにワクワク。
ワイ、ワイ的に懐かしすぎてね。
本当に、私って謎の生物よねって。
これがセブルス・スネイプ32歳魔法族婚約者(仮)が言う雑音、ノイズなのかもね。
本来の私、やっと来年13になるであろう私の人生は、何も経験していない。
怖い思いをしたのは本当だけど、悲惨な誰かの人生が私の人生ではない。
ノイズ、ねぇ。
でもそのノイズも、私なんだよねぇ。
とか、ノイズな思考そのもので考えてる時点で緊張感ゼロ。
謎のブードゥー人形、素手で触って呪い伝染らね?って心配になってたりする。
ちなみにこのお店の店内配置。
通りから木製のドアで入る。
右手に小物類、牙、変な箱がショーケースに収まってる。
左手ガラクタの山。
正面もショーケース。
滑り込んだのは左手の背の高い棚が並ぶ方。
右手がメインの売り場っぽいね。
こっちの通路は1人分通過できるはば。
並ぶ棚の間から覗き見るに、鍵付きのショーケースの向こうにカウンターがある。
マルフォイ親子はカウンターで主人と何やらやり取りをしている。
こっちの奥は薄暗く、先は曲がっているが、たぶん店のバックヤードかな?
防犯的にはどうなってんのかな?
それにセウェルスは無反応。
さすがにこのスペースでの隠蔽にも限界があるからね。
ちなみに隠蔽の魔法ってね、隠すんじゃなくて認識をずらすみたいだよ。
系統としては、セウェルスが使う閉心術と同系統。
精神神経系の魔法ね。
つまりマグル的に言うと、脳処理に影響を与えるわけ。
見えているけど、見えていない処理。
不要な情報としてカットしちゃう。
だから、視力的には視えている状態なわけ。
魔力が勝れば視えてしまうのは、それね。
ハリー君が視えなくしていた何か、多分、魔道具が光学迷彩なら、こっちは元々ある人間の脳処理の情報を誤認させる感じかな。
人間の視覚情報が、現実とは違うのは知ってるかな?
お月様の大きさが、目で見るのと写メとると違ったりするでしょ?
あと、ストレスかかりすぎると、目が見えているはずなのに視野がおかしくなっちゃうとかね。
それに近い原理っぽいのが、この隠蔽ね。
そして彼は言わないけど、こんな高度な隠蔽は普通はできないの。
マグルよけとか、いろいろ魔法族は万能みたいに勘違いされるけど、こんな狭いスペースで隠蔽すれば、逆に不自然な魔力とか違和感でバレるって訳ね。
んで、そんなヤバい緊張感溢れる潜入をしてるんだけどね。
さっきからダーリンはある場所を凝視している。
んで、ワイも見る。で、ふぁっ!!
ハリー・ポッター!!
貴様減点されたいのかー!!
なんでいるのかなぁ(涙)
なんでいるかなー!!
煤にまみれたハリー君がいる。
メガネ壊れてる。
そいでキャビネットの半分開いた扉の影に座り込んでるしー!!
多分、ワイとダーリン心のなかで絶叫!というか脱力。
あぁ、君はどうしてそう危険地帯にいるのー!!
そんな主人公補正いらんがなー!!
なんで純血筆頭、闇の輩にもパイプの太い親子の前にいるんだよぉ。
もちろん、状況としては最悪ではない。
マルフォイ親子としては、特段、帝王があぼ〜ん状態であれば、帝王の失脚原因のハリー君を見たからって...あかん、場所が悪い。どう転ぶかわからん。
利をわきまえて仲良くしてくれる可能性はあるが、それは賭けだ。
小さく頷くダーリン。
そしてカウンターのやり取りに耳を澄ます。
「ドラコ、いっさい触るんじゃないぞ!」
展示物に手を伸ばしていたマルフォイ君、叱られて手を引っ込めた。
「何か買ってくれるのかと思ったのに」
うんうん、普通の会話ね。
「競技用の箒を買ってやると言ったんだ」
「寮の選手に選ばれなきゃ、そんなの意味ないよ」
マルフォイ君、ちょっとションボリ。
「ポッターは、ニンバス2000をもらったんだ。
ダンブルドアから特別許可をもらって。
あいつ、そんなに、うまく、ないのに。
有名だから、ずるい」
うん、そう言いたくなる気持ちはわかるけど、ハリー君、実際スポーツ万能よ。
そいで、そういう言い方、いかにも気位高そうなパパ上に言うとどうなるか〜。
「同じ繰り言を、私は何度、聞かされたかな。
言葉にして、それがお前を成長させるのか?
ではさらに良い条件を与えれば、お前は力量で上回ると?」
パパ上、呆れたようにため息をつき、息子を見下ろした。
「感情をむやみに表に出すな。
ハリー・ポッターを嫌う言動を繰り返すのは、賢明ではない。
闇の帝王を失脚させたと戯言をいう輩が大勢いるのだから。
やぁ、ボージン君、虫は始末したかね?」
店主登場。
記者とガチンコで言い争っていたのはどうなったの?
んで、ちょっと不潔感のある中年男性が、揉み手をしつつカウンターに戻る。
そのムーブって世界共通なの?
「マルフォイ様、また、おいでいただきまして嬉しゅうございます。虫は巣穴に戻っていきました。お騒がせして申し訳ございません。」
風呂入ってるの?
きっと後ろ暗い商売も深夜帯でしてるんだろうね。
働きすぎだよ?
「ご来店いただき、恐悦至極。
さて、本日は若様までいらっしゃるようで、手前どもに何か御用がおありで?
珍しい品も入荷したばかりですが、ご覧になりますか?」
「いや、今日は少し相談に来たのだよ。」
わぁぉ、まずい商談だったら、ハリー君逃がさねばならぬぅ。
そのハリー君は、まだ、私達の存在を把握できていないようで、どうやったら逃げられるか、キョドっている。
まてまて、どうしようもなきゃ、なんとかするから、まてぃ!
「聞き及んでいると思うが、抜き打ちの立ち入り調査が家々に行われている。
純血家へのだ。故に我が家も掃除をすることにした。」
それに店主の顔から笑いが消えた。
「当方、古物を取り扱う身でございますれば、是非にも鑑定させて頂きとうございます。」
それにマルフォイパパ上、懐から羊皮紙の巻物を取り出す。
多分、物品一覧だろう。
受け取った店主、鼻眼鏡をかけるとリストを灯りにかざした。
もちろん、私達には遠くて見えないよぅ。
なんだろうねぇ。
「魔法省が、貴方様にご迷惑をおかけするとは思えませんが。」
「我が家はそれなりの尊敬を勝ち得ている。
だが世の流れはかわりつつあるだろう。古い物を尊んで残しておくのも良くない。
それにマグルびいきのアーサー・ウィーズリーも配置換えになるとの話も聞いた。」
と、パパ上、苦々しい顔をしたが、言葉を切った。
多分、罵倒。
でも、息子に言ったように、感情をむやみに垂れ流す事はしなかった。
その表情だって一瞬で、多分、ドキドキしてるハリー君や、暇そうに周りの品を見学してるマルフォイ君には伝わらなかった。
彼、本当にマグル嫌いなんだね?
それにダーリンは首を振った。
ん、違うのか。
あ〜うん、マグルが嫌いなんじゃなくてウィーズリーが嫌いなんだね。
肯定。
なるほどねぇ。
「で、このリストのモノは、我が家には不要だ。」
「おぉ、万事心得ておりますとも、旦那様」
お代官様と越後屋の会話だなぁ。(若い子とイギリス魔法族にはわからんちんの比喩や、ジャパニーズ時代劇のお約束ね)
特段、ヤバメの商談には見えないが、まぁ世間体的にはあまりよろしくないって奴だね。
つまり犯罪じゃないよん。(グレーね)
「あれ、買ってくれる?」
少年よ、それはワクワクするけど、どう見てもミイラの手だぞ?
「あぁ、輝きの手でございますね、さすがお目が高い!」
すんげぇお世辞を聞いてみると、その手に灯りを射し込んで掲げると、掲げてる人間だけ明るくて視界良好。その他は暗闇のままっていう、泥棒御用達商品らしい。
とうぜん、冗談にも程があるので、マルフォイパパ上に怒られる。
しょんぼりする店主と息子。コントかな?
「まぁ息子の成績が上がらぬようなら、行く末はそんなところか」
「僕の責任じゃない、先生が皆、贔屓を」
「魔法家系じゃない者に負けている言い訳がそれか。恥を知りなさい。」
あれ、何か普通のパパ上な感じがするけど。
と、それにダーリンは、ため息。
まぁ実際、親子としては普通なんだろうけどね。
「ボージン、私は時流を見る目までは曇っていない。君とこの店はどうかね?」
「もちろんでございますとも、旦那様。」
「では、触りに手付として今日はこちらも持ってきた、見てくれるかね?」
と、カウンターに数冊の本を置いた。
魔法収納から取りだしたのかな。
魔法書?
だとしても、専門の本屋に売らないとなれば、普通の書物じゃない?
傍らの男がゆっくりと瞬きをする。
たぶん、禁書のたぐいだ。
二人は交渉を始め、マルフォイ君は見学に戻る。
徐々にハリー君の棚に近づいてくる。
逡巡の後に、ダーリンが魔法を使った。
防犯的な反応はなかったけど、呪具系の品々の意識がこちらに向けられるのがわかった。
こわっ、反応ありすぎ。
それでも魔法使用に対する反応はない。
たぶん、この手の店の防犯魔法、盗みには反応するけど隠蔽などには反応しなさそうだ。
考えてみれば客層が悪い。
底辺の薄暗いバックボーンを背負った客が、隠蔽してないわけがない。
下手に暴いたり反応したら、ぶっ殺されるわ。
つまりこの店、マジで兄貴の店と同じ、後ろ暗い客ばっかりってこと。
おかげでハリー君は隠蔽がかかった。
つまりモザイク、他の商品の一部、気に掛ける必要が無い記号になった。
何もリアクションしなきゃいける。
でも当人はわからんのよねぇ、さて。
マルフォイ君は絞首刑用の長いロープの前で立ち止まるとしげしげと眺めた。
魔法使いの子供じゃなくても、そりゃぁ気になるよね。
そしてその隣にある、豪華なオパールのネックレスの説明書を読んでニヤニヤした。
ご注意!
手を触れないこと。
呪われたネックレス→触れると呪いが発動し、死をもたらします。過去十九人のマグルの命を奪った。
もう本当に、子供だったら触りたくなるよね。
でも、どう見てもというか、そこから流れ出てる禍々しさは、本物だ。
もし彼が触りそうになったら、隠蔽かなぐり捨てて殴り飛ばすけど、いい?
ため息。
もうね、ハリー君といい、マルフォイ君といい、もう少し危機感をもってだなぁ..
ため息。
はいはい、私もだね。
彼はまじまじと眺めた後、そのキャビネットの棚、ハリー君の隠れる場所の前にたった。
やべぇ。
「では、お願いする。ドラコ、行くぞ!」
両手で口を押さえていたハリー君の体から力が抜ける。
スタンバってた私達も力が抜ける。
「ボージン君、お邪魔したな。明日は、館の方へ物を取りに来てくれるかね」
店主はマルフォイ親子を扉から見送った。
で、演技終了。
腰の低い中年男から、妙にシャキッとしたオッサンになる。
鼻眼鏡を取り去ると、ブツブツ何かを言いながらリストを手に奥に引っ込んだ。
マジ防犯大丈夫なん?と思うが、その主人の気配が薄れると、ハリー君はキャビネットから飛び出した。
見送る?
おぉっと!
そいでダーリンキャッチ&口を塞ぐ。
大暴れ、している眼の前に、ワイ。
前もこんなシチュあったねぇ。
目をまんまるに見開くハリー君。
「落ち着け、このまま出ると、場合によっては、貴様の痕跡が残る。喋るなよ」
セウェルスが彼から手を離すと、ハリー君が飛び出してきたキャビネットを指さした。
白丸が二つ。
じゃない、あ〜。
屋敷しもべ妖精だ。
大きな目がギョロッとした子である。
オドオドとこちらを、まぁアニマルなワイをチラチラ見ている。
『どこの子?』
私の問いに、恐れたように奥に引っ込んだ。
店の子かな?
でも、知ってる気配?
ん?
どこだったっけ。
あれ、梟ちゃんと気がついた、あの気配?
じゃぁ大丈夫、かどうかわからんもんなぁ。
付け回してる?
うーん、客なら黙る?
『私達を見逃す気はある?』
ガタガタする気配。
文字通り音をガタガタと、怖がってガタガタね。
どうしよう、妖精族、敵対すると面倒なんだよね。
実際、妖精ってすんごい能力持ちだからね。
彼らとは穏当に付き合わないと、魔法界では生活できないレベルだと、私は認識してる。
なにしろ人間のどのような妨害魔法も突き抜けてお部屋の掃除できるんだよ?
「葵、妖精に契約を持ちかけるな、仕方ない、こちらが痕跡を残す。」
了解。
ダーリン、私、お買い物したいの〜が、正解?
「頼む。」
んで、ワイ、隠蔽を解かれる。
うるさそうな呪物の人形どもを睥睨。
『燃やされたくなくば、沈黙をせよ。妾は不快じゃ』
と、お狐様が言っている。
もちろん、私の杖ね。
そいで例のブードゥー人形を小突き、ちょっとばかり魔力をあげたら喜んで白目を剥いた。
「壊すな」
あれ?
まーいーかー。
『誰か、おるか?誰ぞ、誰ぞ!』
カウンターにへばりついて、呼び鈴を連打。
気分は台パン。(ゲーム中は控えようね)
迷惑客全開である。
「いつもいつも、いい加減にしろよっ、このっチンピラど……もが?あぁ、あぁ、お嬢さま、いかが致しましたか?」
『下郎、ここは買い物ができる店ではないのかえ?(意訳・客だ、馬鹿が、とっとと接客しろ)』
と、お狐様が(以下略)
「すまぬ、主よ。彼女が土産がほしいとダダを捏ねてな。どうも、オモテの店では飽きたと言い出しおって。すまぬ、益にも害にもならぬ、手のかかった品を頼む。」
『心配するな、金に糸目はつけぬ。好事家の爺に土産ぞ。何ぞ持ってきてたもれ!(本心・チンケな店に期待はしねぇがな)』
てな感じの二重音声の、ロクデナシムーブで買い物して店の外に出た。
端折るな?
3つほど買ったよん。
やっぱりおまけも貰ったよ。
金払いが良い客は、魔法界ではオマケ&又きてねの名刺みたいなのをもらえるらしい。
何でも買っちゃうし出張鑑定もしちゃうし、呪いの品も盗品もばっちり高値で引き取るって、ニコニコされた。
あぁ懐かしき人種である。
ワイ、横柄に頷く。
下郎、ワイに直接話しかけんなよって言いながら、ダーリンが来たら面白いもの紹介しろ、ワイが買うからっていうのも言っておいた。
ハリー君、すごい演技だなぁって見てたみたいだけど、これ本気な。
とは言わずに、無難に店を後にする。
これで爺ちゃんへの土産も茶葉以外に確保できた。
マルフォイ親子の置いていった魔導書は、六冊。
禁書っぽいけど、感じられるほどざわついていたのは一冊だけ。
つまりゴミ五冊、一冊本物。
で、本当なら、その一冊を回収するか調べるところだけど、さすがにハリー君がいてはできない。
隠蔽かけてたけど、店主は存在を認知してた様子だしね。
誰かまでは探ってこないけど。
用心に越したことはない。
見張られているようだったしね。
その見張り、屋敷しもべ妖精は、いつの間にか消えていた。
元々騒がれなかった可能性もあるけど、客で出ていった方が、魔法的防犯にはひっかからない、はず?
で、通りに出た所で、ダーリンは私を掴み、空気と化していたハリー君の首根っこを掴み上げた。
ずんずんとダイアゴン横丁に向かう。
パパラッチは消えていた。
う〜ん、今日も盛り沢山だね。
「ポッター、どうしてあんな所にいた?」
首根っこを掴まれて、引きずられているが、その眼鏡はとっくの昔に修繕され、煤もキレイにされている。
もちろん、ダーリンがね。
レパロしてスコージファイ。
ワイでやりなれてるから、首を掴むと同時だ。
職人技だーパチパチパチ〜!
「煙突飛行を失敗して、気がついたら変な場所に」
ダーリン、相手は子供。
鬼みたいな顔で何か言うなよ?
「じゃぁウィーズリーが探しているな。」
で、ずんずん歩く彼を見て、ハリー君は眉を下げた。
あぁそっちこそ何で行き合わせたのか?
おまけに姿を隠していたのが怪しい?
まぁ怪しいよねぇ。
『私達、逃げていたんだ』
通りが近くなり、そんなハリー君の首から、セウェルスは手を外した。
「えっとどういう事?」
『パパラッチに写真を撮られそうになって、隠れた。
そうしたら君がいた。マルフォイ君のお父様は理事だし、みつかると困ることばっかり。
だから、私達は隠蔽していた訳だよ』
「何だ、そういう」
『あの店というか、この通り、あまり治安が良くないんだよね、セウェルス』
私の隠蔽を解いていたせいか、ジロジロと視線が集まってくる。
おい、そこの如何にも魔女ですなマダム、ライン超えで近寄ったら、セウェルスに燃やされるか、ワイのタリスマンで瀕死になるよ?
で、警告なんてダーリンはしそうもない。
だってワクワク被検体だものね。
でもお出かけで、そんなワクワクばかりしたくないのである。
ハリー君の教育にも悪すぎだから。
つーか印象最悪でしょ?
ダーリンイメージアップ期間中じゃねーの?
そうだった?
しかたねーなー
『見世物ではないが、見るならば対価を貰おうか、どうする?』
と、お狐様が唸りをあげる。
保護者同伴だしね、魔力を通すと獣の唸り声と魔力が溢れた。
怪しげな風体の人間達が散っていく。残念?知らんがな。
そしてそんなセウェルスに罰ゲームが下される。
天罰覿面だなぁ、お笑いの神が見てるんだね。
「あぁ、お嬢にハリー、それにスネイプ先生じゃねぇかぁ、こんなところでなにしちょるんか?」
セウェルスが再び空を見上げた。
私も見上げる。
やっぱり曇り空だなぁ。
「帰りたい」
まぁまぁ。
大きな人は、また、謎生物と酒でも浴びてたのかな?
「ノクターン横丁なんぞ、どうしてまたうろうろしとるんじゃぁ。引率するにゃぁ向かん場所じゃぞ。」
校長への土産を購入していたって言えば?
「ダンブルドアへの土産に変わったものが欲しいと」
で、嫌そうに私を顎で指し示す。
まぁいいんだけどね。
「僕は迷子。助けてもらったんだ。ハグリッドはどうして?」
「お嬢、またスネイプ先生を困らせるんじゃぁないぞ。
それからハリー迷子だなんて、こんな場所に迷い込むなんてとんでもねぇ話だ。」
「ウィーズリーさんの所に泊まってるんだけど、はぐれちゃったんだ。」
「おぉ、そうだったのか。俺の手紙に返信がないから、それも心配してたんだぞ」
「ゴメン、色々あって手紙を受け取っていないんだ。」
「いろいろ?」
「ここで立ち話をするなら、置いていくぞ」
あっという顔になる二人。
そうして大きな人を加えて、表通りダイアゴン横丁に向かった。
そしてノクターン?横丁を出る直前、まぁ人の目を気にして、まぁ行動は逆なんだけどセウェルスの側に寄る。片手を重ね、更には彼がその手でウエストを抱える。
そして顎が私の頭の上にセット。
つまり彼の懐にin、抱えられるワイ。
彼の認識は、ヤギの人と同じスタイル。
ヤギのかわりに猿な。
「アレと一緒にするな。地獄だろうが」
はいはい、普通にラブカップルのお出かけスタイルね。
唸るなって。
じゃが事実はしょっぺぇ隠しきれないお味。
私を抱える方のSAN値が埋葬されていくね、フハハハ!
んで、当然その姿に、他の二人がドン引く。
何やってんの、お前ら?である。
あぁ説明しないもんね、っていうか、もう喋りたくない、面倒?
もうしょうがないなぁ。
でもね、大きな人が一緒じゃぁ私、喋れないのよ。
メモ書き面倒。
ため息。
「不審者に追い回された。この人混みでは離れられない。吾輩の評判よりも、身の安全が優先だ。」
と、しらっと嘘を並べる。
また、釣り糸に引っかかったら面白いしぃ、もう開きなおっちゃったしね。
噂、回るなら回れ。
そして呪われた奴らから、更に噂がまわるといいかなー帰りてぇー
っていう自動翻訳の気持ちが届く。
評判、なにそれ美味しいの?
もう面倒クセェ、バカはシネ。
そいでワイ、同意。
男女で歳が離れててもさ、別に友達でいいじゃん。
立場が違ったってさ、面倒クセェんだよって。
従兄弟の事を思い出したら余計にね。
別にどうでもいいんだよね、仕事に差し障りなきゃ。
差し障りありまくりだー!!
笑える。
そうだった教育者。
一応女性関係とか念押したし、それはヨシとして教育者。
「裁判なら勝てるだろう」
まーねー
実際、クビにしたら困るのヒゲだしね。
ワイ、別に他の学校行ってもいいけど、ダメージ、ワイじゃなくて魔法省行くし。
実際、淫行罪は大丈夫っしょ?
それな!というダーリンの電波。
なんつーヒトデナシなワイらの電光石火のやりとり。
面倒くささに、世間体はシンダのである。
で、キラキラ善意フィルターを浴びる。
「そんな事があったんだね。ドヴワティーヌさん、僕も手を繋ごうか?」
「そりゃぁ、大変だったな。スネイプ先生よ、まぁその、なんだ。頑張れよ」
ワイとダーリンの汚れた心にクリティカルヒット!
「言ってろ」
「どうした、大丈夫かぁ先生?」
「ウィーズリー達が探しているだろう、さっさと行くぞ」
「ハリー、ハリーここよ!」
ダイアゴン横丁に踏み出した途端、発見されるハリー君。
その声の主の背後にオールスター勢揃い。
まぁ、何となく当初の目的は達成でいいのかな?
ウィーズリー夫妻と接触、ハリー君の様子を見る。
アクシデントはあったけど、彼らとハリー君の雰囲気は悪くなさそう。
ここから情報収集で、少しコミュニケーションとるんでしょ?
まさか、アンダーグラウンドの情報収集の方が楽とか考えてないよね?
……。
セウェルスが少し力を抜いてしなだれてくる。
頭部に顎が食い込んでるんだけど?
寄りかかってくる駄目な大人の、萎えた気力をどうにかしようと背に手を回すと叩く。
まぁ人生ってこんなもんよ。
私は気がついていなかったが、そうするとガッチリ抱き合う格好に見えるらしく、何かのトドメをさしたらしい。
素早くそれを感じ取った彼は目を閉じたまま、舌打ちをした。